satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第161話

~前回までのあらすじ~
勝戦スタートしました。ピカと太陽、レン&エレキとフォース&ホノオですね。ごちゃごちゃしそうですね。
ピカ「すでに展開どうしようか詰んでるもんなぁ」
それな……大まかな道筋はあるんだけどな……
フォース(どっかで詰むのはいつものことなのでは……?)
まあ、いいや。始めるぜよ!


「随分信用してるんだな。イーブイ君?」
「まあね。そうじゃなきゃ、面白くないでしょ? おじさんは仲間のこと、してないの?」
「さてねぇ……」
煮え切らない態度のレンを一瞥しつつ、フォースは小声でホノオに話しかける。
「……ホノオ、行けるか」
「うん。大丈夫」
ホノオは背伸びをしながら頷く。お互い、準備は出来ている。後はタイミングの問題だった。いつでもいいといえばそうなのだが、どうせなら相手が一瞬の隙でも見せるなどのよいところで仕掛けたいものである。が、ホノオにはそんな考えはないようで、ぐるぐると腕を回しながら、さも当たり前のように二人に宣言した。
「ごちゃごちゃ考えてもしょうがないよねぇ~♪ 今から仕掛けちゃうね?」
「言うんだ、そういうこと……っ!」
エレキが呆れて突っ込みを入れようとした瞬間、背後から“スピードスター”が飛んできた。いつの間にかフォースがエレキとレンの後ろを取っていたのである。レンは上空に、エレキは走って範囲外へ逃げ出した。しかし、エレキの逃げた先には待ってましたと言わんばかりにホノオが待ち構え、悪魔の笑顔を向けていた。
「いらっしゃぁい♪ “きあいだま”」
「ぎゃあぁぁ!?」
自分から突っ込んだようなもので、急に防御体勢に変えられるはずもなく、もろにホノオの技を食らうことになった。完全にフォースに誘導された形となる。
「戦いはとっくに始まってるんだよ、エレキ」
「くっそ……さっきの台詞は合図だったわけ?」
「あはは♪ どうだろ?」
エレキは、バチンと電気の火花を散らす。生半可の気持ちのままホノオに挑めないことを悟ったのだろう。
「でもまあ、レンは空に逃げられるし。こっちの方が優位ではある」
「行動範囲が広がるのは利点だよね。でも、だからって優位になるとは限らないんじゃないかな?」
「……どういうこと?」
ホノオの言葉にエレキは首を傾げた。ホノオがそれに答えることはなく、黙って笑顔を浮かべるだけだった。エレキの疑問に答えたのはホノオの隣へ戻ってきたフォースだ。
「おれがおじさんを捕まえるからだよ」
「捕まえ……?」
「“スピードスター”」
初動なしに攻撃を繰り出してきたフォースにエレキは完全に対応することが出来なかった。遅れをとっていることは明らかであった。
フォースからしてみれば、本気でない相手を倒すことは造作もないことで、構えなしに技を出すことも簡単である。しかし、それでは面白くないのだ。これは確実に敵を殲滅する必要はなく、あくまで見世物である。だからこそ、手加減も必要であった。
「このサンダースは問題無さそうだな。あとはフライゴンザングースだけど……ザングースはピカに任せるとして、だ」
フォースとホノオがやらなくてはいけないことはこの二人をピカの元へと行かせないこと。それと、大将首を取ることである。大まかな道筋は聞かされたが、事細かな手段については任されてしまっているため、ここはどうするか考えなくてはならない。
「……ま、確実にいくならホノオの技を当てることが一番だな」
「そうだね。でも、どうしよっか? ちょーっと遠いかなぁ?」
ホノオの言う通り、レンは上空に逃げてしまっていて技が届く距離にいないのだ。流石にこれが終わるまで逃げ続けるようなことはしないだろうが、しばらくは降りてくるとは思えなかった。とりあえず、この場に引き戻すことをしないといけないのである。
「大丈夫。さっきも言ったけど、おれが引きずり落とすから」
「そう? じゃあタイミングとか任せる」
「あぁ。ひとまず、目の前の敵を弱らせてからだな」
「はいはーい。それは俺の役目だね」
「そうなる。……来るぞ」
フォースの言葉でホノオはエレキの“ボルトチェンジ”を巧くかわす。電気をまとったエレキはそのままの勢いで近くにいたフォースに攻撃を仕掛ける。
「あは。今度はおれかぁ」
「ったく! ホノオの“れんごく”のせいで、火傷が響いてるし! 一人で二人を相手してるし! 損な役回りだよっ!」
体を軽々と持ち上げて蹴りを入れたり、電撃を飛ばしてきたりと口では色々言っていても攻撃は緩めてこない。しかし、避けられない程速くもないため、フォースは確実に見極めて避ける。
「嫌ならさっさと倒れてくれてもいいんだよ?」
「んなこと出来たら苦労はないっ!」
「真面目な人。……ホノオ、よろしく」
「は~い」
エレキの背後からホノオの“かえんほうしゃ”が繰り出される。この角度だとフォースもろとも焼き尽くしてしまうのに、何の躊躇いもなく強力な炎が吐き出された。慌てて横に逃げようとしたが、その退路を断つようにフォースが攻撃を仕掛ける。
「ばっ……! お前、焼かれたいの!?」
「あはは♪」
笑うだけで何も答えないフォースとエレキはホノオの“かえんほうしゃ”をまともに食らったのであった。お互い単騎で力を発揮する部類であるが故に、協力プレイなどといったものをしようとは思っていないらしい。どちらかが大将を叩けばいいとしか軽く考えていないのである。しかし、フォースはこんな序盤でやられようとは思っていないのだが。
「ホノオ、容赦ねぇなぁ?」
「逃げてばっかの誰かさんに言われたくないねぇ」
「許せって。おっかないホノオさんが暴れてたら逃げたくもなるでしょ?」
「ははっ♪ 本人に言うことじゃないよ?」
高度を下げ、ホノオと会話出来る程度までには降りてきたらしい。レンはエレキの方へと飛ぶと様子を窺った。不思議なことにその場にはエレキしかおらず、フォースは直前になって攻撃を避けたらしい。
「エレキさぁん、生きてますかぁ?」
「うぇ……あーくそ。残念なことに生きてるわ。まだいけちゃう自分が嫌い」
「おーおー……頑張るねぇ?」
「ホノオ相手に無理してまで頑張りたくはねぇ……が、中途半端で終わらせたくもない」
「優等生か。んじゃまあ、俺も協力してやろう」
「そう言うなら、最初からそうしろよ」
ゆっくりと体を起こし、ホノオを見据える。ホノオはというと、見られた意味が分からないと言ったように首を傾げていた。それを見たレンは子供っぽくふて腐れたように声をくぐもらせた。
余裕のよっちゃんかよぉ」
「実際、そうなんだろうな。さっきまで二対一だったし」
「ごめんて。今から真面目になるから」
そう言うとエレキを掴み、ホノオに向かって一直線に飛んでいく。訳が分からないエレキは慌てた様子でレンを見上げた。
「え、待って? これ、策あるの!?」
「いんや。全く」
「……はあぁぁぁぁ!?」
「あはは~♪ 無策で突っ込むなんて面白ーい♪ 任せたぁ~」
レンとホノオの間にいきなり現れたフォースはにこっと笑う。今まで気配を殺し、レン達の死角にでも隠れていたのだろう。そして、フォースは当たり前のように防御体勢に入る。当然の対応であった。
「“まもる”」
フォースとホノオを包むように半球型の盾が出来上がる。レンは仕方なく、翼を大きく羽ばたかせて上へと路線変更を行う。“まもる”に突っ込んでもダメージは当てられないため、どうしようもない。
「くっそ、厄介だな。補助系も覚えてて、動けるんだもんな。どこで見つけてきたんだ。ピカの奴め」
「どーすんの。結局、逃げてますけど」
「ぐぅ……どうすればいいのかわっかんねぇんだよぉ……苦手なんだよ、こういうのっ!」
「相手の方が何枚も上手なんだよな。こうなりゃ、太陽が終わらせてくれるの待つか?」
「それもありっちゃあり……だけど」
流石にその姿勢はよくないことはレンが分かっていた。これが本当のバトルでこちらが勝たなければならないものであれば、それが一番の最適解であろう。しかし、これは実戦であり実戦でない。周りに見ている客がいる限り、自分達は注目されているということを忘れてはならない。そして、ギルドの名を背負っていることも。下手なことは出来ないのだ。今後のためにも、逃げるだけではいけないというのは分かっている。
「……二人で真っ向勝負するか」
「レンがそれでいいなら従うけど」
「協力すればなんとかなんだろ」
「なるかねぇ……ま、最悪、レンは空に高飛びしろよ。……でも、あのイーブイは引きずり落とすって言ってたけどな」
「はあ……? どうやって」
レンが聞くが、エレキがその答えを知っているはずもなく、さぁねと一言返ってきただけである。



~あとがき~
うわぁ……しんどい……
展開は決まっているのになかなか書けない……

次回、一方その頃ってのをやります。ピカVS太陽です。ピカが“くさむすび”で援助した辺りからやりますかね。

なんだろう。書けないから案外早く終わるような気がしてきた。十何話くらい続くかと思ってたんだけど……そんなことない気がしてきた。どうなるかなんてわからないけど!

ではでは!