………すーくん。
「なんだ?」
どこまでいくのー? ずっと歩いてるよ?
「………まだ、二、三十分くらいなんだが。あー……飽きたよな、子供だもん」
つかれたよー……
「あー……もう」
すーくんはそう言うとわたしのことをだきあげた。
……だっこだ。
「すーくん……?」
「今度はなんだ、文句は聞かんぞ。だっこ以外、する気はないからな」
だっこの他になんかあるの?
うーん……わかんない! すーくん、おしえて?
「……知らんでいい。いずれ知ることになるから」
そうなの?
「そうなの」
じゃあ、じゃあ、どこに行ってるの?
「………言ってなかったか? ダンジョンだよ」
??
「知らないか……ま、危険な場所と言っておこう。一人で入ろうとか思うなよ? おれ、怒るからな」
うん、わかった!
しばらくすーくんにだっこされたまま、うとうとしてきた。そしてそのままねてしまう。
「………くぅぅ」
「う……首、絞まる……」
ぎゅう……とフォースのことを抱きしめる。寝てしまったステラを起こすことなく、そのまま歩き続けて、十分。ステラの寝言はいいものではなく、今も微妙にうなされている。よく聞かれるのは、「ごめんなさい」と「どうして?」という言葉。
あとは、泣き声だけ。
「……おれがくるまでの間、どんな人生を送ってたんだろうな……こいつ」
何も知らないし、していないのに。どうしてここまでするのか理解が出来ないでいる……今も昔も。
「人のすることにはいつも理解出来ないな……だから嫌いなんだよ……この世界も……人も……」
……大嫌いなんだ。
そう小さく呟いたフォースは無意識にステラを強く抱きしめる。ステラはそれでも起きなかったのだが。
『きゃっほー? 聞こえるー?』
感傷に浸っていたフォースはその声を聞いた途端、一気に疲労感を覚える。ため息まじりに返事をした。
「女子のノリはやめろ、馬鹿上司」
『よし、聞こえてるね。今どこ? どの辺? いつ着きそうかな』
「女子だな、馬鹿上司」
『………あの、フォース君。それ、俺の名前みたいになるからやめようか』
フォースは聞こえないフリで聞き流す。相手にもそれが伝わったのか拗ねたような声が聞こえた。
「いい歳したジジィのくせに拗ねるなよ」
『そんなの、フォースも同じようなものじゃん!』
「お前の方が年上だろーが。マスターって確か……二、三千はいってないか?」
『そんなにいってない……と言ってみたいけどそれ以上かな?……フォースっていくつ?』
唐突な質問にフォースは戸惑った。考えたことがなかったな。というのが、本音だ。
「……わかんねぇな……確か……千……くらい? あ、それ以上かも」
数えたことはないのだが恐らくのの数字をいってみた。こんな数字に意味などある気がしないが。
『そうだっけ? うわ……怖いね~……やだやだ、歳はとりたくないね』
「おれには興味ないね。てか、関係ないだろ……おれ達には」
そーなんだけど、とマスター。
フォースはため息をする。なんでこの人がマスターなんだろう、なんでこの人の言うこと聞いてんだろ……と色々な不満が渦巻き始めているフォース。
……今に始まった話でもないのだが。
『そーだ。エレルちゃん、呼んどいたから。好きなときにしょーかんしちゃってね』
「あぁ。じゃ……もう少しでダンジョンに入るから、抜けたところで……って伝えといてくれ」
『はいはーい。じゃ、健闘を祈ってんよ♪』
ぷつんと声が途切れた。
間がいいのか悪いのかとフォースは少しだけ考えてみたが答えは出るわけもない。諦めて歩くのに専念する。
「……急いだ方がいいかもな……近づいてきてやがる」
……ダンジョンの入り口は目の前だ。
フォースはためらうことなく入っていった。
~あとがき~
キリがいいのでここまでです。
次回、ほんとにダンジョンの中へ。
ちょっといつもより短い気もするけれど……いいか!
フォースは人ってか他人を信用しないです。いわゆる、人間不信ってやつですな。人間じゃないけど……( ̄▽ ̄;)
人も世界も嫌ってますよ(;・ω・)
出来るなら干渉したくないようです。ま、仕事なので仕方なく……の状態。
本当に信用してる相手は少ないです。てか、今は過去編だから、いませんね。
これから、ピカやポチャを信用していきます……が、それは本編で☆
では、次回はちゃんとダンジョンへ!!
……バトルするかもですな。
お楽しみに♪(*・∀・*)ノ