satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第133話

~前回までのあらすじ~
ピカ「楽しく遊んでもう帰るかってときに面倒なことになりました」
フォース「突っ込んだのはお前だろ」
ピカ「仕方ないじゃーん」
まあ、そういうところもピカちゃんだよね。
ってことで、悪いやつをやっつけよー!
ピカ「なんでこんなことになったんかね」
フォース「一日に一回は面倒事起こしたいんだろ」
ピカ「おう……迷惑な話だ……」
さてさて、始めるぞー!


「い、いつの間に……!?」
オコリザル達が後ろを振り向くと、そこにいるのが当たり前のようにフォースが立っていた。知らないうちにフォースに後ろをとられていたことに恐怖を感じたのか、オコリザル達は二、三歩後ずさる。
「攻撃しろなんて酷いことを言うのね。……ま、いいんだけれど」
「お前ならこいつらの攻撃食らったって平然としているだろう? というか、掠りもしないくせに」
「どうかしら。……やられはしないとは思うよ」
オコリザルを挟んで会話する二人はいつも通り。友人同士で話すようなそんな気楽さが混じっていた。そんな雰囲気が強張っていたオコリザル達に余裕を作ったのか、キッとピカの方を睨んだ。
「勝手に割り込んでごちゃごちゃと……うっせんだよ!」
「だから、律儀に待つ必要はないんだって。……あなたって実は真面目でしょ?」
ピカは薄く笑ったままオコリザルから放たれたパンチをさらりと避ける。そしてパンチで前に出た右腕を掴むと、軽々と投げ飛ばした。体格差は歴善であるにも関わらず、ピカは何でもないような顔でオコリザルを見下ろした。
「力の使い方も分からない馬鹿が私に挑むようなことしないでほしいわ。それと、弱いものいじめなんてみっともない真似、やめてよね?」
「くっ……」
「あ、お仲間さんも戦闘不能みたいだし、救護班でも呼んであげましょうか?」
ピカの言葉にオコリザルは慌てた様子で振り返る。そこには先程まではぴんぴんして立っていた仲間が一人残らずその場に倒れていた。フォース一人がつまらなそうにそこに立っている。ピカと少し話をしていただけなのに、そのわずかな時間で数人を昏倒させたらしい。
「はあ。手緩い……くっそ弱い」
「そりゃフォース君からしたら、私だってそんなレベルだって。……ねえ、どうする? 連れて帰ってもいいのよ。いや、違うな。……逃げ帰ってもいいんだよ?」
「いやいや、この人数一人で無理だろ。応援呼べよ。救護班とか本部の人呼ぼうぜ……」
「それもそっか。んじゃ、そこでおとなしく寝ていてよね」
どこからかバッジを取り出すと、誰かと連絡を取り始める。ピカの言う救護班やフォースのいう本部の人に連絡しているのだろう。唯一ピカに投げ飛ばされて意識のあったオコリザルでさえ、敵意を失ったのか、あるいは本当に意識を失ったのか、黙って動かなくなってしまった。
しばらくしてピカが呼んだであろう係りの人が伸びているオコリザル達を回収していく。それに合わせて周りにいた人々も少しずつはけていった。
「最後の最後でこれかよ……つっかれた」
「先が思いやられるな、これは」
「ほんとだよ。あーごめんね? フォース君にも手伝わせてさ」
「別にいい。……で、そこの兄弟は大丈夫か?」
「そうだった。もう怖くないからね。大丈夫?」
フォースに言われ、ピカは後ろにいた兄弟と目線を合わせるようにしゃがんで優しく語りかけた。まだ少し震えてはいたが、泣き叫ぶほど取り乱してもいないようで、ピカの言葉にこくこくとうなずいていた。
「……怖い人はやっつけたからこのままお祭りに戻ってもいいんだけど……そんな気分じゃないよね」
「どーすんの? まあ、明日もあるなら今日は帰らせれば?」
フォースの提案もごもっともである。しかし、ピカは今回のことで嫌な気持ちのまま帰らせてしまうのももったいないと感じる。自分達の用事は終わっているのだから、少し位は寄り道をしてもいいだろう。
「…………よし、君達が嫌じゃなきゃ、お姉さん達と遊ぼう! このまま嫌な思いでだけ持って帰らせたくないし!」
「……えっ?」
「ちょ、ピカ……? 何? お前、そんな面倒なこと…」
突然の提案に兄弟はもちろん、側にいたフォースも驚きを隠せないでいた。しかしそんなフォースに気にも止めず、話を進めていく。
「私、ピカって言うの! よかったら君達の名前も聞きたいな~♪」
「え、あ……僕はしま。で、こっちは弟のちた……です」
「うんうん。よろしくね、しま君。ちた君。あ、このイーブイのお兄さん、フォースって言うんだけど、見た通り目見えないからお手手繋いであげてね」
「はあ!? なんで巻き込んでいくの!?」
「フォース君、二人が怖がるかもしれないんだから、優しくしてよ? ねっ?」
「……あ、はい」
ピカの気迫と二人の兄弟の視線に負け、こくっと了承してしまう。さっさと終わると思っていたお祭り巡りはまだまだ続くようだ。

散々連れ回され、フラフラになりながらも、ピカと小さな兄弟と共に祭りの屋台を巡っていった。しばらくは緊張していた兄弟だったが、ピカの人柄に触れたおかげか、あるいはピカとフォースのくだらない会話のおかげか、すぐに緊張は解れ、彼女になついていた。そして、ピカに言われた通り、兄弟はフォースの手を繋いだまま楽しそうにしていた。それを振り払えるほど彼も非道ではないし、そんなことをしたらピカにどんな目に遭わされるか考えたくもない。よって、黙って従う方が利口なのである。
「ってか、お前ら元気だな……?」
「お祭り、楽しいから!」
すっかり打ち解けたちたが笑顔で答える。フォースの左隣ではしまも嬉しそうにうなずいている。先程の出来事などとうの昔に忘れてしまったように。
「やあやあ。楽しいね~♪ フォース君が立派なお父さんに見えてきたよ」
事の元凶であるピカは呑気にあんずあめを片手に高みの見物とでも言うように、にやにやと笑っていた。ちなみにここまでの費用は全てピカが出しており、いくら持っているんだと言いたくなるほど、ひょいひょい払っていく。
「うっせぇよ……そいや、祭りっていつ終わるんだ? 流石に遅くまでちびっ子連れ歩きはまずいだろ?」
「そうだね。……大体回りきったもんなぁ。二人も満足した?」
「うんっ! お姉ちゃん達と回れて楽しかったよ!」
「それはよかった。お祭りは明日もあるから、今日は帰ろっか?」
「明日もお姉ちゃん達、いるの?」
しまの質問にピカは記憶の片隅にあった明日のお仕事について思い出した。
「うん。いるよ。明日はお仕事だから屋台は回ってないけど……でも、困ったらお姉ちゃん呼んでね? 助けに行ってあげる」
「うんっ! ちた、帰ろうか」
「わかった」
「素直だな~♪ せっかくだし、お家まで送るよ。もう遅いもんね。……フォース君はどーする? もうついてこなくてもいいけど?」
そう言いながらも、ピカはフォースが何て答えるか想像がついているようだ。にやりと嫌らしく笑っていた。
「……ここまできたら最後まで付き合う」
「ふふっ♪ それじゃ、帰ろっか」
「うん。ありがと、お姉ちゃん、お兄ちゃん!」
兄弟が声を揃えて二人にお礼を言う。フォースはどうしたものかと困ったように笑うが、ピカはそれすらも予測済みのようで、クスッと小さく笑った。



~あとがき~
とりあえず、一日目はこれで終わりですね!
こんな風にするつもりはなかった。

次回、イブとフォースのお祭りデートかな!
またフォースだよ。大好きか。私が!

フォースは小さい子は好きでもなければ嫌いでもないです。でも、出来れば関わりたくないって感じでしょうか? ピカはほっといてもなつかれるタイプです。優しいからなんでしょうかね。子供相手に猫被ってるとしか言いようがないですが。

一日目のお祭りでポチャ達と別れてますが、彼らは彼らで楽しんだと思います。なんだろうね。イブ&チコとポチャを組ませるとポチャがすごい大人になるんですよね。いじられキャラとはいえ、いじられることがなければ、一番の大人なのかもしれません。ピカやフォースがいじるとすっと幼くなるんですけど、それ以外だと落ち着いた大人って雰囲気になる……そんなの求めてないんだけどね(笑)

ではでは!