satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第159話

~前回までのあらすじ~
雑に一回戦? 予選? が終わりました。ピカチームとレンチームで優勝チーム決めるで~♪
ピカ「お祭り終わるまでに何年間使うんだ」
まだ一年だよ!!
ピカ「はあー……?」
フォース「つまり、一つの長編を終わらせるのに一年以上はかかるんだな」
ピカ「ってことは、この物語が完結するのに……」
やめて!! そんな先の話はしないで!!


『それでは、決勝戦の詳しいルール説明をしたいと思います! 決勝戦は三対三のチーム戦となります。そのチームのリーダー……つまり、大将を倒した方の勝ちとします』
リムによるルール説明を黙って聞くメンバーの面々。それは敗退した二つのチームも同じようで自分等に関係ないにしても耳を傾けているようだった。
「大将って言うけど、ほとんど分かってるようなものじゃない?」
「チームを率いてる奴がやるもんだと思うが……あっちで言うなら、フライゴン。こっちはピカってわけか」
黙って聞いていたホノオとフォースはルールに関して話し合っていく。そこにピカは参加することなく、ただ考え込んでいた。ホノオとフォースの会話は続く。
「全力で守りにいくか、攻めるかの二択かな」
「守ってばっかじゃ意味はない。攻める必要もある……あっちの技量はなんとなく掴めたが、あのザングースだけはさっぱりだな」
「太陽だよね? まあ、こういう場だし本気にはならないよ。多分ね」
「ふぅん……?」
『使用する技は通常技に加え、一人一つだけオリ技を許可します! ただし、命を危険にさらすような危ない技は駄目ですよ? 使ったら即失格ですからねっ! 大体の説明はこんな感じです。試合開始時刻は十五分後。ルールに関して何か質問があれば個別に受けますので、チームの皆さんはお気軽にどうぞっ! では、しばらくの間、ご歓談くださいませ』
大まかなルール説明を終えたリムはマイクの音を切ったようだ。場には静かになりすぎないようにという配慮なのか、明るく気分が上がるようなBGMが流れ出す。
「……で、ずっと黙ってるが、何か思い付いたのか?」
「…………まだ、足りない。ちょっとリムんとこ行ってくる。三分で戻るよ」
ピカは膝の上に乗せていたフォースをそっと下ろすと出ていってしまった。残された二人は不思議そうに扉を見つめる。質問を投げ掛ける暇もなく、ピカは出ていってしまったためである。
「何か足りなかった?」
「さあ? おれ的には十分だったけど。要は大将を……フライゴンを倒せばいいんだろ? んで、オリ技を一つだけ許可されたけど、基本的には普通に戦えって話」
「そうだよね~……まあ、いいや。ピカちゃんには何か考えがあって確認しに行ったんだよ。で、俺達はどんな技を使おうか?」
ホノオの言うどんな技というのは、オリ技をどうするかという話だろう。これもまた、ピカの指示の下変化しそうではあるが、自分達の中でイメージを固めておくくらいはしてもいいだろう。
「ピカの作戦次第。……って言いたいけど、出来っかなぁ……おれ、使えないかも」
フォースの使うオリ技は普段、鎖や剣を作り出すものだ。それはどれも武器であり、それらは危険なものである。もちろん、命を取らぬよう性質を変えることは可能だが、それは見た目では分かるものではない。相手に変な言いがかりをつけられれば、即失格も有り得るのだ。危ない橋を渡るよりは、安全に使わない方向でいく他ないだろう。
「そうなの? フォースくん、危ない技使えるんだねぇ~」
「お互い様だ」
「あはは~♪ 長年こういうところで仕事していると、色々覚えちゃうんだよ。仕方ない仕方な~い」
のほほんとしているホノオからは底知れぬ何かを感じていた。先程のバトルも全力を出していたとは思えない。しかしそれはフォースにも同じことが言えるのだが。
結局、二人はピカが戻るまで他愛ない話をして、このあと行われるバトルについては何も話すことはなかった。

「はわ~……めっちゃどきどきしたぁ」
イブはホッと胸を撫で下ろして、体重を背もたれに預ける。こんな激しいバトルを見ることは早々あることではない。また、出ている者も全員が実力者なのだ。滅多にない体験ではあろう。
「ピカさんは結局出てこなかったね? フォースはそれなりにずっといたけど」
「うん。いつもと違うすーくんだったけど、動きはいつも通り……というか、いつもより軽い感じ」
「そりゃ、あっちの方が身軽だろうね。ん~……そうだなぁ……すっちーより一回りくらいちっちゃいと思うよ?」
ウィルの言葉にイブは驚いたように彼の方を見る。
「えっ? ほんとに!? 今のすーくん、私より小さいの!?」
「うん。あの頃のかーくんはね、触り心地抜群なんだっ! もっふもふのふわっふわでぇ~♪ もちろん、いつものかーくんもなかなかだけどね? 継承者がいい毛並みしてるからさ」
「ふぁ!? ど、どういう?」
いきなり褒められたイブは動揺しつつウィルに問うた。しかし、その質問にウィルが答えることはなく、フォースの毛並みが如何にいいかを力説するだけであった。
「ほんと、フォースのことが大好きなんだな。ウィルさん……」
「そ、そうだね」
イブとチコは苦笑を浮かべつつも、つかの間の休憩時間を二人で話ながら過ごすことにした。先程のバトルについて話したり、勝つチームはどちらか分析したり等。
そんなことをしていると、後ろから誰かがどんっとぶつかってきた。びっくりしてイブとチコが振り返ると、にひひっと笑うコンの姿があった。少し離れたところには呆れ顔のソルと楽しそうに笑うフィフィの姿もあった。
「コンちゃん! それと、ソルさんとフィフィくんまで!」
「やっほー! イブ! それに、チコも!」
「ごめんなさい、お二人とも。この馬鹿が驚かせてしまったようで」
「お姉ちゃんたち、ピカのことおーえんしてるの? ボクもするー!」
続々とスカイメンバーが集まり、イブ達の周りに座る。この様子を見ると、警備の仕事は終わったようで、ピカの応援に駆けつけたのだろう。
「ソルさん達はピカさんが勝ち残るって分かってたんですか?」
「そうですね。簡単にはやられないと思ってましたよ。僕達のリーダーが指揮しているんですから」
「それに、ホノオお兄ちゃんとフォースお兄ちゃんがいっしょだもん! 負けないよー?」
楽しそうにフィフィが笑いながら答える。心からピカが勝つと思っているのだろう。それを見たソルも笑顔で肯定する。
「でもでもー? 相手もなかなかの強者だよ? 怖いねぇ~」
「さっきの見てる限り、そうは感じなかったけれど……そうなの?」
首を傾げるチコにコンは大きく頷いた。
「実績だけでいいなら、うちのチームより上だもん。まあ、強さってそれだけじゃないけどねっ」
「よく言う……ピカさんの受け売りの癖に」
「むっ! ソルは黙ってて!」
相変わらずの二人にイブは苦笑しつつも、フィールドに視線を移す。もうすぐ始まるであろう、戦場を見据える。思えば、フォースが本気(ではないだろうが)で戦う場面を見るのも随分久しく思える。本人の前では言えないが、戦っているときのフォースのことが案外、イブは嫌ではないのだ。
「イブお姉ちゃん、楽しみなの?」
「うん? うん、そうだね。楽しみだよ」
「そっか。えへへ。ボクも!」
「一緒に応援しようね。ピカさん達のこと」
イブの言葉にフィフィはこくっと嬉しそうに頷くと体を揺らしながら始まるのを待っていた。そして、約束の十五分が過ぎると、BGMのボリュームが落とされていき、リムの声が会場に響いた。
『さあっ! 両者の準備も整ったところで、決勝戦となるチーム戦を始めていこうと思いますっ!』



~あとがき~
ソル、コンフィフィが観客として登場しましたが……増えたとして、それを描写する機会はありません(泣)

次回、わっくわくの決勝戦開始です!

ルール確認です。
大将を倒せば勝ち。危ないことはしちゃ駄目。一人一つ……つまり、一種類のオリ技使用が可能。
って感じです。まあ、ピカが足りないと言って質問しに行っているので後出し情報はあると思いますが、必要最低限、これだけ知っていれば問題ないかと。
どうなるかどっきどきですね!(無計画)

ではでは!