satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第146話

~前回までのあらすじ~
なんだかかなり進んだ気もするけど、そんなことないから。全く進んでないから。
というわけで、もえぎとフォースが協定を結んだわけだけど……今回はそんなバトッてるのを見守る傍観者さん達に視点を当てます! 今回はころころ変わるので、ついてきてくださいね!!
ポチャ「そんなこと言うなら別にこっちに回してくれなくても……」
浅葱「ふふ♪ 特に話すこともないしね?」
あぁ……そんなこと言わずに……!
イブ「こっちに回していいことあるのかな」
チコ「さあ……?」
ウィル「流れ悪いね!」
やめろぉぉ!! 皆してそんなこと言うと、私泣いちゃうぞ!?


やっと動き出した会場を見下ろしながら、ポチャはぼんやりと眺めていた。元々、何かを予測して戦うことはピカの専売特許である。彼女の方がこういうことは得意なのだ。恐らく、今もどのようにしてこの場を生き抜くか、勝ち抜くかを考えていることだろう。
「ポチャくんはこの戦い、どう考えているのかしら?」
「これが行われている理由ですか」
「あら、そんな意地悪な質問はしていないわよ」
くすっと小さく笑い、浅葱はポチャの方を見る。ピカと同じ様なタイプであるが、決定的に違うのは浅葱の方が考え方が非道であることくらいだ。
「今の状況は何とも。……不利だと思うのはアクアだけど、それくらいでやられるようなら補佐なんてやってないですし」
「そうねぇ……ま、残りの人達では様子見にならなかったのでしょうね」
「もえぎやエレキさんはチームの中でも融通が利くから一番手。……そう考えるとピカが一番に出てきてもいいようなものだけれど、そこはピカの作戦なんだろうな」
一番長く、彼女の考え方に触れてきたのはポチャである。今、何を考えてフォースを出してきたのかは何となく想像出来る。フォースは多くの場数を踏んできているから、どんな状況にも対応出来るといった理由だろう。ピカ自身が出てこないのは、このあとのことを見越しての体力温存。もしくは、出てくる必要がない、と思っているのか。
「ルール上、全員を倒すか、降参するまで続くわ。力業で乗り切れる程、敵も弱くない。……むやみに出てくる必要もない」
「そうですね。……交代も一度のみですから、下手すると一瞬で決着がつくかも」
どこで使うか、誰と交代するのかも考えなければならない。だからといって、交代せずにやられるのを待つばかりでは人数的に危うくなるだけ。
「なかなか難しいルールですね、これ」
「まあ、そうよね。どう指揮を執るのか、これがカギになるでしょうね。こういうのは、ピカちゃんが一番得意だけれど……評価したくないけど、馬鹿も勘は働くわ」
「太陽さんのことですね。……けど、この試合には出てこないと思います。危ないですし」
「そうね。出てこなくていいわ。必要ないし」
「ま、まだまだ始まったばかりだし……分からないですけどね」
口ではそう言うものの、心のどこかで自分達のリーダーが負けるような考えは一切なかった。そう思わせるような雰囲気が彼女にはあるのだから。

「段々、バトルらしくなってきたねぇ」
隣でゲームを楽しむかのように笑うウィルが呟いた。静寂から一気に動き出した会場を他の観客も歓声を上げながら観戦していた。こんな声は戦っている彼らには聞こえないのかもしれないが。
「かーくんは基本的に防御に徹するって感じっぽいなぁ……攻撃しないってことは自分の実力を前に出すこともしないってことか。ふむふむ~」
「逃げてばっかりで勝てるの……?」
「立ち回り次第では勝てると思うよ。一対一ではない、複数が相手だから」
イブの疑問に笑って答える。このルールでは必要以上に追い詰める必要はない。何せ、敵は複数でそれは相手も同じであるからだ。言ってしまえば、相手の戦意を逸らしてしまえば、自分に危害がこないように立ち回ることも可能ではある。理論上では、だが。
「相手も馬鹿じゃないから、難しそうだけどね」
「まだ始まったばかりだし……フォースがどうやって動くかは変わってくる……よね?」
「そうだね。今は避けるだけ、防ぐだけで済んでるけど、そうも言ってられなくなると思うな~? あそこにいるの、そこら辺の素人じゃないし」
「だから、あの場に立っているんでしょうね。ワタシ、絶対に戦いたくないよ」
「俺もやだな。手加減辛くて骨折れそう」
「そっちなの!? あぁ、まあ、うん。るーくんはそうだよね? うん……」
妙なところに引っ掛かったらしいイブだが、勝手に一人で納得してしまったようだ。ウィルは気にも止めず、場を観察する。始めに言った印象は変わらない。一番強いのは、先入観を捨ててもフォースだろう。問題は残りの三人の戦力だ。
秀でている者がいるわけではないが、一人一人それぞれの強さはあると感じる。エレキは周りを圧倒させる電撃を放っているし、周りを見て動いている。アクアはあの中で一番ダメージを受けているが、まだ力を出し切っているようにも思わない。最後はもえぎだ。もしかすると、一番あの中では力を隠しているのかもしれない。
「るーくんはどこが勝つと思うの?」
「この一回戦を勝つところってこと? 結構難しい質問するね。パッと見、どこも総合的には強いんじゃない? でもまあ……気持ち的なところで言えば、ピカちゃんのとこは上がってくるだろうね」
「断言するね? すーくんがいるから?」
「かーくん自身はあんまり関係ないかな。……かーくんを戦いの場に出させたピカちゃんがいるから、かな?」
無駄なことはしないフォースが彼女の言うことを聞いている時点で驚くべき点である。ましてやこんな大勢の前に出ること自体、考えられないことなのだが。
「とにかく、ピカちゃんの統括力は素晴らしいってこと。多分ね、今のバトルもこのあとのバトルもそれが大切だと思うよ」
「今、個人戦……なのに?」
「戦ってるのは、そうだね。まあ、見てれば分かるよ~♪」
イブとチコは互いに顔を見合わせ首をかしげる。ウィルはこれ以上何かを言うことも、付け加えることもせず、笑って見下ろしているだけだった。



~あとがき~
あれ……? これ、必要だったのか……?

次回、視点戻してバトルします。

今回はあれですね。ポチャもウィルもピカを信じてるって話です。なんだろ。それだけだわ……

あ、言うことない。

ではでは!