～前回までのあらすじ～
いい感じに（？）ごちゃってきたぞー！
なーさんがあちこちに吹っ掛けてるおかげやな。
ナエ「…………ぬぅ」
レン「その言い方は不服らしい」
あ、ごめんなさい。いやでも間違ってないっしょ！
ナエ「……」
レン「あはは～……もう始めちまおう。これを伸ばしてもいいことない」
そっすね……よし、始めます！
ホノオの発言にナエが何か反応を示すことはなかった。お互い、親しいほど交流もないためだろう。その分、遠慮もないようだ。
ホノオは地面を蹴り、ナエに突進するように近付いた。そして一気に“かえんほうしゃ”を繰り出した。
「ぬ」
“れんごく”にも動じなかったナエは焦ることなく、バックステップで華麗に避ける。しかし、逃がすまいと炎を吐きながら首を動かしてナエの姿を追う。直撃こそしなかったものの、掠めることは出来た。
「……っ」
「炎技は痛いって認識があってよかったよ。“れんごく”のときは、全くだったから。……さっきのは避けられてたんだね」
ホノオは直撃したと思っていたが、ナエの様子から今のように避けられたと見る方が妥当であった。避けた後、すぐに姿を表さずに体力の回復を待っていたのだろう。だから、ホノオの前に出てきたときは火傷の傷はあれど、平然としていられたのだ。
「ほーんと面白いねー」
「ぬ」
「そんなことないって？ まあ、いいじゃない？ もしかしたら言ってること違うかもだけどさ。仕方ないよね、俺は君の言葉が分からないんだから」
にこにこ笑いながら、絶えず攻撃を繰り出していた。時間をかけたとしても、ナエは少しずつ“やどりぎのタネ”の効果で体力を回復していく。ホノオが不利になるのは目に見えている。倒すつもりなら短期戦でいくしかない。
と、考えたところでぴたりとナエの動きが止まる。ホノオが何かしたわけでも、レン達が何かしたわけではなかった。
『えっ！？ あ、アクアさん、棄権するんですか？ えっと、アクアさんのチームはここでリタイヤの選択を取ったようですね！』
リムの戸惑う声が聞こえ、三人はそちらに注目をする。今の状況を見て、アクアはそういった決定を下したのだろう。途中でリタイヤしてはいけないわけではないから、ルール違反ではない。
「ぬ」
「まあ、状況を考えると絶体絶命なのはあそこだもんねぇ……懸命な判断なんじゃない？」
「ホノオの野郎がナイトを突破したから、か」
フィールドに残された三人は各々の考えを持ったようで、分析でもするように話した。
「……あっくん」
ホノオの反撃を受けて動けなくなってきたトパーズに近づいたのは、チームリーダーであるアクアだ。申し訳なさそうにするトパーズの頭をぽんぽんっと優しく叩くと、動けない彼を背負った。
「最初からこうなることは予想してた。だから、いいところでやめようって思ってたよ」
「……でも、いいのかな」
「ぐだぐだのバトルなんて見せたってつまらないだろ。……それに、僕が動けば、あの人も動くんじゃないかな」
「あの人？」
「うん。ナエさんも僕と同じだ。初めから勝つつもりなんてないんだから」
「えっ？」
アクアはこれ以上何か言うことはせず、自分の陣地へと戻った。彼女の発言の意味を教えてくれるような人は、残念ながらこの場にはいなかった。
「はあー……さて、どうする？ 続ける？」
アクアとトパーズがこの場を去ったのを見計らい、ホノオはナエに問いかけた。アクアの発言が聞こえていたのだろう。だからこその、問いかけだった。
「……ぬ」
すっと目を細め、踵を返すとナエ自身も陣地へと向かって歩いてしまう。
「それが答え？」
「ぬ……ぬぅ」
「……元から、乗り気じゃない。それに、興ざめしたってさ」
いつの間にかホノオの隣に飛んできていたレンがナエの言葉を通訳してくれる。乗り気じゃないのに、興ざめとは変なことを言うものだと、ホノオは首を傾げるが、それで意味が分かるわけではない。
「じゃ、俺達が決勝で戦うってことね。随分あっけないけれどさ」
「……あ、そうか。そうなるのか！？」
「レンってば、後先考えないんだから。それにしても……ほとんど、ピカちゃんのシナリオ通りだったなぁ～？ 怖いくらい」
変な形で決勝相手が決まり戸惑うレンをよそに、ホノオはピカのいる方を見る。相変わらず、フィールドをじっと見つめ、何かを考えているようだった。彼女の頭の中では次の戦いに向け、新しい作戦でも組まれているのかもしれない。
このあと、リムの決勝相手が決まったことと決勝についての大まかな説明があったのだが、ホノオは大して聞くこともなくさっさとフィールドから撤退した。それはレンも同じようで、わざわざフィールドに残って聞く必要はないと判断したのだろう。それにホノオに関して言えば、自分が聞くことはないと感じたためである。ルールについてはピカが把握するだろうし、それに合わせた作戦も作られることだろう。ピカの手足となる自分にはいらない情報である。
「ただいま～♪ なんだか、歯切れの悪い終わり方になっちゃったねぇ」
「おかえり。そのことについては、ピカも予想してたって。……流石に、あのナエトルは予想外だったみたいだけど」
ピカにだっこされたままのフォースが出迎えついでに教えてくれた。全てを予想することは出来ないというものだろうと思っているために、それについては驚きはない。
「それで、ピカちゃんは次のことでも考えているのかな？」
「みたいだけど。どうなるかはまだ分からん」
二人の会話を聞いているのかいないのか、ピカからの反応はなかった。ホノオとフォースはお互い見つめあい、肩をすくめた。
～あとがき～
展開早くなっててびっくりしてる。とはいえ、はしょったつもりもないんですけどね。
次回、ピカ率いるチームVSレン率いるチーム！
バトルにはけないかもしれない。
視点があっちこっち行ってて申し訳ないと思ってます……うむむ。この話のイメージはちゃんとあって、ラストも決まっているのですが、どうにも文章にしようとすると難しいものがありますね。こういうのはイラストだったり、漫画だったりの方が分かりやすいのかもしれません。まあ、そんな激しいやつは描けるわけがないんですけどね！！ そんな時間なんてないのじゃ……
ではでは！
