satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第119話

~前回までのあらすじ~
フォースがスカイにメンバー入りしました。
これでピカにパシリにされるんですね……
ピカ「にゃは♪」
フォース「!?」
さてさて、今回はウィルさんに視点を置き、フォースと別れたあとのお話です! 前回からちょっと時間が戻ります。すぐ終わればいいな!
ピカ「またイブちゃん視点ではない……」
フォース「すぅ視点で話進まねぇな、後半。これ、ラル視点の方が全体的に進められたよな」
ピカ「確かに」
あうっ………で、でも、イブ視点じゃないと、実体化してないフォースとの会話が成り立たないんで……!
ピカ、フォース
「利点そこだけかよ」


フォースと共に現世に降り立ったウィル。久々に味わうその空気に感覚が戻ってくる。そして、同時に忘れていたことを思い出した。
「…………あ」
「ん? どした」
少し前にいたフォースが振り返り、首をかしげた。ウィルはにこっと笑い、やらねばならないことを思い出したと告げた。
「すぐに戻れたら戻るけど、まあ、すぐは無理かな。……ちょっと権限返してもらってくるわ」
「………? 権限って…」
「俺が神様であることの権利。……生命の神としての権限さ。今、持ってないからね」
ひらひらと手を振って見せた。今のウィルは神ではない。制御者の力を貰って存在しているようなものだ。
「だから、かーくん一人で戻ってくれる?」
「分かったけど……」
「大丈夫! 戻ってくるよ! 流石にさっき約束したことをすぐ破るようなことはしない」
それに、と続けた。
「まだ、かーくんの仲間、紹介してもらってないし! してもらわなきゃね♪」
「………分かった。それじゃ、気を付けて。……あ、マスターに突っかかるなよ! 面倒なんだから」
それだけ言うとフォースは前を向き、歩き出した。それを見送った後、空を見上げる。
「………どうせ、見てんだろ。さっさと開けろ」
『…………汝は…?』
どこからか声が聞こえる。その声の主をウィルは知っている。名前など告げる必要もないだろうに、と思いつつも従わねばならない。
「俺だよ、俺。………ゼルネアス
『ほう。………何千年もどこへ行っていたのだ。…よい。こちらへ来い』
それも知っているくせに、と心で毒づくが、口に出すことはない。少しすると、空から光が降りてきた。その光に臆することなくウィルは前に進み出る。
「我の名はゼルネアス。……生命を司る者だ。上へ上がる許可を貰いたい。………アルセウス
『許可しよう。………議会を開く。他の神も呼んで、な』
一対一でもいいところを他の神も呼ぶとは思わなかったウィルは小さくため息をつく。
「どこまでも嫌らしい奴。……だからこそ、創造神なんだろうがな…」
そう呟き、目を閉じる。
次に目を開くときは、神々の御前。自分も神ではあるが、今現在その権利がない。今は黙って従うのみだ。

神々の議会では、不定期に行われ、参加するもしないも自由なものだ。召集をかけるのはいつも創造神のアルセウスである。議題なんかは特になく、毎度毎度何のために、と思うくらいである。それでも時々、ぽろっと世界的に重大なことを溢すこともあるのだが。
ウィルは本来の姿になることが出来ないために、イーブイの姿のまま来てしまった。かなりの体格差があるな、とふと考えた。
「…………何千年と経てど、この雰囲気は変わらないのか」
「アルが呼ぶから気紛れで来てやったが………久しぶりだなぁ? ゼル?」
パルキア、そのノリ、止めた方がいいよ」
ウィルが見上げる方角には空間を司るパルキアの姿があった。ウィルを見るなり、ニヤリと嫌らしく笑う。
「んだよ。イラついてんの?」
「あれ? 見て分からないか?」
「分かるよ。そもそも、お前がオレのことそう呼ぶってことはそういうときだけだろ」
「まあね。………つーか、ラル・フェラディーネに鍵、渡したろ」
「ん? あぁ。面白そうだったからな。ピカがオレに頼み事なんて滅多にねぇ。恩売っといて損はしないだろ?」
「性格悪。だから、ピカちゃんにいじられるんだよ。利用されてるよ、それ」
「かもな。まあ、あいつだから許せるんだけど」
「結局パルキアが損してる。……馬鹿だね、パルパル」
ウィルはわざとらしくアクションを入れつつ、大きくため息をつく。その態度が気に障ったのか、パルキアは鼻を鳴らしてウィルを見下ろした。
「うっせぇよ。どっかのガキに肩入れする誰かさんよりましだろうが」
「それって俺のことかな。殴るよ!?」
「上等だ。来いや」
「止めておけ、パルキア。お前では敵わん」
「あぁ!? んなのわかんねぇよ! ってか入ってくんな、ディアルガ!」
「ディアっち。おひさ」
ウィルが手を振っている方向にディアルガが現れる。パルキアと違い、落ち着いた雰囲気でうなずいて応えた。
「これだよ、パルパル。大人の対応って奴! 見習えば? そうすれば、なめられずにすむかも」
「余計なお世話だ、この野郎!」
ディアルガの姿が見えてから他の神達もこの場に集まりつつあった。しかし、呼び出したアルセウスの姿だけがない。そしてもう一人。
「…………あの馬鹿の姿もない。腹立つんだけど」
「きっとアルセウスが引っ張ってくるだろう。……ゼルネアス、今回はお前のことか」
「馬鹿に持ってかれてる権限を取り返しに来た」
「なるほど。………サボり魔だからな。奴は」
「ちっ……神の名が聞いて呆れる」
ゼルネアスは手厳しいな。………ふむ。噂をすれば」
ディアルガの示す方を見ると、アルセウスとその横にビクティニの姿が見えた。ディアルガの言う通り、ビクティニを呼びに行っていただけのようだ。
「ってか、なんで自分で行ってるんだろ。誰かに行かせるんじゃないの、ああいうの」
「さあ。……何を考えてるのかいまいち掴めない人だからな」
「それを言うなら、ティニの奴も分かんねぇけどなー?」
パルキアの言葉にウィルとディアルガがうなずく。
役者が揃ったところで、アルセウスがウィルの方をちらりと気にするように見た。
「皆を集めたのは他でもない。……ゼルネアスが帰ってきた。これにより、今まで剥奪していた権利を戻すかどうか皆に問いたいと思ってな」
審議にかけるようなことなのか、と疑問に思いつつも、黙って聞いていた。事情を知らない神にとって、長い間席を空けていた者に戻していいものかと不満に感じるのかもしれない。まあ、そんなことを気にするような神がいるかは分からないが。
「別に戻していいだろ。そもそも、戻した方が回転がよくなるだろ、絶対」
「確かにそうかもしれん。……ビクティニは仕事せんしな。ゼルネアスの方が丁寧だろう」
「魂の転生に丁寧も何もないと思うんだけど……ディアルガパルキア、俺に何か恨みでもあんの?」
ビクティニ…ファウスは少しだけ不満そうに抗議してきたが、周りからサボりだの不真面目だのと言われてきている。ウィルに戻した方が確実に円滑に世界は回るという結論が見えているのだ。
「事実を言っているだけだ」
「…………そういうことだ」
パルキアディアルガに続き、いいんじゃないか、という声が多く上がり、それに対する反論も特になくすんなりと戻すという方向で決まる。やはり、ここまで大がかりにする必要はなかったとウィルは改めて感じ始めていた。結局アルセウスの考えていることはよく分からない。そんなことを考えていると、議会も自然とお開きになったのかあちこちで世間話が聞こえ始めていた。そんな中、アルセウスがウィルを呼び止めた。
「汝は残れ」
「えっ!? やだよ。馬鹿が溜めてるであろう仕事したい……なんて、許してくれませんよね。分かったよ。手短にしてくれ」
一応そう言っておいたものの、実際に解放されるのは何時間もたった後であった。



~あとがき~
やらなきゃよかったと後悔中。
無理矢理に終わらせました! もう嫌だ!

次回、最後に残った問題を解決します。
これはもう頑張って感動ものにしたい!
無理か!←

アルセウスさん、初登場。プロフでは出てきてますけどね。詳しいことはそちらで。って言ってもそっちもあまり書いてませんけど……
ちなみに、色んな繋がりのあるピカでさえ、アルセウスとの繋がりはありません。他の神様とは大体顔見知りなんですけどね……不思議だね。

転生の話を出してます。まあ、これは特になんとも思わなくていいです。はい。
本当はウィルとビクティニさん…ファウスとの会話も考えていたんですけど、めんどくなったんで、別の機会に。基本、二人して喧嘩腰で話します。仲悪いんです。

ではでは!