satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第113話

~前回までのあらすじ~
はい! ラウラとフォースのバトルが終わりましたね! しばらくば会話文多めですよ!
最初はフォースとウィルだよー!
フォース「まだおれなの? もうやだ。助けて」
まだまだ君のターンだよ!
ってか、これを見てると、フォースって結構普通だよね。普通よりも不幸キャラだよね!?
フォース「もうそれ、普通じゃないよね!?」
まあ、ウィルが終わったら、今度は鈴流とだから、安心しなさい。
フォース「もうやだ。ほんとやだ……」
まあまあ。この章終われば、かっこいいフォースしか書きませんから! 安心してね☆
フォース「出来るか、馬鹿野郎」


「夜っ!」
「うらあぁ!! フォース、てめぇ! 私ら殺すつもりか!」
終わった頃を見計らった様にピカとミラがフォース達に近付いてきた。ピカの手に雷姫はなく、すでに消したらしかった。
「全く……私がどうにか出来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「お前なら何とか出来るって信じてたから」
「………う? 私を? フォース君が信じる?」
「いいだろ。別に、おれが誰を信じても」
「うん♪ ちょっと嬉しかっただけ!」
「………あっそ」
ピカから目線を外したフォースは、倒れているラウラの制御相手…夜を見る。まだ意識を取り戻したわけではないようだが、心を覗いて大丈夫だろう、と確信した。
「まだ目、覚めてないみたいだけど、こいつの心、見えてるから大丈夫だと思う。これからお前が支えてやれ」
「はい………ありがとうございました。その、皆さんには…酷いことしてごめんなさい………」
「いいよ。別に……じゃあ、おれ達行くから」
もうフォース達に出来ることはない。ピカに目配せをし、その場を離れることにした。ピカも何も言わず、フォースの後をついてきた。森の入り口まで戻ってきたところで、ピカがフォースの隣に寄ってくる。
「よかったの? 彼に説明とかしなくて」
「してもメリットはないだろ。……役目は終えたんだ。帰る」
「あ、忘れるとこだった。傷心してるところごめん。私からのプレゼントだよ」
そう言ってピカが取り出したのは、鍵だった。フォースは一瞬何を取り出したのか理解出来なかったが、それが別空間を開くための鍵だと分かると、驚いてピカと鍵を交互に見た。
「お、おまっ………なんでそんなの持ってんの!? ま、まさか……ごうだ…」
「私がそんなことするかぁぁ!! パルちゃんからうばっ……いえ、借りたんだよ!」
「今、奪ったって言おうとしたよね!? つか、パルちゃん!?」
パルちゃんパルちゃんだよ。パルキアパルちゃん
「空間を司るパルキア様を…パ、パルちゃんって………身の程知らずもいい加減にしろよ……」
恐れ多い、と呟くが、ピカには聞こえていないらしく、等の本人は首をかしげている。
「ん? 他にも知ってる神様いっぱいいるけどね。ディアちゃんとか。ギラちゃんも知ってるし……ぐっちーも知り合い。おーちんとかもそうだし………あ、ららちーとかも知ってるよ!」
「分かった! お前の顔の広さと異常なコミュ力は把握した! 誰が誰ってのもよく分かんねぇけど、なんとなく察した! で、なんでパルキア様から借りた?」
「それね、ウィルさんのいる空間に繋げる鍵」
ウィルの名を聞き、フォースは今までのピカの発言は頭から消えた。なぜウィルの名前をピカが知っているのか、なぜそんなものをピカが持っているか等の疑問はあったが、そのことを聞けるほどの余裕はなかった。力をフォースに返し、消えていなくなったはずのウィルの名を聞くなんて思ってもみなかったのだ。
「え……ウィルにぃ………の?」
「うん。ほんとは私が説得出来ればよかったんだけど、まあ、出来なかったんだよね。もっかいチャレンジしてもいいんだけど、この先は二人の問題かなって思ってさ。だから、まあ、はい」
ピカから差し出された鍵を受け取ると、手元の鍵を見る。これを使えばウィルにもう一度会えるのだ。
「今から行ってきなよ。私はここで待ってるからさ。思う存分話してくるといい。そして、これからを決めてきな。……後悔しない選択をしてね」
「なんか………おれはお前に頼ってばっかだな」
「あはは♪ いいよいいよ。仲間だもん。もっと頼ってもいいの」
ピカはとんっとフォースの背中を押した。急なことで、何歩かよろめいて前に歩いてしまう。何とか立ち止まると、ピカの方を振り向いた。彼女はにっと元気づけるかのように笑顔をしていた。
「行ってこいっ! どんなことになっても私が受け止めてやるからさ」
「…………悪い!」
ピカから受け取った鍵を強く握ると、空間を斬るような動作をする。斬ったところがぐにゃりと曲がると、フォースは迷わず中に飛び込んだ。

木に覆われていた森の入り口にではなく、何もない真っ白な空間へと足を踏み入れる。
「なんもない……ここにいるのか……?」
「あ、来ちゃったの」
「うわあ!? ウィルにぃ……?」
懐かしい声のする方を振り向くとそこには会いたかったウィルの姿があった。彼は昔の笑顔のまま、フォースのことを見ていた。
「そーだよ。んー……何日ぶりって感じかな。でも、久し振りって気もする。かーくん、たくましくなった?」
にこにこと変わらない笑顔を向けるウィルを見ていると、自然と涙が出てきた。ずっと前から側にいてくれたのに気付けなかった。やっと思い出したかと思えば、目の前からいなくなり、話したくても話せなかったウィルが今、目の前にいるのだ。
「ウィル………にぃ…」
「ん? 何?」
「ウィルにぃの………ウィルにぃの馬鹿ぁぁぁ!!」
「あれぇ!? そこは感動の再会的な泣ける感じじゃないの!? 会いたかった! とか言って抱きつくものでは………って、待って!? 何するつもりなのかな~?」
目に涙を溜めているものの、フォースは手元に鎖を作り出した。彼自身、完全に理性が飛んでいるらしかった。
「“チェーン”!」
「お、落ち着こう! お兄さん、逃げないから、ストップ! ストッププリーズ!!」
「ウィルにぃなんかぁぁ!!」
とりあえず、力に任せて、手に持っている鎖を振り回した。フォースの近くにいたウィル目掛けてそれは飛んでくる。避けることも防御することも考えたウィルだったが、無理だと判断した。
「よく分かんないけど、ごめんなさいっ!!」
咄嗟に出た言葉を叫びつつ、後方に飛ばされるウィル。それを見たフォースは少し正気を取り戻したのか、あっ、と呟いた。
「ご、ごめん………ウィルにぃ…」
「元気そうでお兄さん、嬉しいです……」
ウィルの姿がファウスと瓜二つだ、と思うが、このことを口にしては身を滅ぼすだけなので、心の中に留めておく。
「よいしょっと……とりあえず、こんな風にちゃんと話すのは鈴流ちゃんのところ以来かなっと思ったけど、かーくんが俺と認識して話すのはもう大分前か」
体を起こし、その場に座るウィル。対してフォースはその場で立ったままだ。自分がウィルと認識して話していたのは、生前の頃だった。それが今からどのくらい前なのかは考えることは出来なかったが、少なくともかなりの時間が流れているはずだ。
「さよならしたあとに会うのって何か照れ臭いね?」
「まあ……ね」
「もう会う気はなかったんだよ? 俺といるの、嫌でしょ」
「そんなこと……!」
「なんか、似てるんだよ。俺がかーくんを守れなかったのと、かーくんが鈴流ちゃんを守れなかったのと。だから、かーくんを見てると、自分が許せない。嫌になるんだ」
「あれはおれが悪いんだよ。ウィルにぃの言葉守らなかったから………」
「だとしても、かーくんを死なせたのは俺でフォースを作ったのも俺だよ。輪廻の輪から外したんだ。本当ならかーくんは普通でいられたのに、俺の感情だけで動いてしまった」
フォースが死ぬ間際……カルマとして死ぬ時、ウィルはどうにか死なせまいと咄嗟に制御者としての能力を移した。本当ならば、やってはいけない掟破りな行為だ。だからこそ、ファウスはフォースからその記憶を消し、ウィルの存在もフォースの記憶から封じたのだ。
ウィルは更に続ける。
「そんなこと、許されない。あの馬鹿……ファウスが言った通りだ。俺は人に非情になれない。皆、愛おしくて、尊いのだ。もしかしたら、ファウスの様に冷静で冷酷になれたら、かーくんは…カルマは人として死ねたのだろうね」
「ウィルにぃは………ウィルはおれのこと、嫌い?」
「! そんなことないよ」
「おれもだ。ウィルのこと、好きだよ。子どもで何も知らなかったおれに色んなこと教えてくれて、血も繋がってないのに、家族みたいで……暖かいもの貰った。おれがウィルに会う前にどんな人生送ってたか、知ってるだろう?」
フォースが問いかけると、小さくうなずいた。それを見て、ふっと笑った。
「おれはずっと檻の中にいた。商品だった。親が売ったのか、捨てたのか……まあ、どうでもいいけど。そっから他の奴等と共闘して逃げ出した。そのあとでウィルに会ったんだ。もちろん、最初は滅茶苦茶警戒した。いい大人なんて知らなかったし、いないものだと思っていたから」
「……そういえば、最初、敵意剥き出しだったね。体なんてボロボロなのに、突っかかってきたし」
「そいや、そうだっけ? そんなおれだったのに、ウィルは側にいてくれた。おれの家族だって言って、父ちゃんでも兄ちゃんでもになってやるって」
「…………うん」
「その言葉、言われたときは信用してなかった。してなかったんだけど……ウィルが必死におれに色々してくるから、もういっかってなった。そっから、ウィルにぃって呼ぶようになったんだよ?……なあ、ウィル」
どう言えば、伝わるのかフォースには分からない。今でも自分で何がしたいのかはっきりしていない。しかし、一つだけ伝えたいのだ。
フォースはウィルの側まで歩み寄ると、座ったままのウィルと目線を合わせた。急に寄ってきたフォースに驚いている様だったが、ウィルは特に何も言わなかった。
「おれは今でもウィルを兄ちゃんだって思ってる。家族だって思ってる。……それだけの理由で側にいる理由にはならない?」
「…………カルマ」
「おれはウィルが好きだから、まだ他にも教わりたいことあるから、まだおれの兄ちゃんでいてほしいから……だから…だから……!」
その先の言葉は出てこなかった。もっと言いたいことはあったはずなのに、出てくるのは涙だけだった。もうウィルの目を観ることが出来ず、下を見てしまい、ぽたぽたと涙が落ちる。
「分かった。もういいよ」
「おれはっ……」
ウィルはフォースのことを抱き寄せた。
「ごめん。俺はお前のこと、分かってたつもりだったけど、分かってなかったみたいだ。……ごめんな」
「いなくならない……?」
「ならないよ。こんな泣き虫な弟、まだ置いていけないからね」
「………ん」
「俺が逃げてたんだな。ごめん。……辛かったね。俺のこともそうだし、白ちゃんのことも……ね」
「…………っうん……!」
「頑張った。今まで、よく頑張ったね」
静かにフォースの頭を優しく撫でた。フォースはウィルの肩に顔を埋め、感情に任せて子どもの様に泣いた。今まで、我慢してきたものを吐き出すように。
誰もいない真っ白な空間の中で二人の時間は動き出したのだった。



~あとがき~
ちょっと長かった………ごめんなさいね。
ごちゃごちゃしててなんか感動できたか微妙な気もするけど……まあ、いいか。

次回、フォースとウィルのあとは……やっぱりこの人達だよね!?
ずいぶんほったらかしのあの子達来ます。多分。

フォースとウィルの過去を出しました。つっても、ほとんどフォースがウィルに会う前の自分の境遇を話しただけですが。
本当はしっかりやった後でこれを読んでもらった方が良かった気もしますが、仕方ない。機会がなかった!
どっかで書ければいいですけどね……裏話として出そうかね。大分前にやるっとか言ってやってませんし。ここまで終わらせてからやった方がいいと思ったんで、かなーり放置してますね!

一話で納める必要もなかったんだけど、大体、納めちゃいました。まだ終わってませんけど(笑)
そして話すことがないので、終わります! なんかあればどうぞ!

ではでは、次回でお会いしましょう!