satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

遠い記憶

「っ~!! あぁ!! ウザい……なんで、こちらがセーブかけなきゃならんのだ……別に構わないだろう? あちらだって本気できているのだから、こちらも本気でも」
ダメ、ダメなの!! だって……その……
い、痛いじゃん!!
「当たり前だろう。それがバトルなんだから……というか、お前はやらないだろ……なんでそんな面倒な命令を出すんだ」
そうだけど……でも、ダメ! そりゃ、あっちが本気なのはわかってるけど……だからといって、殺すってのはよくないでしょ?
「確かにそうだが、そんなこと言ってられる立場か? あちらが、本気で殺す気で突っ込んできているのに……手加減って……」
そ、それは……でも……
私が渋っていると、フォースのため息が聞こえる。
「はぁ……仕方ない……ほら、お前の持ってるリボン貸せ」
え、しっぽのコレ?……いいけど……どうするの?
私からリボンを受けとると、自分の両目を塞ぐように巻いていく。
「フォース……?」
「これで、少しはセーブがかけられる……はずだ。自信はないけど」
でも見えなくない?
「まぁ、そうだな。でも、見えなくても平気だし…大体は把握出来る」
流石です……
私が感心していると、フォースは何やら考え事をしているようで。なんだろう?
「……行こう。誰か来る」
ふぇ!? わかった!
私はフォースの後に続いて走り出した。

あ、あの……聞いてもいいですか?
「はぁ……なんだ?」
走っても走っても……出れる気がしないんですが……なぜですか?
「お、おれが聞きたい……はぁ、はぁ……きっつい……ほんと、セーブかけながらは難しいな」
逃げようと思っても、何人かに見つかり、バトル。気絶させるか、隙をみて逃げるの繰り返しで……正直、戦っていない私も疲れてきた。
フォースにいたっては、私の倍以上の負担なわけで……息切れ状態。
「……誘導されてる気がする。だとしたら、まずいな……どうする」
誘導? 何それ……
「仕方ない……あまりやりたくなかったんだがな……おれの言うこと、聞いてくれないか?」
え、なに?
「おれが全員食い止めるから先に逃げろ」
……出来ないよ。そんなの……出来ない。
「大丈夫だ。お前が生きている限り死なないから。それに負ける気もしない。……だから、おれの言うこと聞いてくれ」
でも、嫌だ……嫌。一人にしないで。
「……頼むから、聞いてくれ。このままだと逃げ切れない。相手にやられるだけなんだよ……おれはお前に、死んでほしくない」
フォース……
私だって、フォースに死んでほしくない……傷ついてほしくない。いなくなってほしくない。傍にいてほしい、ずっと。
いつか、別れがくるのはわかっているけれど、今はまだ……
「傍にいてよ……フォース」
「………」
フォースは黙ったまま、私の方を見る。
「おれは、お前のこと好きだよ。だから、護るんだ。仕事でもあるけれど、それ以上におれは……お前に生きてほしい。幸せになってほしいんだよ」
フォース……
「わかったよ、フォース……言う通りにするね。そのかわり……お願い」
「なんだ」
「私の名前を言って、“好き”って言って?」
……恥ずかしいな。
フォースは驚いた顔をしていたけれど、少しだけ笑った。
目隠しをしていた、リボンを外し私の方を見る。
「好きだよ……鈴流」
「私も……フォース、大好き……」
私達は、お互いに抱きしめあう。そして、私の方からキスをした。

はぁ……はぁ……頑張れ、私! もう少しだ……多分だけど……
フォースと別れてどれくらいがたったんだろう? 一時間? 十分? どれもそんな気がする。わかんないよぉ……
「だ、誰とも会わないし……いいことなんだろうけど……フォース、大丈夫かな」
全員って、どれくらいだっけ? 何人いたんだろう……百……? いや、それ以上かな……え、そんなにいたっけ……あれ、どうだったかな……
……あ、どこからか、声が……隠れなきゃ。
私は近くの草むらに隠れた。
「急げ! あのピカチュウ、強すぎる!」
「悪魔だよ、あの強さ。大暴れしてるんだって……でも、殺しにかかっていないらしいんだけどな」
フォース、私の言うこと聞いてたんだ。
「なら、大丈夫だろ。こっちは何人いると思ってんだよ」
あ、それ聞きたい。
「全員参加してるからな……二、三百だろ? 女子供はいないっけ?」
「手練れは関係なしで参加。ちっこいのはいないぜ。当たり前だけど」
「なら、いいじゃんか。行こうぜ」
「おう……早く行こう」
………行ったかな?
「でも、二、三百って……そんなにいたっけ?……そんなの勝てないよ。流石に……多すぎだよ」
フォース……
フォースは私に逃げろって言った。でも、それでいいの? 本当にそれで……いい?
もし、戻ってこなかったら?
もう、会えない。二度と……会えない。
そんなの嫌……
私のせいで……傷ついて……辛い思いなんてさせたくない。
あぁ……ごめんね? フォース……言うこと聞けないや。危ないのはわかってる……でも、それ以上に私は貴方に……
「笑ってほしい……! フォースっ!!」
ごめん、ごめんね!!
私は心の中で謝りながら、今来た方向に戻る。

「はぁ……はぁ……っ!」
目の前……というよりは、周りにはまだ残っているのは、敵達で。
フォースは傷だらけで、それでもなお、戦おうとしていた。本来なら、動くのもままならないはずなのに。彼の心にあるのは、彼女を護るという思いだけ。
「……行かせないからな……絶対に……行かせない」
「その体で勝てると思ってんのか!?」
「思っていない……最初から、知ってた。それでも……絶対に……」
行かせるものか……と、ただそれだけだ。
「………っ! なら、大人しくやられろ!!」
一人が一気に剣を降り下ろした。フォースは逃げることなく……否、逃げることが出来ず、技の“チェーン”を繰り出し受け止めた。
「なっ……なんだ、この技!?」
「……あぁ……もう、取ってもいいか。……目隠し」
フォースは、力任せに剣を弾くと目隠しのリボンを外す。今更外しても何も変わらないのは、フォースが一番わかっていた。それでもいいと思った。彼女が……鈴流が逃げる時間を稼げるのなら。
「お前……その目!」
「……はっ! 本当に、馬鹿だよなぁ……力がどうのって決めつけて、そんなこと出来るわけないだろうに。普通とは違うだけで……全く落胆させてくれるよ……ここの住人共は。否、この世界は」
フォースは力一杯に技を繰り出した。
「“十万ボルト”!!」

私は……なんでフォースを置いてったんだろうか? フォースが大丈夫って言ったから?
人数は減っていた。百人もいないくらいには。それでもまだ、残っている。
フォースを囲むように皆が輪になっている。そのせいか、私のことは彼も含めて誰も気がついていないみたい。彼にいたっては、傷だらけで倒れていて……動いていなかった。
「フォース……!」
私は小さく呟いた。
お願い……もう……やめて。これ以上する必要もないじゃない……
「手こずらせやがって……」
一人が剣を降り上げた。そのまま下ろしてしまったら、確実に当たってしまう。
「ダメ……やめて……」
ここで、私が出ていったら……どうなるだろう?……ううん、わかりきってる。それでも……出るべきだ。ここで出なかったら、後悔する。
私は、皆の輪の中に入って行った。
ごめんね……せっかくのチャンスだったのに……フォースが頑張ってくれたのに。
「こいつ……なぜ!?」
ここにいる皆が驚いているのはわかっている。それを無視して、フォースの元へ駆け寄った。
「フォース! フォース!! 起きてよ、目を覚まして」
「……けほっ……なんでここに……?」
よかった……生きてた……
「ごめんね……私には無理だった……フォースを置いて行けないよ」
「……馬鹿……だな……早く、行けばいいのに……意味ないだろ……」
うん……ごめん。痛かったよね……ありがとう、私のために頑張ってくれて……護ってくれて。
「今度は私の番だね。フォースのこと、護るよ」
「……お前、まさか……やめろ! そんなこと……っ! げほっげほっ…」
大丈夫だよ。心配しないで?
皆に聞こえるように、なるべく大きな声で話し始める。
「……あなた達の目的は私だけでしょう? 大人しくするから、この人をもう攻撃しないで!」
「……なら、こっちへ来い」
わかった。
「待て……鈴流……」
「フォース……私ね……貴方のこと、大好き……」
くるりとフォースの方を向く。そして、続きを言った。
「愛してるよ……フォース、愛してる」


「………だから……で………」
「かわ………よ?……」
「だって………ね?」
「すーくん……? おーい……」
「ちょ、イブ!?」
「……う……ふぁあ……あぁ……なに……」
目の前には、ニッコリと笑うイーブイの女の子。イブだ。その後ろでは、ピカチュウのピカ、ポッチャマのポチャ、チコリータのチコの姿。そして、今自分のおかれた状況を理解した、イーブイのフォース。
「夢……か」
小さく呟いた彼だったが、イブには聞こえていたようで、こくっ? と首をかしげた。
「夢? すーくんも夢見るんだぁ……」
「久しぶりに……で、なんでお前らがいるんだよ……」
「忘れたの? 皆でお出かけだよ♪ いわゆる、ピクニック?」
そういえば……そうだったな……と何となく考えた、フォース。今日だったのは、本気で忘れていたが。
「フォースも起きましたし、レッツゴーです♪ 行きましょう!」
「あ、待って、チコ!」
チコが先に歩きだした。その後に続くように、ポチャがついていった。
「あ……二人とも、方向音痴じゃないですか!? 待って!!」
イブも、慌てて後を追う。その場に残されたのは、ピカとフォースだ。
「いやー元気だね?……正直、疲れてんだけど……私。まぁ、楽しいしいいけどね」
「疲れてる? なんで?」
「仕事だよ、仕事。救助だったんだけど、それが遠くてさぁ……」
他人事のように大変だな、と呟いた。
「ピカさーん! すーくん! 行きますよー!」
「はぁい! 今行くよ!!……行こっか、フォース君」
「あぁ……そうだな……よっと!」
フォースは立ち上がって、ぐっと背を伸ばした。ピカは、すでに前を歩いている。
「……平和だなぁ……まぁ、いいことだけど、なんであの夢……」
「フォース君! 早く!」
「はいはい……ま、いいか。今は……」
ピカの後を追うように歩きだした。



~あとがき~
ながーい……長いよ……なんでなんだ……
フォース君、なんでなんだぁ!!
フォース「知らねぇよ……( ̄▽ ̄;)」
でも、GW中に終わってよかったぁ……
切ってもよかったのですが……切りどころがわからなくて……てへ☆
あのあとどうなったのかは、本編で!
出ると思う……よ? うん、多分。
てか、想像つきますよね♪

次回のやつは……ピカかイブかな……
どっちにしよう……( ̄▽ ̄;)
どっちがいいですかね?
では!(*・∀・*)ノ