satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第121話

~前回までのあらすじ~
導入で終わった……
あ、ウィルさんが帰ってきましたよ。はい。
ピカ「今回から正式に始めますんで。ほんと、ごめんなさいね?」
ポチャ「だからちゃんと計画立てなって言ったのに……」
ぐさっ!!
な、なんか……刺さった……ポチャ君の的確な突っ込みが心に……ぐさっと…痛い…
ポチャ「え、ぼくが悪いの?」
ピカ「ポチャは悪くないよ。作者の計画性のなさが悪いだけだから」
ぐはぁ!? とどめ刺された!!
ピカ「今回はちょっとアレなシーンもなくはないので、ご注意くださいねー」
ポチャ「大した描写じゃないけどね……?」


イブの制御者としてこの世界に来てから、ここへは数える程しか来たことはない。イブがいたからという理由はあるが、一番は避けていたところがあるだろう。昔の自分の弱さを突き付けられるようで、どうしても向き合うことが出来なかったのだ。
しかし、逃げるだけでは駄目なのだと気付かされた。今回のラウラの件でも同じだったように。
「………つっても、本当に大丈夫か?」
花が咲き誇る道を歩きながら内心不安に思っていた。今までの間、鈴流の姿を自分の目で見えたことがない。この前来たときも見えなかったのだから、変化がなかったとしても不思議に思わないだろう。更に、フォースが認識したとしても鈴流が見てくれない可能性もないわけではない。それが一番恐れることではあるのだが。
「まあ、ウィルにぃの言ったことだし、大丈夫……なはずだ。大丈夫…………つーか、広いな! こんなに広かったか!?」
どこを見ても花畑が広がっているためか、方向感覚が狂ったように感じ、本当にこの道であっているのかと考えてしまう。
「こんなとこで人一人………幽霊か。一人見つけんのもなかなか骨が折れる作業だな………あ」
『今日もいい天気だねー♪ お花さんはどんな気持ちですかー? 気持ちいい?』
花と目線を合わせ、楽しそうに話をしていた。ずっと探していた笑顔。前と変わらない明るくて輝いた笑顔がそこにあった。
『そっか。私もいいことあればいいなっ』
「………鈴流」
『…………!』
フォースの声に敏感に反応し、すぐにこちらを振り向いた。初めは驚いたような目を見開いていたが、気付いたときにはフォースの方へと駆け寄り、彼の腕の中だった。
『フォース! 本当にフォースなんだね………! 夢じゃない? 夢じゃないよねっ!』
「夢じゃねぇよ。何、そんなになかったことにしたいのか?」
『馬鹿っ! そんな意地悪言わないでよ』
「言わせたのはお前だろ」
ぎゅっと互いに強く抱き締め、そこにいることを確認した。ちゃんとここにいる。フォースは自分の目でしっかりと見て、感じ取れると再確認するように鈴流を抱き締めた。
不意に力を弱め、鈴流の顔を見えるように少し離れた。しっかりと顔を見て、言わなければならないことを言うために笑って見せた。
「………鈴流、ただいま」
『…………お帰りなさい、フォース』
「ふっ……何泣いてんの。笑えよ」
指摘された鈴流はフォースから離れ、目に涙を溜めつつも腕をバタバタとさせながら反論した。
『この状況で泣くなって方がおかしいよ! ずっと会いたかったのに! ここは感動するところだよ!?』
「そうかもしんないけど、おれは笑ってる鈴流に迎えられたい」
『むぅ………フォース、ズルい…』
「無理なら別にいいけど? 潔く諦めるさ」
『分かったよ。ちょっと待って……』
ごしごしと目を擦り、涙を拭くと、しっかりとフォースに向き合いにこっと笑う。
『おかえりっ! フォース』
「ただいま」
『…………もう泣いていい? 嬉し泣きするよ』
「えっ? 泣くこと決定なの?…………ほら」
『………うっ……うわあぁぁ!!』
再度フォースに抱きつき、思い切り泣き叫んだ。どこが嬉し泣きなんだ、と突っ込みたくなるくらいの号泣だったが、フォースは何も言わず黙って鈴流の頭を優しく撫でていた。
今までどれ程の間、一人でいたのだろう。フォースには仲間がいたし、いつも一人ではなかった。しかし、鈴流は違う。一人でいる時間が圧倒的に長かったはずで、寂しかっただろう。それだけで幽霊という不安定な存在は消えてしまうのが自然なのだ。それでもずっとフォースのことを思い、待ち続けてくれた。暗いことを考えるのではなく、希望の光を持ち続けたからこそ、消えずに今まで残っていたのだろう。そのことを考えるだけで、愛おしく思える。こんな自分のことを好きでいてくれる鈴流の気持ちだけで心が暖かくなるのだ。
「…………やっぱ、おれ、お前のこと好きだわ」
『………うぅ? なぁにぃ…?』
「あ? 涙で顔がぐしゃぐしゃで、可愛くねぇって言ったの」
『意地悪ぅぅ!! フォースの馬鹿っ!』
力任せに鈴流の平手打ちが横から飛んでくるが、フォースは何とも思わないようでさらりとかわして見せる。フォースはにやりと笑った。
「何それ、おっそ」
『にゃあぁぁ!! ここは黙ってぶたれなさいっ! てりゃ! てりゃ!』
「ビンタってよりも猫パンチ? あ、電気ネズミだから、ネズミパンチかな」
『なんでそんなにひらひら避けるの! もぉぉ!』
「当たったら痛そうだから~?」
『ゆーれいなめんなよ! 飛べるんだぞ!』
「幽霊っていうなら、おれのこともすり抜けちまうな? ネズミパンチも効かないな~」
『…………あぁぁぁ!!』
「あはは♪ 一生おれにパンチ当てることはないかな。残念だったな」
『むうぅぅ~! 勝てないぃぃ!! 意地悪っ!』
鈴流の見せる反応がイブそっくりだと思いつつ、フォースに背を向けてむくれている鈴流のフォローに入る。
「ごめんって。……もう泣かない?」
『うん。もう泣かない』
「じゃあ、おれにその可愛い顔、見せて?」
『!…………やだ』
「なんで?」
『今、多分、顔真っ赤だから……可愛くない』
「なんだ。そんなこと。おれは気にしないけど。むしろ、それが鈴流だろ」
『そんなことないもん。いつも赤くなってないよ』
「そりゃそうだ。……けど、照れてる鈴流も可愛いと思うけど?」
『…………今日のフォース、意地悪だもん。また変なこと言うでしょ』
「もう言わないよ」
『…………ほんと?』
「ほんと。嘘ついてもしょうがないから」
『…………ん』
ゆっくりと振り返った鈴流は確かに顔を赤くしていた。どの時点で照れたのかも大体想像がつくが、フォースは優しく笑う。
「普通じゃん。いつもの鈴流だよ」
『そんなこと……』
「会えて嬉しいよ。本当のお前とまたこうして見て、話して。…………大好きな鈴流にまた会えた」
『フォース、いっつもカッコいいことばっかり言うね。そうやっていろんな人をドキドキさせてるんでしょ?』
「ばーか。大好きなんて、お前にしか言わねぇよ」
『ほんとぉ?』
「ほんとだよ。………鈴流はおれ以外にいるわけ? 大好きな人」
『いるわけないじゃん。でも、私はもっと言えるよ! フォースのこと、愛してるって!』
「………っ!?」
鈴流の言葉で今度はフォースが赤くなるのを感じた。いきなり言われるとは思っていなかったからだろう。そして、そこを突っ込まない鈴流ではない。
『あ、フォース照れてるの?』
「違うし……お前の気のせいだろ」
『今更顔隠しても無駄だよー? 見たもん! そんなに私に愛されたい? 愛が欲しいっ!?』
この流れはまずい、と思ったが一足遅かった。戸惑っているフォースを鈴流が押し倒し、フォースを仰向けにした。フォースを見下ろす鈴流はどこか楽しそうだ。
「ちょっ……!」
『私はずっとこうしたかったよ?』
「いや、そこはいいんだけど………いつも言ってたけど、こういうのは男からで……」
『そうしたらずーっとフォースの独壇場なんだもん。………最初くらい、いいでしょ?』
こうなった鈴流を諦めさせるのは難しい。今までもそうだったのだ。フォースはため息をつくと、ふいっと鈴流から目線を外した。
「ったく。……………好きにしろ」
『えへっ♪ ありがと。…………あ、でもあとでフォースからもして欲しいな』
「この状況でよく言えたもんだな。何するかわかんねぇよ?」
『いいよ。フォースだもん』
鈴流はにこっと笑うと、ゆっくりとフォースに顔を近付け、互いの唇が触れ合う寸前で止める。フォースはここで体制を変えることも出来ると考えたが、ここは黙って鈴流のしたいようにさせようと何もしなかった。やがて、鈴流の口が小さく動いた。
『…………フォース、大好き』
「………おれもだよ、鈴流」
二人は互いのことを確かめると今度は止めることなく唇が触れ合う。触れ合うだけで終わらず、自然と深くなっていった。流石にそこまでいくとは考えてなかったのか、フォースの方が先に根を上げた。
「…………んっ…!」
『………んふふっ♪ フォースも可愛いね』
フォースから離れ、満足気な鈴流。すっとフォースの上から退くと、隣に座る。フォースは仰向けになったまま、腕で自分の顔を隠していた。こうでもしないと鈴流を押し倒してしまう気がしたのだ。
「…………馬鹿か、お前。いきなりおれの理性を飛ばす気なの?」
『へへっ♪ それも面白かったかもね?』
「また泣かすぞ、この野郎……」
『それはやだな~……ねえ、フォース? 私、フォースといっぱいお話したいなっ! いい?』
鈴流のお願いに半分だけ体を起こし、鈴流の方を見るが、目が本気だった。彼女は普通に話がしたいと思っているようだ。
「話だぁ!? こんなことしといて、普通に戻れってか。順序無茶苦茶だろ」
『それはフォースがあそこで照れるのがいけないんだよ?』
「あそこで押し倒したお前が悪い! ったく。ちょっと待て。正常に戻させて」
起こしていた半身を倒すと、目を閉じる。精神を安定させるためだ。鈴流もそのことは知っているため、急かすことはしてこない。
『うんっ♪ あ、話終わったあとはいくらでも理性、飛んでもいいからね~?』
「よし。絶対に飛ばさねぇ」
飛ばす気はないが、仕返しはする、と心の中で決意し、このあとの鈴流との話は何を話すべきかと頭の中で考え始めた。



~あとがき~
こ、これは………! ヤバイ!
この二人、ちょっとアレだ! 自重しなきゃ!

次回、まだ続くよ二人のいちゃラブ。

フォースがずっと優勢だと思いました? 残念! 意外と鈴流ちゃんもやるのです!
肉食な二人ですね(笑)
けどまあ、結果的にノッてきたフォースの方が強くはなりますけど。流石、肉食系男子
フォースが好きって呟いた時、鈴流に聞き返されたところを誤魔化して可愛くないとか言うところヤバくないですか←
流石フォースさんですよね。そのあとに可愛いだの大好きだのとか言っちゃう辺りも………ねぇ? そこら辺が私のおすすめです(笑)
最後のはあまり突っ込んで欲しくないのですが、鈴流が強かったですね。ぶっちゃけ言うとフォースは反撃出来たんですけど、しなかったんですね。したらしたで鈴流の機嫌損ねると思ったんでしょうかね。結果がアレですが。

ちょっと書いてて恥ずかしかったんですけど、どうでしょう? ドキドキします?((←

ではでは、次回も似たような感じでお送りしますよ!