satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 7ー2

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊を元にしているため、原作のイメージを崩す可能性大です! 苦手な方はブラウザバックしてくださいね!
ピカ「遠征メンバー目指すぞー」
ポチャ「最初の頃もそんなこと言ったんだけどね」
ピカ「そいや、そうだね。けど、気合いの入れようが違うから。多分」
多分かよ……!


~7‐2 ギルド遠征、重なる謎~


「ピカちゃん、頑張ってるね~」
「ホノオさん!」
思ったより依頼が早く片付き、暇だからとトレジャータウンにある道場まで一人で来ていた。そこで軽く体を動かしていたら、師範のホノオさんと出会った。ちなみに、リーグはホノオさんと入れ違いに出ていってしまっている。ホノオさんは別の仕事をやっているためか、毎日ここにいるわけでもない。会えるとなんだか、特別な感じがしてくる。
「ギルドで遠征するって話、聞いたよ。ピカちゃん達も候補メンバーなんだってね?」
「はい! 新人なんですけど、親方の配慮で。選ばれる望みは薄いですけど、選ばれるように頑張りたいんです」
「そっか。遠征に行くところ、この辺の敵より強いかもしれないから、特訓しているのかな?」
「あはは~……ま、そんなところですかね」
「じゃ、これ使う~?」
そう言って取り出してきたのは薄く丸い円盤のようなものだ。ホノオさんに手渡され、まじまじと観察してみるけれど、よく分からない。飛び道具?
「これね、わざマシンっていう道具。使うと新しい技を覚えられるんだよ」
「へぇ……これは何を覚えられるんですか?」
「忘れちゃった♪」
「んんっ!?」
えへへ、と呑気に笑うホノオさん。呑気に笑ってていいものなのか。いいのか?
「まあ、とりあえず、頭に……というか、おでこかな。そこにぴったんこさせるの。してみて~?」
「し、してみてって、実験台ですか!?」
嫌ですよ、と拒否る前にホノオさんが近づいてきて、私の額にわざマシンを押し付けた。同じくらいの身長なのに、力強い……!
「これで本当に覚えられ…………!」
「不思議だよね。こうすると、頭の中に技の使い方がぴーんって思い浮かぶの。こうして、覚えるんだよ~♪」
ホノオさんの言う通り、技のイメージ、使い方、技の能力が浮かび上がる。そして、これが私にも使えるものだということも分かった。これなら覚えられる。恐らく、もう使えるだろう。そこまで考えたところでハッと気づいた。
「……あっ! これ、覚えちゃいましたけど、よかったんですか!?」
「うん。俺はいらないからね♪ ピカちゃんが役立ててくれると嬉しいな」
「ありがとうございます、ホノオさん」
「いえいえ。遠征、行けるといいね」
「はい。そのために頑張ってますから!」
メンバー発表まで日がない。少しでも可能性を広げて、同時に力も知識もつけておかねば。
「ホノオさん、特訓に付き合ってくれますか?」
「いいよ~♪ 今日はもう何もないからね」
「やった! ありがとうございます!」
こういうときは有意義に使わないと損だもんね。
このあとは時間の許す限り、ホノオさんに付き合ってもらっていた。ポチャが呼びに来なければまだまだやっていたかもしれないけれど。

夕飯前、皆揃って食べようとしたときに鳥が止めた。なんだかこれ前にもあった気がする。当然のように周りからのブーイングが飛んできた。しかし、これもまたいつものことなのか、鳥は動じることなく周りを静止して話を続けた。
この時期だし、何となくどんな話なのか予測がつくけれども。
「今日は夕飯の前に話しておきたいことがある。皆も気になっているだろう遠征メンバーだが、先程、親方様が決断されたようだ」
やっぱりか。
この言葉を聞いて、さっきまではブーイングが飛んでいたにも関わらず、掌を返すように皆から歓声が上がる。ずっと気になっていたことだろうし、このために頑張っていたと言って過言ではないから間違った反応ではないか。
「メンバー発表は明日の朝礼にて行う。楽しみにしてくれ♪」
やらかしたって自覚があるせいで、発表自体が楽しみでも何でもないんだよな。いや、まあ……頑張ってきたけどさ。なりたいとは思っているけども。
このあとは食べるのを止められた夕飯の続きをして、皆、早々に部屋に戻って行った。当然、私達も自分の部屋に戻る。
「明日、メンバー発表かぁ……」
部屋に戻るなり、ポチャがベッドに飛び込みながら呟いた。私とポチャを比べればダントツにポチャの方が行きたがっていた。私と違って、駄目かもしれないよな、なんて片隅に考えていないかもしれない。いや、ポチャに限ってそんなポジティブな思考はないか。鳥にも諦めろと言われているし、むしろネガティブに……
ペラップに期待するなって言われてるし、駄目かもしれないんだよね……うぅ、なんだかドキドキしてきた」
声のトーンもいつもより低い。やはり、不安に思っているようだ。
「や、やることはやったから、ちょっとだけ期待してもいいよね!?」
がばっと勢いよく起き上がりながら、食いぎみに言ってきた。そうだね、と同意してもいいのだが、ここはなんだかいじりたくも思う。
「どうかね。明日になれば分かるんじゃない?」
「えぇー? ピカは気にならない?」
気にならないと言えば嘘になるが、ポチャ程ではないと思う。なんて言うと、へなへなっと床と一体化してしまった。
「そっかぁ~」
「いや、行きたい気持ちはあるよ。皆の反応から遠征なんて滅多にやらないみたいだもん。それに、あのドクローズに一杯食わされてるし、見返してやりたい」
「なんかさ、ピカの行く動機が私欲まみれだよ? もっと探検隊らしい理由ないの?」
「んなこと言われても……まあ、一番の理由は興味かな……今まで依頼しかやってないって言っても過言じゃないじゃない? だからこそ、誰も解けなかった謎とか見てみたいかなって」
「へへっ♪ そっかそっか……明日、選ばれるといいね! ぼくもピカと一緒に行きたいから!」
しかし、こういう場合は一緒に行けるかどうかなんて分からないのではないだろうか。必要な人材を連れていくに決まっている。
「ピカと一緒なら楽しいもん。ぼく、好きだよ? ピカの探検するの」
はあ!? 何口走ってるんだ、こいつは!?
特に狙ったわけではないだろう。そんな考える頭があるなんて思っていない。純粋に、そう思っているから言ったまでだろう。友情の範囲内で。あー怖い。時々、こういうことを言ってくるもんな。
「そうだね。私も好きだよ。ポチャとの探検」
「そう言ってくれるなんて嬉しいよ! よし、明日に備えて寝るね。おやすみー!」
「はい、おやすみなさい」
遠征、行けるといいんだけど。せめて、ポチャだけでも……行かせてやりたいんだけどな。
私は仰向けのまま手を上に掲げ、その手を見つめる。もしかしたら、あの能力も遠征先で役に立つかもしれない。そこまで連発はしたくはないが。
ふっと手を下ろし、横目にポチャを見た。先程まで騒いでいたくせに、もう寝息を立てて寝てしまっている。そんな切り替えの早さは見習いたいものだ。
「……明日、選ばれてるといいね。ポチャ」
そう小さく呟いて私も目を閉じた。
泣いても笑っても結果は明日。どうせなら、いい結果であることを願うだけだ。



~あとがき~
発表前夜、って感じですね。

次回、ついに発表!

なんだろう。特に言いたいことはないですな……
あ、でもこれだけは言っておこうかな。
本編ではピカが鈍感なところ(演技だったけど)がありましたが、過去ではポチャの方が鈍感です。ピカが色々惑わされていたり、慌ててたりしています。まあ、それは表に出てないと思うんですけど。そんな、成長前の二人の関係って珍しいと思うんで、楽しんでくれればと思います。
じゃあ、なんでそれが逆転するのって話は……はじソラ見てくれれば分かります! ピカとポチャの考えが変わる出来事がいくつかあるんでね!
それだけ言いたかった。今回、ピカがポチャの発言にびっくりしてる場面があったので。

ではでは!

☆第12回 ゆるゆるトーク☆ 

ピカ「前回はフォース君がめっちゃかっこよかったですね!」
アラシ「ま、フォースだし……」
ピカ「そして相変わらずアラシ君とポチャはいじられキャラだねっ!」
アラシ、ポチャ
「…………」
ピカ「そんなこんなで始めて…」
フォース「テンポ速くない?」
ピカ「さっさと始めて、私の出番増やすんだよ! そして、ツバサちゃんとあんなことやこんなことをするんだよ! 私の楽園的な!」
アラシ「誤解を招くようなことを言うな! ツバサに何する気だよ!」
ピカ「変なことはしません。大丈夫ですぅ」
アラシ「あんま信用ならねぇ……」
ピカ「アラシ君はツバサちゃんをもふもふすることを妄想しながら待ってればいいじゃん。顔赤くしながら待ってろ。私は実際にもふもふしてくる!」
アラシ「あっ!? ちょ、ピカ!?」
ポチャ「あー……決してやましいことはしませんよ。大丈夫ですよ。いつも通りのだらだらとぐだぐだなんで……」
フォース「つーことで、読んでくれている人も大していないだろうが、いつも通りの奴だと思って読んでくれよな」
アラシ「………冷静だな、お前ら」
ポチャ「まあ、ピカだからね」
フォース「ここでアラシの変なイメージを与える可能性があると思いつつも、面倒なことになりそうだから、敢えてスルーしてるだけだ」
アラシ「…………ん!?」
ポチャ「いじられキャラ的な?」
フォース「とりあえず、かっこいい男子のイメージはつかねぇな」
アラシ「……………」


ピカ「あのさ、私、やりたいことあるの。付き合ってくれない? 御三方」
イブ「いいですけど……何するんです?」
チコ「ピカさん、変なことはなしですよ」
ツバサ「私は全然大丈夫ですよ~♪」
ピカ「変なことなんてしないよー! アラシ君とかならともかく、イブちゃん達にはしないよ~」
イブ「これは素直に喜ぶべきところ……?」
ピカ「でね、やりたいことっていうのは、ズバリ! おしゃれだよ!」
イブ、チコ、ツバサ
「おしゃれ………?」
ピカ「そ! あの男子共をキュンキュンさせたろうって計画だよ。ま、フォース君がキュンキュンすることなんてないだろうけど、アラシ君はチョロいからね! ポチャは知らん!」
イブ「要するにアラシさんをキュンキュンさせたいってことですね。キュンキュンって女の子みたいですけど」
ピカ「キュンキュンつーか、恋する男子のアラシ君をさらけ出してやろうかと」
ツバサ「? キュンキュンって何ですかー?」
ピカ「ツバサちゃんはまだ知らなくて大丈夫。キュンキュンするのはアラシ君だけだからね~」
ツバサ「う? アラシがキュンキュン? 鳴き声かなにかなのかな……」
チコ「アラシさんがキュンキュン鳴くってイメージ崩壊だな……」
ピカ「大丈夫大丈夫。ここでは、アラシ君のイメージを底辺まで追いやるつもりだから! そうすれば、本編で活躍するアラシ君が全然かっこよくなくても、かっこよく見えるかなーって。無理かもしれないけど」
イブ「ピカさんは何がしたいんですか!? イメージダウンですか? それともアップ?」
ピカ「ダウンさせといて、アップを目指す。そして、更なるイメージダウンを……」
チコ「めんどくさいですよ!! それ!」
ピカ「まあ、要するにここでは好き勝手やらせてもらうってことだよ? アップダウンについては、こちらでどうにもならないしー?
さてっと本題に入らせてもらうよ。そこの可愛い娘三人組が着飾ればいいと思うんだよね。協力してよ♪」
イブ「まあ、別にいいですけど……でも、それならピカさんも一緒に着れば…」
ピカ「嫌でーす。着飾りたくないんで却下でーす」
イブ「あ、はい……」
ピカ「コーディネートは任せてよ。今以上に可愛くしてあげるから!」
チコ(また変なことになってきたなぁ……)
ツバサ「よく分かりませんが、ピカさんのお手伝いが出来るなら、頑張りますっ!」
ピカ「ありがと、ツバサちゃん♪ 君にはアラシ君を喜ばせるという大役を授けようではないか!」
ツバサ「はーい!」
チコ、イブ(それしかやらせる気ないだろうに)
イブ「ピカさん、これってやる意味ありますか」
ピカ「意味を説いちゃいけないよ、イブちゃん。これはね、私の完全なる趣味全快だからね! 理由なんてないのさっ」
イブ「それは誇るものじゃないですよ……」
ピカ「まあまあ♪ イブちゃんも可愛くしてあげるよ。フォース君が可愛いなって褒めるくらいにはしてあげようじゃないかっ!」
イブ「にゃっ!? そっ……そそそんなこと求めてませんよ!? いりませんっ!!」
チコ「無駄だよ、イブ。ピカさん、もう聞いてないし」
イブ「えっ?」
ピカ「さあって、どうしようかね~♪」ワクワク
ツバサ「ワクワクです~(*≧∀≦*)」
イブ「………………」
チコ「ね? 諦めよ。ピカさんに勝てるわけないんだから、さ」
イブ「う、うん……」

~お着替え中! 見せられないよっ!~

ピカ「……………よしっ! 完成っ!」
イブ「ここまでやる必要ありました!?」
ピカ「何言っているの? 当たり前でしょっ! おしゃれすれば年齢なんてどうとでも見せられるんだからねっ!」
イブ「いや、そういう話をしているのでは…」
ピカ「イブちゃんはお嬢様イメージね。チコちゃんは活発な女の子で……ツバサちゃんは完全にアラシ君を落としに行ってますな(。-∀-)」
チコ「二人とも可愛いよ~」
ツバサ「チコちゃんだって~」
イブ「いや、私とチコちゃんはいいとして、ツバサちゃんに対する気合いの入れようはなんなんですか? これ、お化粧もしてません?」
ピカ「してるよ? ツバサちゃんを大人っぽく見せるためにな(・ω・´)」ドヤッ
チコ「ピカさん、そんなことも出来るんですね。やったことあるんですか?」
ピカ「うん? ないよ。他人には初めてやった」
イブ「……………( ̄▽ ̄;)」
(他人にはってことは、自分自身にはやったことあるんだ……? この辺突っ込むと大変なことになりそうだし)
ピカ「よーし! ツバサちゃん、後は打ち合わせ通りによろしくっ!」
ツバサ「はーい! 頑張ります(*^^*)」
イブ「ほんとにやるんだ……」
チコ「それがピカさんだよ」
イブ「うん……もう諦めた」
ピカ「いやぁ~……楽しいねぇ~♪」
ツバサ「楽しいです~♪」
イブ(ツバサちゃんは純粋に楽しいって思ってるんだろうけど……)
チコ(ピカさんは……多分、違うんだろうな……)



~あとがき~
前回のやつ、2年前に出てました。2年ぶりの更新です。最早、私を含めて誰の記憶にも残っていないゆるトークです。これはあれです。本編の殺伐とした雰囲気になったときの息抜きになればと思って、作ったトークというか、短編みたいなものです。あと、シリアスになると出てこないメインキャラがいることもあるので、ここで出せたらと思って作った場だったりする。そういう目的で作った……はずなのに、ほったらかして前回更新から2年経ってた…
会話形式で進むのです。地の文はほぼ0です。そんなやつです!!!
ってなわけで、私の友人のキャラとの交流も兼ねてとずっとやってるんです。もう5年目になるんじゃないか……? いい加減、完結させろよって感じですね! ごめんなさいね!!!

ピカ「なんか、あれだよね。文章の書き方も変わってるよね。初期のゆるトーク見てみ? 穴に入りたくなるレベルだから」
ポチャ「ん……んん~……そう、だね?」
フォース「小説とか読んでみ? 酷いからな」
イブ「それ、今関係ないよね……?」
チコ「成長ってやつだよ! いいことだよ~♪」
ツバサ「よくわかんないけど、いいことだねっ!」
アラシ「……上のやつはsatomiの懺悔? それとも期間空けたからトークの説明?」
ピカ「うーん。多分、両方かな」
アラシ「お、おぉ……」
ピカ「さてさて、永遠に終わらなそうだったこのコラボももうすぐ終わる(予定)ですので、もう少しお付き合いくださいね~」
ポチャ「あ、目処ついたんだ?」
フォース「続きは一切手ぇついてないけどな」
アラシ「それ、駄目じゃねぇ!?」
チコ「次回がいつになるかは不明です! でも、作者さんが進級する前には出したいって願望があるみたい」
ピカ「するかもわからない進級を目処か……」
ポチャ「ピカ、そういうこと言わないの」
イブ「ってことは、今年度中ってやつかな」
ツバサ「そうだね。今月に上がることはなさそう……なのかな?」
アラシ「範囲広……今年の9月~来年の3月末までってか?」
フォース「アラシ、忘れるな。作者の願望であって、確約はしてないぞ」
アラシ「あっ」
ピカ「まあまあ、いいんじゃん? とりあえず、今回はここまで! ツバサちゃん。締めてくれる?」
ツバサ「はい! 閲覧ありがとうございました! 次回に続きます~♪」

空と海 第155話

~前回までのあらすじ~
ホノオとナイトが戦い始めました。もえぎとレンは蚊帳の外です。
レン「俺的にはまーったく問題ない」
もえぎ「……問題ない、です」
戦ってるのも二人だけだし、すぐに終わりたいですな~……願望です。
では、始めていきますかね。


「“れんごく”……命中率はいいとは言えない技だけど、当たればやけど状態に出来て、大ダメージを負わせることが可能の技……か。よく当てたな」
「ホノオさんの技の完成度は凄いからね♪」
「いや……理由になってないんだけど。つーか、いい加減にしろ! 撫でるな!!」
フォースが帰ってきた途端に、ピカに捕まり頭を撫でられ続けていた。初めはすぐに飽きるだろうと放っておいたのだが、夏だというのにずっと抱えられた状態だったのだ。
「えぇ~? いいじゃん。フォース君もっふもふなんだもん~」
「うるっせぇ! 嬉しくないからね!?」
「ま、ナイトさんとホノオさんの勝負はこっちが貰ったも同然ね。問題はその先だけど……なんとかなるし」
「ふーん」
「……ホノオさんが“れんごく”を当てた理由はね。仕掛けていたからだよ」
「えっ?」
ピカの答えに思わず聞き返して、ピカの方を見上げてしまった。ピカは変わらず笑顔のまま、解説を始めた。
「危険を冒してまで突っ込んだ理由は、ナイトさんの逃げ道をなくすため。ホノオさんの強みは流れるように、ごく自然に技を出せること。つまり、相手に隙を見せないことなんだよ」
「……突っ込んだときにはもう、先が見えてたってことか」
ホノオは相手の先を読み、自分がどう動けばよいのかを考える能力に長けている。いわゆる、危機察知能力と言った方がよいかもしれない。
その能力を駆使し、一番最善な行動をとっているのだろう。考えながら行動し、最善の手を模索するピカの戦い方と似ている。しかし、ピカのように複雑な思考をせず、ここぞというときに直感で動くホノオの方が行動スピードが早い。もちろん、臨機応変に且つ、チームプレイに応用出来るのはピカの戦い方ではあるのだが。
「ソロのホノオさんは強いよ~♪ ま、そんなホノオさんに普段、手綱付けて操っているのは、ナイトさんなんだけどね」
「手綱、ね。……違いない。今回、お前はそれをするんだろう? おれ達に」
「まあねぇ♪ けど、フォース君もホノオさんも単独の方が強いんだけど、何とかしてみせるわ。私がリーダーだからね」
普段のだらけたピカからは聞くことがないであろう言葉が出た。それは、ピカのスイッチが入っていることを示しているのだろう。バトルを嫌がっていたピカでも、勝ちだけを見ていたピカでもなく、そこには冷静に物事を分析する、ピカがいた。
「頼もしいお言葉で」
「とりあえずは外から見て、知識入れてね。次に生かすために」
「……あぁ、分かってる」

“れんごく”から解放されたナイトは体のあちこちがヒリヒリして、立ち上がることも億劫になっていた。余裕綽々のパートナーに対しての苛立ちを隠しつつ仰向けになり、空を仰ぐ。
「……げほっげほっ。あーくそ」
「あはっ。空気が美味しいねぇ? どう? 俺の炎の味は」
「最高に最悪」
「それは誉め言葉として受け取るよ。もうちょっと俺の鬱憤晴らしに付き合え」
「はぁ? ここで俺をさっさと倒した方が得だろ。何言ってんだ」
「俺はお前をボコボコにしたいだけ。勝ち負けは二の次なんだよ。もちろん、ピカちゃんの頼みは聞くけどー……この一回戦残ればいいんだし、問題ないね」
ホノオのこの返答を聞いて、昔のあれこれを思い出したらしい。体を起こし、呆れた様子でホノオを見据えた。
「はー……自分の強さに自信がおありのようで。お前のそういうとこ、変わんねぇのな」
「結局、信じれるのは自分の力だから」
「あっそ……」
ゆっくりと立ち上がり、流れるように地面を蹴って助走に入った。技の威力はホノオの方が上なのだ。勝てるとは思っていなかったが、ここまでくると意地になってくるというものだ。
「“しっぺがえし”」
素早く相手の背中に回り、後ろ足で力一杯蹴る。小回りが利くナイトの動きについていけなかった、ホノオは簡単に空中へと飛ばされる。そしてそのままホノオに向かって“シャドーボール”を連射し、ダメージを与えて、後方へと吹き飛ばした。ついでに体勢も崩させ、受け身を取れないようにもしていた。そう計算して“シャドーボール”を撃ったのである。
「……空中じゃ、容易には避けられないだろう?」
「だねぇ~……ま、問題ないけど」
着地に失敗したはずのホノオが、ナイトに向かって突進してきていた。流石に驚いて、慌てて防御の構えを取る。
「なんでけろっとしてんだよ!?」
「えー? 痛くも痒くもないから? “きあいだま”!」
「理由にならねぇわ!」
飛んできた“きあいだま”を避け、反撃とばかりに“シャドーボール”を打つ。しかし、ホノオは軽々と避けるとナイトとの距離を詰める。
「つーかまえた」
ホノオはナイトの首根っこを掴むと地面に押さえつける。抗おうにもホノオの方が力強く、脱け出せるはずもなかった。
「今度から、ちゃあんと『ほうれんそう』守って」
ニコニコと笑ってはいたが、目が全く笑っていなかった。相当放ったらかしにしていたせいで、かなり怒っていたのだろう。まあ、いつものことではあるのだが。
「あ、はい」
「“ブラストバーン”」
「!? いや、なんでそれぇぇ!?」
地面からいくつもの火柱を出現させ、ナイトは炎の中に閉じ込められた。炎技の中でも最強クラスの技をまともに食らって、ナイトの意識が持つわけがなかった。
「これでチャラにしてあげる」
そう言ったホノオの言葉をナイトが聞いていたかは、謎であった。
ナイトを退け、自分の目的も果たせたホノオはずっと隅にいたもえぎとレンの方を見た。
「こっちの用事は終わったから、再開しよっか♪」



~あとがき~
雑になりました。ごめんなさいね。
このさっさと終わらせたい感じが伝わるね!(笑)

次回、ナイトの次に出てくる相手は誰だ!
って感じですね。誰がいたか覚えてますかね……?

ホノオは結構自分の力を信じてます。過信してるわけではないけれど、最終的には自分の力を信じるよねってスタンスです。これを過信というなら、過信してるんでしょうね……なんだろ。かっこよくいえば、勇敢なんでしょうかね。
フォースも似たような節はありますが、引くべきところは引くタイプだし、力で無理に押し通すのも好むタイプではないです。必要ならするけど、みたいな。ピカは信じてるところもあるけど、それ以上に仲間の力を信じてます。なので、自分のことは下に見ているところはありますけどね。

ではでは!

空と海 第154話

~前回までのあらすじ~
フォース選手に代わりまして、ホノオ選手です。
ホノオ「やっほ~♪ 暴れちゃうぞ~」
フォース(やっと終わった)
ピカ「どうなるかわかんないけど、フォース君まだ出る可能性あるからね?」
フォース「!?」
ピカ「ま、計画が狂わなければ出番は終わりだよ」
どうなるかは私次第だ!(キリッ
フォース「……」


にこやかに入ってきたのは、ホノオだ。今から戦うような雰囲気なんてなく、何となくふらりと立ち寄ってみた感じであった。そして、ホノオの姿を見て、みるみる青ざめる人物が一人。そんな人物に見向きもせず、にこっと別の方を見た。
「もえぎちゃん、だっけ?」
「え、あ、えと……はい……?」
「俺は君のこと、今は攻撃しない。だからまあ、一つだけお願いがあるんだけどいいかな?」
「……?」
「今から馬鹿をボッコボコにするから、邪魔しないで欲しいんだ。もうじき起きるであろう、レンにも邪魔して欲しくないんだよねぇ」
馬鹿をと言ったところでもえぎのほぼ真正面にいたナイトを指差した。
「……えっと」
「馬鹿を倒した後なら、いくらでも相手になるからねぇ~♪ 君とレン、二人がかりでも大丈夫だし」
もえぎはともかく、タイプ相性的に不利なレン相手にも臆していなかった。戸惑うもえぎを余所に、ホノオはナイトの方に向き合うと、完全に怯えているナイトに向かって話しかけた。
「久しぶり。元気だった?」
「まっ……まあ、うん。それなり?」
「ねえ。なんで俺がこんなことしてるか分かる? なあ、ブイ」
「……ヒノ、さん、あの、えー……あはは」
お互い、チームメイト同士。気心は知れているし、戦い方も熟知していた。だからこそ、ナイトはホノオの恐ろしさを知っていたし、ホノオはナイトの強さを知っていた。
「“かえんほうしゃ”」
「あっぶね!」
構える暇も与えず、ごく自然なモーションで攻撃をしてきたホノオに対して、素早く対応してみせるナイト。それでも完全に避けることは出来ず、炎が体を掠めた。
「……っ! お前、また威力あげたなぁ?」
「ははっ。お前がふらふらしている間も仕事頑張ってますので」
「痛いとこ突くなぁ……“あくのはどう”!」
ナイトを中心に闇色の波がホノオめがけて向かってきた。フォースのように“まもる”は持ち合わせていないため、距離を取って逃げるか、波を飛び越えてナイトを攻撃するかの二択であるのだが。それはあくまで避ける手段の話であった。
ホノオは“あくのはどう”を避けるようなことはせず、それどころか自分から突っ込んできた。
「はあ!? 何突っ込んでんの!!」
避けるだろうと思っていたナイトはホノオの行動が理解出来なかった。なぜ、わざわざ突っ込んできたのか全くわからない。
「決まってるじゃん。近付くためだ。“かえんほうしゃ”」
「ゼロ距離射撃ってか……!」
先程避けられた“かえんほうしゃ”を当てるために距離を詰めた。“あくのはどう”を打っている最中で、避けることが難しいナイトに完全に当てるための行動だったのだ。ホノオの思惑通り、“かえんほうしゃ”は避けられることはく、ダイレクトヒットした。ナイトは勢いに負けて後方へと飛ばされ、地面をスライディングする羽目となった。
「いっつ……“かえんほうしゃ”より、こっちの方が痛いっての……」
「まだまだ終わんないよぉ~♪ 俺の怒りはこんなもんじゃないからねぇ~♪」
「あぁ……くっそ。何だって俺はこんな奴と組んでんだろう」
フォースとのバトルの疲労もあるのに、一番戦いたくない相手と当たるなんて運がないとしか言いようがなかった。と、ここまで考えて、ナイトはふとあることに気がついた。
「……まさかとは思うけど、ピカがこうなるように仕向けて……? いや、ないか。流石に」
策士と名高いピカであるが、ここまでの展開を読みきることが出来るのだろうか。普通に戦っていない連中だっていたのに、だ。仮にここの対面をさせたかったとして、どれだけの手を読まなければならないのだろう。どれだけの手を予想する必要があったのだろうか。
「本当だとしたら、おっそろしいなぁ」
ふらりと立ち上がり、ピカのいる方をちらりと見る。見られていることを知ってか知らずかフォースを戯れている姿が見えた。さっきまで、じっと観察するようにフィールドを見ていたはずなのに。
「ははっ……もう、見る必要がないってことかよ」
「余所見はよくないと思うよ?」
「いやはや、お前んとこの大将さんを考えてただけだよ。……この展開は、偶然、だよな?」
「そうだよって言ってあげればお前は安心した? でも、残念。……必然だ。ピカちゃんの計画のうちなんだよ。これもね?」
くいっと指を挑発でもするかのように曲げる。ナイトはそれが何の合図なのか知っていた。知っていたところで逃げることが出来ないことも、理解していた。
「くっそ……!」
「“れんごく”の中で悶え苦しめ」

「あぁ~……んー?」
くわっと大きく欠伸をしながら辺りをきょろきょろ見渡した。自分は一体どこから寝ていたのか、把握するために。そして、もえぎは急に動き出したレンにびくっと体を振るわせた。
「ひゃあぁぁ!?」
「おぉっ!? そんな驚かんでもいいだろ~?」
ホノオに言われた通り、もえぎは邪魔をしない位置へと移動し、隅っこの方に座っていた。ついでにレンも壁に寄せていた。
「どーなってんのぉ」
「あ、あの、邪魔、しないようにと」
「ほんほん……んで、嬢ちゃんは何してるの?」
「えと。邪魔、したくないので……でも、手足、は縛らせてもらってます。一応」
言われて気がついた。ツルでこれでもかってくらいにぐるぐる巻きにされていた。力を入れれば千切れなくもないが、寝起きでそんな力仕事はごめんだった。
「抜け目ないねぇ……まあ、いいんだけど。で、あそこにいるのは、ナイトとホノオ? うっへ。嫌な対面だ」
「……仲、悪い、です……?」
「ん? んー……そこまで? 最近、ナイトが好き勝手してるから、ホノオがお灸を据えに来たんだろ……多分」
それがたまたま、この場だったということだけなのだろう、と予想立てた。それを実現させたのは、全ての指示をしているであろうピカであろう。
「こっちはこっちで戦ってもいーんだけど、やる気がないんだよねぇ……あの坊っちゃんにやられっぱなしでテンション下がってる」
「……」
「嬢ちゃんはやりたい?」
「元々、やりたくは、なかったので、やりたくないです」
「だよねぇ……んじゃまあ、お互い休憩時間ってことにしよーぜ」
呑気にナイトとホノオが戦う方へと目を向けた。もえぎも敵意がないことを確認すると、きちんとレンとの一定の距離を保ちつつ、座り直して目の前の戦いに集中した。



~あとがき~
……ここが一番の山場な気がしてきました。

次回、ホノオVSナイト!
長くは続けられないので、さくっと終わります。

フォースがいなくなったんで、メインキャラが一人もいない状況です。いいんでしょうか。
まあ、いいか。さくっと終わる予定……だったんですけどね。このバトル、去年の夏からやってました。おっかしいねぇ~?(汗)
あぁ……いつものことか……(白目)

ではでは!

雑談的な。 その25

約半年ぶりくらいですかね。この題名でやるのは。だらだら近況報告していきます~

H/K

先日、成績発表がありました!
追試はなく、ちゃんとすべての単位取れてました。やったね。どっきどきしてた科目があったんですけど、要らぬ心配でしたね。よかったよかった…
別件でトラブルもあったんですけど、それもまあ、なんとかなりました。大したことじゃないんですけどね。いや、ある意味大したことだけども。

時間割見てたんですけど、通年で取らなきゃいけない授業が進級に必要な必修科目と被っていて嘆いていました。通年で取らなきゃいけないのも、卒業に関わるんですけど、あくまで単位数的にはって話なのでね……はぁ…(´・ω・`)
先生と秋にまた会いましょうって言ったのにな……悲しい。先生とのやり取りや授業が楽しかったから、結構ショックです。まあ、こればっかりは仕方ないので、来年突撃しようと思います。
その代わりと言ってはなんですが、その先生の別の授業取ろうと思ってます(笑)

H/K

ちょっと前の話なんですけど、久しぶりにカラオケ行ってきました。朝起きてのんびりしていたら、友人からLINEが来て暇かと聞かれたんですよ。で、暇だよって送ってゲームアプリ開いたら、いきなり電話が来ました。「カラオケ屋に行くんだけど来る?ってか来なよ!」というお誘いがきたっていう経緯があったって話。
何が言いたいかって、普段、遊ぶときは事前に計画立てて、何時にどこどこ集合ねーみたいになるんです。なんか唐突に言われて、遊ぶってことを本当に久しぶりだなって今になって思います。
子供の頃は公園やら家の前やら行くと誰かがいて、いなかったら家に突撃して遊ぼうと誘っていたもんです。まあ、基本的には幼稚園とか学校とか終わって、このあと遊ぼうねって約束はしてるんだけど。それでも当日に家に行ってもいいかって話になるわけで、事前に計画立ててるわけじゃないんですよね。
成長したってことでいいのかな。なんだか難しいですね。私が遊びとか用事なんかは、ちゃんと事前に決めたいタイプなのが原因な気もします(笑)
時間とか集合場所とかね。

まとめると、遊びに突然誘われるの懐かしいなって話でした。こんな私を相手にしてくれる友人に感謝感謝や。ちなみに、誘ってくれたのは高校時代の友人でした。カラオケ行ったのに歌っている時間より雑談の時間の方が多かったです。久しぶりに会ったし、仕方ないね! 元気そうでよかったです。

H/K

今週の土曜に発売されます!
おひるねしているブラッキーのぬいぐるみが!!!
なので、ポケセン行ってきますよ!! 楽しみ!
ポケモンだいすきクラブで写真見たけどそれなりに大きいですよね。あー今週末が待ち遠しいです。
本当は節約したいんですけど、出ちゃうんだから仕方ないよね!
等身大ぬいぐるみも出るんですけど、あれは高すぎて買えません。欲しいけどね……2万は…
ポケセンでの買い物は定期的にしていますが、今回は久しぶりに高くつきそうです。

H/K

小説頑張ってますよー!
夏休みもあと少しなので、頑張ります。
空と海以外は書いてないんですけどね。なんか年1投稿みたいになってて申し訳ない。せめて、半年に1回は出したいですよね……どうだろう。出来る気がしないんですけど。

空と海は1回戦も佳境に入ってきた辺りです。私の予定ではもうそろそろ終わります。それが何話になるかはまた別の話ですね……

約束とF.Wはほとんど進んでないかな(´・ω・`)
そちらを待っている方々に申し訳ないです。いや、いるかはわからないんだけど。
私的に、とりあえず空と海を進めたいって思ってそっちをやってるのでね……のんびり待っててほしいと思います。



私の住むところはなんだか暑さが戻ってきてしまったようです。皆さんも体調管理に気を付けてくださいね!
ではでは!

空と海 第153話

~前回のあらすじ~
進んでいるようで、進んでません。
フォース「今までのなんだったんだ……」
まあまあ、なんとかなるって!!
フォース「……」
あまり得意ではないバトルが続いてますが、まだ終わりませんよ~(白目)
では、始めまーす!


鈴の音が鳴ったことに、否、フォースが鳴らしたことにピカは興味深そうに見つめていた。そんなことするとは考えていなかったからである。しかし、計画外のことだとしても、大した問題ではない。
「初めて会ったときとは大違いだねぇ……まあ、いいけどね。今は関係ないし。んで、ホノオさんはいけますか?」
今の現状を分析し終わり、少し後ろに控えていたホノオの方をちらりと見る。準備運動を終えたホノオはにこっと笑った。
「大丈夫だよ~♪ いつでもOK」
「んじゃまあ、いきますかねぇ……ホノオさん、やることは分かってますか?」
「うん。理解してる」
一度もフィールドに上がってもいないのに、ピカには全てお見通しのようであった。目の前で繰り広げられる戦いを見て、作戦を組み立てては修正を入れ続けている。
「そろそろ呼び戻すか。フォース君も色々してくれたし、よしよししてあげよう~♪」

ピカが思案している同時間。
「……あ、れ?」
「んふふ~♪ 成功してよかったねぇ」
今まで猛毒のせいで苦しかったはずなのに、鈴の音を聞いてから、それがすっかりなくなっていた。すくっと立ち上がり、くるくると自身の体を確認をする。その様子を見ていたナイトはどういうわけだか、理解出来ていないらしかった。
「……はぁ!? なん……えっ!?」
「じゃ、あとは勝手にやってね。おれは退場するから……」
「フォースくんっ……!」
フィールドから離れようとしたフォースをもえぎが呼び止めた。もえぎの顔には説明してほしい、というのがありありと読める。確かに、この状況は理解するには難しいかもしれない。
「……ま、簡単に説明すると、おれは“いやしのすず”を鳴らしたんだよ。で、オネーサンの猛毒を治した。はい。説明終わり」
「あ……あの、鈴の音……」
納得したらしいもえぎはうんうんと頷き、それを見たフォースは歩みを再開した。が、それを遮ったのは敵のナイトだった。
「待て待て待て! “いやしのすず”って、味方にしか効果がないはずだろ? なんで敵に効いてるわけ!?」
「はぁ……それも説明するのぉ? やだ。めんどーだよ」
「そこ重要だろ!? 場合によっちゃ、不正扱いだかんな…」
「それは困る~♪……しょーがない。説明してから退場するよ。つっても、理屈は簡単だけどねぇ……オネーサンとおれがお互いに敵だと認識しなかったってだけだよ」
フォースの種明かしにナイトは困惑するばかりだった。お互いが敵同士のこの場で、認識していなかった、なんてあり得ない。……理屈では、だが。
「だから、おれは聞いたんだよ。敵ではないって言えるかってさ。で、オネーサンはならないって言ってくれて、嘘じゃないって分かったし。だから、おれもオネーサンを信じたんだよ?」
「つまり、敵だと認識してなかったから、効いたってこと? そんなのってあり……?」
「ん~……こーゆー理屈っぽいことを説明するのは、うちのリーダーに任せたいところなんだけどね……得意なのはおれじゃなくて、ピカだから」
はあ、とため息をついた。心底面倒であるという気持ちの表れであるが、それを察してくれるほど敵も優しくない。
「でも、理由は今言ったことが全てだよ。敵じゃないって認識したから効いたってことでいいじゃん。そんなに気になるなら、暇そうにしてる解説者に教えてもらえばぁ? んじゃね~ん♪」
馬鹿正直に一から十まで教える必要はない。どうして効果があったのか、という理由は伝えたのだ。これ以上、言うことはしなくてもいいだろう。
「おれ、交代するから。あとは……まぁ、頑張ってね? オネーサン」
「う、うん……」
てとてとと自陣まで戻っていく姿は隙だらけではあるが、不意打ち出来るわけでもない。ナイトは腑に落ちない様子で黙ってフォースを見送るのだった。

『うふっ♪ なんだか、坊やにお仕事任されたみたいねぇ♪』
別に暇そうにしていたわけではなく、絶えず観客に解説をしていた一人の浅葱が面白そうに笑う。対して、慣れないことをしているポチャは露骨に嫌な顔を見せた。
『えっ……しますか』
『ご指名を受けたんだもの♪ しましょうか』
浅葱が最後まで言ってくれるのだろうか、と若干の期待もあったのだが、どうやらそんなことはないらしい。至極当然のようにポチャにもやらせる気満々であった。
『交代までの少しの時間があるしね。見ている皆に教えてあげるのもお仕事よ』
『……はい。あーっと、じゃあ、まずは……ダンジョン内での技効果の話からしましょうかね……って、知ってる人も多いと思うけれど』
『そうね。ダンジョンの中ではチームメンバーであれば味方であると確定されるのよね。ダンジョンの作用というか、そんな力が働いているのかしら』
『そこら辺はまだはっきりしていませんけど。……ダンジョン内では、チームを組んだ者が味方で範囲技も効果が出る。“いやしのすず”もその一つ。味方全員の状態異常を治す技』
『では、ダンジョンの力が作用しないこの場では、どうなるのかってところだけれど……それは、坊やが言っていたわね。使用者がどう思うか、そこがポイントね』
つまり、使用者が味方であると判断した者のみに効くというものだ。口だけではなく、心から信じてこそ発動するのである。そのため、ダンジョン外で範囲技を使用する場合、それなりの覚悟は必要だ。自分の心が、相手をどう思っているのかが重要になるのだから。
『フォースも半信半疑ではあったと思います。でもまあ、治らなくともフォースに損はないですけど……最悪、レンさんの眠り状態も治しちゃいそうだけれど、そこは心配ないかな』
『レンの場合、完全に戦っていたし、仲間だとは思わないでしょう。一時とはいえ、協定を結んで共に戦った戦友みたいなもえぎちゃんを助けたかったのね♪ 義理堅いのね』
浅葱は義理堅いと言ったが、ポチャ的に言わせると、後々事を荒らげないための手段の一つであるように思う。助けてもらった借りがあるから返しただけであるから、フォース自身、義理堅くもないだろう。それを訂正する必要もない。
『次に出てくるのは、どっちかしら』
『ピカはないです。多分』
ここまで来たら、余程のことがない限りはピカが出てくることはない。これもまた、パートナーとしての勘だった。
そして、フォースに次いで出てきたのは、ポチャの予想通りピカではなくバクフーンのホノオだった。



~あとがき~
はあ……おわんねぇなぁ…(´・ω・`)
自分から始めてるからあれだけど、やっぱ字にすると辛いですね。難しいな……

次回、出てきたホノオが取る行動とは……?
予想出来そうですね。だって、初っぱなで言ってたもん!!(笑)

……ん? もしかして、フォースが初手だった理由言ってなかった? まあいいか。大したことじゃないし、目的なんてどうでもいいですね。はい。

この話まだ一回戦ですが、一回戦の半分はもう終わってます!(流れ的には)
全体としては半分いってないですね!! いつ終わるんだろ。今年でバトルロイヤルが終わるのが理想。(祭りが終わるとは言ってない)

ではでは!

空と海 第152話

~前回までのあらすじ~
レンを無力化して、うん……全体的にフォースが優勢に立っているところです。
なんか、あれだね。フォースが無双してるのか?
調子上がってきたの?
フォース「おれはいつも通りだけどね」
そろそろ終わらせたいんだけどね。一回戦。
まだ続きそうです……!
そして、ここで語るような内容もない。
さっさと始めますね!!
フォース「流れの変え方無理矢理だぁ」
う、うるしゃい……


少しだけ離れたところで、ナイトが着地をしているところを見る。流石に地面に叩きつけるまではいかなかったようだが、よろけているようにも見えた。それならば、とりあえずはダメージを負わせられたのだろう。それだけでも、儲けものである。
「ホノオのパートナーってだけあって、なかなかやるってことか。……ま、おれの敵ではないけど。普段ならいいが、今は駄目だ」
適度に手は抜いておかねば、目立ちすぎて後々面倒なことになる。しかし、そんなことも手遅れのような気もしていた。子供の姿で大人達を圧倒しているのだ。すでに目立ちまくっていることだろう。ある意味、こんな展開もピカにはお見通しで、だからこそ、普段とは違う姿にさせたのかもしれない。そうだとすれば、フォースに対する気遣い、なのかもしれない。が、全くそんなことはなくて、単なる嫌がらせかもしれないが。答えは分からないが、今は目の前のことに集中するべきだ。
「おじさんはもう少し放っておいても大丈夫か。オニーサンは……向かってくる元気はあるだろうから、このまま対応すればいい。……問題はオネーサンだけど」
フォースが現時点で使える技の中に状態異常を回復する技はあるにはあるが、今の状態では使うことは出来ない。放っておいても構わないが、せっかくここまでフォースの言う通りに動き、協力してくれたのだ。その借りは返したかった。
「と、なれば……一瞬の隙にやるしかない。一か八か、それに賭けるかぁ……やだなぁ」
考えをまとめると、濡れた体を乾かすようにふるふるっと全身を震わせた。ぴょこぴょこ耳を動かして気持ちを入れ換え、ナイトの相手をすべく、体勢を整える。ちらっとピカ達のいる方を見てみると、ホノオとピカが何やら話をしているらしい。
「あ……もしかして、もーそろそろ時間?」
「余所見はよくないんじゃない」
「あはは~♪ 来ると思ってたよ」
音もなく気配もなく、ナイトが忍の如く襲ってきた。しかし、それは初めから予測していたこと。大して驚きもせず、バックステップで避ける。
気配を感じなかったのは、フォースが別の方角に意識を向けていたせいだ。その隙をついてくるとはよく相手を見ているんだな、と客観的に分析をする。
「ちょこまかとウザいな」
「えへっ。ちっちゃくてごめんね」
「お前、本当に子供なのか……よっ!」
フォースが避けた先に、回転で勢いをつけたナイトの尻尾が迫っていた。避けることも出来なくはなかったが、その必要も感じず、甘んじて受けることにした。当然、勢いよく飛ばされ、地面をごろごろと蹴飛ばされたボールのように転がる羽目になった。よくよく考えると、しっかりダメージを負ったのはこれが初めてかもしれない。
「いったいなぁ~」
「痛そうにしてないだろ」
「そんなことないよ? すっごく痛い」
……なんてのは、嘘である。
こんなのどうってことないし、こんなので痛いなどと言えば、過去に何度も経験した死闘はなんだったのだ、と突っ込まれるのがオチである。
「へぇ? わざと当たったくせに?」
「……あは。オニーサン、そーゆー風に疑ってばっかりだと疲れちゃうよ? 無垢な子供の言うことくらい、信じても損はしないよ?」
「自分で無垢とか言っちゃう辺り、信じられるわけないってことだ」
「疑り深いんだねぇ……あ、オニーサン、友達いないでしょ!」
「ちゃんといるわ!」
「ほんとにぃ~? 実はオニーサンだけがそう思ってるだけだったりして」
「エグいとこついてくんなよ」
ナイトと他愛ない話をしつつ体勢を整え、改めて状況を整理した。四人中二人は現時点で戦闘不可能。目の前のナイトは勝つ気はないが、負ける気もない、といったところか。要するに程々にやるということなのだろう。
「……めんどくさい」
誰に言うわけでもなく、ただそう呟いた。ぽろりと本音が漏れたとも言えるし、無意識に出たとも言えた。まあどちらにせよ、そろそろ決着をつける必要がある。
「時間来るし、さっさと終わらせよう」
素早く地面を蹴ると、うずくまったまま動かないもえぎの近くまで移動をした。フォースのこの行動でナイトは少しだけ構える姿勢を見せるものの、今のもえぎに何か出来るわけがない、と思ったらしい。すぐに警戒を解いた。
「やあ、オネーサン。まだ元気?」
「……」
ちらりとフォースのことを見上げるが、何か返答が返ってくるわけでもなかった。見るからに元気ではないし、答えを聞くまでもないことに質問をし終わった後でフォースは今更ながらに気づく。
「あぁ、ごめんね。この質問は意地悪だった。……質問内容を変えようか。その毒がなくなったとして、まだ戦う元気ある?」
「……?」
フォースの質問の意味が分からない様子だ。いや、もえぎだけではない。話が聞こえていたナイトにも理解出来なかった。
「首突っ込むようで悪いんだけど、お前さん、どーやってその子の毒を治すつもり?」
「んー……治すかどうかは、オネーサンの返答次第だよぉ?……さあ、どうする」
ナイトにはにこっと可愛らしい笑顔を向けたが、もえぎの方に向き合うときには、真剣な顔つきになっていた。そして、いつもの口調で問いかけた。
「おれのために、戦えるって誓えるか。おれの敵ではないと、はっきりと言えるのか」
「……少なくとも、フォースくんの、敵、には……ならない、よ」
重い体を持ち上げ、しっかりとフォースのことを見据える。じっと目を見て、答えた。フォースももえぎの心を探るかのようにじっと見つめていた。それらの時間はたった数秒にすぎず、パッとフォースの表情が明るくなった。
「……よかった! オネーサンが敵じゃないって言ってくれて。その言葉に嘘はないみたいだねっ♪ それなら、おれも信じてあげられる」
「あげられ……?」
「おれ、もうそろそろ退場しなきゃなんだよねぇ……ほら、リーダー命令ってやつだよ」
「リーダー」
「そ。ピカの命令。大体さ、おれの役目も終わったし……あとはタイミングだけだったんだよ。それが、きっと今」
もえぎから目をそらすと、ナイトの方を見た。今のフォースの発言について考えているようであったが、大した問題ではないとも思っているかもしれない。真剣に考えているようには見えなかった。暇だから、考える。彼にとってそれくらいの意味合いなのだろう。まあ、律儀に待つ必要もないとは思うのだが。
「じゃあ、そーゆーことだから」
「え、あ……どういう……こと」
全く状況が読み込めないもえぎはいつも以上にしどろもどろになる。訳がわからなくなり、フォースのことを見つめても、黙ったままで何も答えない。何がフォースによかったのか、あの質問の意図はなんだったのか、そもそもフォースの役目とはなんなのか……疑問は山ほどあるが、あいにくそれらの説明はしてくれないらしい。
「色々助かった。ありがとな、もえぎ」
「……え、あ……う、ん……?」
幼い見た目からは釣り合わないくらい、落ち着いた声だった。始めから落ち着いてはいたが、声は幼く高かったし、言動だって時折、難しいことは言っていたとはいえ、まあまあ年相応であった。しかし、今のフォースは違った。大人の声。低くて、優しい、そんな声。そちらの方が、本当のフォースなのかもしれない、なんて思ってしまうくらい、しっくり来ていた。
そんなことをもえぎが考えていると、どこからともなく、ちりん、と鈴の音が響き渡った。



~あとがき~
つ、辛い……! バトル辛い!!
でも、頑張りますよ~♪

次回、フォースの質問の意味とか、そこら辺がわかればいいかな、と。
この予告も大してあてになりませんけどねぇ……

この夏祭りの話、本来ならこのあと(トーナメント戦後)にまたどんぱちするつもりでした。が、終わりが見えないのと、これ以上バトルが続くと身が持たないことを悟ったので、やめることにしました。ずっと悩んでたんですよね。やるかやらないか、みたいな。
考えたネタはもったいないんで、他の小説のネタにするつもりです。はい。
大丈夫。大切なことはやるつもりです。はい。

子どもver.フォース、挙動はもちろんですが、声の高さも変えてました。演技+声も変化させていたってことですね。字だとわからないですけども。でも、大人のひっくい声で子どもっぽいことを言われても説得力ないし、なにより気持ち悪いよね(笑)

ではでは!