satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第25話

「探検隊やらない?」

大分奥まで来ただろうか。前を歩いていたラルが、ピタリと止まり、くるっとティールの方を向いた。
「準備、いい? 多分……いるから」
「う、うん!……ラル、なんかごめんね。巻き込んで」
「ううん……別にいい。ティール、真剣だったし……放っておけないから」
そう言って改めて前を向き、敵が待っているだろう奥地へと足を踏み入れた。

「……ん、あー……弱虫クン♪」
「う。えっと……それ、返してよ! ぼくの大切なものなんだ!」
「バカ……それは言っちゃダメだよ」
「えっ?」
ラルがぽつりと呟くのと同時にズバットドガースがへぇー?……とわざとらしく声を出した。
穏便にすませられれば、とラルは頭の片隅にあったのだが、これでは不可能だろう。
「それじゃあ……ますます返せないな」
「えぇっ!?……まさか、このことがわかっててのさっきの発言?」
「考えればこうなるってわかる」
スパッと無感情で返された。ティールは心の中で無理矢理、整理をつけ改めて相手を見る。
見た感じではそこまでの強者……でもないようだ。しかし、戦いを好まないティールを怖じ気つかせるには十分だった。
じり…と後ろに下がるティールに対し、平然と相手を見るラル。怖い、とも思っていないようで、ただ、ティールの出方を伺っていた。
「……ここで、負けちゃダメだ! 話し合っても無理なら……力ずくでも取り返す!」
「ティール……」
「ごめん、ラル……手伝って!」
先程までの弱々しいティールではなく、目を輝かせているティールの姿に少しだけ驚くラルだったが、こくん、とうなずく。
「了解……私はあのズバットをやる。ドガースは頼んだ」
「わかった!」
グッと力をこめ、二人同時に飛び出した。相手はその反応に驚いていたが、すぐさま反撃体勢に入る。
しかし、ラルは反撃など与える気はなくバチン、と火花を散らす。それが、電気だと思うのに時間はかからなかった。
「……いっけぇ!」
力をこめ、電気を相手に思いっきり浴びせた。思ったより強い電気だったので、少しだけ驚く。本人は“でんきショック”辺りかと思っていたが、どうやらそれよりも強力な技だったようだ。
一撃で倒れたズバットから勝手にティールから盗ったものを取り出した。
「……返してもらうね。泥棒さん」
一応、断っておいたが、完全に気を失っているために聞いていないだろう。
ラルはくるり、とティールの方を向く。しかし、とうに終わっていたようで、ふぅ……と一息ついていた。
「ティール、これ」
「え、あぁ……ラル。終わってたんだ♪ ありがとう」
ティールに取り返したものを渡し、二人はダンジョンを抜け出した。

いつの間にか夕方になっていたようで、空はオレンジに染まっていた。
「はぁぁ……よかった。ラル、ありがとう! 助かったよ♪」
にこにこでラルにお礼を言う。
勢いで手伝ってしまっていたし、成り行きで技まで出したラルだったが、まぁ、いいか…と無理矢理納得していた。
「これ、正式名称はわからないけど……ぼくは“いせきのかけら”って呼んでるんだ。たまたま拾ったものなんだけどさ」
そう言いながらラルに手渡す。
先程はあまりじっくりと見ていなかったが、なにやら模様があった。しかし、それは言葉で表すことが出来るものではなく、ラルは首をひねる。
「不思議だよね、その模様」
ラルの心の中を代弁するかのように言う。ラルはティールの顔を見ると、ティールの目は先程とはまた違う輝きを持っていた。それはおそらく、好奇心だろう、とラルは解釈する。
「ぼく、これにはなにか秘密があると思うんだ! それを解くのが夢なんだよね」
「この……“いせきのかけら”の?」
「だって、見たことないだろう? 絶対に秘密があると思う。それにこの世界にはまだまだたくさんの謎があって、ぼくはそれを見てみたいんだ!」
キラキラと目を輝かせて話すティールをじっと聞いていたラル。
「だから、探検隊になりたい……んだけど。ぼく、なんというか……意気地無しでさ。いざってときに勇気が出なくて……」
「……ふうん?」
「そういえば……ね、ラル。これからどうするの?」
その事を考えてなかったラルは、一気に現実に戻された感覚を覚えた。記憶もなければ、行くあてなどもない。それは、ほとんど知らない世界に放り込まれたようなものだ。
「もし……よかったら、ぼくと一緒に探検隊やらない? 住み込みで働けばいいし……きっと、ラルがニンゲンからポケモンになった理由もわかると思う」
「探検……隊」
「あ……まぁ、嫌なら仕方ないけど……ダメ……かな?」
少し迷ったが、行くあてがないし、頼れる人もティールだけだ。そう思い決心した。
「うん、わかった。やるよ、探検隊」



~あとがき~
続くなぁ……
でもでも、次回でラストですな♪

次回は、ピカとチル。そして、ロールが合流しますよ♪

ピカ「おひさの、登場!」
ポチャ「イブとかチコもね」
ピカ「そだねー……ね、ポチャ。私の性格、どうよ?」
ポチャ「今の方がいいけど?」
ピカ「そお?」
ポチャ「うん。でも、ピカはピカだけどさ。どうなっても、ぼくは…」
ピカ「……なんで、赤くなるの?」
ポチャ「気のせいだよ!!////」
ピカ「あ、そう?……変なの」
ポチャ「………////」

……では!(´▽`;)ゞ
ピカとポチャ、付き合ってないからね? ここ、重要ね。