satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第97話

~前回までのあらすじ~
ピカが頑張ってました。なんか色々考えてました。
なんかねー……私、なにがしたいのかわからなくなってきちゃってー……どうしようか。
ピカ「その話、何度目ですか」
フォース「聞き飽きた」
ごめんなさーい……
ピカ「特にネタもないので、始めていこうと思いまーす」
フォース「つか、これを進めるのもいいけど、他のも忘れんなよ?」
あ…あい……


「…………あれ? いない」
部屋の入り口まで戻ってきたが、そこにユウの姿はなかった。周辺を探してみるが、やはり姿は見えなかった。
「なんか用事でも出来たのかな。まあ、いいや。一人の方がやりやすいしね」
ピカは扉を開け、キョロキョロと辺りを見回す。どこを見ても変わらない風景に、首をかしげた。どう進めば目的地につくのだろうか。しかし、考えても仕方ないと思ったのか、左の方を指差した。
「こういうときは、直感でこっちだな」
しばらく歩いていくと、部屋に続くであろう扉を見つけた。何の躊躇もなく、その扉を開けて中に入る。
そこはキッチンなのか料理するための設備が整っていた。神様も料理するのか、と思いながら見回る。料理好きが見たら喜ぶであろうその場所は、綺麗に保たれていた。ピカは見回った後、そのまま部屋を出ようとしたところで、フォースから貰った木の実の存在を思い出した。
「そうだ。少し悪いけど、使わせてもらうか」
どこからともなく取り出したカイスの実をシンクの上に置き、調理器具を探し始めた。そして、使う道具が揃ったところで調理を始める。好んで料理をする方ではないが、手慣れた手つきで進めていった。

ぐいぐいと引っ張られている彼は、引っ張っている本人に一応、停止するよう促してみた。
「エル、引っ張るなよ。というか、ピカさんの案内してたんだけど……」
「だってだって、マスターとフォースが険悪ムードなんだもん。怖いんだよ~」
「だからって僕を呼ぶ? 止められるわけないだろうが。僕も君も」
「そうなんだけど! でも、一人より二人かなって♪」
「なるほど……僕は巻き添えってことかな」
「え…えへへ……」
引っ張っている本人…エレルは照れ笑いをして前を向いた。ユウは小さくため息をつきながらも抵抗することなく、エレルに従う。
最初の部屋に戻ってきて、ユウにもエレルの言った険悪ムードの意味がわかった。しかし、そのままの意味ではないことを悟る。
「………あれ、普通にフォースがマスターに説教してるだけじゃないか?」
ユウの言う通り、ファウスが言い返す余裕もなく、フォースが仕立てまくっているようで、いつものことだ。強いて言うなら、いつもより、ファウスの余裕がないように見えることが普通ではない。しかし、気にする点でもないだろう。
「え? あーゆーの、険悪ムードって言うんでしょ?」
「言わない。あれは単なる説教だろう? よくよく考えれば、久し振りに帰ってきたんだし、マスターの仕事ぶりを見れば……ああなるだろう」
「…………あ、そっか♪」
「全く。しっかり見極めろよ」
「でも、あれから喧嘩に繋がることもあるじゃん♪ もろ、マスターが耐えきれなくて逃げようとするからだけどさ」
「あれは阻止しなくてはと思うが……それだって、僕らじゃどうしようもないと思う」
「そうなんだけどさ」
ユウとエレルはファウスとフォースの方を見た。先程と変わらず、説教中だった。どれくらいの時間あのままなのだろう、とユウは首をかしげる。そんなユウの隣でエレルが思い出したかのように、手をポンと叩いた。
「そだっ! ピカ様はどうしたの?」
「お前に連れ出される前は一緒にいたよ。今はどこにいるかわからないな」
「なら、一緒に探しに行こう♪ フォース達の見てても面白くないし!」
「自分から連れ出しておいて……」
「いーじゃん。さっきのは危ないかなって思ったからだもん!」
「はいはい。わかったよ。探しに行こう」
「うんっ!」
ユウがエレルの案に乗ると、パッと顔を輝かせてうなずいた。そして二人は来た道を戻ることにした。

ユウと別れたまま、キッチンへとたどり着いていたピカは、ここにある食料を物色していた。特に使うわけでもなく、ただ見つけては戻し見つけては戻しを繰り返していた。彼女自身、ほんの暇潰しに過ぎないのだろう。
しかし、それも飽きたのかくるりと方向転換をし、先程まで自分が立っていたところまで戻ってきた。そして、冷蔵庫まで近づくとその扉を開けた。ひんやりと冷たい空気がピカの頬を撫でる。
「冷たっ……えっと、出来たのかな? お、なかなかいいじゃないですか♪ 久し振りにやったにも関わらず……あれ? 初めてだっけ? まあ、いいか」
冷蔵庫から取り出したのは、フォースから貰ったカイスの実から作ったタルトだ。そのタルトを綺麗に切り分け、そのままタルトを持ってキッチンを出た。
「ここは色んな気配がする。私が知ってるのもある……ってことは、辿ればいるはずだよね?」
誰に言うでもなく、ぽつりと呟いた。そして、次なる目的地へと歩みを進めた。
しばらく歩き続け、気配を辿っていく。ピタリと立ち止まり、新たな扉の前で止まった。キッチンを見つけたときと変わらず、躊躇なく開け、中に入った。
部屋の中はがらんとしている。そんな何もない部屋の中央まで歩いていき、辺りを見回す。
「……間違ってない。けど、どうするかな……んー………よし、呼んでみるか」
そう言うと、数歩下がり、ある名前を呼んだ。
「ディアちゃん! あー……ついでにパルちゃんも。いたら出てきてくれるとありがたいな♪」



~あとがき~
長くなりそうなのは分かってたけど……分かってたけど! まだまだ続きまーす……
あれ? 前回の予告で何て言ったっけ? 忘れちゃった。けど、予告は吹っ飛ばしてるような……?

次回、ピカが色々追求します!

今回、ごちゃごちゃしていてごめんなさい。ピカだけじゃあれかなって思って他の人達にもご登場願いました。
ま、マスターさんはフォースに説教くらってたみたいですけど。時間ない……というか、話数多くなるので内容は書きませんが、いつものことです。

フォースから貰った木の実はケーキに変わりましたとさ。
ケーキが完成するの早くね? とかそんな突っ込みはいらないよ! マスターさんのいる世界だよ? 時間経過が違うんだよ……多分、いじれちゃうんだよ。いや、知らないけど。
本編で料理したのは二回目ですかね。今回はお菓子作りですが。タルトなのは、私が食べたいからですね(笑)
私、ケーキの中で一番タルトが好きです((

あと、ディアちゃん、パルちゃんってのは、察してくれれば、誰のことだか分かってくれるかと思います。
分からなくても、次回で明らかになるよ!

ではでは!