satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

遠い記憶

なんで、こんなことになったんだろう?
私、なんにもしていないのに……
どうして皆……争いあうの?


「フォース、フォース! ねぇ、起きてよー!」
「むぅ……まだ眠い……なんだよ?」
うっすらと目を開けた、一人のピカチュウ。その瞳は赤く、そして眠そう。
「もー……朝だよ?」
「いいだろう……別に。関係無いんだし」
そうなんだけどさ。
ここは、まぁ、あれですね。
牢屋ですけど。出れませんけどっ!
でも、でも、朝はしっかり起きなきゃなんだよ? だーかーらー!
そう言うとフォースはうるさそうにそっぽ向いた。これ以上話しかけるな、とでも言うようだ。
むー……それならこっちにも考えがあるんだからね!
私がむすっと拗ねるようにフォースを見つめる。背を向けているとは言え、勘のいいフォースのことだからすぐに気付くだろう。
「はぁ……わかった、わかったよ……起きるから、拗ねるのやめろ」
はーい!
私はとびっきりの笑顔をフォースに向ける。フォースは、少しだけ笑っていた。

ある日、フォースが小さな違和感を感じると私に言ってきた。
「え、おかしい? なにが?」
「全部。ここら辺一帯の気の流れが変わっている……おそらく、作物は取れないだろうな」
え、皆死んじゃうよ。
「他人の心配より、自分の心配をしたらどうなんだ? このままだとこちらが死ぬ。かといって、策もないんだが」
じゃあ、言うなや。まったく、フォースはダメだね。人を疑うことしか出来ないんだから。
「その話、今は関係無いだろう。お前は人を信じ過ぎなんだよ。いつか痛い目をみるからな」
むー……
ふいっと視線を外す。
フォースなんて、知らなーいっ!
「意味がわからないが……拗ねたのか。忙しい奴」
うー……なんだろう、勝てないや……
よし、あの手だっ! 恥ずかしいけど。
「フォース」
「なんだ、改まって」
「大好きっ!!」
と、抱きついてみる。フォースは、避けることなく受けとめてくれた。
うぐぅ……こういうところがあるから……嫌いになれないんだよね……むしろ……
好きになってく。
「フォースは……嫌い?」
「き、嫌いなわけないだろう。……好きだよ」
ストレート過ぎだよ……でも、嬉しい!
私はさらに強く抱きしめる。
「じゃあ、私と付き合ってって言ったら、付き合ってくれる?」
「……構わないが。でも、おれでいいのか?……その、そういうのよくわからないから」
………いいよ。私もわかんないから!
私とフォースはお互いに笑いあった。

そんな日々がずっと続くと思っていた。
なんでかな?
私もフォースも何もしていないのに。
ねぇ、どうして?
私にはわからないよ。誰か、教えてよ……

突然だった。
群れの皆が私達のいる牢屋に入ってきた。フォースは、外の偵察でここにはいない。運が悪いのかどうかはわからないけど。あぁでも、居たとしても、私の中に引っ込むか……
いつもなら、こんなこと思わないのに。
フォース、早く……怖いよ。
「………だ、お前のせいで……」
え?
「この、化け物のせいでっ!!」
そう言いながらなにかを振り下ろそうとした。暗くてよくわからないけど、とにかく、刃がついた武器だ。
あ……だめだ。死んじゃうよ。
「っ!! やめろぉ!!」
フォースの声……!
気づいたら、フォースは私の前に立っていた。入口からは距離があるはずなのに……どうやってきたんだろう?
「うるさい! お前も……」
「“アイアンテール”!!」
フォースの繰り出した技で武器が弾かれた。そして、私の手を取って引っ張る。
「フォース……」
「話は後だ!! 逃げるぞ!」
う、うん。
うなずくと、フォースは、私を抱き抱えて(いわゆる、お姫様抱っこ)ジャンプした。
うわぁ! 凄いジャンプ力……
そのまま、外へ飛び出した。

「はぁ……はぁ……思ったより、早く動いたな……おい、大丈夫か?」
「うぅぅ……怖かったよぉ……」
「あ、悪い……泣くなよ……えぇと……」
戸惑ったような声を出したかと思ったら、私のことを撫で始めた。
フォースなりの気遣いだろう。優しく、ゆっくりなでてくれた。
うぅぅ……えぇぇぇん!!
「なんで、もっと早く来なかったのぉ……こ、怖かったのにぃ……ふぇぇん……」
「あう……悪かったよ。これでも、急いだんだ……その……ごめん」
「もう、会えないかもとか、思ったのにぃ……ぐす」
「それについては、本当にごめん」
うぅ……でも、ありがとう……来てくれて……助けてくれて……
「助けるのは当たり前だろう?……よかった、無事で」
それと同時にギュッと、抱きしめてくれた。
「とりあえず落ち着け……今は大丈夫だから」
うん……うん。
しばらくそのままの体勢だった。
「ありがとう……もう大丈夫だよ。それで何があったの?」
そう言うと、フォースは私から離れて、目の前に座った。
「この前言ったの覚えているか? この辺一帯の気の流れが変わっているって話」
うん……そんなこと言ってたね。
「あぁ、でもそのときはそこまで酷くなかったんだ。まぁ、最悪の場合はこの前言ったんだが」
作物が取れない……?
「そう。それが起こったんだ、今な」
「じゃあ……まさか」
そんなことって……あるのかな。
ううん、今、起こったじゃない。
「皆は私のせいだって……殺そうとした……ってこと?」
フォースは何も言わなかった。でも、それが肯定しているというのはわかっている。
「私……死んじゃうの?」
「死なない。おれがいるから……おれが護るから。大丈夫だ……大丈夫」
うん、そうだね。フォースがいる……
大丈夫。フォースがいてくれれば、怖くない。
逃げるんだ……絶対に。



~あとがき~
さらっと恋人同士になってる二人。ほんとは付き合おうって言う前に、イチャイチャしてますよ? 省略したけど。
このあとにもイチャイチャしますんで!
あと、フォースってのは、あのフォースだからね? キャラが若干違うのは仕様です。
昔の話だからね♪
彼女の名前もまだ内緒です。
ここで切るのもありかな……
続きは本編で!!……みたいな。
フォース「許されると思ってんの!? 馬鹿?」
うそです、ごめんなさい……
フォース「ったりめーだろ」
なんか、番外編のフォースの方が大人しくないですか?
フォース「同じだろ、おれなんだし」
そうですか……? まぁ、いいや。
ではでは!