satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第163話

~前回までのあらすじ~
ピカと太陽視点でしたね。今回も続けてピカと太陽の方をやっていきますよ~
ピカ「大丈夫かなぁ……ちゃんと書ける?」
うーん……イメージはあっても文章に出来ない。思うように動かせない事件が多発していてなぁ……
ピカ「それはまあ、作者の思い通りになってやらんぞという意思表明……かな」
お主の仕業だったのか……
ピカ「はて」
どっちにしろ、すらすら書ける気はしないのでどうでもよきです……ってことで始めてくぜ!


ピカの気配を感じ取ると、ぱちっと目を開けて自分の後方、約四十五度くらいの方向へと“ブレイククロー”を繰り出した。しかし、そこには誰もおらず、太陽は空を切っただけである。首を傾げつつ、百八十度反対側に同じように切りつける。が、そこにも何もなかった。
「……? こっちでもない?」
「翻弄されてますねぇ。いいですね。楽しいです」
太陽の背後からピカの声が聞こえてきた。また、反射的に“ブレイククロー”を出すが、それはヒットせずに数歩離れたところでピカは立っていた。
「あっれぇ? すぐ後ろにいた気がしたよぉ?」
「え~? 私はずっとここにいましたよ。もしかして、勘が鈍ってませんか?」
「んぅ? うーん……? まあ、いいか。“ブレイククロー”」
一気に距離を詰めて、今度こそと言わんばかりの勢いで攻撃を繰り出す。ピカは避けるようなモーションを見せることもなく、太陽の攻撃をわざと受けた。攻撃された反動で吹っ飛ばされることはなかったようで、攻撃するために前に出た太陽の左腕をがしっと掴まれた。太陽はぎょっとした様子でピカを見る。
「!? えーっと? ピカ、ちゃん?」
「はい」
「……じゃ、ない……な?」
攻撃を受けたにも関わらず笑顔を絶やさずに太陽を見つめていた。力を入れている様子はないのに、ここから抜け出すことが出来ない。
「ピカちゃんにここまでの力があるなんて思えないんだけど」
「そうでしょう。私は本人ではないですから」
「“ドール”……か」
「はいっ♪」
「これまたマイナーな技を使って……それで? ここからどうする気なのかな?」
「それは私ではなく、マスターから伺ってください」
「“かわらわり”!」
太陽の背後から、本物のピカは頭上目掛けて“かわらわり”を繰り出してきた。ドールに捕らえられた太陽は避ける術もなく、もろに食らってしまう。ぐらりと地面へと倒れ、ピカは再度、太陽との距離を取る。
「ありがと、ドール」
「マスターのご命令とあらば、なんだってやります。それが私のプライドですからっ」
「そうっすか……とりあえず、戻っていいよ」
「それは構いませんが……このまま二人でやってしまってもよいのでは?」
「うーん……それは多分愚策だ」
ドールがピカに理由を問う前にゆらりと太陽が立ち上がる。片手で顔を覆っているため、表情は読めなかった。読めなかったが、彼の纏うオーラに変化があったことを感じ取れる。それはピカにとってそれなりに知ったものであるが、出来れば出会いたくないものであった。
「ふふっ……あはっ…」
「あーあー……嫌な部分引き出しちゃったな~」
「マスター」
太陽の変化を感じ取ったドールは主の心配をするものの、ピカのドールに対する態度は変わらない。
「戻れ、ドール」
「……ご武運を」
ドールが戦うとなればそれなりに力を与える必要があり、それに自分の体力を持っていかれてしまうのも本末転倒である。そのため、二人で戦うことよりもドールを戻して一人で戦うことを選んだのだ。
「あぁ、いいね。……楽しくなってきた。この感じは久し振りだよ……ふふっ」
「太陽さんがそれに入るのは楽しくない……っ!」
目に留まらぬ速さでピカとの距離を詰め、爪による攻撃を繰り出してきた。辛うじて避けるものの、地面に突き刺さった太陽のそれを見て、ピカの頬に冷や汗が伝う。
「あは。想定内だろ?」
地面に刺さった爪を軸に体を大きく振り回す。持ち前の反射神経とスピードのお陰かその攻撃を受けることはなかった。
「いえいえ……想定外、です」
表面上、冷静さを保ってはいるが内心それなりに焦っていた。理由はいくつかある。太陽の本性を引きずり出してしまったこと、それによって攻撃に遠慮や加減がなくなったこと。そして、下手したら命に関わるだろうことも悟ってしまった。
「あさ姉様だからこそ、太陽さんは表に出て仕事してるんだよ……姉様がいなきゃ、あの人は即刻首飛んでるよ。……物理的に」
そんな危険人物を一人で何とかしなければならないこの状況がとんでもなく不幸な目に遭っている気がしてきた。普段なら、一人で突っ込むようなことしたくないのだが、これはピカ自身が決めたことである。腹を括るしかない。
ピカは何度か深呼吸をし、目の前の怪物と成り果てた相手を見据えた。

「太陽の馬鹿。ピカちゃんのこと、殺すつもりなのかしら。そうなるなら私、乱入してあの人の首を跳ねなきゃねぇ」
マイクは通していないものの、物騒なことを言う浅葱の横でポチャも若干の焦りを見せていた。彼もまた、太陽の本性については知っているのである。
「あ、浅葱さん……あれ、不味いんじゃあ……」
「武器持ってないだけまだマシよ。あくまでマシ、だけれど」
「武器なしでよかったです……じゃなくて、浅葱さん?」
「何かしら?」
笑ってポチャの方を見るが、浅葱の目は笑っていなかった。浅葱からしてみれば、それなりに危惧はしているようで、にこにこ出来る状況でもないらしい。
「まあ? あのアホも今がどういう状況でやっているかくらいは区別つくでしょうし……大丈夫だと思うわ」
「そう、ですね。ピカも伊達に修羅場経験してないし、どうにか出来るでしょう」
「それにしても、太陽は後でお説教しなくっちゃ。全く……誰の許可を得てトリガー外してるのよ」
太陽は普段、浅葱と共に仕事をしているわけだが、その仕事内容はピカ達の言う『裏の仕事』であった。その仕事に関しては適性うんぬんがあり、誰でも出来るわけではない。ピカとポチャも同様であるが二人は、持っている武器の性能を買われた部分が大きい。しかし、太陽と浅葱はピカ達とは違った理由で採用されていた。大きな理由の一つは太陽の本質にある。彼の根底にあるのは闘争本能で、敵を一人残らず倒したいというものだ。しかも、その欲求が非常に強く、一種の異常者であると言えるかもしれない。放っておけば、向かってくる者全てを壊すまで止まらないくらいであった。実力はあるが、あるからこそ太陽は危険視されてきたし、誰も引き込むようなこともしてこなかったのだ。
そんな彼をコントロールしているのが浅葱であった。浅葱の言うことならば何でも聞き、欲求も抑え込むことが出来る。そのため、浅葱と太陽はコンビで仕事をしているのである。
トリガーを外すのも、彼の意思ではない。浅葱の意思で外れるべきである。外れるべきなのだが、今はそのことを忘れてしまうくらいにピカと戦えることに喜びを覚えてしまったらしい。そう浅葱は分析をした。結論はそこにある。ピカが太陽と戦ったことなど一度もなかった。だから、今の状況が楽しくて仕方ないのだろう。
「安心して、ポチャくん。いざとなれば太陽は私が止めるから」
浅葱の言葉に、止めるのは試合だけではないだろうと察し、ポチャは背に冷たいものを感じつつも静かにお礼を述べるだけに留めた。



~あとがき~
あーあー……次はどうしようかなぁ~

次回、フォース達に戻そうかな……多分ね。

説明を入れるか悩んだんですけど、入れなきゃ意味わかんないんで入れました。要は太陽ってやつは危ないやつなんですよ。浅葱がいなきゃ犯罪者街道まっしぐらなんです。怖いね!
闘争本能なんて言いましたが、もっといえば敵がバッタバッタと倒れることに快感を覚えているんです。戦闘狂です。柔かーく言えば、もっと血を見せろー! うがー! 的な感じてすね。はい。
そんな彼を手懐けているのは浅葱です。浅葱と太陽は幼馴染みなもんで、彼の危険性も知った上で関係を築いてきました。幸いというか不幸というか、太陽にめっさ好かれているんで彼女に危険が及ぶようなことはないです。仮にあったとしても、浅葱はなんとかしそうですけどね。

ではでは!