satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第151話

~前回までのあらすじ~
そろそろ一回戦も佳境に……!?
フォース「あはは♪ 無理だと思うよぉ?」
もえぎ「…………」
なんかさ……子供ver.のフォースに言われると尚更心に来る……子供って怖いね。
フォース「チッ……おれだってラルに指示されてなきゃ、こんなことしてねぇわ」
そ、そうだろうなぁ……なんか大人ver.久しぶり。
フォース「変な名称つけんな」
もえぎ「……」
もえぎちゃんも大変なことになった前回だけど、今回どうなるかな……
では、始まり始まり!


「その様子だと、状態異常を治す技はないらしいな。よかった。自分で治されたら、いたちごっこだもんな?」
これ以上攻撃する気はないのか、少し離れたところでナイトが座っていた。顔を上げることが出来ず、ナイトがどんな表情なのかは分からなかった。
「敵意もない相手にこんなことしたくないんだけどさ。……ま、仕方ないって諦めてくれ」
「…………っ」
ただの状態異常ではあるから、動けないことはない。しかし、今までのやり取りで勝てないことを悟ってしまっていた。そのため、体が思うように動かないのだ。もう止めておけ、と本能が訴えている。
「……うわっ」
少しだけナイトの驚いたような声が漏れる。何か予測する前に、もえぎの横に落ちてきた。その衝撃で砂埃が舞い、周りの視界を奪った。
「オネーサン、やっちゃったね?」
「けほっ……フォース、くん……」
落ちてきたものの正体はフォースだった。もえぎの認識ではレンに飛び乗って空の上にいたはずだった。それが、今もえぎの横にいるということは、落とされてしまったのだろうか。それにしては、声は元気だし、何も変わった様子はない。
「こんな状況だから、オネーサンのこと、治してあげらんないんだよねぇ……だから、軽くって言ったのに」
フォースの言葉がグサグサと心に刺さる。確かに、過剰に相手を攻撃したのはもえぎ自身だ。反論出来ず、しゅんとなっていると、フォースのため息が聞こえてきた。
「ま、おれ達は所詮敵同士。どうなろうと構わないけど……さて、そろそろ仕上げないとね」
砂埃が晴れる頃、もえぎの傍にフォースの姿はなかった。最後のフォースの言葉の意味を問うことが出来ないままで。

もえぎから離れたフォースはキッと空を見上げた。そこにはニヤニヤと嫌らしく笑うレンの姿があった。安全に降ろす、と言ったが、隙をついてフォースのことを振り落としたのだった。フォースもこうなるとは思っていなかったのか、対処出来ないまま、レンの背中から振り落とされてしまったのだ。で、今に至る。
「安全に下に降ろすって言ったよね、おじさん」
「敵の言葉、信じるんだ。案外純粋やなぁ~?」
「……ま、そりゃそうなるか。別にいいけどね。おれは無事だし。やりたいことはやったから」
「はぁ……?」
意味が分からず、首を傾げる。フォースはにこにこと笑うだけだ。何か企んでいるのかもしれないが、それが何かは全く予想が出来ない。
くらりと目眩がした。
「……?」
「おじさん、どうかしたの?」
「お前、何した」
「ん? なんだと思う?」
フォースの声が遠くなる。視界もぼやけてきた。意識もふわふわしてきている。レンは自分がどういった状態なのか、理解した。理解はしたが、これをどうにかする手立ては何もなかった。
「……ぁ」
「おれが落とされた理由は油断なんかじゃないよ。いる理由がなくなったから。ま、安全に降ろされるに越したことはないけど、落とされるならそれはそれでいいかなって。……子供を舐めてると痛い目見るんだよ? おじさん」
見上げていたフォースがくるり、と体を反転させた。その方向はもえぎとナイトのいる方向だ。
「だから、安心して、ねむってね?」
この言葉を聞いた途端、レンはギリギリまで保っていた意識をふっと手放した。
フォースの“あくび”で眠気を誘われ、眠り状態へとさせられたレンは、抵抗なく地面へと落下していった。これでしばらくはレンは起きてこない。そして、残りの二人をどうするかはもう考えてあった。
もえぎ達から離れてそれほど経っていないとは思うが、どうなっているのかは分からない。ナイトの様子からすると、あれ以上攻撃を加えるとは思えない。が、もえぎが反発すれば、対抗はするだろう。
「凄いな、お前。自分より何倍もの大きさのレンを無力化するなんてさ」
「あはは♪ そんなことないよ。あの人が間抜けなだけでしょ?」
近くへと行ってみれば、先程と状況は変わっていないようだった。もえぎはうずくまっているし、ナイトは座っているしでバトル後のような、そんな感じだ。
「オニーサンもおんなじようにしてあげよっか?」
「お断り」
お互いに地面を蹴り、ぶつかり合う。まだ、終わらない。
突進する勢いで走り、その勢いのまま体を反転させて尻尾を叩きつける。ナイトはその攻撃をするりとかわしてしまう。
「お前もあの子とお揃いにしてやるよ! “どくどく”!」
フォースの周りに毒々しい液体が現れ、一瞬にして包み込んでしまう。しかし、それも長くはなく、数秒後、それから簡単に解放された。解放はされたが、最高に気分が悪い。
「……チッ」
「それが本性ってやつかな」
「いやいやぁ~? なんか、嫌らしい攻撃してくるなぁ……と思ってぇ……“スピードスター”」
くるんっとその場で尻尾を振るい、そこからきらきらと星々が手裏剣のようにいくつも飛んでいった。ナイトは難なく避け、“スピードスター”は地面へと当たって消えていく。そのせいで、砂埃が舞ってナイトの視界を悪くした。ちらちらと辺りの様子をうかがっていると、フォースの狙いに気が付いた。
「これは……わざとか」
フォースはナイトにダメージを負わせたかったのではなく、こうして視界を奪うことだったのだ。そう気付いたときには、すぐ近くにフォースの姿を捉えていた。
「えへ。避けてくれるって信じてた~♪」
背の低いフォースはナイトの下に潜り込み、後ろ足で思いきり腹を蹴り上げた。この攻撃を防ぐ手立てはなく、もろに食らってしまった。蹴った勢いで体は宙に舞う。
「げほっ……!」
猛毒状態のはずなのに、よくあそこまで動けるな、と疑問に思った。が、それは見下ろしたフォースの様子を見て、すぐに解消される。すでに彼は猛毒状態ではなくなっていたのだ。
「あぁ……“リフレッシュ”か」
「そゆこと。じゃ、オニーサンもおじさんとこに飛んでってよ。ばいばーい」
ジャンプをしてナイトの傍へと移動してきたフォースに、今度は脇腹を殴られたような一撃を食らい、レンが寝ているであろうところまで飛ばされるはめになった。
誰がこの小さな少年にここまでやられると思ったか。誰が予測出来たのだろう。恐らく、フォースのチームメイト以外はこうなるなんて思いもしなかったはずだ。ここまでやる子供とは。いや、最早、子供であることも疑わしく思えるのだが。
「いっつ……!」
何とか顔面からダイブすることなく、四足で着地出来たものの、ナイトはそれ相応のダメージはあった。技でダメージを受けたというよりは、物理攻撃、格闘技のようなそんな攻撃ダメージを多く受けたせいだ。実際、フォースの攻撃はそういった攻撃しかしてきていない。威力のある技を持っていないから、その手段なのかもしれないが、子供の彼にそんな力があるのかとも、考えてしまう。
「……見た目で判断するのはよくない……ってか? 典型的なタイプだわ、これ」
ここからどうしたらいいのか、ナイトにはさっぱりだった。どう動けば、勝てるのか見当もつかないのだった。



~あとがき~
……何してるんだろう、私。
無理矢理やっている感が滲み出てますね!(泣)

次回、もうよく分からん! まだ一回戦やってる!

レンをひれ伏せたフォース君でした。
フォースが“あくび”なんてどこでやったよ!? とお思いになるかと思いますが、前話でやってます。探してみてね。

そういえば、高いところが得意ではないフォースですけど、そんな素振りは見せていませんね。
まあ、隠してるんだと思います。もしかしたら、本人も騒ぐほどパニックになる高さではないのかもしれませんね。
そこら辺のラインは全然考えてませんけど(笑)

ではでは。