satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

お知らせ

夏ですね。まだ学生な私は夏休みです。夏休みなんですけど、今年はやることがな……あってだな……
バイトと学校の課題です。学校の課題で察して! 卒業するためのあれです!!

とまあ、それとはあまり関係ないっちゃないです。
本題を言ってしまうと、現在週1投稿をしている、空と海の定期更新をピカとポチャの話が終わり次第、不定期に戻しますってお話です。理由は単純。続きが書けてないからです!!
ふわふわっとした話の流れで書いてたら完全に詰みましたね。原因これですね。卒業のあれのせいではなくて、いつもの無計画な私が悪い。
ってことで、ある程度話が固まって続きが書けるまでは適当に投稿します。8月はあと2回かな。それを投稿したら、続きは9月以降だと思われ。

今現在、空と海とは別に、メインになってるレイ学は、私ではなく相方が大体の話を組み立ててくれているので、ストックたくさんです。私一人ではあり得ない事態ですね(笑)
なので、しばらくは定期更新のままです。週3には……しないかな。投稿日は多少変更させますが、週2のまま定期更新を続けていくよ!


8月の第3週辺りからそのように投稿していきます! まあ、元々空と海は不定期だったので、それが元に戻るだけです。大層な理由はないです。はい。
今後の私の都合で投稿頻度は変化するかもしれませんが、少なくとも何かしら投稿はします! 1ヶ月何も出さないなんてのはないです。な、ならないようにいい感じに計画立てて頑張っていくよ……!


ではでは、短いですが、閲覧ありがとうございました! 次回は! ふっつーに空と海を投稿しますんで! お楽しみに!

学びや!レイディアント学園 第60話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しく過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックです。
前回は、アラシ君視点で大会前ののほほんとした女の子達のお出かけを……あ、違う?
じゃあ、屋台巡りを開始しました。はい。
アラシ「この後が殺伐としてるみたいな言い方してない?」
してないよ~?
アラシ「……そうかぁ?」
そうですよ……決して、この後のバトルが~とか考えてませんよ、はい!
アラシ「考えてたな」
……はい。


《A side》
それぞれ、お目当ての食べ物を見つけたようで、それをパクつきながら、だらだらと屋台巡りを楽しんでいた。
「そういえば、アラシさん。大会には参加するんですか?」
鈴カステラを頬張るステラが俺の方をちらりと見ながら質問をする。その答えとして、俺は小さく頷く。
「まあな。この大会に参加するっていう憧れはあったんだよな。中等部時代に見学してたからさ」
「ほへー? 私はあの乱戦見て参加したいなんて思いませんけどね~」
そこら辺は価値観の違いだな。毎年が乱戦だらけではないが。
「アラシさん以外にお知り合いは参加しないんですか? ツバサは出ないんだよね? 確か」
リーフの言葉にツバサは肯定する。おばさんに止められたって話は俺もツバサ本人から聞いていたから、把握済みだ。理由が理由なだけに、どうしようもない。
「俺はレオンと同じ部活の人達くらいしか知らないかな。……出そうだなってやつの見当はついてるが」
レオンに関しては、大会の受け付けが始まってすぐに、「勝負しようぜ!」と持ちかけられた。参加人数が不明だったのもあり、試合ルールが明らかになっていない状況で、何を言い出してんだと呆れたが、気がついたら了承してしまっていた。
「レオンのやつには絶対負けねぇ」
「? 何があったんだろう」
俺の反応に不思議そうにしているリーフに、ツバサが笑顔で答えた。
「ん~……いつものことだよ♪ アラシとレオンは何かある度に勝負するから♪ 勝った方が言うこと聞くーとかそんな話してるんじゃないかな?」
よくご存じで……なんて。ガキの頃から似たような光景を見てきたツバサなら予測なんて簡単か。
「今回の試合ルールは、ブロック戦からのトーナメント戦でしたっけ。アラシさん、どこのブロックかは決まってるんですか? すーくん、知らないの一点張りで教えてくれないんですよね~」
フォースの場合、説明するの面倒だから言わないだけって可能性の方が高そうだ。まあ、答えは本人にしか知り得ないだろう。
「ブロックは直前のくじ引きで決めるらしい。……あいつとは被りたくないんだけどな」
俺の脳裏に目をぎらつかせ、片っ端から相手をなぎ倒すアリアの姿が浮かぶ。想像しておいてあれだが、そのイメージに少しの寒気を感じてしまう。俺はそれらを振り払うように頭を横に振った。
事情を知らないステラとリーフはきょとんとしていたが、アリアを知るツバサは何とも言えない表情を浮かべていた。
何も知らない二人に軽く説明してやろうかと考えていると、ステラが何かを見つけたのか、はっとしてあるところを指差す。
「あ、駄菓子屋さん! 私、行ってきまーす!」
「わあ♪ ほんとだ! 待って、ステラちゃん! 私も行くー!」
よく見えたな。って、お前が行くなら俺も行かないとじゃね……?
先に行ってしまったステラとツバサを追いかけようとするが、ふと視界に見知った人を見た気がして、ぐるっと見回してみた。すると、俺達から離れた屋台付近に、話に出てきたレオンとアリアの姿がある。嬉々としてたこ焼きをこれでもかっていうくらいの量を買い占めているにも関わらず、更に買おうとしているらしい。それをレオンは必死に止めている。俺を散々いじり倒す馬鹿でも、アリア相手にはあんな風に振り回されるもんだから、アリアの食欲というものは恐ろしい。
俺としては、ある意味見慣れた光景だ。レオンがアリアの暴飲暴食を見張るため一緒に行動しているのだが、あれで少しは抑えられているのかは怪しい。いやまあ、アリア一人だとこの辺の屋台全部、平らげるかもしれないが。
友人として、仲間としてはあそこでレオンの加勢に行くのが美しき友情なのかもしれないが、生憎、今の俺はツバサのお財布係……もとい、女の子三人のお供として忙しい身だ。……まあ、忙しくなくても、助けには行かないけど。だって、関わりたくないし、俺一人行っても変わらないし、色々怖いし。試合前にアリアのパンチとかチョップとかその他諸々食らいたくない。マジで。
「どうしたんですか、アラシさ~ん? ツバサ達、行っちゃいますよー!」
少し離れたところでリーフが手を振っている。追いかけてこない俺を心配して、呼んでくれているんだろう。アリアのこの一帯を買い占めそうな勢いに焦るレオンと、あいつの心配なんてどこ吹く風といった雰囲気で、美味しい食べ物を目の前に楽しそうなアリア。彼らを見て、そっとリーフに視線を戻した。
「何でもない! 今行く!」
つーことで……レオン、任せた!

この後のレオンとアリアを俺が見届けることはなく、また、レオンとアリアの今を知らない三人は駄菓子屋でお菓子を楽しそうに選んでいる。
別にいいんだけれど、食べてばっかだな。
「アラシ、これにする!」
「……はいはい」
財布を取り出して、店員にお金を渡す。選んだお菓子を袋にまとめてもらい、それを受け取ったツバサは嬉しそうにしていた。
「今度、ツルギと一緒に食べよーっと♪」
「いいんじゃないか? あいつも喜ぶだろ」
「うんっ!」
ステラとリーフも選び終わったらしく、俺と同じように会計して、それぞれ袋を手にしている。
「こういう素朴な味って美味しいですよね。洋菓子甘さとは違ってと言いますか」
ステラはそう言いながら、金平糖をいくつか手のひらに出す。そして、リーフとツバサに分けた後、残った金平糖を俺に差し出してくれた。ありがたく二、三個ほどつまみ上げ、口の中に放り込むと、ほのかな甘味が広がった。ずいぶん、久し振りに食べる金平糖を味わいつつも、苦笑を浮かべる。
「そうかもな。でも、素朴なって聞くと、年寄りみたいだぞ……?」
「そんなことないですよー! あ、でも、すーくんはこういう方が好きです。だから、すーくんのせいですね」
え、あ、そうなのか……? いや、フォースのせいじゃない気が……
「次はどこ行こっか?」
切り替えの早いステラはもう次の目的地の話をしている。うぅん……ま、いいか。
「せっかくだし、何かゲームみたいなのもしたいなぁ……近くには、射的があるけど。フォースとかティールさんに任せた方が確実……」
「あ、でも、あの射的屋さんの景品、一番のマスコットかわいい! くまさんっ!」
そこの射的は景品を打ち落とすのではなく、的当てのような感じらしく、得点毎に景品が選べるようなルールらしい。ツバサが可愛いと言ったマスコットは、三番目に高い得点の中に含まれている。そしてこれは偶然だろうが、熊のカラーはブラウン、エメラルド、ホワイトの三色が揃っている。三人の髪と似たような色だった。
「私、欲しいなぁ……」
「ツバサちゃん、挑戦する? じゃあ、一緒にやろ! 行こ行こー!」
「ふえぇ!? わ、私は……!」
「あーもう。強引だなぁ、ステラは」
「リーちゃんもやるんだよ? 三人でくまさんゲットだー!」
「得意じゃないのにー……まあ、いいけどね~」
ステラに背中を押される感じでツバサが連行される。それを呆れつつも、ついていくリーフ。
……えっ!? ツバサがやるの? それはちょっと……いや、かなりまずいやつなのでは。遠距離系全般、大の苦手なのに。
しかし、止める隙もなく、ステラが手際よく三人分の料金を支払ったらしく、射的屋の人は三つ銃をツバサ達に手渡していた。こうなってしまうと、断るに断れない。かくなる上は俺がやるしかないが……どういうわけか、銃を持ったツバサはやる気満々で、コルクを銃に装填しているところだった。
「……大丈夫か、ツバサ? なんなら変わるけど」
「うん。……せっかくだから、挑戦してみる……!」
えーと、嫌な予感がするのは俺だけか?



~あとがき~
思ったより屋台巡りするな……?

次回、苦手な遠距離系に挑戦するツバサちゃん! 一体どうなる!
部活見学のときに出てきた話を今ここで出します。覚えている方はいらっしゃるのか……(汗)

アラシ君がレオン君を見捨ててますが、別にアラシ君が冷たいからとか、レオン君が嫌いとかではないです。単純に空腹アリアちゃんに関わるのが嫌なだけですね……(笑)
こういうときのアリアちゃんは、レオン君に任せるのが基本なんだと思います。なんかそんな風に習いました。まあ、アラシ君がレオン君に助け船を出さないのは、日頃の仕返しの意味合いもなくはなさそうですけど。……どっちにしろ、レオン君が大変な思いをするのは変わりません。ドンマイ、レオン君。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第59話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやする物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
今回はあれだ。せっかくのお祭りなので、その風景をね。お見せします。いや、お祭りじゃないんだけど、お祭り騒ぎだから、お祭りなんだよ……
アラシ「つまり何が言いたいんだ?」
ステラ「わいわいした何かをお見せしますって感じですかね?」
アラシ「あー……え? そんな感じ?」
ステラ「多分?」
今回はアラシ君視点です。ステラとも迷いましたが、保護者視点で書きやすいかなっていうだけ。
アラシ「保護者!?」


《A side》
今日は待ちに待った剣技大会……なんて言うと、楽しみで仕方ないと思われるかもしれない。が、俺的には、楽しみ半分、面倒になりそうだなってのが半分。
剣技大会は高等部の生徒だけで行われる行事の一つで、中等部の頃から憧れがなかったわけではない。自分よりも強い人に会えるかもしれないし、先輩と剣を交える─メイン武器が剣ではない人もいるけれど─のは、早々ない機会でもある。それもあって、高等部に進学して、参加してやろうと決めてあった。ちょっとした期待で、ラルとかあの生徒会三人組とも出来るのかなーとかも考えていた。……まあ、実際のところ、三人とも出る気全くないみたいで、エントリーもしてないって言っていたから、そこは残念なところではある。しかし、ラル達以外にも強い人達はいるから、そこは楽しみしている点ではある。
面倒だなって思っている理由として大きなものは一つ。幼い頃からの知り合いのアリアだ。普段、こういう行事には興味無さそうにしているのだが、今回に限ってはそうも言ってられないのだ。本人に参加意思を聞いたわけではないから、憶測に過ぎないけれど、恐らく……いやもう、これは絶対に参加してくる。なんせ、賞品の一つの学食タダ券なんて言葉を耳にすれば、大食いという言葉では収まらないあいつの胃袋センサーが反応するに決まっている。昔から、そういうところは悪いところだと思う。本当に。
できれば、アリアとは戦いたくない。昔のよしみだからとかではなく。そんな優しい理由ではなく、心の底からお願いします……
「……はぁ」
「アラシー! ごめんね! 待った?」
この先に待ち受けている面倒事を考えてしまい、思わず溜め息を漏らしていると、待ち合わせ相手がぱたぱたと駆け寄ってきた。生徒会の仕事で遅れてきたものの、いつもの制服姿のツバサだ。
「待ってないよ。お前は仕事だろ?」
「うん。事前に打ち合わせするって言うから。来なくてもいいって言われたけど、ラルさんとお話ししたくて♪」
ラル好きにも拍車かかってきたなぁ……これ、ラルが卒業するなんてなったら、どうなることやら。ま、まだまだ先の話だけどさ。
「……って、行かなくてもよかったのか?」
「最終ミーティングは大会開始直前に全員集めて、軽くお話しするんだって。それだけに出てくれればいいよーって言ってくれてたんだけどね。でも、それじゃあ、お話の時間ないから」
なるほど……?
ラル的にはツバサに屋台なりを大会前に楽しめるようにって配慮だったんだろうが、ツバサには必要なかったらしい。一応、その事前打ち合わせ後でも間に合うだろうっていうツバサの考えなんだろうけれど。
「……で? そのラル達は?」
「ん~……なんか、まだやらなきゃいけないことがあるって、ティールさんとフォースさんと残るんだって。お手伝いしましょうかって聞いたけど、流石に追い出されちゃった。『アラシ君達が待ってるよ!』って、ラルさんが」
大会に選手として参加しなくても、生徒会として大忙しだな、あの人達は。
「早くステラちゃんとリーフちゃんとの集合場所に行こ!」
あーはいはい……
大会が始まる数日前、ついこの間、仲良くなったステラとリーフと屋台巡りの約束をしていたらしい。俺はその場にいなかったものの、「行ってもいいでしょ……?」と上目遣いでお願いされれば、駄目ですなんて、とてもじゃないが言えなかった。ぶっちゃけ、試合が始まる前なら暇だから、断る理由なんてないんだけれど。
学園内だし、ツバサ達だけでもいいような気もするが、一般人もいるし、何があるか分からない。それに女の子三人だけだと不安ではあった。あと、ツバサのお財布係のためにもついていけと……後者が本日の主なお仕事である。
待ち合わせ場所である正門近くにある噴水広場まで行くと、そこには俺達と同じように待ち合わせをしている人達で賑わっていた。そんな中でも、ツバサは二人を見つけたようで、ぴょこっと耳が動いた。
「ステラちゃーん! リーフちゃーん!!」
「あ、こら。走るなって」
俺の注意なんて全く聞かずに、ステラ達のところまで駆け足で向かう。仕方なく、俺もその後ろをついていく。
「おはよう、二人とも! ごめんね? 待たせちゃったよね」
「おはよ、ツバサちゃん。全然待ってないから気にしなくていいよ♪」
「そうそう。こっちは二人でのんびり待つだけだからね。……おはようございます、アラシさん!」
「おう。おはよ、ステラ、リーフ」
ステラもリーフも中等部の制服姿だ。ふわっとしたブラウンの髪を揺らすステラと黄緑色の髪を赤いリボンでまとめているリーフは、楽しそうにツバサと話していた。
「見て見て! こんなにたくさんお店あるんだって! 毎年、ほんとすごいんだよ?」
「ほわ~♪ ほんとだ! どこ行こっか?」
「甘いものは外せないよね! ツバサは何食べたい?」
「んーとね……」
……うん。散財しないように見張ろう。
「そいや、ステラ達はお金あるのか?」
「はい。すーくんからお願いしていつもより多めにもらえました。『お前らの今月の小遣いとして渡すから、使いすぎても知らん』って言われてますけどね。まあ、最悪、呼び出しますよ」
ちらっと見えたその笑顔の意味は考えない方がよさそうだな。見なかったことにしよう。
すーくんってのは、フォースのことで、ステラとリーフはフォースと一緒に住んでいるらしい。ツバサからの又聞きだけど、三人で家計をやりくりしてるってなると、フォースの財力というか、やりくりどうしているのか聞きたくなる。少なくとも、ステラにもリーフにも親はいるだろうから、二人の学費はともかくとして……フォース自身はいまいち、分からない。確実に俺達よりは年上だろうが、ラルやティールよりも年上な気がする。
「フォースて、不思議だよな」
「え? すーくんはすーくんですよ?」
「いや、そういうことじゃ……いや、いいや。機会あれば本人に聞くわ……」
のらりくらりとやり過ごしそうだが、そのときはそのときだ。
「フォースさんで思い出した。ステラちゃん、歩きながらでいいんだけど、制御者ってなあに? ずっと聞きたかったんだけど、タイミング逃してて」
リーフとツバサで行きたいところをピックアップしたんだろう。そちらへと向かいつつ、ステラに質問をした。制御者って言葉は初めて聞いたが、ツバサは何度か聞いたフレーズらしい。ステラは少しだけ考える素振りを見せつつ、にこっと笑って答えた。
「制御者は継承者を守る人のことだよ。継承者は私。ちょっとした能力を持ってるんだけど、それを完璧に使えるようになるまで、私を守る……ボディーガード? 執事みたいな人? あ、執事ではないか。かしこまりました~なんて言わないもん。命令は基本無視だもん! でも、あれだけは逆らえないや」
継承者は能力者で、制御者はその能力者を守る人? いや、守る必要があるってどういうこと。
ちょっと専門用語みたいなもんが出てきたけど、ステラは構わず話を続けた。
「私の呼び掛けには必ず応じるよ。来てって言えば来る。……ほら、この前、資料を持っていったときにも見せたやつ」
「あ、あれはたまたま聞こえただけじゃなかったの?」
「それもありそうだけど、ここで呼んでも来てくれるよ。まあ、今やれば睨まれるし、文句言われるからやらないけど。……機会があれば見せてあげるね」
そんな魔法みたいなこと、あり得んのかな。ステラは魔法使わないって聞いてたけど。
「私の説明よりもすーくんから聞いた方がいいと思うよ? 機嫌のいいすーくんに聞いてみて」
機嫌よくないと駄目なのか?
「駄目じゃないですけど、適当なことしか言わないので。それ以前に九割、めんどくさいからやだって断ります」
あ、なるほどね。
「要するに、すーくんは普通の人じゃないってこと。私と一心同体の……なんだろ。制御者っていう役を与えられた人……? なのかな」
普通じゃないらしいってのは理解したわ。ピンとは来てねぇけど。
質問者のツバサはしきりに首を傾げていたものの、結局、どう納得したのかパッと顔を明るくさせる。
「あんずあめ屋さん見つけた~!」
……お目当ての店見つけただけかよ!?



~あとがき~
ツバサちゃんが前に制御者とはってなっていたので、出したけど、一言とか難しい。
いつか……やる。かも、しれない……?

次回、続けて屋台巡りします。

ほわほわしてるステラとツバサちゃんに前向きで明るいリーフ……そして、その三人の保護者をするアラシ君。少し面白いので、頑張って書いていきます。多分、試合前の癒し……(書く側の最後の晩餐的なそれ)
別に最後じゃねぇけどな!? バトル挟まるのを分かってたらこう、だらっとした日常が楽しいじゃない!?←

別案として、ステラがフォースを呼び出すってのがあったんですけど、流石に話が違う方向へと行くので止めました。一応、そのパターン書いたんですけどね。消しました。没ってやつです。
いつか、アラシ君やツバサちゃんの前で呼び出すっていうシーンがあればいいけどね。なさそうですね。なくていいんだけども(笑)

ではでは!

空と海 第224話

~前回のあらすじ~
面白くなってきた。
ピカ「適当か! 前回は結婚制度の話をしたって言え! ちゃんと!」
ポチャ「……」
あ、ポチャだ! なんだか久しぶりな感じがするね! やっほっほーい!
ポチャ「なんでこんなにテンション高いの、作者」
ピカ「さあねぇ~」
こういう日常的な話って言うの? 書いてて楽しいわけよ。バトルなんて書きたくない。文章思いつかないんだもん!
では、始めますよ!


あ、あの……? え?
戸惑うぼくには気にもせず、ピカは前に向き直しつつ、話を続けた。
「住む方に従うつっても、ポチャは王族だから、試練はするでしょ? んでもって、王宮に届けられるわけでしょ? でも、同じデータが重複しちゃうわけで、ややこしいよなぁって。まあ、そういうのを集計するコンピュータがあって、そんなの気にしないって言うなら話は別だけど、そんなの出来るのは陸だけだしさー……あ、でも、中央の島で全部集まるならいいのか……?」
ぼくの驚きは無視されて、ピカのマシンガントークは終わらない。けれど、ピカの結婚疑問はどうでもよくなるくらいに、衝撃は大きかった。
ぼくが、陸か空の国の女の子と結婚したらって話……? 飛躍しすぎだよね!? ピカの頭の中でどうなってその疑問になったの!? というか、あの、待って……それって……それって!! 遠回しに、あれ、えっと……えっとぉぉ!?
「根本的なところから言えば、王族の人って、他の国の子と結婚なんて出来るのかってのも疑問なんだけどね? 身分違い恋とか、物語じゃあるあるだけど、実際のところ……って、ポチャ?」
ぼくがどんな顔をしていたのかは分からないけど、大方予想は出来る。きっと、顔を真っ赤にして見るに耐えない顔になっているんだ。そんなことを気にしていられる心理状況にないけどね!!
「おーい……? どしたん?」
ぼくの目の前でふりふりっと手を振って、反応を確かめているらしい。見えてるし、反応してあげたいんだけど、やっぱりそれどころではない。
お、落ち着け……ピカのことだ。こういうときのピカは何も考えてないんだから……単純に疑問に思っただけなんだ。きっとそうだ。変に勘違いするな。勘違いすると、恥ずかしいやつだ……落ち着け落ち着け……
「……ふぅー」
「え、何? 急に深呼吸なんてしちゃって」
「ううん。なんでもないよ……んと、ピカの話なんだけどさ。多分、今までに事例がないから、ぼくからはなんとも言えない、かな」
平静を保って、いつも通りに答えればいいんだから。大丈夫大丈夫……出来てる、よね?
「事例ないの? 一つや二つはありそうだけど」
「まあ、海の国に住んでて、わざわざ住みにくい陸の国に行く理由がないからさ。出会いもないわけだよ」
「あ、なるほど。確かにそうだわ。陸に住んでる人達は海の国に移り住むことなんて滅多にないもんね。その逆も然り、か」
ふむふむ、とようやく納得がいく答えに辿り着いたようで、すっきりしたみたいだ。よかった。ぼくの態度に関しても突っ込みもないから、大丈夫だったってことだよね。
「でも、仮にそんなことがあったとして、試練はやると思う。仕来たりだから、やめることはないだろうし」
「ふーん……住む世界が違うと色々大変だなぁ」
そ、そうだね……
あぁ、こういうことは考えたことなかったけど、大変なんだな。ピカとぼくが結婚なんてことになったとしても、色々……って、何考えてるんだ!?
「ど、どうした、ポチャ? 挙動不審で怖いんだけど。隣歩きたくないレベル」
「いえ、なんでもないです……」
ピカの目にぼくはどう映っていたのかわからないけれど、とりあえず挙動不審になっていたらしい。
「……そう? まあ、いいけどね。さて。もうちょい歩いたら、そろそろ帰ろうか」
「ん。満足したの?」
「うん。したした♪ ポチャとデート出来て私は満足だよぉ~♪」
ピカはにっと笑うと前を向いた。満足したのなら、よかったけれど、振り回される身にもなってほしいよ。ま、楽しいけどね……ん?
「デート出来てって…………えっ? デートだったの? えっ!?」
「お祭りは二人で回れなかったからね。その代わりだったんだよ。というか、私達、付き合ってるんだし、十分雰囲気あったと思うけど?」
え、いや、雰囲気はあった……けど、え?
「こういう場面は探検隊のチームだとか親友としてじゃなくて、ティールの彼女として、私のことを見てよね~♪」
……えっ!?
困惑ばかりしているぼくを見て、ピカは楽しそうに笑った。なんだか、手のひらで遊ばれている気分。
「帰ろっか、ポチャ」
君って人は、ほんと、本性を見せてくれない。
君は、ぼくにどうしてほしいのさ。ねぇ、ラル?



~あとがき~
はい。ポチャはいつも通りの日常として過ごしていたみたいですけど、ピカはデートしてたみたいです。認識が違ってる二人でした。

次回、ポチャとフォースの男同士で話すだけです。……多分ね!
ポチャとフォースって言ってるけど、もうちょっとだけ、ピカとポチャの話は続くよ!

今回短いんですけど、許してくださいな。きりがよかったんです!
後半、どうしめようか悩んでたんですけど、そういえば、ポチャはデートだって意識してなかったなと思い、そこを突っ込ませてもらいました。ピカの質問に戸惑いは見せてたけどね!
ほんま進展しない二人ですね(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第58話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびり過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、前日話というか、剣技大会(プロローグ)が終わったって感じですね。今回からは大会当日の話です! だからって、さっさとバトル開始とはなりませんけど。
ラル「どう書くか決まった?」
いや。全く……バトル時の視点どうしよう(汗)
アラシ「いつもの成り行きか」
ラル「はぁい! いつもの入りました~!」
アラシ「えっ!? あの、お前もやけになってない?」


《L side》
いつもの登校時間と大して変わらない時間帯。普段と違うのは、学園内がお祭りの最終準備で騒がしいという点だ。屋台が出て、その準備に追われている人や最終チェックをしている人。そんな人達の波をかき分けて、私は生徒会室へと向かう。別に仕事がしたくて向かうわけではない。かと言って、大会から逃げ出したい訳でもない。いや、仕事からは永遠に逃げたいと思っている。一生、働かずに過ごしたいと考えてはいる。……いや、そうじゃなくって!!……こほん。
最終ミーティングに行くだけだ。仕事と言えば仕事だが、話をするだけなので、それを仕事と形容していいのかは微妙なラインではある。ティールは大会時に使用する会議室のチェックをしてもらっている。フォース君は……まあ、ギリギリに来る。多分。
生徒会室に到着すると、カバンから今回の大会についての書類と関係者名簿、参加者名簿、そして、来賓のお客様名簿を取り出した。その中でも大会参加者名簿を捲りながら、椅子に座る。
今大会は予想通り、今まで以上の参加人数になった。例年、平均して百から二百といったところだが、今回は四百である。傾向なんて無視して、一年生の参加も多い。そして、二年、三年も多い。……これは例年通りか。
参加人数増加理由は準備時から予測していた、賞品が影響しているのだろう。何せ、冒険科より魔術科の参加者が多いのだ。理事長の講習会目当ての人達ってことだ。理事長の専門は冒険ではなく、魔術。講習会がどんな内容になるのかは分からないが、魔法関連の方がより詳しい話が聞けるだろうと推測は容易だ。また、ツバサちゃんの母親というのもあるのかもしれない。あの飛び級の才女様の母親だぞ!? めっちゃヤバいじゃん!? みたいな感じなんだろう。
「……うん。間違ってないけどね。その反応はさ」
セラ理事長からは、私とティールを探検隊へと育てた親方……ここの校長と似たような雰囲気を感じる。のほほんとした雰囲気なのに、隙がない。隙があるような気がするのに見えてこない、と言うか。言葉にするのは難しいのだが、要は似ているのだ。あの二人は。
……校長と言えば、ギルドの親方であるし、生徒のスカウトのために誰かをこちらに寄越すのだろうか。剣技大会には数多くのギルドのお偉いさんが来るわけで、一応、人員確保するいい機会だ。流石にご本人様直々は……ないな。うん。いない。
「どうせ、音符が……ないか。人事向いてないもん。後、来るとしたら誰だろ」
妥当なのはリンか。
どうでもいいことを考えながら、参加者名簿を閉じると、次は事前に確認したい項目だけを見ていく。
今回の試合形式は予選からのトーナメント戦。負けたらそこで終わりだ。参加者が多いため、ブロック毎に制限時間を設けてはあるものの、残りが二人になるまで戦う。そして、それを四ブロック繰り返し、残ったメンバー八名でトーナメントを組み、勝ち上がれば、優勝となる。
生徒会からも何名か出場するが、ほぼ予選落ちで終わるだろう。人数が人数だし。ちなみに、予選で負ければ、生徒会のお仕事が待っている。厳密に言えば、トーナメント戦から裏方へ復帰していただく。余程のことがない限りは、現場に来てもらう約束だ。使えるものはとことん使っていくスタイルなので、お昼休憩でも挟めば動けるはずだという考えの下、生徒会メンバーには伝えてある。
トーナメント出場候補としては、将来有望なキーくんとユーリ君の二人だ。が、キーくんは視野が狭いし、ユーリ君もまだ本調子ではなさそうなので、優勝はどうかと思う。まあ、予選くらいは勝ち上がってくれたらな、とは思うけど。
「あ、ユーリ君が予選落ちすれば、お仕事ばりばりこなすのか。……惜しいなぁ!」
「おはようございます。会長、人の不幸を願わないで欲しいです」
おや。ユーリ君。聞かれたか。
「おはよ。……現地集合でもよかったのに。生徒会が使う部屋で最終ミーティングやる予定だよ? 私はマル君……大会実行委員長君と打ち合わせするから、ここにいるだけで」
規定通りの魔術科制服姿のユーリ君は、少し困った顔でぽつりと呟く。
「人、多いなぁと」
静かで集中出来る場所を探していたのかな。それにしても、クールなユーリ君がストレートな物言いをするなんて。
「あら。とげとげしい」
「戦うって分かっていて、のほほんとしてられませんから」
「ふうん。……体、どう?」
丁度二週間前、とある事件に巻き込まれたユーリ君は命に別状はないものの、痛手を負わされた。怪我はほぼ完治しているはずだが、対人戦での怪我は何かと精神的に来る。職業柄、数えきれないくらい経験してきて慣れてしまったが、ユーリ君はそうではないはずだ。明確な殺意を向けられるなんてそうそうないのだから。
ユーリ君は左肩に手を置き、少し間を空けてから口を開いた。
「もうほとんど痛みもありませんし、問題ありません。……ただ」
「ただ?」
「あれで、体の癖って言うか、それが抜けきらなかったですね。せんせ……イツキのおじいさまに稽古をつけてもらったんですけれど」
「あ~……かばってるのか、背中」
「はい。気にする必要がないのは理解しているのですが。……会長はそういうとき、どうします?」
「え~? 怪我したときの戦い方ってこと? ん~……動かない。相手を利用しまくる、かな。その癖って弱点だからさ、悟られないようにする。そのためには動かないのが一番」
まあ、考え方によれば、強みにもなるけれど。それを利用するのは今のユーリ君では難しいだろう。
「参考にします。……では、お邪魔しました」
「ギリギリまでいてくれてもいいよ?」
「大会が始まる前に調整しておこうかと。……ここで武器、振り回しますよ?」
「それは駄目だ~♪ また後でね!」
「はい。それでは」
教室を出ていくユーリ君の背中を見つめた。そういえば、ユーリ君って何の武器使うんだ? 普段、キー君の後ろでサポートとして、補助魔法を使うから、武器を出すところ見たことないかも。去年は大会出てなかった気がするし、少しだけ、楽しみになってきた。
私はカバンから、探検に行くときに身につけている三日月のチャームがついたペンダントを引っ張り出す。これのためだけにこれを入れてきたと言ってもいい。
このペンダントは私が技を出す際に媒体として使っている魔道具の一つだ。これは主に補助系統を出すために使っている。ぶっちゃけ、使い分ける必要なんてないんだけれど、私のスイッチと言うか、気持ちの切り替えとして、アイテムの使い分けをしているのだ。余談だが、学校内では雷姫を媒体として使用している。もちろん、雷姫を使っても補助系統は出せるが、如何せん、雷姫が嫌がるので仕方なく分けているところはある。
「出てきて。”ドール”!」
「はぁい! お呼びですか? 我が主様♪」
私そっくりの分身がどこからともなく目の前に現れる。見た目がそっくりなだけで、思考回路や性格は全く似ていない。本来は私の分身として、相手を欺いたり、二人で共闘したりとバトルの面で大いに活躍するのだ。私の使う技の一つで、ある技の応用で編み出した技でもある。
「やってもらいたいことがあるの」
「マスターの替え玉はお断りですよぅ? 以前、ティール様に叱られましたので」
「しないしない。二度も同じ手は効かないからね。そうじゃなっくて……服を繕って欲しいの」
「お洋服ですか? はっ!? マスターのお召し物に何か!?」
「ないよ。用意して欲しいだけだもん。私のじゃなくて、ね」
不思議そうに首を傾げるドール。そんな彼女に私は笑みを返すだけだ。
さてさて……上手くいくといいけれど。



~あとがき~
試合はまだまだ先です。

次回、大会前のお祭りを堪能します。
……ツバサちゃん達がな!! 視点は言わなくても分かるな!?((

ユーリ君を出したのは、前の休日回で色々あったからです。
あとは、話の流れ……(笑)

技を使用する際の媒体……魔道具の話はどっかでしましたっけ? 覚えてねぇ……!! いや、でもした気がする! 気がするけど、ここでもさらっと説明をば! 技を出すために必要な道具です。魔道具は人それぞれ、合ったものを使用します。アクセサリーだったり、武器だったりです。色々形はありますが、用途はどれも同じです。
ラルの魔道具その一は今回、登場したペンダント。それと、魔道具とは違いますが、代用できると言った意味で、雷姫がその二になります。あともう一つ持ってますが、まあ、どっかで出るか。
ちなみに、ティールは懐中時計とスイ、セツ。スイ、セツは雷姫同様、代用可といった感じですね。フォースは……あいつは能力で戦うので魔道具は使いませんが、赤い石がついたネックレスつけてるんで、それですね。使いませんけど。あと、一つは持ち歩きしてますが、滅多に使いません。結局、こいつは技を使わないっていう結論に……(笑)
ステラは武器としてチャクラム等の飛び道具。能力で使えませんが、将来的には武器を通じて技を出します。……え? いつになるか? 知らない!←
リーフは横笛とハープです。
イツキはこの前使ってましたね。ブレスレットです。後は武器も媒体にするんじゃないですかね。武器での戦闘だと、自身の愛剣を使います。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第57話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいやる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
剣技大会(準備編)が始まりました。準備の話はさっさと終わらせたいですね。
ラル「さっそくどう進めるかめちゃくちゃ悩んでるよね」
それな。視点変えてくとは言ったけど、どうしたものか……まあ、そのときそのときで対応します。頑張るぞ……


《L side》
しばらく、私は差し出される書類の処理や呼ばれて生徒会室を出る等を繰り返していた。一段落ついた頃、控えめなノック音が聞こえてきた後、見慣れない二年生が入ってきた。知らないってことは大会実行委員の子だろう。
「失礼します! 今年の優勝賞品が決まりましたので、ご報告に」
入ってきた後輩君はぺこりと頭を下げ、私に一枚の紙を手渡した。私の傍にいたツバサちゃんがその紙を覗きこもうとしていたので、見やすいように手元の位置を下げた。
「決まったんだ。今年はどうなったの?」
ティールが作業の手を止め、後輩君を見て首を傾げた。
ちなみに、賞品について、生徒会はノータッチであり、実行委員と教師陣の会議の下に決められる。流石に会長なら、ちらっとでも関わりあるでしょ、と思うかもしれないが、私はどんな風に決められているのかも知らない。興味ないから、なんでもいいというか、なんというか。自分がゲットする気もないので意識しないと言いますか。
「実行委員の話し合いから出た案を元に先生方、また先方との相談した結果、『レイディアント学園食堂の一年間無料食べ放題』になりました。その証として、ブローチが贈呈されます」
「食べ放題? あの食堂にあるメニュー全部?」
後輩君が来たときは完全に無視していたフォース君が賞品の内容に驚いたのか、呆れ半分、疑い半分といった表情を浮かべている。
「はい。全品です」
「マジか。太っ腹なことしてんな。つか、よく許したな」
「うちの学食美味しいから、誰が貰っても嬉しいものだよね。貰って困るものってあるし。ぼくは学食派じゃないから、いらないと言えばいらないけど」
「矛盾してっぞ」
「……? あ、確かに。でも、貰ったらまあ、使う……よね?」
「あー?……いや。毎日食堂まで行くのが面倒だからなぁ」
「君はそうだろうね」
どうでもいいことを話す男子二人は今回、参加意思がないのは聞いている。フォース君がしないのはいいとして、毎年参加していたティールがしないのは驚いた。理由を聞けば、「三年だし」と一言。意味が全く分からない。
ここで、黙ったままのツバサちゃんが気になり、横をちらっと見ると若干の焦りの色が見える。
「? ツバサちゃん?」
「タ、タダ券……!? あ、あの、これって決定事項ですか? もう、変更なしなんでしょうか」
「そう、ですね。もう大会まで時間がないので、今から変更ってのはないと思います。……何か気になることでもありましたか?」
「あ、えっと……いえ! 何でもありません。すみません、変なこと聞いて」
見るからに何か心配しているけれど、後輩君の言う通り、今から別のものは用意は難しい。不測の事態にならない限りは変更ないだろう。私が在籍中に急遽、変更いたしますなんてなかったし。
「上位入賞者は?」
「上位四位までの方々に贈呈予定です。セラ理事長の講習会参加券ですね。こちらは双方の同意の元、譲渡が可能になっています」
講習会、ね。……セラフィーヌ理事長と話す機会はほぼないし、貴重な体験ではある。時折、話す機会はあるが、その度に流石、学園を取り仕切る人だなと毎回思う。それくらい、多方面に造詣が深い人だ。
「今回、参加者多いかもな」
「だね。ちょーっと面倒かもにゃあ~?」
「えと、そうなんですか? まだ、参加者は確定してませんよね」
何らかの心配事から、多少は回復したらしいツバサちゃんが不思議そうに尋ねる。剣技大会の雰囲気を知らないツバサちゃんが、私とフォース君の反応を変に思うのは仕方がないかもしれない。
「してないな。今週中までに参加表明書出してもらうから。が、お前の母親が出てくるとなると……って考えるとね」
「ふえ? お母さん?」
「ラルみたいに重役で学校の細部まで関わるなら話す機会がない訳じゃないが、一般生徒からすると、式典以外で姿は見ないだろ。役職持ちのおれらも全くだし。な?」
「ね。生徒達、皆、理事長の凄さは知ってるし、熱心な子は話してみたいって思うよ。魔法だけじゃなくて、冒険に関する知識もあるって聞くから。それに加えて学食のタダ券だろ? 絶対、多いよ~」
賞品の効果は絶大であり、そうでなくとも将来を考え、上級生の参加者もいる。考えたくはないけれど、どういう風に進めていくのかも気になるが、人が多い=トラブルも増える、と言う図式が成り立つ。ありとあらゆる可能性を考えなければ。
「それが一番めんっどくさい……確定してから考えるかな。えと、他に何か報告は?」
「あ、えっと、そうですね。……指定された場所にポスター掲示を完了したということと、参加者名簿は後日、完成させてお渡しします。詳細については委員長に伺っていただければと」
「ほ~い。ご苦労様。……委員長て、あー……マル君?」
「はい!」
去年、同じクラスだった男の子で、赤味の薄い黄色い髪色をし、少し気弱な雰囲気の子だ。しかし、真面目で仕事が丁寧な印象。上に立つイメージはなかったけれど、マル君の性格だと、人望か断り切れなかったと見た。
「分かった。ありがとう。また何かあれば報告よろしくね~」
「承知しました。これで失礼します!」
礼儀正しく、頭を下げ、生徒会室を後にする。
後輩君の話から考えるに、今回になかなかの力を入れているということだ。大会実行委員が頑張ったのか、教師陣に何か考えがあるのか。憶測は憶測に過ぎないが、平和に終わればなんでもいい。……何か、面倒に巻き込まれのだけはごめんだ。
今日、できる仕事を再開させ、家路についたのはそれから一時間後である。

昨日、大会実行委員が張ったであろうポスターがところどころで目に付いた。登校してきた生徒達が立ち止まり、それはやがて小さな人だかりとなっていく。生徒が目にしているのは、剣技大会の開催日時や参加受付等々の詳細事項。それと上位入賞者に贈られる賞品についてである。
一つは一位に贈られる学食1年間無料券。もう一つは上位四位までの生徒にセラフィーヌ理事長の講演会参加権利が与えられるという内容である。これらを見て、様々な思いを抱えているのが目に見える。
あるものは興味深そうにポスターを熟読していた。またあるものは賞品ではなく、試合というもの自体に興味を持つものもいれば、難しい表情を浮かべ、考えを巡らせる生徒もいる。
色々な思惑が交差し、活気づく中、一点を見つめたまま動かない生徒が一人。
見つめる先には賞品が書かれた一文。その中でも『学食無料券』の部分をじっと見ている。学園の学食を頭に思い浮かべたのか、口からは涎が垂れていた。異様な光景に周りの生徒達は若干、引いているが、それを気にも留めずその生徒は目を爛々と輝かせた。さながら、獲物を見つけた狩人が如く。
涎を垂らす生徒……鮮やかな青の髪をポニーテールにまとめた女子生徒の周りには誰もいない。彼女の雰囲気を察知し、遠巻きに避けているためだ。だからだろう。彼女の呟いた言葉を聞いた者はいなかった。
「学食……無料。……タダ、券……!」



~あとがき~
無理矢理、一話に収めました。
ポスター張り出されたところとか、あの量を一話は無理でしたので……書き方も三人称視点です。すまんな……!

次回、剣技大会当日まで時間を飛ばします。
よっしゃよっしゃ!

特に言うことはないです……まだ始まってもないので、付け足すこともないのです。
……あ、じゃあ、これ話しときましょう! ティールが参加しない理由は三年だからって奴。とまあ、彼の進路とか話してこなかったのであれですが、探検隊続けるにしろ、国に帰るにしろ、どちらにせよ、誰かにアピールする必要がないのが理由です。後は、ラルもフォースも出ないのを知っているから、自分を試す必要もないか、と思っています。他は単純に、去年はほぼ生徒会の仕事を満足に出来ていないので、今年はって思っているのです。きっと、後輩に参加したいって子が思ったよりいたので、身を引いたんでしょう。そういうことです。その意味合いを全部込めて、「三年だから」でした。半分も込められてないけどな(笑)

ではでは。

空と海 第223話

~前回のあらすじ~
たまにはこういう感じの話もいいっすね。私、好きだわ。楽だもん((
ピカ「そりゃ、バトルシーンを書いているよりは楽だろうねぇ」
うん! 前のお話のやつとかやりすぎなくらいにバトルしてたもんね。辛かったわ……なんかこう。あれだ。色々?
ピカ「色々辛いのはこっちの方なんだけど?」
仕方ないじゃん! 流れがそうだったんだもん!!
ピカ「それを私に言うか」
っということで、今回もポチャ視点のほのぼのした感じのをお送りします。ピカとポチャのおでかけ回、お楽しみに!
ピカ「なんだかな……納得がいかない」


さらりととんでもないことを言ったピカは、何でもないような顔をして、持っていたコーヒーに口をつける。きっとぼくの回答を待っているだけなんだろう。それは分かる。理解しているさ。けど、なんで今!?
いや、それはピカが言っていたっけ? 単に気になっただけだ、と。こういうときに嘘をつくとは思えないし、本音……なんだろうけども。
まあ、仮に嘘だとしても、今のぼくに見抜く力はないか。ピカの嘘が分かるときってのは限られてるし、今回の場合、当てはまらないし。はぁ……いつも指摘出来ればいいのに。
「ん、ポチャ? どした?」
「あ、いえ、なんでもないです……で、えっと……結婚制度だっけ? 特に決められた制約はないんだ」
ぼく達が住むこの陸の国は現在、四つの大陸と一つの島で成り立っている。各大陸には四天王と呼ばれる、その大陸のリーダーみたいな人が一人いて、政治……というか、統制を行っている。王様とかそういうものとはまた違うけれど、まあ、今は関係ないか。
そして、各大陸で決まり事、つまりは法律も違い、禁止されていること、制限されていること、許されていることなどが全く違う。よって、結婚についての決まり事もそれぞれ変わってくるわけで。
「これをすれば夫婦になるとか、決まったことはないな、ここは」
「マジかよ。なりましたって届け? みたいなのはいらないわけ?」
「うん。聞いたことない。……でも、定期的な住民調査はあるから、把握は出来るんじゃないかな。……それにさ、この国はまだ多数の集落があって、一概に新しいものを浸透させようとしても、かなりの時間がかかると思うんだ」
「あー……なるほどねぇ」
頭のいいピカは大体把握してきたみたいだ。こういうところは流石としか言いようがない。
一昔前のような、田舎って言葉も逃げ出すような小さな集落では、そこにしかない文化のようなものがある。それこそ、結婚に対する決まり事だって独自なものが根付いているなんて話は多い。そういった理由から明確なことをすれば認められるなんて話は聞くことはない。
「まあ、一つの方法としては、地域をまとめているところ……ぼくらの近くだとプクリンギルドか。そこで書類提出すれば、処理してくれるよ。さっき言った調査の一環として」
「ギルドっていうと、リンに出すの? それとも鳥?」
「リンでいいと思うけど……まあ、ペラップでも大丈夫だと思うよ。で、出した書類はまとめて中央の島に送られるんだ」
中央の島には人は住んでいないけれど、四天王達が集まって今後の方針やら何かあったときの対策やらを練る場所である。陸の国の様々なデータがその中央の島にあるといってもいい。つまり、自分の住む大陸と中央の島の二ヶ所にデータが保存されるわけだ。
「つまり、あれか。特に決められたことはないけど、最終的には調査で分かるってことね。そこで認められるって考えでいいのかな」
「いいと思うよ」
「ついでだし、ポチャの国とかチルの国は?」
「海と空は同じ制度だよ。国を統制している王宮に届けを出す。王の判断がなければ駄目だとかそういうことではないけどね」
市民はそれでいいんだけど、王族の場合はそうはいかない。チルの国であるかは知らないけど、ぼくのところでは婚約を交わす場合、ある試練を達成しなければならない。
ぼくがそう言うと、ピカは不思議な顔をして試練、と無意識に小さく呟いたみたいだ。どんなものか想像しながら言ったのかもしれないけど。
なぜこんなことをするようになったのかは、ぼくにも分からない。ある意味、成人の儀のようなものなのかもしれない。
「王族の中でも限られた人しか入れない場所があって、そこにある宝石を取りに行くんだ」
「宝石?」
「うん。で、それを持ち帰ってアクセサリーに加工したものを、相手にあげるんだって」
子供の頃は不思議なことをするものだと思った。そんなことに意味があるのか分からなくて、いつかそんなことを自分もするんだろうか、なんて考えたこともあったっけ。そんな日はまだまだ先のような気はするけれど。
「一種のダンジョンなのかなぁ……そこ。というか、ポチャもするんだ?」
「そうなるかな。結婚するってきちんと決まった後にやるみたいだけどね」
ピカのダンジョンではないかという考えは鋭いかもしれない。当たり前だけど、ぼくは一度も入ったことはないし、どうなっているのかは行ってみないと分からない。
「探検隊やっててよかったねぇ~♪ そういうのは慣れたもんだもんね~」
「確かに……試練になるか疑問になるね」
「あはっ♪ それなら、もっと難しいものを要求すべきだわ」
「でも、あれだよ? 謎解きとかはぼくじゃなくて、ピカの専門じゃない? ぼくに出来るわけないじゃないか」
「そお? そんなことないと思うけど……でも、そうか。ポチャはそんなことするんだねぇ」
ふむふむと何やら納得顔のピカ。彼女の中にあった疑問が解消されたのだろうか。それならよかったんだけど、まだ何か考えているようだし、新しい疑問でも出てきたのかな。
「んあ~……? でもさ、別の国同士の人達が結婚するときはどうなるの?」
「住む場所の法律に従えばいいんだよ。結局は、中央の島に送られるのは共通だからね」
「なぁんだ。あそこって陸のデータしかないのかと思ってたわ」
「そんなことないよ。もちろん、一ヶ所に置いておくのも危険だから、海の国にも空の国にも同じデータが置いてあるみたい」
「そういうセキュリティは一応あるんだ。ま、海と空の国には行く手段が限られてるし、ここよりは安全かもだけど」
ピカは粗方知りたいことを知れたようで、なるほどなるほどと繰り返し呟いた。しかし、まだ考え事は終わらないみたいで、ほとんど自問自答のように単語が漏れる。こういうときのピカは勝手に考え込むし、話しかけても反応はなくなるし、よってぼくの入る余地がなくなるわけで。
「……はするでしょ? いっそ両方やれば間違いないのか……二重になるけど、問題は……?」
何の話なんだろう……? 話しかけても、無視されるのがオチだから、黙っておくけどさ。
「うぅーん……いやはや、その前に、だ……」
てとてとと歩いているけど、真正面を向いていないし、端から見れば不注意過ぎる歩き方。全く、危ないなぁ……人もいないわけじゃないんだから、ぶつかっちゃうよ。
「ねえ! ポチャはどうする?」
「ひゃあ!? な、何が?」
お、女の子みたいな声が出てしまった……よく出たな。どこから出たんだろ……いや、ただ声が裏返っただけなんだけども。
そんな声が出たのも、パッと顔を上げ、至近距離まで近づいてきたピカのせい。元々隣を歩いて、そこそこ近かったのに、更に近づく必要なんてないよね……?
「だからさ、王族のポチャが陸とか空の国とかの一般市民ちゃんと結婚するとき! どうするの?」
「えっ」


~あとがき~
ほのぼのしていると(筆が)進む進む。
ま、スマホで書いているのでフリック入力が止まらない、ですかね!

次回、ピカの質問にポチャは……?
まだまだ続く!

この話、やりたかったんです。結婚云々の話。
前回辺りでも確か言ってますね。これがやりたかっただけだと。ま、のんびりお付き合いくださいな。

この場面のピカ、別にとぼけてポチャにこんな質問している訳ではないです。単純な疑問としてポチャにぶつけているだけですね。かといって、恋愛的な戦略があって持ち出している訳ではないです。ほんと、ピカちゃんは恋愛に関しては純粋なんで、悪知恵なんて働かないから! それだけは言わしてね……ほんと……

ではでは!