satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第199話

~前回までのあらすじ~
ピカとヴァルツが合流し、ヴァルツの戦いをピカが引き継ぎます! 本格参戦じゃー!!
この辺から描写注意して下せえ……!! って言うのを毎回つけ始めますんでね。気をつけてね? 今回から気をつけてね!?
ピカ「赤い液体でも飛び散るのかなぁ……?
それにしてもここまで長かったね。さて、これもいつまで続くんですかねぇ~」
ですかね……?
つーか、ポチャくんのこと置いてきて……真面目に彼がかわいそうに思えてくるよ。
ピカ「まあ、大丈夫でしょ!」
どっかくるんだ。その自信。


ヴァルツにしか出来ないことという言葉でなんとなく察した。察しはしたが、そこからどうするのかまでは分からなかった。
「させたいことは分かるが……したところで何になる?」
「他の人達も周りの雑魚処理が出来るようになりますかね。利点はそこだけですけど、術者が見つからない今、これしか思いつかないんで」
「……ほう」
「それともヴァルツさんが術者探しますか? 出来るならそっちでもいいですよ」
ピカはそう言うが、不可能だと知っていてあえて言っている。出来ていれば、こんなところで足踏みなんてしていない。また、今の状態でどこにいるかも知らず、見たこともない相手を探せるはずもなかった。
「ピカの提案に乗る。で? どうしたらいい」
「フィっくんに教えてあげてください。そうすれば、やることやってくれますよ」
「……マナフィに?」
「はい。伝えたらあとは他の人達がどうにかしてくれますから。……まあ、敵の気配が増えないので、あとは減る一方だと思います。術者も撤退したか、やめたかのどっちかでしょうね」
それに関しては、ヴァルツも同意見であった。もえぎとヴァルツが倒したときも増えることはなかったため、倒したら終わりなのだろうと見当はつけていたのだ。
ピカのさせたいことに関しては、あまり全体像が見えてこないが、ここは言う通りにした方がよいのだろう。彼女なりの考えがあってこその提案である。それにこの場にいては迷惑になるのは明確だ。
「トリス。このままマリーと合流するぞ」
「それはいいけどぉ……僕のこと、空気にしてなかった?」
「していない」
「……ま、いいや。行くよ、ヴァルツ」
ヴァルツのことを背負うと、トリスはピカのことを見下ろした。雷姫の現所有者である彼女は、ヴァルツとは違った頭の使い方をする。そこがなんとなく面白いと思うが、関わりたくはないと感じた。特に話しかけることもせず、そのまま走り出した。
その背中を見送り、ピカは前に向き直る。雷姫はピカの命令通り、時間稼ぎのために奔走していた。倒すわけではなく、あくまで注意を惹き付けるための動きをしているらしかった。
「さあって……戻れ、雷姫!」
手元に雷姫を呼び戻し、手に馴染ませるように何度か振るった。ガオガエンはいきなり消えた雷姫を探しているようで、きょろきょろと辺りを見回している。
「分かった?」
『あぁ。やつは回復能力向上、じゃな。それ以外は何もなさそうであるから、使い手に注意さえすれば問題ない』
「うーむ。……聞いた通りの情報というわけね。つまり、あの武器の名前はピンキーか」
『そうじゃな。回復しながら、攻撃出来るものだということじゃ。我のような攻撃特化とはまた違う武器だな』
「理性さえあれば強力な武器になりそうだけど、あの大きさじゃ、難しいかな。ある意味、人を選ぶ武器だ」
『そうかもしれん。……とはいえ、あれが理性を保っていれば武器の大きさも変えられるかもな』
「うわぁ……惜しい。ま、簡単に飛んじゃうようなやつ、いらないけどね」
『はっきりしておるの。……行くぞ、マスター』
「はぁい」
雷姫を構えて、ふっと短く息を吐く。そして、一直線に走り出した。真っ直ぐ向かってくるピカに気づいたガオガエンは大剣を振り上げ、一気に振り下ろした。が、そこにピカの姿はない。
「本能で戦っているって感じ。……騙しやすくて楽だねぇ♪」
極限までスピードを上げて、殺気だけを相手に感じ取らせているのだろう。言うなれば、気配だけをその場に残して、自分は別の場所に移動しているのだ。目で見て攻撃しているのではなく、感覚だけで攻撃しているからこそ使える手である。軽く雷姫を振るい、ガオガエンに斬撃を与える。それも可能な限り多くの連撃を与えていった。最後の攻撃で相手がのけぞり、そこで後ろに跳躍し、距離を取った。
「何連撃だった? 自分で数えてなかったんだけど」
『六連撃じゃな。まあまあ、というものさ』
「あ、足りないって言われてる?……マジか。なんかさ、手応えないよね。……もしかして、私の攻撃を受けるのと同時に回復してるの? マージか。そこまで?」
『そう考えるのが妥当じゃ。出血量も極端に少ないしの』
「え~……最強武器だろ、あれ」
とは言うもの、弱点がないわけがない。そこを探りどうにかして倒すしかないのだ。今、考えられるのは代償である。あのような無限回復が何度も通じるはずがない。それこそ不死身でない限りは。どこかに穴が必ずあるはず。使い手が生きている生物である以上、限界は存在するのだ。
「弱点……人の弱点を突く? 心臓とか、首とか? 本来はそれでやられると思うけど」
『相手の体が大きすぎる。我の刃が届く前に反撃を受けかねない。もっと何かありそうじゃがな』
「ん~……ってことは、時間稼ぐ……なんて、こっちが持たないな」
『確かに、こちらの限界が来るが早いの。……マスター! 炎攻撃が来るぞ!』
「あ? うええっ!? “まもる”!」
咄嗟に“まもる”を張り、攻撃を防ぐ。対応はやや遅れたものの、完全に防ぎきることには成功した。
今まで剣による攻撃のみであったために、警戒をほとんどしていなかった。剣があれば簡単に人を殺せるものだと理解しているというよりは、神器で暴走しているため、手離すことを考えていない。そのため、剣で攻撃している。そのようなメカニズムだと考えていたのだ。しかし、剣で対応出来ないと悟った途端、炎攻撃を追加してくる辺り、学習能力はあるのかもしれない。あるいは、こうした方が勝てると察したのかもしれない。
「ありがとう、雷姫。言われなきゃ当たってた」
『構わん。……それにしても、先程のは無駄話するなという忠告かの?』
「はあ!? 作戦会議だってぇの! “雷撃一真”!!」
刀身に電気を帯びさせ、刀を振るう。すると、電気の刃が相手目掛けて飛んでいく。
ガオガエンはピカが作り出した電気の刃を大剣で真っ二つに斬ってしまう。が、電気はその場でバチンと大きな音を立てて、ガオガエンにまとわりつく。ピカら本来、攻撃技であるものを妨害策として放っていたのだ。少しでも動けば電気に触れてしまい、感電してしまう。そうなれば、しばらくは満足に動けないだろう。理性がなくとも、それは理解しているようで、動きが戸惑ったようにぎこちないものへと変化した。
「本能で動いてても、それには躊躇するんだ? 誰でも感電なんてしたくないからかな。……雷姫、警戒を怠らないでね」
『うむ』
「さて……どうするかな」



~あとがき~
とりあえず、敵の動きを封じたピカ。これからどーするのやらやら。ところで、ピカはどこから情報を得ているんでしょうね? 武器の名前とか。……そこら辺は近いうちに種明かしすると思います!

次回、さくっとヴァルツの方を終わらせます。ピカが考えた策とは……?

もうすぐ二百話ですね。終わりそうにないですね。いつこのお祭りは終わるんですかね?? というか、このお祭りが終わってもいくつか長編残ってるので、終わりが見えない……!!
エンディングはちゃんとあるのになぁ……一話一話をもう少し長くすれば話数は抑えられるんですけどね。だからって、今までのスタイルを壊す必要もないですよね……ひとつの長編で何字になるんだろ。考えたくもないぜ……

本編での話を少しだけ。
ここまで読めば分かりますが、神器には一つ一つ特殊能力的な物があります。その武器特有の特徴みたいな。トリスは武器の形状変化能力。マリーは索敵能力……みたいな。その能力を引き出せるのは持ち主のみとなります。まあ、トリスのような例外はあるけど、それは番外編で語れればと。
そんでもって、雷姫は攻撃特化型となります。持ち主の能力を向上させる能力。また、電気を自在に操る能力も彼女の特徴です。他にあるのかどうかは……どうなんでしょうね? 本編で語るときが来ればいいな!

ではでは!

はじまりのソラ 7ー6

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊の物語を元にしております。原作のイメージが崩れる恐れがあるので、苦手な方はバック!
前回はまさかのピカ、単独行動(笑)
ピカ「違う違う。私は置いていかれたのです」
え、あ、え??
ピカ「置いていかれました」
あっはい。
今回はちゃんと三人で行動しましょうね……


~7‐6 ギルド遠征、重なる謎~


十五分くらいだろうか。ダンジョンの入口で待っているとポチャとビッパが戻ってきた。私の姿を見るなり、慌てた様子でこちらに駆け寄ってくる。まあ、当たり前の反応ではあるのだけれども。
「ピカ!? え、ちょ、なんで!?」
「ついてきてなかったゲスか~!? 中に入ってもピカが全然来ないから心配してたんでゲス」
「それに関しては謝る。看板見たもんだから、入る気が失せちゃって」
「看板?」
ポチャが私の示した方へと歩き、じっと看板を見る。
「…………うわっ!? 書いてあるっ!」
「そーなんでゲスかぁ!?」
「二択だから、ポチャが帰ってきた時点で分かりきっていたことなんだけどね。君達二人が行った方が間違いってことはね」
「うっ……確かに」
ちゃんと周りを確認しないからこうなるんだ。まあ、引き留めなかった私も私……って引き留められないところまでぐんぐん進んだのはポチャ達だけども。
「じゃ、今度はちゃんとした正規ルートを進もうか。慌てん坊のお二人さん?」
「う。ごめんって」
「申し訳ないゲス……」
しょんぼりした二人を引き連れ、『えんがわのいわば』へと入る。中は湿気が多くてじめっとした印象だ。そのため、水タイプが多くいる。ポチャの出番はあまりなさそうだな……

『えんがわのいわば』を難なく突破し、しばらく歩いていくと山岳地帯へと足を踏み入れた。この時点でそれなりに日が傾いており、この時間では山越えは難しいだろう。ってことで、今日はここら辺で一晩明かすことになった。明日は山登りになるだろうけれど、気になることが一つある。
「ポチャ、山登りは平気なの?」
「得意ではないけど、何事も経験だと思って頑張るよっ!」
結構前向きな返事が返ってきた。まあ、『トゲドケやま』も登れたし、なんとかなる……のかな。いや、なんとかなってもらわないとこちらが困る。
ビッパもペース、今日と同じで大丈夫そう?」
「だ、大丈夫でゲスよ!」
『えんがわのいわば』ではそれなりに息上がっていた気がするのだが……本当に大丈夫なのだろうか。
ってか、不安要素しかないな。このチーム……
「この目の前にある山を越えれば、ベースキャンプ近くまで行けると思うよ。順当に行けば、明日には着けるはず」
不思議な地図を取り出して、確認しつつ計画を練り直す。明日朝一で登り始めれば、夕方には到着出来るはずだ。昼前は……どうだろう? この山がどれくらいで抜けられるかによるな。
まあ、どちらにせよ、今日はここまでにして明日からまた頑張ろうってことになるんだけれど。
地図を仕舞っていると、ビッパと目が合った。ポチャは隅っこで野宿の準備中だ。こちらには気づいていない。
「? どうかした?」
「その……あっし、二人の先輩なのに、それらしいこと出来てないでゲス。何もしてなくて、申し訳ないなぁって……」
「なんだ。そんなことか」
「そんな冷たく言わなくてもぉ!?」
「私は後ろでちゃんと注意を払ってくれているビッパが、何もしていないなんて思わないけどな?」
私が先頭に立ち、得意の電撃で敵を追い払っていた。その後ろでポチャも援護してくれていたけれど、私達の背後までは気が回らなかったのは事実。それをカバーしてくれていたのがビッパだ。本人が何もしていないなんてあり得ないし、ちゃんと先輩らしいことは出来ている。
「チームのリーダーってのはね、意外とメンバーのことを見てるんだよ? ビッパ先輩?」
「うっ……ピカ……!!」
うるうると目に涙を溜めて、今にも零れ落ちそうなくらいだ。涙もろいのかな。いやいや、ここで泣かれてもどうしようもないから!
「あー!! 泣くのは遠征を成功させてから! ね? ご飯にしよう」
「そ、そうでゲスね!」
なんとか涙を堪えて、ポチャの方へと走っていく。
この遠征で、私もポチャも……ビッパも、何か得るものがあるといい。成長出来るような何か。それは多分、経験が一番いいものなんだろうけれど。

仲良くご飯を食べた後は、なるべく離れないように三人で固まって野宿することになった。しかし、野宿なんて今までなかったからか、全く寝付けない。男子二人はすでに夢の中だというのに……ちなみに右からビッパ、ポチャ、私の順に川の字みたいに寝ていた。が、私はというと、少しの物音ですら気になってしまう。外で守ってくれるような壁がないから、無意識に警戒してしまっているのだろうか。いいことではあるんだけれど、明日に響いてしまったら本末転倒だ。
「寝ろよ……私」
こういうのって、意識すればするほど寝付けなくなっていくもんだよね。辛い。いっそ、寝ることを諦めるか。
体を起こし、二人を起こさないようにそっと離れる。上を見れば、山の近くだからだろうか。満天の星がきらきらと輝いていた。邪魔するようなものもないし、この夜空も最大限の輝きを放っているのだろう。
私がポケモンになってしまう前……人間の頃にも、こんな星空は見えていたのだろうか。そうだったら、嬉しいけれど。
「……私はこれから、どうなるんだろうなぁ」
今は流されるように探検隊をやっているし、それがいっぱいいっぱいだから、考えたことがないけれど、人間の私はどうなる運命なのか。いや、運命とかそんな大それた言葉でなくても、明日明後日の未来で、どうなっていくのだろう?
この世界に人間はいない。少なくともポチャは知らないと言うし、私もここで生活するようになってから、見たことも聞いたこともない。この世界を勉強する中で人間というものがいて、こんな姿だっていう絵は見た。しかし、実際に見たわけではないのだ。となれば、私はどこから来たのか。
友達は? 家族は? 今までどうしていたのか。記憶がないから、何も分からない。今の私はある意味、偽物だ。これがピカ……いや、ラルであるという確証がないのだから。
「何なんだろう……って考えても答えなんてなんだけど、眠くないから仕方ないよ。うん。仕方ない仕方ない」
……誰に対する言い訳をしてるんだろう?
答えのない自問自答は迷宮だ。それも出口のない迷宮。いつ抜け出せるのかも分からないし、二度と抜け出せないかもしれない。そんな迷宮なんだと思う。きっと、私は一生迷い続ける。
ま、明日からこんなことを考える余裕なんてなくなっているんだろうけど。
私はその場で寝っ転がると、ぼんやりと空を見つめ続けた。しばらくは星が動く様をじっと見ていたのだけれど、いつの間にか眠ってしまっていた。



~あとがき~
意味もなく考えるときってありません?

次回、『ツノやま』攻略!

特に補足することがありませんね……
何か質問等あれば、お気軽にどぞ~(唐突)

ではでは!

Fantasy world

この物語はファンタジーポケモンを掛け合わせたものだよ! 魔法出てくるよ!
最近使ってないよ! これ、書くのもサボってたよ!! 始めるんだよっ!!
イオ「……なんなの?」


~第15話 気紛れ主とご対面~

シェルのところに挨拶は終わったが、思ったよりも時間を使ってしまった気がする。こんな風にだらたわらしてしまっていては、全員紹介など今日中に終わらないのではないかと不安になってくる。
まあ、なるようになるだろう。
「……つーことで、ファードの家の前なんだが」
「……? 開きませんね?」
うん。行くとは言っていたんだが、こうなることもなんとなく予想はついていた。仕方ない。行くと言ったんだ。こんなのも予測してあるだろ。
「メイ、開けろ」
『かしこまりました~♪』
メイの“サイコキネシス”で鍵を開けさせた。カチャリと小さく音が鳴ると扉は簡単に開いた。こういうとき、エスパータイプは得だよなと思う。もちろん、その能力を正しく使えたらの話だが。
「え、イオさん! いいんですか?」
「いい。いつものことだから」
扉を潜って中にはいると、周りには沢山の機械が置かれていた。役に立つのか、そもそも動くかどうかすら怪しい物ばかりではある。中にはぬいぐるみなんかも混じっているだろうか。相変わらず、整理はされていない。
「……お化け出てきそうですね」
「出ては来ないだろうが、手厚い歓迎は受けそうだな。……言ってる側から、右から飛んでくるぞ」
「へ?……!? きゃあ!」
飛んできたのは何かもわからないようなぼろぼろのぬいぐるみ。一応、怪我をしないようなものを選んでいる辺り、まだいい方だ。
「な、なんですかこれぇ……」
「ファードの支配魔法。要するに物を操る魔法だ。……ファード、いるなら鍵を開けとけよ」
「やーだよ。今日は仕事をしたくないからな。それにお前が来るなら閉めといた方がいいだろ」
奥から気だるげに現れたのはファード。左耳と右前足に包帯を巻いて、首からゴーグルを下げていた。明らかに俺達を仕事をサボる理由にしている気がするが、追及しても仕方がない。
「お前がイオの言っていた、記憶のないブースターだな。……ま、関わることはないだろうけど、俺はアルファード・フェブラリーだ。好きに呼んでくれていい」
「あ、えと……ミルフィーユ、です」
感情は籠っていないものの、あの面倒臭がり屋のファードがきっちり自己紹介をするなんて思わなかった。誰も催促していないのに、自分からするなんて……どうしたんだろう。
「……珍しく自己紹介してるぞ、あのファードが! どうした、なんかあった!?」
『イオ様、そんなに驚くことはないのでは?』
「いや、だっていつも無愛想だし。口悪いし」
「聞こえているぞ、お前」
聞こえるように言ったつもりだし……
なんて言ってしまうと何されるか分かったものではない。ここは愛想笑いでも浮かべておこうか。
「……イオ、ちょっと面貸せ」
あ、凄い。さっきのは本当に表面上の優しさだった。一気にいつものファードだよ。
「ガスト、メイとミルフィーユのこと頼むぞ」
「はぁ~い♪ お任せくださーい♪」
「うわっ! どこから出てきたの……?」
ぼわん、とその場からいきなり現れたのはファードの使い魔、オーガストだ。ファードと違っていつもにこにこ浮かれている明るいやつだ。ファードが動かないときは大体、オーガストが入ればファードは引っ張ってこれるものだ。
「イオ」
「分かってる。……メイ、少し待っててくれ」
『はい』
ファードの家の中にオーガストとメイ、ミルを残して、俺とファードは外に出た。外に出る必要があったのかは分からないが。
「で、どうした?」
「変なタイミングだと思わないか」
「……クヴァールの増加とミルの出現が?」
俺がそう言うとファードは黙ってうなずいた。口が悪く、人付き合いも避けるファードだが、こういう現状把握というか分析力は人一倍ある。
「俺はまだ偶然で片付けられるレベルだけど、ファードは引っ掛かることあるのか?」
「うっさいんだよ」
「……ん? え、何が?」
「クヴァールがざわついてる。いつもかもしんねぇけど、それ以上に、騒いでやがる」
ファードが見つめる先には森が見える。きっとあそこにもクヴァールが存在しているのだろう。移動魔法を使っているから距離感を忘れるが、ここは俺の家からかなり遠い。ついでに都市からも大分離れている。
「突拍子もないが、意図的なものを感じるんだよ。俺の杞憂ならいいんだがな。……イオも気を付けた方がいい。ミルフィーユを自分の元に置いておくなら、な」
「あぁ。ご忠告どうも。ところで、今日は丁寧だな。なんかあったのか?」
「気紛れだ。……あとは後々話したくねぇし」
……嫌なことは今のうちってことか。ファードらしいと言えばらしいか。
ファードの支配するのは何も無機物だけではない。有機物……つまり、生きているものに対しても支配は出来る。何を支配出来るかなんて術者の思い描くもの全てだ。まあ、生きているものを自分の思い通りに支配すること自体、禁術だし、そもそもそんな高度な魔法はファードしか出来ない。
「他になんかあったら教えてくれよ」
「……めんどくさ」
「そう言いながら言ってくれるんだろ」
「言わねぇよ、馬鹿」
そう吐き捨てると家の中に戻ってしまった。素直じゃないななんて言うと、本当に相手にしてくれなくなるから言わないでおこう。





~あとがき~
聞いてください、奥さん! これ、前回更新が約二年前でしたのよ(滝汗)
もうこれ、いっそのこと打ち切りした方が潔いのでは……??

次回、家に残された三人の会話。

ファードが使うのは支配魔法。簡単に言えば何かを操る魔法です。それが心のない物だろうが心のある者だろうが自分の主の意のままに操ってしまう魔法。なんやかんや、こいつの魔法が一番怖いかもしれませんね。

なんか今回、ファードがめっちゃ丁寧に喋りましたね。ここで最初で最後かもっすけど……

ではでは!

はじまりのソラ 7ー5

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊の物語を元にしております。原作のイメージが崩れる恐れがあるので、苦手な方はバック!
前回は遠征の準備と説明(前半戦)で終わりました。今回こそはギルドの外へ出るぞ……!
ピカ「流石に今回で出られるよね」
ポチャ「そうだね」
うん! んじゃ、始めよう!


~7-5 ギルド遠征、重なる謎~


「まず最初のグループは、キマワリドゴームディグダグレッグルの四人」
名前を呼ばれた面々はお互いの顔を見て、確認し合う。そして、威張るように胸を張り、ドゴームが鼻を鳴らした。
「ふん! ワシの足を引っ張るんじゃないぞ!」
「あら。貴方に言われたくないですわ」
ドゴームの言葉に澄ましたように返す。この二人、あまり仲がよくないみたいだけれど、大丈夫なのだろうか。まあ、喧嘩するほどなんとやらと言うし、いらない心配か。
「次。ダグトリオ、チリーン、ヘイガニ
「よろしくお願いします♪」
「うむ、いいチームだな」
最初のグループとは違い、全体的に落ち着いたイメージだ。まあ、ヘイガニがいるし、なんとも言えないが、ダグトリオとチリーンが諌めるだろう。
……ってことは、残りは。
「次だな。ビッパ、ポチャ、ピカ」
まあ、こうなるよね。私とポチャは元々チームだから、離れるとは考えにくいし、メンバーの中で呼ばれていないのはビッパだけだ。若手チーム、といったところだろう。
「うん。よろしくね、二人とも!」
「よろしくでゲス~」
二人とも、どこかのんびりした雰囲気だ。あー……ちょっと心配になってきた。
「そして、親方様とワタシ二人で行く……ということで」
「えぇー? ペラップと二人!? やだやだ、つまんなぁ~い!」
普段から一緒にいるような二人だ。親方にとって、新しい、ワクワクしない展開なのだろう。ペラップは世間話しながらベースキャンプになんて向かうわけないし、ピクニック気分の親方とはテンションも違う。
「ワガママ言わないでください! これも作戦なのです!」
「ぶーぶー」
ぷくっと頬を膨らませ、ご立腹の様子。親方、そんなことをしてもペラップは何も変更しませんよ。
「そして、最後にドクローズ方々は単独でお願いしますね」
「承知しました」
こいつらが変なことしなきゃいいが。ちゃんと見張り必要だろ……いやいや、駄目か。悪い奴だって知ってるのは私とポチャだけだし、こんなしたっぱの言うことは誰も信じない。くっそー……
「それでは、皆、頑張って行こー!」
「おおーっ!!」
ペラップの号令に皆で気合いを入れる。
ここから、遠征のスタートだ!

ベースキャンプへ向かうルートはいくつか存在する。その中でも私達のグループは海岸沿いのルートから向かうことになった。山道は辛い、とポチャが申し出たためである。陸地が得意ではないポチャだし、仕方ないが海岸沿いも大して変わらないのでは、と思う。結局どのルートも山越えはするし。……うーん、少しでも楽であろう道を探した結果なのだろうか。そこら辺はよく分からない。
「凄い崖だなぁ……落ちたら大変だから、気をつけてね」
「うぅ……流石、遠征でゲス。目的地に辿り着くだけでも険しい道のりになりそうでゲス」
ビッパはぶるりと体を震わせ、くるりと後ろを振り向いた。そこにあるのは、見たこともないポケモンの像。
「これが探検家が噂をするガルーラ像でゲスね。この像を使うと自分が使っている倉庫に繋がるらしいでゲス」
なんだそのファンタジー設定! えぇっと、つまり? 道具を引き出せるってこと?
「そうでゲス! ありがたいでゲスね~」
なんでそんなこと出来るんだ……まあ、うん。そこら辺はふわふわっとした方がいいよね。気にしない気にしない!
「まあ、あっしも見るのは初めてでゲス。……遠征に行くのも初めてでゲスから、偉そうなことは言えないし、今、滅茶苦茶緊張しているでゲス……」
「そんなこと気にしなくていいんだよ? ぼくらも初めてだもん。初めて同士、協力し合っていけばなんとかなるさ」
行く前はお前も緊張していたけどな……なんて言うのは、無粋というものだ。
「地図見てみよ。ピカ、出せる?」
「はいはーいっと……」
ポチャに言われ、バッグから地図を取り出した。その地図を三人で取り囲む。ポチャがギルドの場所から今いる海岸までするするっと指を動かす。
「えっと、今はここ、だよね。……ベースキャンプの場所は……」
ギルドからはかなり離れてきたが全体で見れば、まだまだ中間地点。朝にギルドを出て、休憩を挟みつつここまできた。今は日が沈む前、といったところか。
「とりあえず、今日はここのダンジョンを抜けて、この山の麓までを目指していこうか」
「そうでゲスね」
ここに来て、ポチャが私達を引っ張るようになってきた。憧れの遠征、探検で気持ちが先立っているのかもしれない。いいことではあるんだけど、ドジなことしないかヒヤヒヤしているのは、私だけなんだろうな。
地図をバッグに入れながら、先頭を歩くポチャを見る。恐らくダンジョンへと続く道の入口を覗いているのだろう。
「ねえ、ここ、入口が二つあるよ? 右と左、どっちに行く?」
「えっ! そうなんでゲスか!? ど、どうするでゲス?」
「どっちかしか先に繋がってないのかな。まあ、二分の一だし、進んでみよう」
なんて言って、左の道へと進んでしまう。ビッパもポチャの後に続いて左の道へ。
いやいや、私何も言ってない! 私にも聞け!?
「……私は左より、右がいいな。勘だけど」
何か、ヒントになるようなものはないだろうか。そんなことを考えつつ、辺りを見回ってみる。するとガルーラ像の影に看板が倒れているのを発見した。さっきは見えなかったから、死角だったらしい。
「えぇっと? 『えんがんのいわば』……と『ちいさなよこあな』……かな。名前的には『えんがんのいわば』が正式ルートだろう、けど」
潮風に晒され、看板もかなり劣化しているようだ。でも、まだ読めそうな雰囲気がある。
「……んー……あー?」
目を凝らすと、場所の名前の横に矢印が書いてあるように思う。『えんがんのいわば』の横に右を指す矢印、『ちいさなよこあな』の横に左を指す矢印がある……気がする。
「これ、待ってたら二人ともここに戻ってくるのでは」
名前からして大きなダンジョンではないはずだ。……三十分。今から三十分経って戻ってこなかったら後を追う。ダンジョンの形式からして、水タイプが多いと見た。一人でもなんとかなるだろう。
こうして、ぼんやりとダンジョンの入口で無駄な三十分を過ごすことにした。無駄に動きたくないし、道具も無駄にしたくないし、私の読み通りなら正解は右だし。間違いだと思っている道へわざわざ行くのも馬鹿らしいというものだ。



~あとがき~
投稿多いのは、本編の戦闘シーンに疲れたからです。というか、シリアスばっかでしんどくなりました!!

次回、ツノやま手前まで到達出来ればいいな!

チームで動くはずなのに、ピカは単独行動してますね。中に入った二人は置いてけぼりです。相当慌てていることでしょう(笑)

この小説の中でガルーラ像を出す必要があるのか悩んだけど、ゲームでめっちゃお世話になったし、置いておこうと思いました。

今回の話は長くなりそうだなぁ……なんて思ってます。まあ、のんびりお付き合いくださいね。

ではでは!

☆第15回 ゆるゆるトーク☆

~前回までのあらすじ~
ポチャ「前回から意味が分かりません。誰か助けてください……」
ピカ「あべこべな世界に迷いこんだ(?)ポチャの運命とは! 生きて帰ることが出来るのか!」
ポチャ「その紹介、ぼくが死にそうじゃない?」
ピカ「……骨は拾うよ?」
ポチャ「やめてください。本当に死んでしまいます……!」
ここでの会話はいつもの二人ですのでご安心を!
ポチャ「どういう注意の仕方!?」


ポチャ(……何事もなく帰ってきた。寝て起きたら夢でしたオチでもいいから、なんとかならないかな)
ピカ「あのさ、ポチャ」
ポチャ「うん?」
ピカ「明日、どこか行こっか。最近、仕事ばっかりだったから息抜きしたいんだ。付き合ってくれるかな?」
ポチャ「ピカがそう言うなら、喜んで付き合うよ。むしろ、覚悟しておいてね」
ピカ「えー……怖いなぁ~」
ポチャ(……このピカは最初に突っ込んだくらいで、他のことは何も言わないんだな。ぼくが『演じている』このキャラが正解なのか……わざと何も言わないだけなのか)
ピカ「でも、すっごい楽しみだよ。僕」
ポチャ「うん。……私も♪ どこに行くかは任せるよ。その代わり、期待してるんだからねっ!」
(読めないな。元々、ぼくがこういうことを得意としてないってのもあるんだろうけど
……ぼくから動く必要がある、か)
ピカ「すっごいプレッシャーだなぁ……でも、その期待を裏切らないように頑張るさ
はい。リンゴ! 今日のご飯」
ポチャ「ありがとー! ダンジョン行ってお腹すいてたんだ~」
(ここにもリンゴはあるんだ。そんな場合じゃないけど、幸せ……)
ピカ「……」ジッ
ポチャ「? 今度はなあに?」
ピカ「朝、変だったから。でも、心配いらなかったみたいだね。いつものポチャだなーって」
ポチャ「あれは寝惚けてたって言ったじゃん。……ピカだって、それで納得したでしょ?」
ピカ「したけどさー……もし、何かあったら、嫌じゃないか」
ポチャ「心配しすぎ! 大丈夫だから!」
(……今、影が落ちたな。その表情の意味はなんだ? ぼくが知っている情報と相違点があるってことか)
ピカ「ごめんって。もう気にしないからさ!」
ポチャ「そーそー! 気にしなくていーの
明日はたっくさん振り回してあげるから、さっさと寝れば?」
ピカ「そうするよ。君のその言葉は嘘じゃなさそうだからね」
ポチャ「はいはい。おやすみ!」
ピカ「おやすみ」
ポチャ(とりあえず、分かっていることを整理しなきゃな。あーもー! こういうのはピカの役目なんだけど! でも、無い物ねだりしても仕方ない。ぼくがやるしかないんだ)
「……行くか」

~夜の海岸~

ポチャ「ぼくは男だけど、それ以外は反転したような世界。似てるけど、違う世界……別世界だって思った方がいいんだろう。……となれば、ぼくがするべきことは……!」
フォース「“チェーン”」
ポチャ「フォース!? なんで攻撃……! いや、今は考えてる暇はない! いるか分かんないけど、スイ!」
スイ『ほいな!』
ポチャ「あ、いたんだ。……来い!」 
スイ『ほいほいっとな!』
しゃらんっ
ポチャ「やぁっ!」
ガチャン…
フォース「……あらま」
ポチャ「あっぶないな。急になんなの?」
フォース「別に。……あの子に近づいて、何するつもりなの?」
ポチャ「ピカのこと? 別に何もしない。っていうか、こっちが色々知りたいことがあるくらいだよ。どうせ、バレるだろうから言うけど、ぼくはここの人じゃない。多分だけどね!」
フォース「……へえ?」
ポチャ「君には心を読む力があるんだよね。ぼくが知ってる君はそうだから」
フォース「……信じる。それ、誰にも言ってないことだから、知り得ない情報。詳しく聞こうかしら。何か手助けになるかもしれないわ」
ポチャ「……君、男の子になれたりする? 出来ればイーブイで」
フォース「? 別にいいけれど。すぅが男だから、私が女になっているだけだもの。こだわりはないし、問題はない」
ポチャ「じゃあ、お願い。女の子の君と話していると調子が狂うんだよ」
フォース「……ふーん。おれには関係ない話だけど、こっちの方が話が進むなら、変えてやる」
ポチャ「ありがと」
(う、上手くいったー! こういう交渉も出来るんだな! よくやったよ、ぼく!)
フォース「で、ここの人じゃないなら、どういうことなわけ」ストン
ポチャ「別世界って言えばいい? 多分、そんな感じ。起きたらここにいたの。場所は基地の中
ぼくの知っている世界とは反転した世界だ。何もかもがってわけじゃないけど」ストン…
フォース「なるほど。……となれば、お前が元に戻る方法は一つだな。つーか、分かってたんじゃねぇの?」
ポチャ「まあ、ね。フォースに襲われる前に思いついてた。……ギラティナに頼む」
フォース「他に知りたいことは?」
ポチャ「彼……ピカについて聞きたい」
フォース「あいつ? どこにでもいる探検隊の一人ってだけで、おかしなことはしてない。顔は広いが、それくらいだな」
ポチャ「パートナーがいるよね。ぼくと同じ、ポッチャマの。どこにいるか分かる? もしかして、ぼくと入れ違いになっていたり……」
フォース「それはないな」
ポチャ「……え?」
フォース「お前のところはいるのか?」
ポチャ「ぼくのパートナーって話なら……いるよ。彼と同じピカチュウの」
フォース「あいつ……ピカにはパートナーはいない。昔にいなくなったって聞いた」
ポチャ「!……えっと」
フォース「何が原因とか聞いたことはない。おれは興味もないし、聞く必要もないし、肩入れする気もないからな。あくまで、すぅを守るのが仕事。それ以外はどうでもいい」
ポチャ「……似てるけど、君の方が何倍も冷めてるね」
フォース「お前の知るおれがってことか?」
ポチャ「そう。フォース、探検隊とか入ってないでしょ。あと、友達とかさ」
フォース「必要がない」
ポチャ「……ぼくのところでいう、ピカがいないせいかな。そういう影響もあるのか……
……あれ? ってことは……つまり……?」
フォース「? どうした?」
ポチャ「彼の……!」
フォース「探しに来たな、あいつ。……じゃあな、別世界の住人さん。平行世界って本当にあるんだな。面白い体験したわ」スクッ
ポチャ「フォース」
フォース「……私はこれ以上は手伝えない。言ったでしょ? 私はすぅと一緒にいることが仕事なの」
ポチャ「そうじゃなくってさ。……女の子はもう少し笑った方が可愛いと思うんだけど」
フォース「あら。余計なお世話
幸運を祈っているわ。ティール・クランドさん」
ポチャ「心読んだな……」
フォース「ふふっ♪ 二度と会わないんだし、いいじゃない? せっかくだから、覚えておいてあげるわ。……それじゃあね」
シュッ…
ポチャ「話してて整理がついたけど……これって、あり、なのかな」
ピカ「ポチャ! 勝手にいなくならないでよ! 起きたらいないんだもん。心臓に悪いよ」タタッ
ポチャ「……ごめんね? 眠れなくて、散歩に出ていただけなの。私も子供じゃないんだから、一人で出歩くくらいするよ?」
ピカ「ダメって話じゃないさ。一言ちょうだいって話」
ポチャ「寝ている相手に一言も何もないんじゃないかなぁ……?」
ピカ「うっ……まあ、そうかもしれないけれど」
ポチャ「ごめん。そんな意地悪言うつもりはなかったの。……帰ろう。まだ夜遅いから、一緒に帰って寝ようね」
ピカ「……うん」
ポチャ(……きっと、ぼくがいなくなることを……また、同じ道を辿るのが嫌なんだな。ピカがぼくを連れてきたとは思わないけれど……どのタイミングで、パートナーがいなくなったんだろう?
ぼくが思いつく限りでも、時の歯車の事件……悪夢の事件……脱退事件……他にもあるか。脱退して姿を消したと言うよりは、死んだ可能性だってある。……むしろ、そっちの方が可能性は高い)
「ピカ」
ピカ「?」
ポチャ「明日、楽しみにしてるから」
ピカ「! うんっ!」
ポチャ(仮にそうなら……ぼくは、耐えられないんだろうな)



~あとがき~
ゆるトークって名前なのに緩くない……だと?
まあ、いいや。誰がなんと言おうと、これはゆるトークですよ!!!!

ピカ「私……違うな。“僕”のキャラがブレブレなのをどうにかしてほしいです。作者」
フォース「ラルに限った話じゃないと思うけどな」
うん! どうすることも出来ないね!!
ピカ「感電死がお望みかな??」
ポチャ「あー……やめたげて……」
あぎゃあぁぁぁ!!!!(☆△☆)
ポチャ「あ、あーあー……(;^ω^)」
ピカ「満足!」
フォース「うっわ……(-∀-;)」
ピカ「今回はフォース君も喋ってたね! どうだった?」
フォース「うーん。おれだなーって? こう、変わる前のおれのまんまって感じ」
ピカ「私と関わる前のってこと? それにしてもクール過ぎじゃない?」
フォース「それは誤差だと思う。すぅの性格との兼ね合いもあるんじゃねぇの? いや、知らんけど」
ポチャ「なんか、そんな面倒なことになってるんだね」
ピカ「言い訳すると、ゆるトークのコンセプトが思いついたまま書き殴るなんだよ」
フォース「あはは~♪ 初めて聞いた~」
ポチャ「同じく」
ピカ「なんで、深いところまではなんも考えてない。つまり、別世界の私たちのこともなーんも考えないわけよ! 以上!」
フォース「まあ、キャラはブレブレでも、今回の話に関しては終わりはしっかり考えているらしいよ。ちゃんとさっさと終わるんじゃないか?」
ポチャ「うん。でも、一つ聞きたいのはなんでぼくをピックアップしてるのってところなんだけど」
フォース「ほら、本編で大変な目に合ったから」
ピカ「せめてもの償いじゃない……?」
ポチャ「それなら、ほのぼのな償いでよかったよ……だらだら話すような、そんなのでよかった」
ピカ、フォース
「そこには同情しかないです」

ではでは!

幼き騎士は何思う?

~前回までのあらすじ~
トリスを保管(?)してある領域に誰かが侵入! 一体誰の仕業なのか!?
やっと書きたいところその一です。
なんか、関係ないんだけど、神霊と神器ってややこしいな。今まで総称的な意味合いで神器って使ってきてたけど、トリスやマリー個人を指すなら神霊が正しいんだよね。武器になったら神器って名前になるんだろうけど。
ヴァルツ「ふわふわしてるな」
それな……もう、始めるわ。


侵入者? そんなこと、今まで一度もなかったはずだ。少なくとも俺は聞いたことがない。
『歴史的に見れば、なかった訳じゃない。僕のところまで来る奴は、例外なく全員死んでるんだけどね? ほら、よくあるやつだよぉ。俺に触れると怪我するぜー! 的な? そんな感じぃ~』
「お前に触れば死ぬってことか? じゃあ、死なせておけ」
『いいの? ふぃーちゃんいるんだけど』
「…………は?」
なぜここであいつの名前が出てくるんだ。
理解する前にマリーが探りを入れたらしい。そして、珍しく俺の許可なく、この場に現れた。
「残念ですが、兄様の言う通りです。兄様の気配のする場に数名の生命反応を感じます」
「その中にふぃーが?」
そう聞くと、マリーはゆっくりと首を振った。
「……そこまでは」
「マリー、行くぞ」
『行ってどうするよ?』
そこまでは考えていない。しかし、何もしないわけにもいかないと思った。旅をしていた時に身に付けていたものを手早く装備する。
堂々と玄関から出るわけにもいかない。そのため、俺は窓を開けると、その窓枠に足をかけた。
「行くのですね。お供いたします」
『マジィ? や、止めないけどぉ』
「だろうな。仮に止めたって無駄だ」
『ですよねぇ~』
呆れた様子でもう何も言わなくなった。自分のことなのにかなり他人事なのは、どうでもいいと思っているせいだろうか。どうせ触れた相手は死んでしまうとか思っているんだろう。実際、その通りになってきた経験があるから、間違いではないか。
窓から飛び降り、無事に着地する。俺に続いてマリーも降りてくる。そして、マリーの案内の下、トリスのいる場所まで向かった。間に合うかは分からないが、どうにかするしかない。

マリーの案内とトリスの邪魔なのかアドバイスなのか微妙な指示に従い、聖域までを目指す。その間、侵入者の姿は見ていないが、俺達の先を行っているのだろうか。マリーに様子を聞いてみるも、ふるふると首を振った。
「兄様の気が強すぎて上手く探れません。ムカつきます」
『あはっ♪ まだまだ修行が足りないんじゃなぁい? この未熟者~』
「うるさいです、兄様」
「トリスは俺に言っているんだろう。……すまない、マリー。俺がお前の力を最大限に引き出せていないせいだから、気にするな」
「愛し子のせいではありません。兄様の強欲で自己顕示欲が強すぎるだけですので」
なんだろう。この押し付け合いは。
『ヴァルツ、もうそろそろ僕のところだよ。多分、敵と同時到着って感じかな』
「ふうん? 俺達の方が遅かったのにか」
『雑なマリーの案内と僕の完璧な案内だよぉ? 最短距離に決まってるでしょ! あと、侵入者は迷わせておいたの。僕の場所だからね』
「兄様、いちいち喧嘩を売らなければ話せないのですか? 頭おかしいのでは?」
この二人は一生仲良くなんて出来ないのだろう。誰にでも相性というものはある。悲しいかな、それが神霊にも通じるとはね。しかしまあ、神霊様とやらは基本的に一人だ。別の神霊といるなんてことはほとんどないから、合う合わないも分からないし、合う必要もないかもしれない。
草むらを掻き分けて出てきた先には、ぽっかりと空いた空間だった。俺達以外に人影は見えない。その空間には祠のようなものがあり、その扉は開いている。覗きこむと、薄い緑色で細かい彩飾を施してある細剣が祀られていた。これがトリスなのだろう。
「思ったより細かいな。もっとシンプルなものを想像していたよ」
『んふふ。ヴァルツとは一回しか会ってないから。あのときは小さいナイフだったし、僕の装飾なんて見えなかったと思うよ。そう思ったとしても不思議てはないねっ!』
何の自慢なのだ。誰に対してのアピールなのか分からないが、無視しておくに越したことはない。
トリスを手に取ってもいいが、俺もまだこいつに認められていない。何かあると危険だから、触りたくはない。出来ることなら一生関わりたくもないのだけれど。
「愛し子よ、来ます」
『僕の迷宮、抜けてきたのぉ? 諦め悪いね』
トリスの祠を背に、体を構える。一応、どこから襲われてもいいように警戒しておくが、相手が複数だと面倒だ。
「……来い、マリー」
「はい。我が愛し子よ」
マリーを短剣にし、再び周りを警戒した。すると、真正面からふらふらと数人が入ってきた。入ってきたのは何人かは、この数日の中で見たことのある人だ。父の葬式なんかで見た顔だ。俺の親戚筋、ということになる。その人達は目の焦点が合っておらず、どこを見ているのかはっきりしない。
「あれは……?」
『恐らく、長くこの場にいたせいで兄様に当てられたのでしょう。私にはここまでの力はないので、こんなことは起きませんでしたが……』
「トリスに当てられた?」
『神霊……いえ、神器とは神の器。つまり、神が宿る武器。そう簡単に人に渡るものではないのです。……心に邪気を……つまり、兄様に合わなければ、悪影響が出るのです』
神器は神霊に認められなければ使えない。それは俺の中の常識であったが、そこまで影響があるものなのだろうか。
「トリスに認められなかった人はああなると? で、トリスに触れて死ぬのか」
『そー♪ 僕に引き寄せられ、僕に手を伸ばす。んでもって、僕に命を吸われるの~♪』
「最早、神ではなく悪魔の領域だな」
『しかし、手にすれば強大な力を得ることになりますわ。……悔しいですが、兄様は高位の武器。使うも触れるも代償が大きいというものです』
確かに、触れるだけで命を狩るのは如何なものなのだ。いや、今はこの話は関係ないか。
今見える中にふぃーの姿はない。あいつはどこに?
「……マリー、ふぃーは?」
『そう、ですね……近くにはいる様なのですが、はっきりとは』
仕方ない。目の前の奴らを倒してから探しに行こう。
『うっは♪ 容赦ないね』
「お前にだけは言われたくない。黙っていろ。……行くぞ、マリー。力を貸せ」
『もちろんですわ、我が愛し子よ。私の力、全てを与えましょう』



~あとがき~
戦闘は面倒なのでカット!

次回、ヴァルツがトリスを手にする話。というか、理由公開……になるのかな。いや、ある意味もうしてるんだけども。そろそろ終わるのではないだろうか。

神器に気に入られるうんぬんの話がちらっと出てきましたね。マリーは気に入った相手が来ると、自分から近づくタイプ。逆に言えば、合わないなと思えば姿は見せません。トリスはとりあえず引き寄せてみて、相性良ければ使ってもいいよ。あ、でも、ちゃんと面白くしてよ。実力なければ切るから。みたいな適当なやつです。雷姫さんは気に入らない人はそもそも触らせません。気に入ったところでつまらないと思ったり、飽きればポイするタイプです。
さあ、あなたは誰を選びますか!?((←

ではでは。

はじまりのソラ 7ー4

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊の物語を元にしております。原作のイメージが崩れる場合がありますので、苦手な方はバックです!
前回は遠征メンバーが発表されましたね。やったね。(前回更新半年前)
ピカ「やったね……?
というか、これはこれで放置しすぎて何してたか忘れちゃったんだけど……」
今回は遠征行っちゃうぞ~ってところだよ!
ピカ「そこまで進めてたんだ。なるほど」
……まあ、そこまで進められるといいなっていう希望なんだけどね。……では、スタート!
ピカ「えっ!?」


~7-4 ギルド遠征、重なる謎~


準備のために皆はトレジャータウンへと向かっていった。私達も行かなくては行けないんだけれど。その前に一言。
「よかったね、ポチャ。行けて」
「うん! よかった!! ぼく、ピカと一緒がよかったから。一緒に行けてよかったよ~♪」
…………うん、はい。うん……そうね。
話しかけなきゃよかった。純粋な笑顔と素直な感想が飛んできた。本当に歪みのない人だ。こんな奴ばっかなら、世界も平和なんだろうな。あーあー……
「? ピカ?」
「すぅ……はぁー……よし、私達も行こうか。準備しないと」
深呼吸をして、きらきらと目を輝かせているポチャに向かって言う。ポチャは私の言葉に大きく頷くと、トレジャータウンへと足を向けた。
トレジャータウンに着くと、いつも以上に賑わっていた。ギルドで遠征に行くことになった、というのはもう既に町中に広まっているせいだろう。元々、遠征をやることが伝わっていたからこの状況は不思議ではない。
「やっほ~」
「ホノオさん」
のんびり歩いてきたホノオさんに話しかけられ、立ち止まる。ホノオさんも話は聞いたようでおめでとう、と笑ってお祝いしてくれた。
「これから行くんだね。大変だと思うけど、頑張って」
「はい。ホノオさんはこういう、遠いところに行くことはあるんですか?」
「あるよ。しょっちゅうだもん。食べ物と回復道具は持ってた方がいいよ。あとはタネとか玉とか」
そうだよな。ダンジョンにいくつも連続で挑むことにもなるかもしれないし、大きなダンジョンに行くことになるかも……うん、しっかり選別をしておかないと。
「私、ホノオさんとの特訓思い出して、頑張ってきます」
「あはは。役に立てるといいんだけど。……引き留めてごめんね? じゃあ、いってらっしゃぁい~」
ひらひらと手を振ると道場の方へと行ってしまった。何ならお店まで一緒に行ってもらってどれが必要とか教えてもらいたかったけれど、流石にそこまで甘えるわけにはいかない。
「ぼく達、いろんな人に期待されてるんだね」
「そうかも……ううん。そうだね」
「……うん。頑張らなきゃ、だね」
自覚したせいか、少しだけ緊張しているらしい。そこまで気負う必要はないだろうに。
「ポチャ。楽しんでこーぜ」
「楽しむ?」
「今回、私達だけじゃないんだしさ。頑張る必要もあるけど、それ以上に自分達が楽しまなきゃ損じゃない? こんな機会、滅多にないんだから」
「……うんっ!」
ポチャは少し考えてしまうとどんどん重く、悪い方へと考えてしまう傾向にあるらしい。よく言えば真面目で責任感のあると言えるのだろうけれど。ずっとそう考えるのはよくない。私が色々な方向から見て、気づかせてあげればバランスが取れるというものだ。
「ほらほら~♪ 行くとこいっぱいあるんだから、早くしないとね!」
「わっ! 待って待って! 走らないで~!」
ポチャの手を掴み、倉庫と商店のある方へと走り出す。ポチャが転けないように気をつけながら、引っ張る。こうやって引っ張ってあげるから、私の隣をちゃんとついて来てよね。

準備を終えると、ギルドへ戻った。私達が戻った時点でまだ全員帰って来ていなかったが、少しずつ集まってきてやがて全員がギルドへと戻ってきた。
全員帰ってきたことを確認すると朝会のときと同じ様な並びになり、ペラップの話を聞くことになる。
「皆が集まったところで、今回の遠征の説明を行う。今回の目的は『きりのみずうみ』の探索。ここより東に位置する湖なのだが……名前の通り、霧に包まれ、はっきりと確認されていないのだ」
ふむふむ……なかなか探検隊らしい話だ。噂だけが残っており、それだけが世に通っているということか。それを解明するべく、遠征に行くのか。
「しかし、そこには美しく素晴らしいお宝が眠っているという話があるのだ♪」
そのお宝をギルドで探し出すということになるのだろう。話だけ聞いていると雲を掴むような話だが、現実の話となるのだろうか。
「皆、不思議な地図を出してくれ」
ペラップに言われ、今まで黙って話を聞いていた全員が地図を取り出した。もちろん、私もバッグから取り出し、後ろにいるポチャと一緒に見る。
前ではペラップが持つ地図にいくつか印がつけられており、その印を指しながら話を続けた。
「この場所が『きりのみずうみ』があるとされる場所だ。未開の地であるから、地図で見ても雲に覆われ、詳しくは分からない。……そして、我々のギルドはここ」
ペラップはすっと指を動かし、ギルドの場所を指した。地図上で見てもかなりの距離があることが分かる。いつもの依頼をこなすのとは訳が違う。いや、理解していたつもりではあったが、実際見てみるとえげつない距離だ。
「見て分かる通り、ギルドからはかなり距離が離れている。そのため、この高原の麓にベースキャンプを張ろうと思っている。また、この人数で一緒にベースキャンプに向かうのは大人数だから、いくつかチームに別れて向かうことにするぞ」
確かに。時間がかかったり、はぐれたりしてトラブルが多そうだ。
「では、チームの発表を行う」



~あとがき~
ちょっと短いですけど、きりがよかった。

次回、ベースキャンプへ向かうチーム発表!
やっと遠征に行けるかな……まだギルドにいるんだけど(笑)

前にもちょっと書きましたが、ピカはポチャに依存している節があります。まあ、誰も知らない世界で記憶もなんにもない状態だったピカを助けたのは、ポチャなので特別な思いというか、関係になるのは当たり前ですけど。一番、頼れるのはポチャなんですね。空と海になるとまた変わってくるとは思うんですが、ポチャに期待したり頼ったりなんてところは変わらないですね。

ではでは!