satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

二人の姫

…………ふぁ。
ころん、と寝返りをうつ。これで何度目かわからない。隣を見ればポチャが寝ている。当然といえば当然だ。ハードなロッククライミングを経験したのだ。
……それは、私も同じはずなのにな。
それなのに目が冴えている。目……というよりは、頭だろうか。
むくっと体を起こし、そっと立ち上がる。ポチャを起こさないよう、慎重に。
そしてそのまま外に出た。
散歩して、どうにか眠気を起こさないと……明日、悲惨なことになるのは自分だ。それだけはなんとしても避けたい。そんな単純な理由で私は外に出た。

夜の静けさ……とはこのことだろう。誰一人いないのは夜中なので当たり前なのだが、人がいないだけで印象はガラリと変わるもの。
そんなところを平然と歩く。
もし、オバケ(この世界にいるのは不明だけど……)などが出ても挨拶出来る気がする。「あ、大変ですね。ご苦労様です!」……的な。女の子として、これはどうなんだろう。
………アウトな気がする。
「はぁ……もうちょっと女の子らしくした方がいいのかな」
私は俯きながら、誰もいない町を歩く。
ギルドの先輩たち(女子だけに)にも何度か「女の子なんですから!」…と言われたことがあった。今までスルーしていたが、これじゃ多分……一生、彼氏とか出来ないだろう。それは困る……少しだけ。うん、少しだけ。
大体、私に恋愛というものが出来るのやら。仮に……好きな人がいると仮定して、私は何か変わるのか……その人に対して。
きっと変わらないんだろうな。友達みたく接してしまう。
うん………意味ないなっ!
将来的にはまぁ……いた方がいいけども。だからといって焦ってもな。
あれ、なんの話だよ……これ。
結論、私にはまだ無理な話。
「………うぅ。なんか、一気に沈んだ」
はぁ、とため息をつく。そしてなにやら、聞きなれた音が聞こえ始めた。不思議に思って顔を上げると、よく知っている海岸に出ていた。
無意識って怖いな。
それからしばらくは砂浜に座り、ぼーっとしていたが、それも飽きてきた。そして、当初の目的通り、眠くなってきた。
「よし……帰ろう」
立ち上がり、くるりと方向転換。歩き出そうとしたとき、あのときの耳鳴りがする。
「っ!……なに……うるさっ…」
―いつまでたってもこないので、手荒にいかせてもらうぞ。小娘―
誰が小娘だよ! って……私か。
どこにいる……?
―来い、小娘―
「っ……あぁ……!」
体験したことのないくらいの激痛が身体中に走った。気づいたときにはぐるり、と視界が回る。倒れていると思うのに時間がかかった。
―さあ、我を満足させろ。小娘―
この声を聞き、私の意識は途切れた。

「…………う。ピカ……いない」
ふと目が覚めて、寝返りを打つ。そして、ピカの方を見たがそこに彼女の姿はない。ポチャはしばらく、そのままでぼーっと動かなかったが、ガバッと起き上がった。
「散歩……?」
ピカはたまにふらっといなくなる。理由は特にないようだが、すぐに帰ってくる……はずだ。とりあえず、ピカのベッドを触ってみたが先程までいた……とは思えなかった。
「……嫌な予感がする。ピカ……どこ行ったのかな」
すくっと立ち上がり、外に出る。外はまだ暗い。夜中……なのだろう。
「ピカの行くところ……海岸……? あ、こっから見えるかな」
ポチャはサメハダ岩の崖っぷちギリギリまで歩いていき、海岸の方を見た。下は海なのだが、ポチャは気にすることなく身を乗り出す。
「……暗くてよくわからないな。ピカ……いな…!」
はっきりとはわからないが、誰かが倒れているのが見えた。ピカだとは思いたくはないが、ポチャの直感でピカだと感じた。
「くそっ……どうする……いいや、飛び込む!」
少しだけ助走をつけ、一気に飛び込んだ。



~あとがき~
ピカ、ぶっ倒れた……
ポチャ、勇者やね。一気に飛び込みましたよ。
あれって、何メートルあるんでしょうね。十メートル……? それ以上……?
とにかく、飛び込んだポチャくん。

意外と長い、ピカの過去編……イブと同じくらいですね。
まー……でも、一話、一話がいつもより短いんですけどね♪
説明っぽくなってる=地の文が多いので、いつも通りだと疲れるかな……と。

次回、雷姫と直接話しますよ。
ピカの決意もわかる……はずだ。
では!(*´∇`*)