satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第131話

~前回までのあらすじ~
ピカとフォースのお遊びです。
自分でいうのもあれだけど、めっさこの二人をひいきしてますよね。知ってる! わざと!
ピカ「………うざ」
フォース「………退場したい」
まあまあ、今回のお祭りは他の子にもスポット当たる…………予定だから! 心配ないさ!
ピカ「どーでもいいけど、いつ終わんの?」
さあ。ま、今回か次くらいで二人は終わらせたいかな、なんて思ってますけどね。
フォース「おれたちは二人でいる意味はあったのか疑問だな」
ピカ「ほんとそれな」
は、始めますよ!!


金魚すくい、というものにピンとこないフォースは首を傾げるばかりだ。そんな様子にピカは笑って説明をしてくれた。
「今、ここにはトッキーとあずちゃんがいるのね?」
「ごめん、わかんない」
「あ、ごめんごめん。ま、一種の賭け事なんだよ。トッキーかあずちゃんをすくえば私の勝ち。すくえなかったら、私の負け、みたいな」
金魚すくいって賭け事なわけ? 勝ったら何か貰えるの?」
「もちのろんだよ。賭けたお金が返ってくる。トッキーなら二倍であずちゃんなら五倍」
「!? 赤字じゃないの?」
「いや、ボロ儲けだよね。お兄さん」
にやっと嫌らしい笑顔を浮かべ、フローゼルの方を見た。フローゼルは笑うだけで何も答えなかったが、儲けにならない商売などするはずもない。少なくとも毎年やっているなら損をしているはずはないだろう。
「面白半分でやると負けるし。素人は皆、あずちゃん狙って失敗するし。手堅く勝つならトッキーで十分だもん。ってことで、今年も私に幸せ恵んでね」
「ピカ嬢ちゃん、チャレンジ精神は必要だと思うけど?」
「んなこといって、私からお金巻き上げるつもりでしょ? やだよ。勝てない戦はしませ~ん♪」
フローゼルからポイと桶を受け取り、代わりに持っていたお金をフローゼルに手渡した。
「? 今回は少ないね。千ポケでいいわけ?」
「うん。私よりはそこの彼が向いてるから」
彼というのがフォースを指していることは明らかだった。フォースはピカの言葉に反応を見せるわけでもなく、じっとしている。そんなことよりもフォースは別のことが気になっていた。
「トッキーとあずちゃん? って、結局何……?」
「んもう。トッキーはトサキントであずちゃんはアズマオウだよ」
「…………んっ!?」
「だから、トサキントアズマオウをすくえば、お金が返ってくるの」
キラリと目を輝かせて答える彼女にフォースは戸惑いを隠せなかった。トサキントアズマオウもそれなりの大きさだ。平均的な大きさでもピカよりも大きいはずなわけで。普通に考えれば、ピカがすくえるとは思えないのだが……
目の前の彼女はやる気満々で、もうフォースの方を見ておらず、水槽に狙いを定めている。毎年のことのようだし、止めたって無駄だろうし、ここは黙って経緯を見ていた方がいいのだろう。
「んふふ……トッキー、覚悟して捕まりなさい。そして、私にお金を恵みなさいよ~♪」
「ふん。毎年毎年、そう簡単にやられてたまるもんですか! かかってきなさい」
トサキントこと、トッキーは強気にピカの挑発に乗ってきた。口調や声の高さからして女の子なのだろう。そして、声を発してはいないが、あずちゃん、と呼ばれるからにはこちらも女の子の可能性が高い。
「いいねいいね。でも、今年も私の勝ちだよ」
しゅばっと目にも止まらぬ速さで、ポイを横にスライドさせて水槽からは水飛沫が上がっていた。ピカはポイを水槽に入水させ、すぐに引き上げたのだろう。そして彼女が狙っていたトサキントは空中へと放り出されていた。
「絶対に入ってやらないわ……!」
「にゃは♪ 無駄だよーん! 今年も貰ったよ、トッキー! “でんじは”!」
頬の電気袋からぱちりと火花を散らすと、“でんじは”を繰り出した。空中にいるトサキントは避けることも敵わずヒットしてしまい、麻痺状態に陥る。それをしっかり確認したピカは側に置いてあった桶を器用に頭の上に乗せ、落ちてくるトサキントの真下へと移動した。麻痺したトサキントは抵抗も出来ないままぼちゃん、と桶へと吸い込まれるように入っていった。麻痺状態では暴れることも出来るはずもなく、ピカの勝利は誰が見ても明らかだった。
「……ありなの?」
フォースがぽつりともらす。技を使うのはありなのか、という意味なのだが、ピカは聞こえていないのか、あえて無視をしているのかは分からないが反応はない。しかし、フローゼルが文句を言ってこないところを見ると、別に構わないのかもしれない。
「ほら、分かった? 次はフォース君の番ね!」
「は? マジで。やなんだけど」
視界ゼロの今、極力神経を研ぎ澄まさねばならないようなことはしなくはなかった。……というのは建前で本音を言えば単純に面倒だからなのだが、こんなことで、はいそうですかと納得するピカではない。いつの間にかフローゼルと何やら話をつけ、新しいポイをフォースに持たせているところだった。こうなってしまえば、断っても面倒だ。さっさとやってしまった方が早く終わるだろう。
フォースは、はぁとため息をつき、諦めた様子で水槽の前に立つ。わざと失敗してさっさと終わらせるのも一つの手かもしれない。が、それをピカが許してくれるかと問われれば答えはノーだと答える他ない。なので、ここは彼女の要望に素直に答えてこの場を立ち去ることが得策なのだ。
「で、どんな手を使ってもいいんだな?」
「おう。危険なもんじゃなければな」
「……なるほど。攻撃技はなし、ということか」
「そゆこと」
ピカの先程の技はあくまで状態異常を引き起こす技だ。それはありだが、ダメージを伴うようなものは駄目だということらしい。しかし、そうなると状態異常技を使ってしまえばすんなり勝てるのではないのだろうか。そんなフォースの疑問を察したのか、フローゼルは笑って答える。
「ピカ嬢ちゃんのやつ、簡単にやって見せてるけど、本来ならあいつらに当たるなんて思わん方がいいよ? 守ってくるし、避けられるなら避けるしね。で、技を使うのは一回につき、一度のみな」
「ふーん。でも、あいつのときは避けたように見えなかったけど」
「あはは♪ そこはまあ、ピカ嬢ちゃんの貫禄ってやつ?」
どうやら技以外の手も使っていたらしい。ピカの方に目を向けると、特に弁解する気もないようで黙ってフォースを見つめ返すだけだ。問い質すだけ無駄だと思い、再度水槽の方を向く。
技を使うなら攻撃以外。使える技は一つだけ。危険でないことなら何でもしていい。最終的にこちらの持つ容器に移し変えればこちらの勝ち。
そんなことを頭の中で整理し、なぜピカがフォースの方が得意だと予想つけたのも理解した。
「確かに、おれ向きかもしれないな……」
誰にも聞こえないくらいの音量で呟いた。案の定、誰かに聞き返されることも、変な顔をされることもなかった。
くるりと手元のポイを回して構える。狙うはピカも狙うことのなかったアズマオウだ。手堅くいくなら、トサキントを狙うべきなのだろうが、どうせならばというちょっとした好奇心にかられ、一筋縄ではいかないアズマオウをターゲットにした。標的にされたことに気づいたのだろう。アズマオウがふーん、と冷めた反応を見せた。
「初心者が私を狙うなんてね。ま、いいんだけど」
「ピカに出来たんならおれにも出来るよ」
「あら、大した自信だこと。精々頑張るのね」
フォースの神経を逆撫でするような声で挑発する。が、こんな単純な手に引っ掛かるフォースでもない。特に反論することもなく、どうやろうかと考えるだけだ。色々な可能性を考え、いくつもの手を考え、考慮して、やがて一番簡単に終えられるであろう方法にすることに決めた。
「宣言してやる。おれは技なんて使わずにお前を掬ってやるよ、あずちゃん?」
今度はフォースがアズマオウを挑発するようにニヤリと笑って見せた。



~あとがき~
これ、いつまで続くんすかね。まだ一日目なんですけど。一日目なんですけど!!
最初のあらすじんとこで今回か次回って書いたけど、無理ですね。しばらくお付き合いください。

次回、フォースVSあずちゃん!

そろそろリアルタイムっていうか、こちらも夏ですね。まあ、ピカ達のとこじゃ、一年も経ってませんけど。なんてことだ。
そいや、私、ピカやポチャよりも歳が上になりましたよ! 大分前なんですけども。うっへっへ……マジかよ~(;`・ω・)
これ書いてるのも六月中旬なんで、めっちゃ過ぎてるんですけどね。私の十代も今年で最後です。悲しみ。

ではでは!