「誰?」
今の私の状況を整理しよう。
まあ、整理と言っても一言ですむ。
何十メートルという高さから落下中!
パニックにならない方がおかしい、というものだ。
もう、なんなの? え、死んじゃう!
この前のもあれだったよ!? でも、ピカさんという、なんかもうメチャクチャ強い人がいたよ!
今回はどうよ? いないよ?
私だけだよぉぉぉぉ!!!
いつ地面につくの? これ、ね、いつぅぅぅ!?
「あっ……すーくん、替わって!」
『いや、無理』
すーくん、即答。一番ダメな答えを即答した。
なんでだぁぁぁ!!! いいの? 主人、死んじゃうよ?!
『何て言うか……トラウマなんだよね。垂直落下』
知るか!
『マジで! ほんと、無理』
「私が死んでもいいのか! 護るんじゃないの?」
『ダメだけど、護らなきゃだけど、こればっかりは、無理!』
使えねぇぇ……ダメだけどって、なら替われっての! でも、ほんとに怯えているような……? 声も若干震えているし。本当にトラウマ?
よし、今度いじってやろう。
じゃなくて!
「お願いします! 私、死んじゃうから! すーくんだけが頼りなの!」
『い、いや……無理……でも、ここで出なかったら……あぁ……でもぉぉ……』
彼の中で葛藤を繰り広げているようで。
そんな時間も惜しいんだよ、こっちぃぃぃ………早く! ヘルプ!! ヘルプミー!!
『わ、わかった……替わるぅ……』
よしきた!
そこで、何かに気づいたような声を出した。
『あれ、これ、入れ替わっても、おれ…』
「すーくん、替わる!」
『あ、はい……』
すーくんと入れ替わり、第一声。
「…………ね、すぅ」
『はい、なんでしょうか』
「おれ、やっぱ、無理!!!」
『頑張ってねー』
「無責任だぁぁぁ!! これ、入れ替わっても、おれが死ぬってぇぇぇぇ!!!」
まあ、入れ替わっても、状況が変わるわけがない。私からすーくんになっただけである。
ところで。
『すーくん、怖いの? 泣いてますか?』
「泣いてねぇぇ!! いや、怖いけど。てか、状況見ろよ! それどころじゃないわっ!」
ですよねー♪
「はぁ……立場変わっただけで、随分と余裕ですね? お嬢様。考えてみてくださいませ。おれがここで、致命的な怪我でもすれば、強制的にお嬢様の中に戻されますよ」
…………あ。
そうだったぁぁぁぁぁ!!!
高みの見物でも、と思っていた私。天国から落とされた気分だよ。一気に地獄と化したよ!
『すーくん、やめてよ? それだけは、避けてよ!』
「保障できないな………って地面、ちかぁぁぁ!?」
うわぁぁぁぁ!? 近いぃぃぃ!!!
「……なあ、スラ」
「なあに、キーテ」
キーテと呼ばれたピチューは呆れ顔をスラ……キルリアに向けた。
「死ぬだろ、あの高さ。恨みでもあんの?」
「恨みなんてないけど。ノリ♪」
「ノリって……バカか。死んでたら殺されるぞ、黒さんに」
はっと今になり、気づいた様子のスラ。キーテも自分で言っておきながら、今の状況を改めて理解した。
「あぁぁぁ! 忘れてたぁ!! 死んでないよね? 死んでないよね!?」
「知るかっ! お前がやったんだろーが!……海岸の方だな、行くぞ!」
「黒さんに殺されるぅぅぅ!!!」
二人はイブが落ちたと思われる、海岸へと急いだ。とりあえず殺されるというのは考えないようにしながら。
「スラ、お前、ほんとに殺ってたら……最悪だぞ! 巻き添えじゃんか!」
「殺ってない!……と思いたいから、言わないで!」
先程の余裕はなく慌てた様子で海岸へと向かった。
「……あのイーブイ……どこいったのかしら? ま、アタシのせいだけど……ほんとに死んでたら、どうしよっかな。でも、どうせ殺すんだからいいんじゃないかしら」
キーテと別れ、一人でイブを捜していたスラ。海岸はそこまで広くないため、すぐに見つかると思っていた二人だった。しかし、落ちたときに発生したと思われる砂ぼこりのせいで視界が悪くなっている。
そのため、二手に別れて捜している……という状況だ。
「どこいったのかしら……」
「いたぁ! お前か!」
「誰!?」
「“チェーン”!」
聞きなれない技名に首をかしげる。しかし、そのせいで反応が遅れるという、バカ…いえ、アホな結果になった。(え、あんまり変わってない?……気のせいだよ)
「これは……鎖?」
「お前だろ! あんな高さから落としたバカは! 死ぬだろ、考えろよ!?」
「あんた、誰? てか、アタシのこの状況は何?」
「あ?……あー……敵に名乗るヤツなんていないと思うけど? あと、状況ってさ、縛られてるんじゃない?……わかるだろ」
思いっきり、バカにされた気分のスラ。
目の前に立っているのは、探しているイブではない。イーブイには違いないが、完全に男である。
それに二足歩行という珍しいイーブイ。
「もう一度聞くわ。……誰?」
「それ、脅し?……だとしたら意味ないよ。怖くねぇし」
イーブイ…フォースはグイッと鎖を引く。その動作に合わせて、スラも一歩前に出る。
「とりあえず、お前から片付けてやる」
~あとがき~
バトルにならんかった……(´・ω・`)
次回から、バトル。
フォースはなんらかの原因により、垂直落下……まあ、高いところから落ちることなんですが、嫌いなようです。一応、仕事なのでイブと入れ替わっていたけども。
バンジーとかもダメ?
フォース「あれは、支えがあるじゃん」
平気なのか。
フォース「あぁ……嫌だけど」
おぉう……( ̄▽ ̄;)
その原因が明らかになるかは不明です。どっかで、明かせるかなぁ……?
フォース「……………」
ま、これくらいの弱点がないと、完璧過ぎるもん。よしとしよう。
フォース「よしとしよう。じゃねぇ!」
ぎゃあぁぁぁ!!!(゜ロ゜ノ)ノ
ま、明かす前に気になるなら、書きますよ。
フォース「!?Σ( ̄ロ ̄lll)」
でも、もう一人のフォース君の正体がわかってからね。
フォース「どんだけ先の話?」
次回、バトル♪
ではでは♪
フォース「無視すんなぁぁぁ!!」