satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第35話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で面白く過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回からツバサちゃん視点のほのぼの回を決行中です! ほのぼのいいぞ!!
ツバサ「なでなでしてもらうために頑張ります!」
なんか、ツバサちゃんのキャラがこれでいいのか心配になってくる。ラルちゃん大好き設定……大丈夫かな?
ラル「私か。私が悪いのか!?」
フォース「分かる」
ラル「分かるな!」
ツバサ「ほえ?」


この学園の図書館は中高共有施設だから、中等部の校舎と高等部校舎の中間にある。生徒会室は本校舎内にあるとはいえ、図書館と生徒会室が近い訳じゃない。放課後だから、皆、部活へ行くか帰るかしているから、廊下ですれ違う人も少ない。
窓から外を見ながら、てくてくと歩いていく。外はとってもいいお天気で、屋外を活動拠点としている部活はきっと気持ちいいんだろう。
みーちゃんとか、シエルとか天気に左右されちゃうから、晴れるのはいいことだね。あ、でも、みーちゃんのところ……リーフちゃんも。園芸部は適度な雨も必要かぁ。アラシは道場かな? それならお天気、関係ないや。レオンも。あーちゃんはお仕事……? なのかな?
皆と同じように部活で活動するっていう憧れはあったけれど、生徒会に入れてもらえて、とっても楽しい。いろんな人達がいて、よくしてもらえて。そんなところに誘ってくれたラルさんには感謝している。いつか、私もあんな優しくて、強い人になれたらいいなって思う。
「そのために、まずは任されたお仕事を頑張る! うんっ! ここからだねっ」
気合いを入れ直して、改めて図書館へゴー! だ!

歩いて約五分……歩幅が小さい私だから、ここまでかかっちゃった気もするけれど、やっと目的地だった図書館へと到着した。図書館はとっても広く、利用者もまばらだけど、そう見えるのは広さのせい。実際は両手じゃ全然足りない位はいるんだろう。
図書館は、司書さんと図書部の人達が管理している……みたい。詳しくは知らないけれど、放課後は、大体、図書部の人達がお仕事をしているって入学の時にもらった部活紹介パンフレットに書いてあった。図書部の人は分かりやすいように腕章を着けていて、本の整理や貸出の手続きなんかをしているみたいだった。実際、目に入るところにも部員さんが何人かいる。
とりあえず、この中から探すんだけど、生徒会資料ってどこにあるのかな……? この広さだし、聞いた方が早いかも。
そう考えたら、ぱっと行動に移す。近くにいる高等部の制服の人に話しかけてみることにした。
「あ、あのー……?」
「はい。……あれ、ツバサさん?」
「ユーリさん! 図書部の方だったんですね」
生徒会の一人で私の一年先輩さんのユーリさん。夜空みたいなきれいな黒髪を持つ牙狼族の先輩。さっき、ちょこっとだけお名前が出てたから、今日初めて会った気がしない。……うん。偶然ってやつだ。
「はい。中等部の頃から所属しています。図書部員であると、返却期限を気にしなくてもいいっていう特典みたいなのがあるんです。その代わり、色々忙しくはありますが、本が好きならお勧めの部活ですね。……それで、どうかしましたか?」
私の目線の高さに合わせながら、優しく問いかけてきた。そこで、私はポケットからフォースさんにもらったメモを取り出した。
「えっと、生徒会関係の資料を探していて……どこにありますか?」
「あー……関係者以外立ち入り禁止なんです。案内したいんですが、僕、蔵書点検しないと……あ、ステラさん。いいところに来た」
「え、あ、はい! ユーリ先輩、なんですか~?」
ユーリさんは後ろを通りすぎようとした女の子を呼び止める。明るい茶色の髪を腰の辺りまで伸ばしていて、その髪はふんわりと軽くウェーブかかっていた。ステラさんと呼ばれた女の子は、中等部の制服で、ユーリさんと同じ図書部の腕章を着けていた。そして、両手には何冊かの本が抱えられている。
「今、暇?」
「暇じゃないですよ~! 一緒に点検中だったじゃないですかっ」
「じゃあ、暇だ。それは僕が引き受けるから、彼女の案内をしてあげてください。高等部の生徒会資料保管室。分かる?」
「分かりますよ。そういうことなら……って、じゃあ、暇ってなんですか。暇じゃないですって」
うなずきかけたステラさんだったけれど、ユーリさんの言葉に引っかかったのか、反論した。点検って何をするのか分からないけれど、お仕事をしていたのなら、暇とは言えないと思う。でも、ユーリさん、ステラさんの言葉には耳を向けず、ステラさんの手から本をひょいひょいっと全て取ってしまった。代わりに、何かカードを手渡す。
「副会長みたいに細かいですね。……いいから。こっちは任せて、利用者の方のご要望を優先してください」
「それ、ほめてませんよね。まあ、いいです。私がやるより、先輩の方が早いですもん。……じゃあ、行きましょ……うか?」
ユーリさんから私へと視線を向けたステラさんは、ぴたりと動きを止めてしまった。私、何かしちゃった、かな?
「……噂の白いお姫様……?」
ほえ……? お姫様??
「では、よろしくお願いしますね。ステラさん」
「あ、あぁ……はいっ! りょーかいです」
「では、何かあれば彼女……ステラに聞いてください。それでも解決出来ないなら僕にでも。……まあ、大丈夫でしょうけれど」
「ありがとうございました、ユーリさん!」
ユーリさんに向かってぺこっとお辞儀をしてから、再度、ステラさんに向き直る。変わらず、私を見たまま動かないけれど、大丈夫……なのかな?
「あ、あの~?」
「資料室ですよね! こちらです」
どうしたのかと聞く前に、ステラさんは私の前を歩いてしまう。よく分からなかったけれど、大丈夫みたい。
前を着いていくこと二分……くらい。人気のないフロアへと案内され、ある扉の前に連れてこられた。
「高等部の生徒会資料はここに保管されています。今、開けますね」
「お願いします!」
カードキーでロックされているらしく、ステラさんが取り出したカードを、扉横にあるパネルみたいなものにかざすとピッと小さい解除音が鳴る。そして、ドアノブを回すと簡単に扉が開いた。
「どうぞ! 多分、全部ここにあると思うんだけど……えと、何をお探しですか?」
「ええっと、こんな感じで……」
メモを見せると、ステラさんは一つ一つ丁寧に黙読して、確認している。下まで読み終えたのか、こくっとうなずいて、笑顔を見せた。
「……うん。よかった。全部あるものですね。じゃあ、大丈夫だ」
「ありがとうございます!」
「お手伝いしましょうか……? 出来る範囲でですけど……」
「出来る範囲……?」
部屋の中は普段の教室分の広さくらいにたくさんの棚が並べてある。棚にはファイルだったり、段ボールだったり、本だったりとにかく、物が敷き詰められているって感じだ。図書館と比べると、ずいぶんの差があるように思える。
「ここ、機密文書っていうのかな。そういうのも置いてある関係で、ほぼ手付かずなんです。生徒会の人しか見ちゃいけないようなものもあって。……これでも、きれいになった方なんですけど。ユーリ先輩が生徒会の人でそこそこ偉い人だから」
「そうなんですね……じゃあ、私一人で探します! なので、お仕事に戻っても……」
「あ、えと、いえ。ここって出るときもカードキーが必要なので、私も残ってます」
ほへー……セキュリティ凄いなぁ……
待たせるのも悪いし、早く探して戻ってきてあげないと! よし!



~あとがき~
貰ったプロットからそこそこ変わってきています。

次回、ツバサちゃんのお使いの続きです。

そういえば、ユーリの部活決めてなかったなぁ(文化部ってのは決まってたけども)……ってことで、図書部へと入ってもらいました。やったね。
ユーリは基本的に誰に対しても敬語ですが、特定の人にはタメ口です。他は敬語!
ま、メタ的な話をすると、私のイメージがそうってだけなんですけどねー!(笑)
ステラに対しては、慣れもあるので、ちょこちょこ素が出てましたね。分かるとは思うけど、イツキに対しては完全タメ口です。仲いい設定だけど、タイプ違いすぎて困惑気味。ユーリがストッパーみたいな感じなのかなぁ……? ある意味、ティールと似たようなポジションかもしれない。新たな胃痛枠の誕生……? って思ったけど、ラルの破天荒というか、奇想天外な考えにもついていけるし、否定もしない人だから、ティールよりも柔軟な考えの持ち主だわ。胃痛には悩まないか←え

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第34話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でゆるゆるっと過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回までは男女別れて休日を過ごしてました。あの後、合流してわちゃわちゃしていたと思います。
今回からはまた学園に舞台を戻しますぞ~♪
主役はツバサちゃんだ!!
ツバサ「ほえ!?」
ラル「ちょっと語弊ない? それ」
そうだね。視点がツバサちゃんってことですね。


学園でのお勉強やクラスの皆さん……生徒会としてのお仕事や色んなことに慣れてきた今日この頃。生徒会の方々によくしてもらって、とっても楽しく過ごしている。今日は大きなお仕事もないみたいで、ティールさんもラルさんに向かってお仕事しろーって叫ぶ回数も少ない気がする。……ない訳じゃないんだけど。
「ラル、ここなんだけど」
「んー……あ、えっとぉ……これは……なんだろう」
お仕事の書類かなって思い、顔を上げる。ティールさんの手には書類……ではなく、紙は紙だけど、いくつか問題の書かれている課題みたいなプリントだった。そこには全部答えが記入されているみたいだけれど、その中の一つを指差している。
「君が書いたんだけどね」
「待って! 思い出すわ……んんー? はっ! あれだ! 索敵系魔法式を組み込んでどうのこーの……かな?」
魔法式の問題かぁ~
魔法を発動するための式で……算数の式というよりも、公式とか、化学式とかが近いのかな。式を組み立てて、複雑な魔術を発動することも出来る。冒険科のラルさん達は専門じゃないから、複雑なものではなく、簡単なものを授業で習う……って、レオンが言っていたなぁ。
「探知ね。これ、探知の式じゃないと思う。暗視じゃない?」
「……マホーワカンニャーイ」
「何のためのドリルだよ!! いい加減、魔術関連の知識をつける努力をしてよ! お願い!」
「必要ないじゃん。覚えたって使いどころ皆無だよ。使えない私には不必要な知識! OK?」
「敵でいるだろ。攻撃魔法飛ばしてくるやつ。ね、ツバサ?」
「そうですね。戦いになるとより複雑な魔法式になりますけれど、攻撃魔法は星の数ほどあると思いますよ?」
「避ければよいのだ~♪ 全部一緒」
えっと。どんな属性でも範囲攻撃魔法とか、時限装置みたいな罠、魔法陣とかもあるんだけれど……避けられる、かな。
ラルさん、魔術に関してはあんまり得意じゃないみたいで、この前もこうじゃないあーじゃないって言ってた。何をしているのか聞いてみたら、特別な宿題だよって教えてくれた。補習だったのかな?
「フォースせんせー……ラルさんをどうにかしてくださぁい」
ティールさんは私の隣に座っていたフォースさんに話しかけた。話しかけられたフォースさんは、読んでいる本から顔を上げずに淡々と答える。
「そこの生徒はやる気がないのでほっときましょう。そうやってこれからも苦しめばいいさ」
「おにー! お前がやれー! 適材適所って言葉を今ここで使うべきだ思う!」
「そうやって魔法絡みをおれに回すのよくないと思う。これも社会勉強だと思え」
「社会勉強って何さ。それを言うなら、私は……って、あーもう! やめやめ! 休憩!」
ラルさんはぱっと投げ出して、椅子から立ち上がった。備え付けの冷蔵庫に近づくと、中から一口大のチョコレートの包みを取り出して、口に放り込む。考え事をすると、甘いものがほしくなるって言うし、糖分摂取したかったんだろうな。チョコレート、甘くて美味しいもん。
「フォース君て、どこで魔法知識蓄えるの。使えないのに。それとも何か!? 制御者さんは使えるのか、魔法!」
「魔法を使える継承者がいれば、こっちも使える」
制御者とか継承者とか聞かない単語だけれど、時折、ラルさんがフォースさんのことをそう呼んでいた。それがなんなのか聞いてみたいけれど、あんまりタイミングがなくて、聞けずじまい。
「え、継承者にケモ耳があったら、お主にケモ耳が……?」
ラルさんは、じーっとフォースさんを観察するように見つめた。そして、目を閉じてその姿を想像しているみたいだった。私も真似して、頭の中でフォースさんに私みたいなお耳をつけてみる。……うーん、垂れてるよりも、ぴんってしてた方が似合うかも? フォースさん、カッコいいもんね。アラシみたいにしゅっとした方がきっと似合う!
なんて一人で納得していたけれど、ラルさんは目を開けると、冷めた感じの目線を向けていた。
「……うん。却下。可愛くない」
「お前の判断基準は可愛いか否かしかねぇのか。変態」
「ラル、どんなの想像したのさ」
「そりゃあ、色々? ツバサちゃんみたいのとか、ユーリ君みたいのとか。リリちゃんとかぁ?」
リリちゃん……リリアーナさんかな。ユーリさんと同じ魔術科二年生の先輩さんで、とっても優しくて、ユーリさんやイツキさんと仲良し。薄いオレンジ色の髪にウサギ族特有の長い耳が垂れていた。
「ツバサとリリアーナはともかく、ユーリはありじゃない? 牙狼でしょ」
「カッコいいじゃなくて、可愛いを追求してるからね。ユーリ君のはカッコよくて駄目だった」
ラルさん、可愛いものが好きなのかな? 
私の隣のフォースさんは呆れたようにため息をつくと、読んでいた本……文庫本サイズの小さな本をぱたんと閉じる。
「え、なんでケモ耳談義してるの。どうでもいいんだけど。生えないからね?」
「生やせよー! 創造しろよ、制御者さーん」
「縛るぞ」
「あっはぁ♪ 今の私はやる気満々だよぉ。乱闘待ったなしだね!」
あわわ! ばちばち火花を散らして、ラルさんもフォースさんも黙っちゃった! えと、ケンカはダメですよー!?
「はーい! はい! 君達が暴れると収集つかないから! 怒られるの嫌だよ、ぼくは。ツバサもいるんだし、やるなら学外でやって」
ティールさんの仲裁で二人はすっと緊張の空気を解く。そして、ラルさんがこくこくとうなずいた。
「そうだね。ツバサちゃんの教育に悪いものは見せられないし。じゃあ、今度! 覚悟しろ! いいな!!」
「いいよ。久し振りに楽しめそうじゃん。乗った」
「そこは乗らないで欲しかった。面倒だから、嫌だって言って欲しかったなぁ、ぼく」
「残念! お前も道連れだー! 審判役確保ー!」
窓際に立っていたティールさんに駆け駆け寄ると、ラルさんがぴょんと抱きついた。逃がさないって言っているみたいにがっちりと。
「うえぇ!? 巻き込むなよ!」
「私達は一蓮托生だよ。約束しただろー?」
「いつだよ。魔法の勉強で頭おかしくなったんじゃない? あ、チョップすれば治るかな……」
「やめて。本気で狙うな……やめろ!」
いいなぁ。私も、ラルさんにだっこされたい。後でお願いしてみようかな……?
「……あ。なあ、ツバサ」
「あ、はい! なんですか?」
フォースさんは近くにあったメモ帳に何か書き込むと、それを私に差し出してきた。メモを見てみると、全部、生徒会の資料っぽい名前がいくつも書かれていた。
「そこに書いたやつ全部、図書館にある資料室に置いてある。おれが行ってもいいけど、せっかくだし、ツバサが行ってきて。行ったことないだろ?」
「そうですね。……はい。行ってきます♪」
これから、行くこともあるかもだし、ちゃんと覚えておかないと。私も生徒会の一人! お仕事頑張って、ラルさんのお役に立つ! それが私がここにいるために必要なことだもん。
「……あいつ、当番だし」
「う?」
フォースさんがボソッと何かを呟いたみたいだけど、私には何のことだか分からなかった。首をかしげていると、私達の会話が聞こえていたのか、ラルさんがティールさんに寄っ掛かったまま、話しかけてきた。
「おりょ? ツバサちゃん、図書館行くの? 手伝おうか?」
「仕事あるでしょ。期限、忘れてないよねぇ」
ティールさんが指差す方向にはちょこんと積まれた書類の山。ラルさんはちらりとそちらを見て、ティールさんに視線を戻した。
「勉強の次は仕事まで振るのか、鬼教官……いや、秘書? 鬼の秘書?」
「無理矢理座らせて、仕事させてあげてもいいんだよ。そうしないのは、ぼくの優しさだって気付いて欲しいな、会長?」
「あっはい」
「大丈夫です、ラルさん! 私一人で行ってきますから♪ あ、でも、その……帰ってきたら、なでなでしてくださいっ」
「……うん。分かった。任せたぞ、ツバサ隊員」
にっとイタズラっ子みたいな笑顔を見せるラルさんにつられ、私もおんなじように笑った。
「はいっ♪ ラルたいちょー!」
フォースさんからもらったメモを大切にポケットにしまうと、生徒会室を後にした。廊下は走らないけれど、それでも早足で図書館へと急いだ。

ツバサが出ていった生徒会室では、いつもの三人が残っていた。ツバサが出入りするようになってからは、生徒会室でこのメンバーだけになるのも珍しくなっている。ラルはティールからするりと離れ、席に座る。そして、書類の山から一枚の紙を抜き出し、目を通し始める。
「珍しいね、フォース君があんなことするなんて」
先程までいがみ合っていたのが嘘のように、普通に話しかけた。しかし、フォースはそれに答えず、再び本を開いく。会話する気はないにも関わらず、ラルは話を続けた。
「やっぱり、一番は主? 可愛いか」
「別に」
「あはは。フォースも素直じゃないね」
苦笑を漏らしつつ、ティールが自分の席についた。ティールの言葉は聞こえないふりをし、本のページを捲る。
素直ではないとかそういう問題ではなかった。タイミングの悪い、我が姫様に機会を与えただけのこと。それを生かすも殺すも主の運次第である。
「珍しく、おれがお膳立てしたんだから、生かしてもらわなきゃ困るね。二度はない」
「この人、自白してるよ。可愛いってことだろ」
「可愛くはないけど、制御者の性分なんで」
「……って言う割には、扱い雑だよね。フォース」
「そこは、フォース君のアイデンティティーかな? 私も洗礼受けるし」
それは、ラルの普段の行いのせいのような気もするが、フォースもティールも口にしなかった。ラル本人も分かっているだろうと思ったからである。
これ以上、三人が会話することはなく、生徒会室には暫しの静寂が訪れたのだった。



~あとがき~
ツバサちゃん視点です。頑張るぞい。

次回、フォースに頼まれたお使いを遂行中のツバサちゃん。無事、見つけることが出来るのか!?

生徒会組三人+ツバサちゃんがいつもどんな会話といいますか、どんな風に過ごしているのかなって思って、おふざけを追加してみました。プロットはお使いするところからスタートだったんですけどね。私が色々いらんことを追加してます。楽しい。

新しい方が出てきましたね。つっても、名前だけだけど。リリちゃんこと、リリアーナでっす。ユーリ、イツキと同学年の魔術科の女の子です。二人以外にも生徒会役員(二年の)が欲しかったので。理由はそれだけです。あとは三年もいるんだろうけど、ラル、フォース、ティールがいるからこれ以上はなぁって気もします。まあ、あれですね。もっと沢山いるんですけどね。役職なしの子達とか。何か(行事とか事件等)あると、召集されるわけですね。ユーリ、イツキ、リリアーナはラル達の後継者候補なので、召集なくてもラルに色々利用されてます。まあ、候補は他にもいるでしょうけど。
なんだろう。位置的には、生徒会組三人の下にユーリ達、優秀な役職後継者候補者が何人かいて、その下に平役員が何人もいる……みたいな組織図を思い浮かべてくれればよいかと。ツバサちゃんの位置は……多分、ユーリ達と同じです。優秀な人材だし?
……あれ、何の話だっけ??(´・ω・`)?

図書館と図書室の呼び方に困ったけど、話を聞く限り、結構でかめの建物らしいので、図書室ではなく、図書館と明記しました。独立した建物なら、室ではなく、館だよなぁ……っていう私の考えです(笑)

ではでは!

空と海 第212話

~前回までのあらすじ~
過激表現に注意だ。死ネタとか暴力表現とかそこら辺だ。いいな!?
前回、ピカが復活してポチャと協力してるところです。終わる。展開早い。
ピカ「さっさと終わらせたいという心の現れ」
ポチャ「あはは……」
きっと、今回でVSガオガエン戦は終わりでしょう。多分。きっと、恐らく……?
ポチャ「これは終わるよ!」
ピカ「どんでん返しなんていらねぇ~」


逃げ場のないガオガエンにピカの攻撃を防ぐ手立てはなかった。赤い電撃を散らしながら、神器、ピンキーの刀身に負荷をかけていく。力ではピカの方が劣っているはずだが、雷姫の身体強化のお陰だろう。ガオガエンに押し切られることもなく、ピカが力任せにガオガエンの武器を弾いた。この時点で武器破戒とまでは至っていないものの、敵の手から武器を引きはがしたという事実は大きい。
『マスター』
「分かってる。神霊の宿る武器を手放せば、その能力は弱まる。……ポチャ、そいつにとどめさせるよ!」
「え、あ……うん!」
地面に着地をし、間髪入れずに指示を飛ばす。戸惑うポチャには目もくれず、ピカ自身はピンキーの落下地点へと走った。自我を失ったとはいえ、自分を守るために実体化してくる可能性もある。そして、その神霊が牙を向けば、形勢逆転もありえるのだ。
思ったより高くまで跳ね上げてしまったらしく、ピンキーは剣のまま、くるくると勢いよく回転しつつ落下していた。ピカはその真下に来ると、再び雷姫を構えた。
「実体化するなら、ガオガエンなのかな~……っと!」
『主がそうならそうだろうが……む?』
予想通り、ピンキーは空中で姿を変えた。しかし、大剣からガオガエンではなく、ライチュウへと変化したのだ。ガオガエンだと思っていたピカは予想外の展開に、構えていた雷姫を降ろした。このような状態では、反撃を受けてしまっても文句は言えないが、その心配はいらないらしい。ピンキーは体を捻り、着地点のずらしてピカとの衝突を免れた。
「ど、どういう……暴走して」
意味も分からず、ぽろりと素朴な疑問を零した。そんな彼女にピンキーはにこりと穏やかに笑う。
「しています。今も貴女を斬りたくて仕方がない」
「勝利宣言でもした後に私を斬り殺すつもりなの?」
降ろした雷姫を構えようとしたが、ピンキーはゆっくりと首を振る。
「いいえ。少し、貴女とお話したかったの。……雷姫の主様、神器を操る貴女と」
「……? すぐに終わるならいいけど」
『マスター、そんなことをしている暇はないのでは?』
「ないけど、せっかくだし」
雷姫自身はさっさと斬り倒せと説得したいが、ピカが簡単に自分の考えを変えないことは何年も仕えてきて十分すぎるくらい理解している。雷姫は内心呆れつつも、少しでもおかしな気配を感じたら問答無用で実体化でもして斬ってやると決意する。
「ありがとう。戦いの中で……遠い意識の中でも、気付いた。貴女は私を壊す選択を最後まで拒んだ、優しい子だと。そして、雷姫の主様……貴女なら、私の主様を助けてくれると思ったの。お願い。主様を助けて」
ピンキーは酷く悲しい表情を浮かべ、ピカに向かって懇願した。ピンキー……彼女の言う主が誰なのかはさっぱりであった。ピンキーの所有者はガオガエンであると思っていたし、疑っていなかったためである。
「雷姫の主様、お願いです」
「誰のこと言ってるのか分からない以上、易々と受け入れられない。ピンキーの本当の所有者ってのは誰?」
「イズというオスのライチュウ。ピストにいいように使われて、私も利用されイズと離れ離れになった。……もう、暴走した私は神霊ではないし、神器ではないの。主様の剣にはなれない……お願い。私はもう、駄目だけど、イズだけは、助けて」
ピンキーの所有者の名前を聞いても知っている名ではなかった。が、もう一つの名前には心当たりがあった。ピカの中でずっと黒幕ではないかと疑っていた人物である。
「……ピスト・フォレスか!? 今回の件、黒幕はやっぱりあいつが」
「イズ、ごめんね……ごめんなさい」
ピンキーはピカの問いに答えることはなく、顔を覆い、嘆くように謝罪の言葉を繰り返した。これ以上は会話出来そうにない。彼女自身、暴走してしまった先に未来がないのは知っていた。こうなるのも理解してたはずだ。ピカは雷姫を強く握り直し、しっかりと彼女と向き合う。
「分かった。イズさんのことは任せてくれていいよ。私の出来る範囲で頑張ってみる」
「ありがとう。……ありがとう、雷姫の主様。……最後のお願いです」
ピンキーは顔を上げ、優しく笑う。そして、落ち着いた声でゆっくりと言葉を紡いだ。
「私を、壊して」

ピカがピンキーと会話を交わしている頃。その場に取り残されたポチャはピカに言われた通り、ガオガエンにとどめを刺そうとしていた。とはいえ、彼のすることといえば、スイとセツに指示するくらいである。「そのまま、全身を包み込め」と。その指示は口にするまでもなく、二振りは忠実に遂行していた。その光景を眺めつつ、動かなくなったガオガエンを見上げる。あんなに牙を向けてきていたというのに、今はぴくりとも動かないのである。
「この人も、被害者……なんだよな」
ピカの言葉から、このガオガエンが何かに巻き込まれ、利用されたのではないかという考えをするのは簡単であった。そもそも、仮にこのガオガエンが生きていたとして、あんな回復力があったとしても、ヴァルツとピカの猛攻にびくともしないのはどう考えてもおかしな話である。耐えられたのは、何らかの能力が与えられ、かつ、神器の力のお陰であったと。戦いが終わった今、じっくり考えればたどり着ける答えであった。
「人体実験、か。……非道なことをする」
『あい。おわったよ』
『せーめーはんのー、まったくないのら』
ガオガエンが完全に氷に包まれたのを目でも確認し、二振りの完了の声を聞く。心なしか、二振りの声も沈んで聞こえてくる。
『てぃー、このひと、ずっと、かなしかった?』
『ないてた。いたかった?』
「多分ね。……残念ながら、ぼくには死者の声は聞こえないけれど、きっと辛いことからは助けられたと思う。スイとセツのお陰だよ。ありがとう」
『あい! てぃーのためだもん』
『うん。だーいじょぶ!』
「ごめんね。本当なら戻してやりたいんだけど、ピカの指示があるまではこのままでいてくれる? 完全に倒せたかはあの神器を壊したっていう確認をしないと……!?」
ぞわりと全身の神経が逆立つ感覚に襲われた。脅威は去ったはずなのに、警戒を解くなと全身が訴えているかのようである。とはいえ、スイとセツを剣に戻すわけにもいかなかった。ここでようやく押さえた敵を解放しましたとなっては元も子もない。
「誰だ。……もう、戦いは飽き飽きなんだよ、こっちは」
『てぃー! なんかくる!!』
スイの忠告を聞き入れ、目一杯横に飛び退いた。そして、これは完全に咄嗟の判断だったが、スイとセツを自分のところに呼び戻した。そうしておかなければ、と瞬時に思ったのだ。先程の発言を一転させた主から理由を聞き出さず、二振りは素直にポチャの手元に収まる。そして、支えを失ったガオガエンは前のめりに倒れる……はずだった。倒れる前に何かに貫かれ、くし刺しになったのだ。よく見ると、それは黄金の毛並みを持つ尻尾見える。その尻尾が何もない空間から伸びてきたのだ。そこに別空間に繋がるホールがあるかのように。
「なっ……!?」
「あら、避けましたの?」
どこからともなく、否、尻尾が出てきている穴から声が響いた。トーンからして、女の声だろう。尻尾をガオガエンから引き抜き、その尻尾を持つ人物が姿を現した。妖艶な笑みを浮かべる、キュウコンである。
「初めまして、大海のポチャさん。私、紅と申しますわ」



~あとがき~
ほら、ガオガエン戦は終わった。

次回、フォースを追い込んだ紅が登場。いったいどうなる!!

初めましての名前が二つあるかな?
まあ、今後出てくると思うので、特に何も言いません。

ではでは。

空と海 第211話

~前回までのあらすじ~
過激表現に注意だ~! 赤い液体は言葉としては出てきてないけど、他はあるぞ。色々注意だ~!
さて、ポチャVSガオガエンやってました。今回もその続きですね。いっくどー
ポチャ「これ、どれだけ続いてるんだろ」
ピカ「かなーりやってるからなぁ」
それなぁ……これの後の話は適当に手をつけてるので投稿出来るんだけど、如何せん、続きが書けなくってな。
これが終わったら、息抜きとしてピカとポチャの話をします。のんびりほのぼの~って感じの。


意気込むものの、現実は厳しいものである。出来る限り、距離を離していきたいのだが、少しずつ距離を詰められていた。相手の歩幅が大きいため、思ったようにどうにも距離が取れない。
ガオガエンは大きな雄叫びを上げ、大剣を片腕のみで振りかぶる。その剣先はギリギリ届いてしまうだろうか。
「横に逃げても上に逃げても、追いかけて斬られる気がする……技じゃ対応なんて出来ないし」
それでも、こんなところで死ぬわけにはいかない。斬られるギリギリまで引き付けて、相手の攻撃キャンセルが出来ないところで避けるしかないだろう。ポチャは”アクアジェット“を一度、解くとガオガエンと真っ正面で対峙する。集中して、この賭けに勝ち取らなければ。
真上から振り下ろされる剣に臆する暇はない。じっと見つめて、横へ回避しよう。そう心に決めた瞬間。
『てりゃあぁぁっ!』
「……! スイ!?」
液体へと変化したスイが主であるポチャを覆うように庇ったのだ。液体とはいえ、元々は聖剣。硬さはそのままに相手の豪剣を防いだ。
「な、なんで」
ピカを守れと命令したのに、と続けようとするも、その必要はなかった。ガオガエンの背後から激しい電流を帯びる相棒が目に入ったからだ。
「速攻で全力出すよ! 雷姫!」
『うむ』
大きくジャンプをし、体を回転させながら、さながらスピナーのようで、剣を持っていなかったガオガエンの片腕を吹き飛ばす。お化けでも驚くと言う感情はあるらしい。後方へ飛び退き、ピカを警戒しているように見えた。その間にピカはポチャの隣へと移動し、雷姫を構える。
「ありがとう、ポチャ。あとは任せて……って言いたいけど、引く気はないよね。相手の気を引いてくれる?」
「……君一人に戦わせるわけないよ。注意を引くのは任せて。でも、どうやって倒すの?」
スイを呼び戻し、後方支援に回る準備を始める。水で弓を作り出しつつ、首を傾げた。あんなに苦労していた相手を倒す方法を彼女は見出だしているらしいが、ポチャにはそれが分からなかった。
「あいつはあの武器……神器の力と自身の体の特性でほぼ不死身状態。どちからの力を断ってしまえば、倒せると思う」
「神器? あの剣が? でも、雷姫さんみたいに声が聞こえないよ? ぼくと相性が悪いだけかな」
ピカが説明する前に、雷姫が説明をしてくれる。刀であるため、動作などはなく声のみだ。仮にここで姿を見せ、説明をしてくれていたのなら、首を振っていただろうと思われるような声色だった。
『いや。我にも聞こえておらん。あいつはもう、神器であり、神器でない。器におった神霊は黒に染まってしまったのだよ。我らは主の心に住む。それ故、主の感情というものに左右されやすくもあるのさ。が、大概の神霊は我が強いからの。自我を失い暴走など稀なのさ』
「それだけ人の悪意に染められたってわけ。あの神器の能力は回復。その力と人体実験の成果であの死人は動き回って攻撃をして、あたかも生きてるように振る舞ってる。……理解した?」
ピカと雷姫の説明を聞きながら、水の弓矢を射る。相手の牽制をしつつ、更に疑問を投げ掛けた。
「あいつはもう死んでいて、自分の意思も考える力もないってこと?」
「そう。あるのは目の前の生者を殺せと言う命令と本能だけ。身が朽ちないのは神器の力。死なないのはあいつが死んでるから」
「……どっちかの能力を断つって、実質一つじゃない? あの神器を破壊するしかないよね。……ぼくらでやれるのかな」
強力な武器で、古代から語り継がれる神器を破壊など出来るのか。普通の武器では到底不可能と言える。しかし、同じ力を持つ武器なら、あるいは可能なのかもしれない。ピカの持つ雷姫やポチャの持つ聖剣を使えば、それくらいの技量と強さはある。が、現状では、使い手である二人は限界を超えていると言ってもいい。現にピカは一度、気絶するまで追い込まれているし、ポチャも剣を握り、振るう力も残っていない。
思わず漏れてしまった弱音にピカはあくまで冷静に、しかし、リーダーとしての返答を返す。
「私だけじゃ無理だよ。立ってるだけでもしんどいもん。でも、二人ならなんだってやれる。今までだってそうだった。……そうでしょ?」
「ははっ……うん。そうだった。二人で困難を乗り越えてきたんだ。いつも通り、だよね」
「そういうことっ! いくよ、相棒!」
「任せて、リーダー! さあ、仕掛けるよ。……“氷水撃”!」
ピカが走り出すのと同時に、水と氷の矢を無数に出現させる。そして、それらを一斉に放つとガオガエンに向けてコントロールする。
ガオガエンは大剣ということもあり、小回りが利かない。また、ピカによって片腕を飛ばされたために、防ぐ手段も限られていた。必要最低限の矢の数をガオガエンに向け、それが剣で防がれた瞬間に、本命である残りの矢を当てる。目眩まし程度にしかならないが、それくらいで十分であった。
後退りをするガオガエンにピカが突っ込み、懐へと潜り込んでいた。
「雷姫、力を寄越せ! 敵の武器破壊を狙う!」
『承知した』
その瞬間、ピカの両目が赤く変化し、雷姫の刀身からも赤い電流が走る。その変化にガオガエンも本能で悟ったのだろう。ポチャの攻撃を防ぐのではなく、ピカへとターゲットを変えてきた。
大きく振り上げた剣を一気に振り下ろす。ギロチンの刃にも思えるそれを黙って見ているはずもない。地面を蹴り、素早く横へと退避すると、ガオガエンの足下を狙い、五連撃を放つ。雷姫の力で、威力の上がっている斬撃で、敵に膝をつかせた。これも数秒後には回復し、立ち上がってしまうだろう。そうなる前に次なる一手に出た。
「ポチャ、相手を拘束!」
「了解。スイ、セツ! ガオガエンを縛れ!」
一度、納めた二振りを呼び出し、即座に水と冷気へと変化させる。本来なら、氷の刃となり、敵を貫く範囲攻撃を指示するところだが、それではピカの狙う武器破壊は出来ないため、今回の場合は無意味であろう。今は、敵の動きを封じる程度で構わない。
ポチャの意図を汲んだ二振りは一瞬にして、ガオガエンの下半身を凍らせ、動きを封じる。二振りの力を合わせているというのもあり、ガオガエンが脱出しようと、剣を振り下ろすがびくともしない。
「雷姫」
『いつでもよいぞ』
その間にピカは、素早く後ろに退避し、雷姫を下段に構える。少しの溜めと共に一気に走り出した。刀身に電気を溜めると、力強く地面を蹴って、ガオガエンのもつ大剣……神器、ピンキーに向けて全力を込めた一撃を放った。
「轟け! 雷姫ぇぇ!!!」



~あとがき~
ピカが本気出したらこんなもんだよ。(展開早い)

次回、ピカ&ポチャVSガオガエン終幕です!
やっとだよ。……やっとだよ!!

ピンキーの破壊についてはずっと考えていました。ピカが手がないこともない、と言っていたのは、これのことですね。対峙してからこの破壊については頭にあったものの、神器を破壊なんて探検隊である彼女が迷いなく選択出来るわけない。だって、お宝ものよ? ここに来て神器めちゃんこ(四つ)出てきてるけど、お宝だからね!? 忘れてるかもだけどそうそうある武器じゃないから!! くっそ強い武器として、昔から語り継がれてるから!!
そういうと、聖剣もそうなんですけどね。ポチャしか使い手出てませんね……そして、今後も予定はない(笑)

今回の敵について、ズルはありますが、ヴァルツ、ピカ、ポチャと一人ずつはね除けるくらいの力量があります。そして、ピカとポチャコンビにようやくギリギリ対応出来る相手です。まあ、全員、疲労困憊状態ですし、しゃーないっすね。そうじゃないなら、ヴァルツは一人でも対応しそうです。←

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第33話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で日常を過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとフォースっていうちょっと珍しいコンビでやってます。今回もいきますですよ。
ラル「この二人が話してると、精神年齢がぐっと下がるときあるよね?」
フォース「……? そうか?」
ティール「そんなことないよね?」
フォース「ないない」
ラル「そういうところだよ」


手早く手続きを終わらせると、トレーニング室の鍵を手渡される。
「今日、使用希望者はいませんので、終わったら鍵をこちらにお戻しください♪」
「ふーん? いないんだ。……貸し切り状態だな」
「うふふ。お二人が大暴れしても大丈夫ですね」
「そして、壊して弁償かぁ」
「ですねぇ~」
しないから! 大丈夫だから!!
リンとフォースで物騒な話をしているけれど、そんなことはぼくが許さない。加減を知らない子供じゃあるまいし。
「着替えよう。ほらほらー!」
「はいはい」
「ごゆっくりどうぞ~♪」
リンに見送られながら、ぼくはフォースの背中を押して更衣室へと向かった。
ここのギルドは正面玄関……一階は誰でも自由に出入りが出来る。主に依頼の受注や、お礼品の渡し口……仕事の後処理をする等がメインだけど、探検隊、探検家達の情報交換の場でもある。カフェが併設されていて食事を取りながら話も出来るし、聞かれたくなければ、ちょっとした個室を借りて利用も可能とあって、利用者は多い。
その一階から下に降りると、探検隊、探検家登録者のみが立ち入り許可されているところだ。ぼくらの目指すトレーニング室を筆頭に資料の閲覧、コンピューター利用、医務室等、探検のための支援を行う施設や情報が揃っている。もちろん、機密事項文書はここにはないけれど、ある程度の資料は見せてもらえるし、コピーも頼めばしてくれる。それなりに制約は存在するけれども。
ちなみに、一階より上の部分はギルドメンバーの私生活スペースで、ギルドメンバーのみが立ち入り出来る。ぼくらも以前、籍をおいていた関係で上に上がらせてもらえるけれど、最近は久しく訪れていない。とはいえ、親方に気に入られているラルはちょこちょこお呼ばれしているみたいだけど。帰ってくると決まって、叫び散らしているんだよね。何をしているのか気になるけど、教えてくれない。

ぼく達はお互い、動きやすい服に着替えを終えると、トレーニング室の鍵を開ける。文字通り、トレーニング用の器具が揃っていて、使いたければ自由に使用できる。まあ、こっちは目当てじゃないんだけど。
ぼくとフォースは器具の置いてある部屋とは別の扉を開けて、内鍵をする。ここに物はほとんどなく、ただ広いスペースがあるだけだ。床は少し弾力のあるマットみたいな素材だ。怪我をしにくい造りになっていて、壁もある程度の高さまでクッションに覆われている。
「こんなところあるんだな。初めて知ったわ」
「ぼくとラルはたまに使うんだけどね。君を連れてきたのは初めてか」
「ラル、この場所知ってるのかよ。じゃあ、なんでおれとやるときは外なんだ」
時々、ラルがやる気のないフォースを連れ出して、なんちゃって試合するときは、確かに人気のない屋外だ。その理由もなんとなく分かっている。
「オープンな方がラルにあってるから、かな?」
「でも、お前とやるときはここなんだろ? 意味分からん」
ぼくとフォースでは、構え方が違うんだろう。強いのはフォースの方だし、ラルも全力が出せるのは、限られたスペースよりも、広く開けた場所だ。自分にあった場所で挑みたいんだと思う。
「なるほど。ラルもせこいことすんね」
「チート級の強さを持つフォースに言える?」
「お褒めの言葉として受けとるわ」
そう言うと、フォースはニヒルに笑って見せた。特に嬉しくもないらしい。当たり前と言えば当たり前か。フォースがぐっと背伸びをしながらぼくから離れると、向かい合うような位置に立つ。
「ルールは?」
「最初は武器なし、技なしで。そこから色々試していきたい。見た感想を踏まえて、アドバイスしてくれると嬉しいかな」
「ほーい。いつでもいいよ」
フォースはいいとは言うものの、構えの姿勢も取らず、左手を腰に手を当てて立っている。これから戦うってときは基本、構えから入るものだと思うんだけれど、これが彼のスタイルだ。
ぼくは右足を半歩後ろに引き、少しだけ腰を落とした。接近戦且つ肉弾戦は全くの専門外だから、見様見真似ではあるけれど、授業で基本は押さえている。基本が通じる相手なのかは、また別の話かもしれないんだけど。
ふっと息を短く吐くのと同時に前に走り出す。一気に距離を詰めて、突きを繰り出す。
「てやっ!」
「まあ、そう来るよね」
予想の範囲内らしく、軽々と後ろへジャンプして避けられる。でも、こっちもそれは予想内だ。勢いを殺さないよう、更に一歩前に踏み出して回し蹴りにシフトする。
「やあぁっ!」
「おっと」
頭を狙ったつもりなんだけれど、これも読まれていたのか体を屈ませて避けられた。そして、次はこっちの番だと言わんばかりに素早く動いた。気が付いたら、フォースはぼくの視界から消えていた。しまったと思ったときには、ぼくの体は地面……ここでは床か。床に倒されていた。何が起きたのか理解出来ない。何をされたんだろう。そして、かなり不服だ。こんなにも早く終わらされるなんて思ってなかったから。
「……えー?」
「不満か? それならもっかいやる?」
ぼくのことを見下ろしたフォースがニヤリと笑う。その表情にムッとして、ぼくは腹筋を駆使して一気に跳ね起きる。
「当然!」
「ははっ! 威勢のいい奴は嫌いじゃねぇ。納得するまで相手してやる。少しでもおれを本気にさせてみろよ」
初めから勝てる相手ではないとは思っていたから、負けることに抵抗はない。ないけれど、少しでも焦った顔をさせてやる。それが今日の目標! 頑張れ、ぼく!

結果から言おう。全敗でした……
あれから、条件を変えて色々やってみた。最後はもうやけくそで、何でもありのルールとも呼べない条件下でもあっさり負けた。
そんなぼくは大の字になって天井を見上げている。ふて腐れているわけではないんだけど、脱力したと言うのが正しいと思う。何十回も重ねれば、何か見えるかもと期待していたが、残念ながら何も見えなくて、今に至る。
「武器まで持ち出したのに残念だったな」
声のする方をちらりと見ると、涼しい顔のフォースが隣に座ってきたところだった。流石、継承者を守る騎士様と言ったところか。フォースは時々、アラシをナイト様と呼称するけれど、フォースの方が余程騎士らしい。何があっても揺るがない強さは、主のための強さなんだから。
「おれが騎士なんてお偉い地位かよ。ないない。どっかの雇われ傭兵が関の山さ」
ぼくの心を読んだフォースが苦笑を漏らしながら、軽く否定した。
「雇われ……ねぇ? それでも強いってことには代わりないし、ステラ……継承者のための力だろ」
「こーんな平和な世界じゃ、こんなの宝の持ち腐れってもんだ。まあ、楽でいいけどな」
フォースは紅く怪しく光る瞳をぼくに向ける。その目の奥で何を考えているのか、ぼくにはさっぱりだった。フォースみたいに心を読めるわけでも、ラルみたいに推測が出来るわけでもないんだから。
「乱世の方がお好み? 次から次へと強敵を相手にするみたいな感じの」
「やだ。しんどそう。そう言うお前はそっちの方がいいのか? 自分を含めて、周りが傷つきながらも前に進む青春がよかったってか」
「死んでもごめんだね」
地獄かよ。ぼくはまあ、百歩譲っていいとしても、周りってことは仲間がやられるってことだろう。そこまでやわな仲間達ではないけれど、危険がないに越したことはない。特にラル。普段の行動ですらひやひやするのに、そんな危ない世界だと命がいくらあっても足りないよ。どんな無茶をするのやら。
「あいつなら世界を救うためとか言って、代わりに死にかねないな。身代わりになるとか」
「ありそう。平和でよかった~」
「だな。おれもすぅ達を守るために頑張らなくていいし、平和が一番。……っと話が逸れた。アドバイスだけど、ティールは型にはまりすぎ。奇抜な行動をされると、処理が追い付かない。なんだろ。フェイントに見事引っ掛かるタイプっつーの?」
「そ、そんなこと……ある、かも」
「レイ学の生徒相手だと、ほとんど実力差が目に見えてあるから、倒せるんだよな。レベルの差って奴。けど、大会で言う、勝ち上がる奴らとは実力が拮抗しているから、基本的な型と攻撃じゃ簡単には倒せない。相手も対応するだけの実力がある。適応力がないが故に、お前が慣れる前に終わるって訳」
「はあー……なるほど」
「解決策としては臨機応変に立ち回ればいいんだけど……つか、ティールは一人よりも大勢だったり、誰かのバックアップがあって、初めて真価を発揮するタイプだと思うんだよねぇ? お前の得意技、範囲攻撃だろ。ラルもそれを分かってて動いている」
言われてみると、ダンジョン内では確かにそうだ。大量の敵に囲まれたとき、ラルは一歩後ろに下がって、後方支援に回る。あるいは、ラルが前に出て、ぼくが後ろから攻撃をする。……なるほどね。
「ぼくは一人じゃ駄目ってことか」
「十分強いけどね。単騎でやれるおれやラルとは違うってだけ」
君が一人の方がいいのは分かる気もするけど、ラルも一人の方がいいの?
「いや? というか、あいつの武器は力の強さじゃなくて、頭の回転率だ。自分の強さも弱さも理解している。だから、その場にあった動きと作戦を瞬時に見抜くんだ。それもいくつもな。状況に合わせて修正をして、正解……勝ち筋を見つける。そこに突き進むんだ。それが一人だろうと多数を率いていようと同じだ。やることは一緒だから」
……とんでもないなぁ。ぼくの相棒。
「そうだよ。お前の相棒はとんでもないの。それを理解した上で付き合え」
「うーん。そうだね。ぼくが足を引っ張るのはラルのよさを消しちゃうよね」
「そうじゃないけど……まあ、いいや」
「君の強さは……やっぱり、力?」
「それもあるけど、一番は経験かな。今まで色んな時代を見てきて、体験したっていう経験値。そこら辺の奴より場数を踏んできた。それに伴った自信だってある。それに見合った力の使い方をしているだけだ」
経験。……確かに、それは大きな武器かも。
「お前の武器は安定した命中度と攻撃だ。一定のダメージソースを産み出せるだけの力量がある。あとは、それを使いこなすだけの力、策を練るとか観察力とかだな。それを身につけられれば、もっと伸びると思う。……今のお前に足りないものをラルが補ってるから、スカイは強いんだぜ?」
「それは自信持てってこと?」
「そ。今でも十分に強いっつたろ? 努力を忘れないのもお前の強さ。おサボり大好きなおれ達とは大違いだね。ま、ラルは隠れて特訓するのがお好きなようですけれど」
ふふ。そうだねぇ……
しばらく、お互いにぼんやりしていたけれど、ぼくがゆっくり体を起こすと、スポーツドリンクの入ったボトルを渡してきた。無言で受け取り、蓋を開けながら話しかけた。
「そろそろ帰ろっか。どうせならうちに来る? ラルのことだから、皆の分のご飯準備してると思うよ。食べてけば?」
「あいつ、邪険にしないか?」
「嫌な顔はするだろうけれど、ステラ達がいるなら追い返さないよ。いなかったとしても、追い返すもんか。ラルは優しいから。ラルの優しさはツバサの折り紙つきだよ?」
「ツバサ姫基準は駄目だろ。ラルはツバサに甘いんだから。……けどまあ、一理あるか。流石、お前の嫁さんだ。よく分かってる~」
丁度、スポーツドリンクを飲んでいたところの不意討ちだったから、動揺して思い切り気管にスポドリが入ってしまい、むせてしまった。
「んぐっ!? げほっ! けほ!」
「くくっ……反応が可愛らしいね、ティール」
「けほっ……んんっ……君がいきなり変なこと言うから! 嫁じゃないし! あり得ないから!!」
息を整え、慌てて訂正するも、残念ながら発言者はとっくに部屋を出ていった後だった。置いていかれた。しんとなった部屋でなんとなく、ラルがぼくの相手だったらと考えてみる。エプロン姿で笑顔で出迎えてきて……お帰りって声をかけてくれて……?
「……うん。今とあんまり変化ないかも。無駄なことしてないで早く着替えて帰ろう」



~あとがき~
なっっっが!!!
でも、最後の方のはやりたかったのでやりました。

次回、日常へと戻ります。何か事件が起こる……わけでもなく、ほのぼのな学園生活をお送りします!

本当なら、武器なし技あり、武器あり技なしとか色々するつもりでしたが、カットしました。なぜって長いからです。ティールがカッコ悪くやられまくるシーンもフォースがかっこよく勝ちまくるシーンもカットしました。ってことで、皆様のご想像にお任せします(笑)

この世界の二人にさりげなく、本編を否定するような文章入れました。残念だけど、お前らの現実はあっちだ!!! なんかもう自虐ネタっぽいね。ブーメランでふ(汗)
ティール「ここでは夢を見させて!?」
フォース「本当にな」
う、うるしゃーい!!

ギルドの内装についてもざっと説明しました。どれだけ広いのかとかはあんまり考えてませんが、よくあるファンタジー世界のギルドを想像してもらえれば幸いです。このレイ学世界限定の弟子とかもいそうですね。魔法を使う探検家とか、探検隊とかいそうです。全く考えてないけど。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第32話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりほのぼのしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
私が好き勝手展開することでお馴染み、休日パートです。色々話しました。今回は残された男子組。どっち視点で書こうか悩んだけど、ティールかなぁって。なんとなく。
ステラ「雑ですね!?」
ラル「これが通常運転だから」
え、あ……え??


集合場所として多くの人に使われる街の広場に向かうと、待ち合わせの相手はふわりと欠伸を溢していた。駆け足で彼に近寄ると、ぼくはある意味、お決まりとも言える台詞を口にした。
「フォース、待たせてごめんね?」
「んあ。……いんや、待ってないし」
「君らしい返答だね。じゃあ、行こっか」
「おう。えっと……こっちだな」
どこに行くかはあらかじめ決めてあって、その共有も終わっている。そのためか、すんなりと目的地目指して歩き始めた。
休日というのもあって、フォースもぼくも私服だ。フォースは、ライダースジャケットジーンズだし、ぼくはぼくで、ワイシャツに少し丈の長いジャケットで簡単に済ませていた。
「君が付き合ってくれるとは思ってなかったよ。渋られるか、最悪断られるかされると思った。ほら、ラルの頼み事は嫌だって言ってから渋々受ける割合が多いでしょ?」
仕事で外に出るときはあるんだけど、そうじゃない約束でフォースと外で会うのはあまりない。いや、家に呼んで、ご飯を食べるとか、ステラ達が来るからついてきたとかそんな感じで会うことはあるけれど。……うん。校外で二人だけってそこまで経験がないな。
「お前の頼みって、筋が通ってるから前向きに検討してるだけ。ラルは根掘り葉掘り聞いとかねぇと、こっちが損するし、聞いても納得出来ない方が多い」
「それでも面倒だって言われると思ってたんだって。君の口癖みたいなものだろう?」
「おれを何だと思ってんだよ。否定はしないけどさ。……まあ、おれもやりたかったってことだ。タイミングよかったの、お前が」
ふうん……?
ぼくが彼に頼んだのは、模擬試合のような……つまりは、バトルの特訓だ。授業でも体の動かし方、戦い方等は学び、実践するけれど、その場にフォースがいないことの方が多い。いたとしても、対戦相手になるのは稀で、あったとしても制限時間と制約があるから、お互い全力なんて出せない。仕事ではむしろ協力して戦うし、普段もフォースと対立なんてしない。
「にしても、真面目だな。大会、最後だからか?」
フォースの言う大会っていうのは、剣技大会のことだろう。開催時期も近く、出場の意思のある生徒からぼちぼち参加表明証なるものも提出されつつあるらしい。とはいえ、今回は全く関係ないんだけど。
「あ、違う違う。ほら、新学期って忙しいから、仕事にセーブかけてるんだよね。体鈍ってないかなーってのを確かめたいと言うか、戻したいんだよ」
「そういうのを真面目っていうの」
ぼく、言うほど真面目じゃないと思うんだけどなぁ。ラルもフォースも、クラスメイトや生徒会の人達も、口を揃えて真面目って言うけれど。
「いいんじゃないの。周りからの印象がいいに越したことねぇよ。大会の成績も上位取るわけね」
自分でいうのもあれだけど、フォースの言う通り、剣技大会の成績はいい方だ。探検隊で培ってきた経験が活きてくるのか、優勝とは言わないけれど、それなりに成績は残している。優勝出来ないのは、ぼくに応用力と機転が利かないからかなって。ラルに言わせると、ぼくの戦い方はソロに向かないとかなんとか。実力が均衡する相手の場合、適応するための時間がかかりすぎて、隙が多いらしい。確かに、相手を観察しようと躍起になっている間に攻撃され、押し負けるのがテンプレだ。どうにかしたいけれど、仮に優勝して目立つのも不本意だから、現状の成績で妥協している節もある。上にいきたい欲はあるけども。
いや、でも、ぼくが成績を残せるのも別の理由があるように思えてならないのもまた事実だ。
「それは君達が途中棄権するからかな? 流石に二人が本気で来たら、順位とかがらっと変わると思う。今年は出なよ。去年なんて学校にすらいなかったよね? 一回くらいは君の本気、見てみたいよ」
毎年ルールが変わる剣技大会なのだが、一年の頃は確か、細かくグループに分けられた総当たり戦だった。フォースは二回戦かそこら辺で棄権していた記憶がある。一回戦を数秒で終わらせて、話題になっていたのに、次の試合では姿を見せず。当時は面識はなかったものの、こうして交流するようになってから理由を聞けば、「飽きた」の一言だった。
「面倒だからやだ。……去年は生徒会の仕事はやってたよ。大会は参加してないけどな。ラルってこういうのは真面目に出てるって思ってたけど? 生徒会の仕事より、大会の方が楽とか言ってさ」
「うーん。元々、目立つの好きじゃないからなぁ」
ラルは誰かに注目されてのを好まない。普段から大胆な行動をしている割には、そんなことを言うものだから、矛盾しているねって指摘したことがある。そして、返ってきた返答は気持ちの問題らしく、自分がやりたいからやったことが、結果的に見られて注目を浴びて、話題になって……っていうのは、仕方ないって思っているらしい。構え方の問題なのかな。その辺はぼくには分からなかった。
それに、彼女の感覚だと実戦と試合は違うみたいで、剣技大会は仕事が嫌だとかそういう以前に、好きじゃないって感情が先に出ている。戦うのが嫌いじゃないけど、剣技大会は試合だから、好きじゃないって言われた。彼女の線引きは難しい。
「あ~……おれもラルの言うこと分かるかも。実戦って手加減する必要ないだろ。そういうことじゃないか?」
……うん?
どういうことなのか詳しく問う前に、目的地に着いてしまった。仕方なく、この辺で話を終わらせて、中へと足を踏み入れた。
ぼくらの目的地は、探検隊としては馴染み深い探検隊ギルド、フェアリーギルドだ。かなり広いギルド内は、出入り自由のフロアとギルドメンバーのみの立ち入りOKの生活スペース、探検隊登録者のみ立ち入り出来る施設がある。この辺だと、それなりの規模を持つギルドの一つだと思う。ぼくとラルも以前はここで修行をしていた時期もあるけれど、高等部進学と共に卒業をしている。
「手続きしてくるから、待ってて」
「おー」
「あら! フォースさんがギルドにいらっしゃるのは珍しいですね!」
後ろから話しかけられ、慌てて振り返ると、笑顔のリンがいた。少しグレーかかった白色のロングヘアーの彼女は、シンプルな白のワンピースにカーディガンと清楚にまとめられている。普段、受付の仕事をするリンが入口……つまり、外にいる方が珍しい。たまたま外に出て何かしていたんだろうか。
「おれが来る必要がないからね。リーダーとサブリーダーが優秀なもんで」
「うふふ♪ そうですね~♪」
仕事の受理をぼくらでやっているから、他のスカイメンバーがここに顔を出す機会がない。とはいえ、独自に動くムーンやクラウはある程度来ている。それでも依頼の受注に関しては、ぼくとラルがやっているのだ。
「本日はどうしました? お仕事の話は伺ってませんが……?」
「あぁ、うん。仕事じゃなくて、トレーニング室に行く予定だから」
「そうでしたか! 何日か前に言っていたの、今日でしたか~♪ それでは手続きしますので、受付へどうぞっ」
バッチリお仕事モードのリンを先頭に受付へと向かう。今日は学生的にはお休みなんだけど、探検隊に休みと言う感覚はないようで、多くの人が依頼書の貼ってある掲示板を睨みながら様々な仕事を吟味していた。
「今の時期、何の仕事が多いんだ? ティール達みたいに掲示板見ないから、知らないんだけど」
「収穫……というか、収集ですね。春は実りの時期ですから。ダンジョン内でしか採れない物もあるんですけれど、内部は凶暴なモンスターも多いのです。そのため、こちらに依頼が多く来ています」
「うっへぇ……じゃあ、討伐系がいい。何も考えなくていいし」
フォースらしい返答にリンは小さく笑うと、カウンター横にある小さなバーを上げると、中へと入った。そして、ぼくらに向き合うと再び笑顔を見せた。
「それなら、今度、報酬のよい討伐依頼を確保しておきますね♪ それでは改めて……フェアリーギルドへようこそっ!」



~あとがき~
ストックありすぎ問題を解決するためにしばらくは週三投稿を心に決めました。まあ、「やっべ、何も書けねぇ!」ってなったら、慌ててすぐに週二か週一に戻る←

次回、ティールVSフォース……は面倒なので、だらだら話します。このシリーズでバトルシーンを挟むつもりはないのじゃ。というか、まさか男子組に二話使うなんて思いませんでした。うっそだろー!?

この世界にもギルドは健在です! 名前はフェアリーに変えてますが、本編のプクリンギルドと全く同じです。そして、ギルドメンバーもちゃんと全員いますよ。ということは、レイ学校長と教頭もここの人って訳ですね。二足のわらじ……二人……いや、教頭の思惑としては、よき人材を近くで見極めるために今のポジションにいるのかもしれませんな。校長? 何も考えてないよ。きっと。いや、何かあるのかな?? 分からぬ。

前々からちょこちょこ話題に出てます、剣技大会。実はこれを書いている時点(3月上旬頃)で特に何も決まってません。だから、詳しい内容とかも出てこないんですねー! うふふー!(笑)
でもまあ、フォースやラルは好きではない(そもそも、普通の授業にすら出ない二人ですね)ようで、過去の大会では序盤にさっさと退場しています。ティールはちゃんと出ていますが、優勝経験はないようです。今回の大会はどうなるんでしょうね? 相方のお話に期待……そして、詳しい設定なんかも期待…

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第31話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらやっている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
前回は、長かったツルギ君のイタズラ話が終わりました。今回はいつもの休日回。のんびーりやっていきますぞ。
ラル「そろそろ影が薄くなってきたキャラのピックアップをするべきだと思う」
個人的にピックアップしたいNo.1はアリアちゃんですかね。ちろっとしか出てきてないですし、何とかしてやりたい。まあ、相方というか、友人が何とかするさ。
ラル「他人任せ」


リビングに設置してある比較的大きめのローテーブルで、毎週恒例、学校からの宿題に取りかかる中等部二名。そこまで悩む様子はないが、時折、問題を解く手を止め、考える素振りを見せていた。それでも、どうにか進めていたものの、集中力が切れたんだろう。持っていたシャーペンをテーブルに転がし、ぐでーんと伸びてしまった。
「毎週、毎週。おんなじ課題ばっかりだよー!」
シックでふんわりしたお嬢様っぽいワンピース姿のステラちゃんが、見た目を裏切るような言動と行動をし始める。その隣ではカジュアルでボーイッシュな私服でまとめているリーフちゃんがいた。リーフちゃんは、ステラちゃんみたいに投げ出しはしていないけれど、楽しそうに取り組んではいなかった。当たり前と言えば、当たり前だ。
今日は一日、この二人を私の家……厳密に言えば、ティールの家だが、そこで遊ぶことになっている。まあ、フォース君とティールが二人で出掛けるから、面倒見といて、よろしくと投げられただけなんだけれども。二人も小さい子供ではないのだから、面倒を見る必要もないと思うのだが、家に遊びに来るのは大歓迎なので、断りはしなかった。家とは言え、お客様がいるため、私もいつもの部屋着ではなくちゃんとした私服だ。レースのあしらったブラウスとハイウエストのスカートである。一応、外に出られる服装だが、出る予定は一切ない。
「ちょっと休憩しよっか。気分が乗らないなら、休むのも大切だし」
完全にやる気のない二人に提案すると、だらだらしていたステラちゃんが顔を輝かせながら、機微に動いた。反応いいな。
ステラちゃん達のやりかけの課題はそのままに、三人でお茶の準備をする。普段から誰かが来れば用意するため、手頃なところに置いてあり、数分でちょっとしたお茶会の完成である。
「紅茶でいいよね。ミルクと砂糖はお好きなようにどうぞ。あ、お菓子もね」
「やったー! ラルさんの淹れるお茶、美味しいですよね♪」
う、うーん? ステラちゃんはそう言うけれど、その辺で買ってきた市販のものだ。誰が淹れても一緒な気もするけど。褒められてるから、ありがたく受け取っておくべきかな。
ステラちゃんは紅茶に砂糖を二つ程入れて、ティースプーンでくるくるとかき混ぜる。お隣のリーフちゃんはミルクと砂糖一つだ。ここら辺は個人の好みが出るもので、私はストレートである。
「中等部三年に上がって、そろそろ一ヶ月過ぎたかな? どう? 最後の中学生活は」
「あんまり変化はないですよ。内部進学がほとんどで、よそに行こうって話も聞きませんし。でも、今年はリーちゃんと同じクラスで、楽しいです♪」
「去年は別々だったもんねー? 勉強も少し専門性が増してきたかなって気もしますが、フォースの課題とかちらっと見ると、まだまだ優しいことやってるなーって思います」
ふむふむ。楽しそうにやっているようで何よりだ。中高一貫校であるレイ学は、そのまま高等部へ進学する人が多い。進路云々はまだ楽観視している人達がほとんど。ちなみに、大学という高校の上位互換ともいえる機関は存在するが、研究職が主であるため、行く必要性がないのだ。となると、どこかのギルドに所属し、修行をするか経験を積むために各地を回るか……手段は多いが、探検隊、冒険家の道に進む者が多い冒険科の進路はそんなところだ。対して、魔術科も似たようなものだろうか。魔術専門の職業とか知らないから何とも言えないけれど、探検隊に所属するのもあり得るだろうし、どこかのギルドに所属の道もある。
私の場合、すでに探検隊活動をしているわけで、どこかのギルドに入るつもりはない。活動についてを知っているリーフちゃんは、確かめるように言葉を紡ぐ。
「ラルさん達は探検隊メインになるんですよね。ってことは、今みたいにお話しする機会も減っちゃうのかな……? んーと、フォースやティールさんも?」
「そうなるかな。今までセーブかけてた活動を積極的にしていくからね。フォース君は……詳しく聞かないけど、うちに腰を据える気でいるなら、何日も家を空けるような仕事は割り振らないよ。ティールがどうするかは知らないけど」
私やフォース君が大学で何かを研究することはないだろうが、ティールの将来は不明である。私と探検隊を組む前はレイ学卒業後、国へ戻ると話していたからだ。まあ、故郷に対する愚痴が多いため、戻りたいと考えているのかは微妙ではあるものの、彼はあれでも一国の王子様。好き勝手できる私とは違う。
「聞かないんですか? 本人に」
「この話題はナイーブなのだよ、ステラちゃん。ティールにお家の話は持ち出しにくいのよ~」
真面目で寛大で誰にでも優しいティールだけど、家庭環境やらそこら辺の話には、難色を示す。無理に聞き出そうものなら、無表情にやめてって言ってくるのだ。……なんて、色々言い訳を並べるけれど、実際のところ、私が望む答えを聞けないのが怖いだけなんだろう。我ながら、自分勝手で我儘である。
そこを突っ込まれたくなくて、ティースプーンを使って紅茶をくるりと混ぜながら、私は話題を変える。
「あ、リーフちゃん。関係ないんだけれど、ミユルちゃんっていつもいるのかな」
「え? あ、はい。いつも部活に顔を出していますよ。どうかしました?」
「あー……うん。ちょっとお話ししたいなーって。話を通してくれるとありがたい」
「分かりました。近々、ラルさんが来ますって言っておきますね」
多少強引ではあったものの、素直な後輩ちゃん達は、蒸し返してこなかった。それよりも、別の話題の疑問が浮かんだらしく、ステラちゃんが小さく首を傾げた。
「何かあったんですか? ミユルさんと」
「ご相談がね~……うん。色々ね」
相談でもなんでもないんだけれど、セカイイチ問題をそろそろ話す必要がある。放置していていい問題ではないし、一部の園芸部員が問題視しているんだから、面と向かって話すべきだ。いや、私が覚悟して話すのも変な話だよな。くっそー……損な役回りだよ。本当に。
「あれ。ステラちゃん、ミユルちゃんのこと知ってるの?」
「リーちゃんのところに行ったとき、たまーに見かけるんです。そこでちょっとお話しもするんです」
なるほど。
「じゃあ、ツバサちゃんとも会った? 時々、ミユルちゃんのところに遊びに行ってるんだけど」
放課後、生徒会のお仕事もそこまでない時は、たまに「みーちゃんのところ行ってきます」と笑顔でお出掛けをすることがあるのだ。一時間もしないで帰ってくるのだが、楽しそうに帰って来るから、そんなに早く帰ってくる必要もないと言ってはいる。しかし、ツバサちゃんには、やんわりと否定されまくっていた。
出掛ける回数は多くないけれど、もしかしたらと思ったのだが、ステラちゃんはぷくっと頬を膨らませた。
「会えてません。リーちゃんは仲良くなったのに!」
「そ、そこまでじゃないけど……敬語を使わなくなった……かな。お互いに」
「お、ツバサちゃんのこと、何て呼んでるの?」
「ツバサって、普通に呼んでます。……ステラ、拗ねないでよ~」
「私だけですよ。会えてないの。すーくんがお家でお姫様パワーがどーのって言ってるから、見てみたいのに……」
いや、あいつは家で何を言っているんだ。
「ラルさんのやる気スイッチは、お姫様のものって言ってましたよ。意味は分かりませんけど」
……まあ、この前のことに関しては否定できないけれど。いや、私のやる気スイッチは私のものだ! 断じて、ツバサちゃんに押してもらっている訳ではない。……と、思う。
「そのうち会えるんじゃない? というか、ステラちゃんがうちの生徒会室に来ればいいよ。高確率で会えるじゃん」
「そうですけど、部活の当番があるんですよ」
あぁ、そうか。それは仕方ない。
ステラちゃんは図書部という部活に所属している。主に図書館で活動していて、普段は図書館のスタッフとして本の整理や貸出、返却処理、館内の装飾などをしている。また、校外へ赴き、読み聞かせや本の紹介なんかもやっているらしい。のんびり本に囲まれているだけの部活ではないと、ステラちゃん自身に力説されたのもいい思い出だ。
「フォースにも八つ当たりしてるもんね~? フォース自身は完全に無視してるけど」
「すーくん、興味ないことには無頓着だから。知ってて当たってるからいーの!」
何がともあれ、ステラちゃんとツバサちゃんの御対面についてはもう少し先になるかもしれない。私が手回ししてもいいけれど、まあ、保護者の方がどうにかするでしょ。しばらくは何もしたくないし、できる限り省エネモードで頑張るって決めたから……私。



~あとがき~
もう少しお茶会というか、女子会は続くんですけど、終わります。

次回、男子組いきまーす。

ラル達、生徒会三人は卒業なので、進路の話を出しました。ステラ達も卒業なんだけど、彼女らは高等部が待ってますから。まだまだ学生は終わりませんからね!
この世界において、大学っていうのは必須ではないご様子。ラル達に関しては、現場で経験を積むのが一番な訳で、何かを専門的にお勉強する必要もないんですね。研究するなら話は別でしょうけど。
その色が濃いのはフォースでしょうが、彼はもう誰かに教えてもらう必要がないくらい、独学で極めてますからね……
ラルとティールの関係も友達以上に恋人未満なので、今後に期待……という思いを込めて、あんな感じにしました。これからもちょこちょこ似たような話題は出していきたいですね~

図書部の話はこの後、別のところで真面目にやります。
個人的なことですが、図書館関係は資格を取るために勉強しているので、いつものふわっと想像だけで進まないかなっていう想像。いや、そんなこと言っても、専門用語は出しません。そこまで覚えてないし((

ではでは。