satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第154話

~前回までのあらすじ~
フォース選手に代わりまして、ホノオ選手です。
ホノオ「やっほ~♪ 暴れちゃうぞ~」
フォース(やっと終わった)
ピカ「どうなるかわかんないけど、フォース君まだ出る可能性あるからね?」
フォース「!?」
ピカ「ま、計画が狂わなければ出番は終わりだよ」
どうなるかは私次第だ!(キリッ
フォース「……」


にこやかに入ってきたのは、ホノオだ。今から戦うような雰囲気なんてなく、何となくふらりと立ち寄ってみた感じであった。そして、ホノオの姿を見て、みるみる青ざめる人物が一人。そんな人物に見向きもせず、にこっと別の方を見た。
「もえぎちゃん、だっけ?」
「え、あ、えと……はい……?」
「俺は君のこと、今は攻撃しない。だからまあ、一つだけお願いがあるんだけどいいかな?」
「……?」
「今から馬鹿をボッコボコにするから、邪魔しないで欲しいんだ。もうじき起きるであろう、レンにも邪魔して欲しくないんだよねぇ」
馬鹿をと言ったところでもえぎのほぼ真正面にいたナイトを指差した。
「……えっと」
「馬鹿を倒した後なら、いくらでも相手になるからねぇ~♪ 君とレン、二人がかりでも大丈夫だし」
もえぎはともかく、タイプ相性的に不利なレン相手にも臆していなかった。戸惑うもえぎを余所に、ホノオはナイトの方に向き合うと、完全に怯えているナイトに向かって話しかけた。
「久しぶり。元気だった?」
「まっ……まあ、うん。それなり?」
「ねえ。なんで俺がこんなことしてるか分かる? なあ、ブイ」
「……ヒノ、さん、あの、えー……あはは」
お互い、チームメイト同士。気心は知れているし、戦い方も熟知していた。だからこそ、ナイトはホノオの恐ろしさを知っていたし、ホノオはナイトの強さを知っていた。
「“かえんほうしゃ”」
「あっぶね!」
構える暇も与えず、ごく自然なモーションで攻撃をしてきたホノオに対して、素早く対応してみせるナイト。それでも完全に避けることは出来ず、炎が体を掠めた。
「……っ! お前、また威力あげたなぁ?」
「ははっ。お前がふらふらしている間も仕事頑張ってますので」
「痛いとこ突くなぁ……“あくのはどう”!」
ナイトを中心に闇色の波がホノオめがけて向かってきた。フォースのように“まもる”は持ち合わせていないため、距離を取って逃げるか、波を飛び越えてナイトを攻撃するかの二択であるのだが。それはあくまで避ける手段の話であった。
ホノオは“あくのはどう”を避けるようなことはせず、それどころか自分から突っ込んできた。
「はあ!? 何突っ込んでんの!!」
避けるだろうと思っていたナイトはホノオの行動が理解出来なかった。なぜ、わざわざ突っ込んできたのか全くわからない。
「決まってるじゃん。近付くためだ。“かえんほうしゃ”」
「ゼロ距離射撃ってか……!」
先程避けられた“かえんほうしゃ”を当てるために距離を詰めた。“あくのはどう”を打っている最中で、避けることが難しいナイトに完全に当てるための行動だったのだ。ホノオの思惑通り、“かえんほうしゃ”は避けられることはく、ダイレクトヒットした。ナイトは勢いに負けて後方へと飛ばされ、地面をスライディングする羽目となった。
「いっつ……“かえんほうしゃ”より、こっちの方が痛いっての……」
「まだまだ終わんないよぉ~♪ 俺の怒りはこんなもんじゃないからねぇ~♪」
「あぁ……くっそ。何だって俺はこんな奴と組んでんだろう」
フォースとのバトルの疲労もあるのに、一番戦いたくない相手と当たるなんて運がないとしか言いようがなかった。と、ここまで考えて、ナイトはふとあることに気がついた。
「……まさかとは思うけど、ピカがこうなるように仕向けて……? いや、ないか。流石に」
策士と名高いピカであるが、ここまでの展開を読みきることが出来るのだろうか。普通に戦っていない連中だっていたのに、だ。仮にここの対面をさせたかったとして、どれだけの手を読まなければならないのだろう。どれだけの手を予想する必要があったのだろうか。
「本当だとしたら、おっそろしいなぁ」
ふらりと立ち上がり、ピカのいる方をちらりと見る。見られていることを知ってか知らずかフォースを戯れている姿が見えた。さっきまで、じっと観察するようにフィールドを見ていたはずなのに。
「ははっ……もう、見る必要がないってことかよ」
「余所見はよくないと思うよ?」
「いやはや、お前んとこの大将さんを考えてただけだよ。……この展開は、偶然、だよな?」
「そうだよって言ってあげればお前は安心した? でも、残念。……必然だ。ピカちゃんの計画のうちなんだよ。これもね?」
くいっと指を挑発でもするかのように曲げる。ナイトはそれが何の合図なのか知っていた。知っていたところで逃げることが出来ないことも、理解していた。
「くっそ……!」
「“れんごく”の中で悶え苦しめ」

「あぁ~……んー?」
くわっと大きく欠伸をしながら辺りをきょろきょろ見渡した。自分は一体どこから寝ていたのか、把握するために。そして、もえぎは急に動き出したレンにびくっと体を振るわせた。
「ひゃあぁぁ!?」
「おぉっ!? そんな驚かんでもいいだろ~?」
ホノオに言われた通り、もえぎは邪魔をしない位置へと移動し、隅っこの方に座っていた。ついでにレンも壁に寄せていた。
「どーなってんのぉ」
「あ、あの、邪魔、しないようにと」
「ほんほん……んで、嬢ちゃんは何してるの?」
「えと。邪魔、したくないので……でも、手足、は縛らせてもらってます。一応」
言われて気がついた。ツルでこれでもかってくらいにぐるぐる巻きにされていた。力を入れれば千切れなくもないが、寝起きでそんな力仕事はごめんだった。
「抜け目ないねぇ……まあ、いいんだけど。で、あそこにいるのは、ナイトとホノオ? うっへ。嫌な対面だ」
「……仲、悪い、です……?」
「ん? んー……そこまで? 最近、ナイトが好き勝手してるから、ホノオがお灸を据えに来たんだろ……多分」
それがたまたま、この場だったということだけなのだろう、と予想立てた。それを実現させたのは、全ての指示をしているであろうピカであろう。
「こっちはこっちで戦ってもいーんだけど、やる気がないんだよねぇ……あの坊っちゃんにやられっぱなしでテンション下がってる」
「……」
「嬢ちゃんはやりたい?」
「元々、やりたくは、なかったので、やりたくないです」
「だよねぇ……んじゃまあ、お互い休憩時間ってことにしよーぜ」
呑気にナイトとホノオが戦う方へと目を向けた。もえぎも敵意がないことを確認すると、きちんとレンとの一定の距離を保ちつつ、座り直して目の前の戦いに集中した。



~あとがき~
……ここが一番の山場な気がしてきました。

次回、ホノオVSナイト!
長くは続けられないので、さくっと終わります。

フォースがいなくなったんで、メインキャラが一人もいない状況です。いいんでしょうか。
まあ、いいか。さくっと終わる予定……だったんですけどね。このバトル、去年の夏からやってました。おっかしいねぇ~?(汗)
あぁ……いつものことか……(白目)

ではでは!