satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第164話

~前回までのあらすじ~
太陽がバーサーカー(?)状態になりました!
ピカ「えへっ♪ しくじったぜ☆」
ポチャ「だろうね!?」
太陽にダメージは与えることは出来たけど、その代償は大きかったんだね……
ピカ「代償と言えば聞こえはいいけど、単純にスイッチ押しただけなんだよね。ま、そのスイッチもどこなのかよくわかんないやつなんだけど」
ポチャ「ピカが向かってきてくれたことがスイッチだったのでは」
ピカ「それはもうどうしようもねぇな!」
こっわ……
では、始めていくかね!


再びレンとエレキが空へと逃げられると、“まもる”を解除しつつ上空を見つめる。ホノオもつられて上を見た。空は快晴でよい天気であるが、季節は夏だ。体にまとわりつくような暑さは感じている。ちなみに、炎タイプのホノオはあまり気にはならないし、フォースも大して苦にしていない。
「お~……高い。逃げるの好きだなぁ」
「皆、壁には激突したくないんだよ」
「そだね。じゃ、次はどうする?」
「決まってるだろ。落とす」
悪戯を思い付いたような悪い笑みを浮かべながら、レン達を見詰めていた。すでに策は彼の頭の中にあるのは見て取れた。

場面は変わって、上空へと逃げたレンとエレキ。先程は突進してみるものの、敢えなく失敗に終わっている。そして大した策も浮かんではいなかった。
「どしよ。シアの好感度も下がるし、浅葱からの好感度もバイバイするよぉ」
「レンは考えて行動するタイプじゃないしな」
「それ、けなしてる?」
「……さあ?」
「突っ込むかなぁ……それとも“りゅうせいぐん”でも落とす?」
「別にいいけど、それはリスキーじゃないか?」
「あー……やっぱ?」
落下の速度を利用し、技をぶつけるのもありではあるが、避けられればこちらが大打撃。相手から手が出ないのはいいことではあるが、こちらも出ないのが難点である。相手の技が届かなければ、こちらの技も届かないのである。
「空中戦ってわけにもならないし、近づくか」
ふわりと翼を動かし、ゆっくりと下降していく。もちろん、技を仕掛けられればすぐにスピードを上げて避けられるように警戒はしつつ。
その警戒はあくまでフォース達二人に向けてのものであり、他のことに関してはあまり気にしてなかった。だからこそ、咄嗟に反応が出来なかった。仮に視野を広くして広範囲に気を配っていたとしても、反応出来たかは怪しいところではある。とどのつまり、レン達には何が起きたのか全く理解出来ないままフィールドの壁に激突していたのである。
理解出来なかったのはフォースとホノオも同様であった。ただ、流れ星のように落ちていったレン達を呆然と見ていた。
「……えっ」
「レン、落ちちゃったねぇ」
「なんで。なんかした?」
「うん? なーんにもしてない」
ホノオもフォースも何もしていない。それにも関わらず、落ちた二人に何が起こったのか。可能性としてはピカが何かしたのではないかという考えが真っ先に浮かぶ。が、しかしピカにそんな余裕があるとは思えない。というのも試合が始まる前にピカから太陽を相手にしていると、他のことに気を回す余裕はないだろうから、そちらは任せると言われていたのだ。
「……ピカがあのザングースをさっさと倒したわけでもない、だろう。あいつがああ言うなら簡単に終われる相手ではないだろうし」
では、一体何が原因なのか。考えてみるものの確証は得られない。注意をレン達の方に向けると、そこから何かが飛び出していくのが見えた。真剣に見ていたわけではなかったために何が出てきたのかわからなかったが、こちらに向かってきたわけではないようだった。
「ホノオはここで待機しててくれ。ちょっと様子を見てくる。一応、すぐに攻撃出来るようにしてて」
「はいはーい」
フォースは近づいて、倒れているレンを突っつきながら話しかけた。レンは地面に突っ伏した状態のまま、ふるふると頭を振る。
「何があったの、おじさん」
「ぐえぇ……えっと、なんか飛んできた……?」
この様子から彼自身も全く理解していないのは一目瞭然である。レンも見えていなかったのだろう。次にずっと気になっていたことを投げ掛けた。
「ふうん。……敵のおれが気にすることじゃないんだろうけど、その下の人は大丈夫?」
「下……? はっ!? エレキ!!」
今、思い出したようで少しだけ体を浮かせてその場から体を退ける。レンの下敷きになっていたエレキは起きる様子はなく、完全に伸びてしまったらしい。これでは試合に参加することは出来ないだろう。
「わー……おじさん、やっちゃったね?」
「やだ、俺のせい? ごめんね、エレキ。お詫びはするから……マジごめん」
空から何かが飛んできて、壁に激突。そこで体重八十キロを越える巨体が上に落ちてきたら、無事ではすまない。加えてエレキはホノオの“れんごく”による火傷で体力が削られていたのだ。その結果、こうなったとしても不思議ではない。
「これでニ対三だね。運営からの終了って言葉がないから、サンダースさんは大将じゃないってことになる」
「ありゃあ……大将の件に関しては、最初から疑ってなかったくせに」
「えー? でも万が一って言葉があるでしょ?」
「確かに」
「でも、さっきのなんだったんだろ……? 外部からの妨害なわけないもんなぁ」
「フォースくん! 危ないっ!」
「えっ……?」
ホノオに言われ、そちらに目を向けると、先程と同じように何かがこちらに向かって飛んできた。しかし、今回はレンに向かってではなく、フォースに向かって飛んできていた。そして今回は何が飛んできているのかはっきりと認識する。認識したからこそ、避けることはしなかった。
「……っ!」
飛んできたものと団子状になりながら、地面を転がる。どうにか体勢を立て直し、壁に激突することだけは回避した。
「いっつぅ……おい、ラル何してんだ」
「げほっげほっ……ここではピカだ。馬鹿」
お互い素が出てしまっているが、全く気にせずに話を進める。
「さっきのもお前か」
「レンさんにぶつかったのは太陽さんだけどね。……ところでさ。なるべく早くレンさんのこと倒して欲しい。正直、しんどいんだわ」
そう言うピカは完全に息が上がっており、体力の消耗が激しいことが見て分かる。また、体もボロボロで、普段の彼女からは想像出来ないその姿にフォースはただならぬ雰囲気を感じ取った。
「……相手、代わろうか?」
「却下。それはそれでもっと反感を買う。フォース君に出来ることはさっさとレンさんを倒すことだけだよ」
そう言い終わると、ピカはいきなりフォースを突き飛ばし、そのせいで彼女との距離が出来てしまう。何事かと思ったが、すぐに理解した。彼女に攻撃するために太陽が突っ込んできていたのだ。彼が纏う雰囲気にフォースは首を傾げた。
「あいつ、あんなんだった……?」
バーサーカー太陽くんだ、あれ」
いつの間にかフォースの元へと駆け寄ってきていたホノオが呟いた。その言葉にフォースは更に頭上にはてなマークが浮かぶ。
「んー……説明は長くなるからしないけど、簡単に言えば、ピカちゃんピンチって感じかなぁ」
「マジか。早くフライゴン倒さなきゃな」
「……ピカちゃんがそう言ったの?」
「あぁ」
「そう。じゃ、そうしよう」
ホノオはフォースから離れ、レンのところへと歩み寄っていく。未だに現状把握が出来ていないフォースだけはじっとピカと太陽の方を見る。とてもお遊びに見えないレベルの高度な戦いをしていて、素人目に見れば、何が起こっているのか黙視することは出来ないだろう。
「……あ?」
そこで少しの違和感を感じた。が、その違和感に答えは出てこない。何かが引っ掛かる感じではあるのだが、考えても時間の無駄だと思い、ホノオの方へと走り出した。



~あとがき~
きりがいいところまで書いたら、いつもより長くなった……気がする……気がするだけで、いつも通りだとは思います(笑)

次回、戦いも佳境に入ってきた(気がする)!
まだまだバトります。

ここまでやられるピカちゃんは始めてかもしれません。始めてじゃない!? いや、私が覚えてないだけかもしれないけども。うん。
描写はしてないですが、太陽とガチでやってるようですね。太陽の方も無傷ではないでしょう。だって、空中にいたレン達にぶつかるくらいだもん。無傷なわけないわ。お互い、ガチですね。

ではでは!