satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第38話

「てるてる坊主か」


「…………へぇ。槍って盾にもなるのね♪ でも、全部は流石に無理よね」
にっこりと笑うスラに対し、先程の技で防御しきれなかったダメージを受けたイーブイ
「…………いってぇ」
「槍を回して防ぐ……ねぇ」
「早く終わりにしたくなってきたぞ。流石に面倒だ」
「それはこっちの台詞。誰だか知らないけど……表に出ている彼とあなたは別人ね? 二重人格かと思ったけれど……それも少し違う……そうでしょう?」
「…………だから?」
「要するに、別人」
「半分正解だが、半分不正解」
ぐっと槍を握って走り出す。その様子を見て、スラも構えた。
「俺様はあいつ。んで、あいつは俺様だ。まあ、二重人格ではねぇな……だから、半分正解、半分不正解」
ぐるんと一回槍を回すと、スラに矛先を向けた。スラは逃げることなく、腕で受け止めた。
「………普通、避けね?」
「近くなきゃ、あんたを狙えないじゃない?……“サイコニードル”」
「…………!」

ドンという音が響く。
なんだろ……すーくんでは……ないと思うんだけど。てか、私以外に誰かいるわけ? いやいや~……ないない。でも……
「…………誰なの?」
そういえば、おれの中に入るだのなんだのとすーくんが言っていた。一人言と言われたけれど……
あのキルリアが入ってきた……とか?
いやいや……ないない! ないって……うん、ないない………
「………すーくん」
『…………何』
「あれ、元気ない? どうかしたの?」
『なんでも……で?』
あ、音が聞こえるんですけど……んで、誰かいるのかなぁ………と。
『…………多分、あのキルリアかな。でも、大丈夫……だと…! いったい! 何してんの!? スゲー痛いんですけど……』
え、え?
何、大丈夫?
『これは………ヤバイな………』
え、何が!?
『なんでもない……』
なんでもない………わけないと思うけどなぁ……まあ……いいや。
いや、よくないな。
「…………大丈夫じゃないよね」
私はとりあえず周りを見渡すけれど、特に変化はない。これは無理矢理にでも大丈夫だと思った方がいいかな。
よし、そうしよう。

「…………」
「妖刀・雷姫……神器か……世界にいくつあるかわからない……神器」
何度もやりあっては止めの繰り返しを行う二人。キーテがピカの持つ刀を見て、呟いた。ピカは少しだけ感心する。
「なんだ、知ってるんだ」
「当たり前だ。まあ、初めて見るが……ここで拝めるとはな」
「ふーん……じゃあ、隠す必要もない…?」
「…………?」
「……これはえっと…誰だっけ」
突然ピタリと動きを止める。ある一点だけを見つめる。
「黒さん……?」
「あ、てるてる坊主か。でも、面倒になるな………“ドール”!」
ポフンと小さく音をたてて現れたのはピカに瓜二つのピカチュウの女の子だ。キーテは驚いてピカの方を見る。
「お呼びですか、マスター」
「ちょっと、そのピチューの相手をお願い」
「承知いたしました。……では」
「ちょっと事情が変わったわ。んじゃあね!」
「おい……!」
慌ててピカを追おうとしたキーテを止めたのは、現れたドールだった。
「嫌ですよ……無視とかしていいの、マスターだけなんですから……少しの間、私がお相手いたします。と言ってもその時間はなさそうですが」
「……………キーテ、遅い」
「黒さん」
現れたのは、一人のカゲボウズ…黒の姿。最初に見たときとさほど変化はないように見える。
「……ラルでは、ないな」
「はい。私はマスターではないです。ですが、敵は倒さなければなりませんので」
にっこりと笑いながら話すその姿はピカそっくりなのだが。
「“ドール”という技か……“みがわり”の応用技」
「知っているんですね~」
「当たり前だ」
「ですが、そんなことはどうでもいいのですよ。私はマスターのお役に立つのが仕事であり、使命なのです。あなた方、お二人を足止めします」
にこりと笑うドール。キーテと黒はじっとドールを見つめる。
「そんなに見たって何も出ませんよ? マスターではありませんし」
「まあ……そうだろうな。“シャドーボール”!」
「あら、先手必勝ってやつですか? でも、遅いですよ♪」
「……………!」
「私はマスターのコピー……“みがわり”ですよ? マスター程ではないにしろ……力はあると自負しています」
素早く“シャドーボール”をかわし、にっこりと笑顔を向けた。
「とりあえず……まあ、目的など聞いておきましょうか。なんとなくフラグ立てたい気分ですので」
「気分で立てるようなものでもないと思うが……まあ、おまえに話すことは何もない」
黒とドールはじっと互いの顔を見つめる。キーテは完全に蚊帳の外である。が、下手に口出しすることもないと考えて、ただ二人のやり取りを見続けた。

「げほっ…げほっ……いってぇぇっ……至近距離からそれはねぇぞ……マジ痛い」
「の、わりには元気よね」
「あははっ……いや、だって、俺様は思念体みたいなもんだろ? 物理的ダメージはあっちにいくからよ♪」
「………………は?」
「これはお前にも言えることだぜ? まあ、要するにここでは致命傷を負った方が負ける。……つーことだ」
それでも首をかしげるスラ。イーブイははあとため息をつく。
「だーかーらー……痛覚はあるが、傷は外にいるやつが負うの! まあ、外のやつは痛覚も傷もいっちゃうけどよ」
「それって、同時に二人を殺れるってことよね? ラッキーだわ」
スラのその言葉を聞き、イーブイはまたため息をついた。同時にくるんと槍を回す。
「テメーも殺れるけどな? 俺様、手加減って言葉を知らねぇからよ……覚悟しとけ」
ぐっと槍を握り直し、構える。
「ちゃーんと外に出してるからな? そんでもって、死ねばいいよ? 生憎、殺しにためらいないんで。あいつみたく甘くねぇから」
にこりと笑顔でそう言い終わると、一気に走り出した。もちろん手加減などする気もなく。
「“花風車”!」



~あとがき~
ドールちゃん、登場です!
もうすぐ終わるぞ………!!
漫画ではドールではなく、実体化した雷姫が戦う予定でしたがこっちではドールが戦います。まあ、戦いますといっても、そこまで戦わないですけどね!

そして、もう一人のフォース君ね。
どう表記していいのやら……?
?つければいっか……
フォース?「……………てきとーだな」
フォース「つかさ、お前、なんで暴れてんの? おれを殺す気か、バカ野郎」
フォース?「大丈夫だ、制御者は死なないから!」
フォース「痛いんですけど」
フォース?「大丈夫だ、問題ない
フォース「あるわっ!!」
もう一人のフォースとフォース……
てか、長いな~……名前、早く出したいです。そのために頑張ります。
ちゃんとしたお名前ありますからね!

次回、決着つけばいいなぁ……まだ無理かなぁ……
と、とりあえず……
敵さんVSピカ、フォース!
でーす♪
では!