satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第107話

~前回までのあらすじ~
怪しすぎるビクティニさん登場…
ファウス「なにその紹介の仕方!? 俺、別に何もしていないからね!?」
怪しすぎるビクティニさんこと、ファウスさんが再登場したわけですが、別にお前は出なくてもよかったんだよ。ただ話の流れでなんとなく……
ファウス「急にお前呼ばわり? って、俺は怪しくなんか…」
ピカ「もう面倒なんで、私が進めちゃいますね。マスターさん、ちょっと黙っててくれると嬉しいです♪」
ファウス「え!? ピカちゃ…」
ピカ「それでは、ポチャはどこに行ったのか、今後の展開に期待ですっ! それでは、始めます~」


「……ここら辺か。誰かいたような気がしたんだけど……気のせいか?」
ポチャが辺りを見回すが、特に変わった様子はなく誰もいなかった。少しの間、その場に留まってみるが、変化はなく首をかしげる。
「なんなんだろ。………まあ、いいけどさ。さっさと出てピカ達追わないとな…」
『ピカちゃんとお友達なの?』
「友達って言うか、仲間って言うか……パートナーで」
『へえ~♪ パートナーってなんの?』
「仕事の……………え?」
『じゃあ、探検隊のパートナーだねっ! ピカちゃんの!』
「………………!! うわあぁぁぁ!?」
『きゃあぁぁぁ!?』
無意識に会話していて、今やっと知らない誰かと話していたことに気がついた。話しかけてきた方も驚いたのか、ポチャから少し離れる。
「ごめんなさい! えっと…誰ですか……?」
『私は鈴流っていいます……驚かせてごめんなさい』
「こちらこそ急に声上げてごめんなさい。………鈴流さん、あの…」
『君の言いたいことはわかるよ! なので、先に言うね。私、幽霊さんなのだっ!』
「あ………はい……若干透けてるんでなんとなく分かります。それでなんでピカのこと……それと探検隊のことも」
そっちか、と鈴流は笑って手を叩いた。そして再度ポチャに近づく。
『そんなの簡単だよ~♪ 私が本人から聞いたんだもん。しかも最近の話だしね~』
鈴流の言葉を聞き、なるほど、と一度納得しかけたポチャだったが、ぴたりと思考を停止する。
「………最近?」
『うん、最近♪』
「本人って、ピカからですか?」
『そうだよ? ピカちゃんからだよ~』
「ってことは、ピカ、ここに来たってことですか!? どこに行ったか知りませんか?」
『さあ……?』
鈴流の答えに若干期待を寄せていたポチャは肩を落とした。流石にそう簡単には分からないか、と息をつく。そしてこの状況を理解しようと頭を働かせようとするが、残念ながらそこまで状況分析に長けている訳ではなかった。結局、理解することを放棄し、その場に腰をおろす。
「ぼくには難しい状況だ。簡単に受け入れられない……柔軟に出来てないなぁ……ぼくって」
『パートナーくん? だいじょーぶ……? って、名前聞いてないよ! 君の名前!』
「へ? あ……あぁ……ポチャです」
『ポチャくんだね! うん、覚えたよっ! それじゃあ、一緒に来ていたチコリータちゃんとイーブイちゃんもお友達?』
「友達というか……後輩です。イブ…イーブイの友達?……と、ピカが一緒に行動してるみたいなので、後を追ってきました」
『………それってフォースのこと? 確かにピカちゃんと一緒にいたね』
思いがけないところでフォースの名を聞き、流石に驚きを隠せなかった。鈴流はポチャを不思議そうに見つめる。
「鈴流さん、フォースのことも知ってるんですか?」
『知ってるも何も、フォースは私が大好きな人だよ? 私の恋人さんなの♪ それにフォースは元々私の制御者をしてたんだから』
「ってことは、そのときに恋人同士の関係になったってこ……………あっ」
地雷踏んだ、と気付いたときには一足遅く、鈴流は目を輝かせながら、フォースのことについて話し出した。
『うんっ! フォースってば、いつもはツンツンしてる癖にたまに甘えてくるのが可愛いの! そんなのギャップ萌? ってやつだよね!!』
「あのフォースが甘え……!?」
『そーだよ? かっこよくて、強くて、クールなんだけど、優しいんだ。まあ、最初は喧嘩ばっかしてたけど……でもでも、仲悪くても、困ったときは助けてくるし、寂しいときはずっと傍にいてくれたの! きっとそれが彼の優しさなんだって気付いたら……もう恋する乙女だよっ!』
一人興奮する鈴流を見て、どこなく笑顔がピカに似ているな、と能天気に考える。
『………はっ! ごめんね! こんな話聞きたくないよね! お話しするの楽しくってつい』
「いえ……慣れてるので大丈夫ですよ。ピカも興奮してると一人で勝手に話すタイプなんで。それにぼく、どっちかというと、いつも聞き役だし」
『あははっ♪ そうなんだ♪ ピカちゃんも好きなんだね、お話しするのっ! そだ! どうせなら、ポチャくんからピカちゃんの話、聞きたいなっ』
「えぇ!? ピカの……?」
『うん。ポチャくんはピカちゃんのこと、好き?』
「……………へぇぇ!? ちょ…何を…いきなり…」
『その反応は恋しちゃってるのかな? ピカちゃんに絶賛片想い中?』
「うぐっ……! ナイショです………」
鈴流の痛い指摘に答えることはなく、黙秘を貫こうとしたが、鈴流はにこっと笑い、別のことをふってきた。
『うーん……じゃ、ピカちゃんのこと、どんなことでもいいから教えてよ♪ 私から見たピカちゃんはとっても優しい人だな~って思ったんだけど……ポチャくんから見て、どう思う? 正直に答えてねっ!』
「正直に……ですか?」
『うん。大丈夫大丈夫、ピカちゃんには言わないよ。言う手段もないし?』
「えっと………ピカは、自分勝手で仕事サボろうとするし、人の話聞かずに突っ走ることあるし、そもそもリーダーってこと忘れることあるしで滅茶苦茶な性格してます。ぶっちゃけ、ほっとけば世渡りできなさそうです。めんどくせぇとか言って、家籠ります。確実に」
『ほ…ほお……凄い言われようだね……ピカちゃん』
「スイッチ入らないと不真面目だし、見てないとニート生活まっしぐらだし」
ポチャはそこまで言うと、ふう、と息を吐く。そして一呼吸置き、更に続けた。
「でも、本当は誰よりも頑張り屋なんです。誰も見ていないところで努力してる。困っている人見たら助けてくれるし、協力してくれる。口では嫌がって色々言っていても、結局は逃げずにやってくれるんですよね……最初からそうしてくれるとありがたいけど。素直じゃないから……どうしようもないんですよね」
苦笑を浮かべながら続けていると、横からくすくすと笑う声が聞こえた。不思議に思って鈴流の方を見てみる。
「鈴流さん……?」
『ごめんなさい、つい。ポチャ君、ピカちゃんのこと大好きなんだなって思ったら微笑ましくて』
「そんなことっ……!」
『それにピカちゃんのこと話してるポチャ君、とっても嬉しそうだったよ? 最初は色々言ってたから心配しちゃったけど、いらなかったみたいだね』
「心配ってなんのですか?」
ポチャが首をかしげながら聞くと、鈴流はにこっと笑顔のまま答えた。
『それはもちろん、二人の恋路の行方だよっ!』
「……………え!?」



~あとがき~
ごめんなさいね。もう少し続きます!

次回、鈴流がピカとポチャの恋のキューピッドになっちゃうかもねん。

ピカは向き合う気ないですし、ポチャは奥手だから手が出ないし。なんやかんやで恋愛に向かない二人ですね。そんな二人のキューピッドになれるのか、鈴流さん!
なってくれなきゃ困るよ鈴流さん!!
鈴流「…………(;・ω・)」

当初の予定だとポチャと鈴流は会うことなかったんですよ。んで、自分で覚悟決めてピカと向き合うんですけど……なんか無理でしたね。ポチャだから仕方ないか。

ではでは~