satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第104話

~前回までのあらすじ~
重大な事実発覚! みたいな?
前回、ピカの恋愛観を紹介しました。はい。ポチャがどうやっても報われない方向にいきそうで怖い。誰か彼女の感覚を変えてくれ。
ピカ「それを私がいるところで言うか?」
フォース「……作者だからな」
まあ、ポチャが報われない方向でも面白そうだから、いいんだけどね。なんつーの? あれだよ……バッドエンドじゃないけどさ。喜劇じゃなくて、悲劇?
まあ、そういうのもありかな、と。いや、しないけどね!?
では、始めまーす♪


「…………なんもねぇ!」
真っ白な空間にぽつりと放り出されたように、そこには何もなかった。自分しか存在していない、そんな感覚に陥り、キョロキョロと辺りを見回す。そんなことをしたところで、何か見つかるわけでもない。
「でも、あってる……はずだよね? あのー…誰かいませんかー? 私、寂しくなるんですけどぉ! つか、むなしいわ!」
思いきり叫んでみても、誰かから返答があるわけでもなく、静寂が辺りを包んだ。何があるか不明だからか、その場から動くことは出来なかった。外へと繋ぐ鍵は持っているため、移動しても構わないのだが、彼女の本能がそうさせてはくれない。息を整え、再度考え始めた。
「…………パルちゃんが間違える…わけないよな。交渉したし、つか、私を騙すと何されるか知っているはずだから、違うものを渡したとも考えにくい。……となれば…無視されてる……? うわ、それっぽい」
「無視してないよー? ちょっと怪しくないか考えてただけだよー」
「あ、そうっすか………………ん!? うわ! いつの間に!」
ピカの横にいつの間にかふわりと浮いているイーブイの姿があった。ピカは慌てて飛び退き、適度な距離を取る。イーブイは気にすることなく、笑顔を見せた。
「君がピカちゃんだね? かーくんの友達?」
「あなたがウィル、さんですか。かーくんって……フォース君のこと…ですか?」
「俺のこと、知ってるの? 嬉しいな~」
「ってことはあってるのか。あの、なんでこんなところに……?」
「えー? そんなの俺が知りたい。けど、しばらくすれば出られると思うよ。そうだなぁ……例えば、かーくんと白ちゃんの戦いが終わったら……とかね?」
すとん、と地面に降り立つとピカに近付いた。ピカも今度は避けることなく、その場に立っていた。ウィルを見据えたまま、目をそらすことなく見つめた。
「それで君はなんでこんなところに来たのかな?」
「あなたをここから連れ出すためです」
「へぇ♪ 直球だね? そういうの、嫌いじゃないよ。んでも、連れ出すのは無理だと思うけど」
「今、なんて言ってませんよ。フォース君達の戦いが終わったらでいいんです。戻ってきてくれませんか?」
「え? 無理だよ」
笑顔のまま否定され、ピカは少なからず面を食らった。しかし、すぐに調子を取り戻し、どうしてですか、と聞き返す。
「だって、今の俺は神様だから。前は少なくとも制御者としての力を持っていたからね。でも今はないから無理☆」
「それが出来るとしたら?」
「だとしても、俺はかーくんの前には姿を見せないよ。俺がいたら、辛いと思うし」
「そんなこと……そんなことないと思います。フォース君はあなたと…ウィルさんともっと一緒にいたいって思っています。昔、別れたからこそ、今、一緒にいたいんです」
「…………ふうん? 人の考えることはわからないなぁ? 辛いことを思い出すだけなのに、なんで一緒にいたいの? またいつか別れることになることは明白だよ? それでも一緒にいたいの?」
「そうです。未来より今、大切に過ごしたいんです。大切な…人………だから…」
ピカはぴたりとそこで止まってしまった。自分の思っていたことと矛盾していることを今、ここで言っていることに気づいたからだ。そんなピカを気にすることなく、ウィルは少し真剣な顔付きになる。
「………なるほどね。それが人と人が愛する、ということなのかな。いつか別れが来るとしても、今を大切にしたい、か。いい考え方だね」
「え……?」
「やっぱり、人はいい。豊かで不思議で見ていて面白いよ。君も例外なく、ね? ピカちゃん、迷うことないのはわかった? 将来の悲しいことより、今の楽しいことを一緒にしたいって思うんだろう? それなら、君が重く考えることはないんじゃないのかい?」
ウィルは再び笑顔を浮かべ、ピカと目線を合わせた。ピカの心情を読んだのか、それとも最初からそう言わせるつもりだったのか、ピカには見当もつかないが、彼女の中からわだかまりが溶けていくのがわかる。
「ウィル…さん……」
「俺は生命を司る神。つまりは人々に癒しを与える神でもある。けどね? その反対も出来ることも悪しからず。癒しと痛みは紙一重なのさ」
「ウィルさんの本当の姿って…もしかして……」
「あー……ダメダメ。言わないでよ。俺、あの姿、嫌いなんだ。さあ、ピカちゃん、そろそろ帰りな」
「えっ!? いや、ちょっとまっ…」
「もし、かーくんが俺といることを望むなら、そうしよう。それだけは約束する。ピカちゃんの言葉でそうなんだなって思ったからさ」
それだけを言うと、どんっとピカの背中を押した。ピカは、数歩よろめきながら前へ進み、後ろを振り返るといつの間にか遠く離れたところにウィルがいた。そこから大きく手を振っているのがわかった。
「ピカちゃんも正直になりなー! きっとそれが正解なんだからさー!」
「……………ウィルさん! また会えますよね?」
ピカの投げ掛けに無言で答え、笑顔で送り出してくれた。ピカもどこか吹っ切れた様子でその場を去った。
このあとを決めるのはフォース自身なのだ。ピカが出来るのはここまでである。
「最後は……フォース君に任せるしかないのか」
外に出て、空を見上げた。きらきらと星達が輝いていた。そこまで時間はたっていないのだろう。ピカはフォースのところに戻るべく、来た道を戻った。



~あとがき~
はい。ピカもなんだか心を入れ換えた………のかな? まあ、突っぱねることはなくなった……んだろうね。多分。つか、書き終わって思うけど、展開はえぇぇ……
まあ、彼女の恋愛観ってのは、昔っから変わってないって思うと、特別早い訳じゃないか。バラしたのが前回だけど←

次回、イブ達に視点を置いて、時間も戻してお送りしまーす。なんだろ。どうしよっかな?

ウィルさんもとりあえずフラグ立ったんで、なんとかなると思います。はい。
さて、バトルがどこまで続くかどうかですね。さっさと終わらせたいんだけど、無理かなぁ……?

ではでは!