satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 5ー5

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊をモチーフにしたものです。原作のイメージを壊したくない方はバック推奨!
ピカ「流された……」
ポチャ「ま、まさか押せるなんて……」
ソル「どうなるんでしょうね~」
ピカ「なんかソルだけ落ち着いてるんだけど……」
ソル「そんなことないですよ?」
ではでーは、始めるかね!


~5‐5 初めての謎解き~


凄まじい速さで流れ行く水に飲み込まれ、ほんの数秒だったと思う。足掻こうにもどうしていいか分からないため、いっそのこと身を任せてしまえと何もせずに流されるがままになった。
「…………って、うわ、なんだこれ!」
「噴き出している水の上でしょうか。そもそもポチャさんは水タイプですから、息出来てましたよね?」
「そうなんだけど、急だったからビックリしちゃって……」
溺れ死ぬ前に外に出れた。出れたと言っても勢いよく噴き出す水の上で決して助かったと言える状況にない。この水もいつかは止まるはずで、そうなったら私達がどうなるかなんて目に見えている。
なんて考えていると、ピタリと噴き出していた水が止まり、支えを失った私達はそのまま地面に引き寄せられる。つまり、下に向かって落ちている。
「今度こそ終わった! 誰かどうにかしてくれ! ヘルプ! 誰か飛べよぉぉ!!」
「ちょ、ピカが壊れた!?」
「あはは♪ こんな状況ですからね~」
「ソルは落ち着きすぎ! もっと危機感を…」
「もうどうでもいいから何とかしてくれよ! 鳥さんとか魔法使いさんとかでもいいから、飛べる人ヘルプミィィィ!!」
「魔法使いさんなんていないからね!」
知ってるよ。そんなの。過去の記憶なんてないけれど、走馬灯が流れてもいい状況だ。これは。
まあ、短い間だったけれど、楽しかったよ。
覚悟を決めて衝撃に備えようとしたが、ばしゃんとまたもや水の中に入った。先程と違うことはその水の中が温かいということだ。
………どういうこと?
慌てて顔を上げてみるとホカホカと湯気の上がる水…お湯の中で私はポケモン達に囲まれていた。皆驚いた表情を浮かべている。
「…………! ポチャ、ソル!」
「んぐ…………ここは…?」
「温かいです。温泉でしょうね」
二人とも無事だったようだ。ソルは順応が高いのかすでに和んだ様子で一息ついている。ポチャはキョロキョロと辺りを見回し、状況確認中。
「ポチャ達、空から降ってきたのよ? ビックリしたんだから。大丈夫?」
「空から……あー…うん。大丈夫だけど……」
オレンジ色の熊っぽいポケモンはポチャと知り合いらしい。話し方、声のトーンからして女の子だろう。そしてその隣にはその子よりも大きな茶色の熊がいる。オレンジ熊は可愛らしい外見なのに、こちらは厳つい感じである。小さい子にウケないかもしれない。
「オレンジ色の方はヒメグマ。で、その隣のはリングマだよ。リングマヒメグマの進化形ね」
首を傾げる私にポチャがそっと教えてくれた。
進化形というのがピンと来なかったが、姿が変わるとかそんな感じだろう。まあ、あまり似ているとは思わないが、面影はなくはない……だろうか。
「ここは温泉じゃよ」
「温泉……?」
今度は亀っぽいポケモンが出てきた。その人はなぜか温泉には入っておらず、外の岩の上に立っていた。入れない事情でもあるのだろう。
にしてもポケモンって沢山いるな……
「地図は持っているかの」
「あ、えっと……不思議な地図なら……ピカ、出してくれる?」
「あ、うん……」
バッグに入っていた地図を取り出し、ポチャに渡すと、ポチャは亀さんのいるところまで近付いた。それに私も続く。
「温泉はここじゃよ」
トントンと地図を指差した。滝から東の方向にあるようで、私達はそこまで飛ばされた……いや、流された?……どちらでもいいが、来てしまったということには変わりない。
「うわぁ……大分離れたところにあるな、温泉って。滝がこれだから……まあ、助かってよかったけどさ」
「なんと。お主らそんなところから流されたのか。それは大変だったの。それなら温泉で疲れを癒しなされ」
この人いい人だ。
「そうしよっか。帰りはバッジで帰れるよね?」
「ん? うん。壊れてないからいけるよ」
「なら、しばらくゆっくりしていこうか。ねっ♪」
ポチャがそう言うなら別に止めないけど。
ソルに続いてポチャも一息つき始めた。私は提げていたバッグをお湯から上げて岩の上に置く。広げていた地図を見ると、水に二度も浸かったはずだが、全く変化はない。そこら辺も不思議な地図だからこそかもしれない。そんなことを考えながら首に巻いていたスカーフを外していると、さっきの亀さんが私に近付いてきた。
ピカチュウとは、この辺では見ない種族じゃな。昔とは変わったものよ」
「? えーっと?」
「わしはコータス。周りからは長老などと言われるが、まだまだじゃよ」
「長老……ですか。長老、さっきの言葉は…」
「今じゃ陸から陸へと移動が気軽に出来るようになったが、昔は簡単に出来るものではなかったんじゃ。お主も何か目的を持って渡ってきたのかの」
目的、か。
私が答えないでいると、長老は追及するでもなく、にこっと笑った。
「ほっほっほ。若いうちは色んなところに出向きなされ。きっと良い経験を得られるじゃろう。その経験を大切にしなさい」
「………はい!」
私達はしばらく温泉に浸かってのんびりした後、頃合いを見てギルドへと帰路についた。

ソルと別れ、ギルドに帰ってきた私とポチャはあったことを報告すべくペラップの元へと向かっていた。
「それにしても凄かったね。まさかあれが仕掛けになってたなんて……ピカ、なんで分かったの?」
「あの宝石? 仕掛けを触ったら見えたから」
「ふーん? ルリリの次は滝に宝石か……」
ポチャは少しだけ考えていたが、ペラップを見つけたために考えることを中断したようだ。近くまで駆け寄ると、今まであったことを話していく。
……それにしても、だ。夢を見たのはいい。あれがきっかけで滝の謎が解けたのは事実。結局防げなかったが、奥地の仕掛けも見抜けた。しかし、あのポケモンはどこかで見た気がするのだ。ここに来て間もない私が見たと思うならここら辺で見かけたはず。……一体誰だ?
私より大きいであろう体。二足歩行。尖った耳……そしてあの勢いのある滝を簡単に飛び込むくらいの強さを持つポケモン………探検隊の誰か? となれば、このギルドにいる誰かということか。……そんなの、一人しかいないか。
プクリン。……もしかして、親方?
「あそこって親方行ったことあるんじゃ……?」
私がぽつりと呟いた言葉を聞いていたのか、ペラップがバサバサと翼を羽ばたかせた。
「まさか! 親方様がお前達にあそこを調べろと仰ったのだ。そんなわけないだろう?」
「ん~………でもー…」
確かにそうなんだよね。でも、当てはまるのは親方位だし、間違っていないはずなんだけれど。
「………ペラップ。親方に聞いてみてくれないかな? ぼくも気になるし、ね?」
「うーむ。そういうなら聞いてくるけど……ちょっと待ってろ」
ペラップはぶつぶつと何やら言いながら親方部屋へと入って行った。恐らく、こんなことを言い出す私達が変だとか何だとか言っているんだろうけど。
私はポチャを横目で見て、疑問に浮かんだことを口にした。
「ポチャ、よかったの?」
「へ? 何が?」
「本当にプクリンが行っていたら手柄とかないけどって話。ぶっちゃけ、黙っていたら分からなかったし」
「あ、あぁ……そういうこと。うん、そうかもしれないね。まあ、それでもぼくは別に構わないさ」
「? でも…」
ポチャは探検隊に憧れていてあんな風に冒険して、新しい発見して一番喜んでいるはずなのに。そうなるかもしれないチャンスを潰すようなことをしているのに。
そう言おうとするが、ペラップが親方部屋から帰ってきてしまい、会話が途切れてしまった。間が悪い鳥だな……
「聞いてきたぞ」
「ありがとう、ペラップ。それで親方は何だって?」
「うむ。しばらく考え込んだかと思ったら……たあぁぁぁ!!……と」
前から思っていたけど、親方の「たあぁぁぁ!!」……って何?
「なんかの合図かも。分かんないけど……それで?」
「そうしたら、『あぁ! よく考えたらボク、行ったことあるかも~♪』………と、仰った。つまり、ピカが言った通りだったということだな」
やっぱり親方だったのか。それならどうして私達に行って来いなんて言ったのだろう?
「それはワタシにも分からん。なんせ、妖精のようなお方でな。考えていることがいまいち掴めんのだ……長年親方といるワタシでさえ、さっぱりなところがあるくらいだからな」
「本当に忘れてぼくらに行って来いって言ったかもしれないのかな?」
「それもあると思うし、何か意図があったかもしれん。………まあ、ワタシは忘れていたと思うけど」
くそ、無駄足かよ。分かった途端に疲れが……
「今回は残念だったとしか言いようがない。……明日からまた頑張れよ」
「………はぁ~い」
私とポチャは声を揃え、気の抜けた返事を返した。
言い出しっぺは私だけど、実際に分かると辛い。
もう、さっさと部屋に戻ろう。疲れた。



~あとがき~
お、終わらなかった……だと?
ってことでまだ続きます。

次回こそ終わる! 多分!

特に言うことはないですね、はい。
そうだなぁ……ゲームだと、ペラップがご丁寧に滝の謎から温泉に飛ばされたところまで言ってくれるんですが、くどいんで入れませんでした。ピカが考え事をしているときに言ってたんだと思います。知らないけど←

あ、あと一つだけ。
ピカとポチャのいる大陸ではピカチュウは珍しいらしいです。なんで、単に住人としてピカチュウは出てこないと思ってくださいね。ピカくらいしかいないと思ってくれるレベルでもいいです。
いや、いるとは思うけどね。でも、話に出てくるのはピカだけだと思います。はい。

ではでは!