satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第172話

~前回までのあらすじ~
バトルが終わってお祭りも三日目後半……花火を残すのみとなりました。
ポチャ「長かったね。ここまで」
ピカ「だね。二年前くらいからやってる?」
あはは。それな。もう少しね、お付き合いくださいね!
ピカ「ここでさらっと終わることも出来るんだよ。作者、分かるね」
うん。うん……そうね。どうなるかは本編ね!
ポチャ「うーん。これは大変なことになりそう」


本部へと足を運ぶと思いの外、ざわざわしていて忙しそうにしている。昨日一昨日はそんなことなかったのに……どうしたんだろう?
その本部には見慣れた姿があった。白くてふわふわの翼を持ち、頭にリボンを結んでいるチルタリス……スカイのチルさんだ。
「チル? 君、午後の担当だっけ?」
「あら、ポチャさんに皆様。お疲れ様です♪ 本来、スカイの担当時間は午前だけだったのですが、実は助っ人を頼まれてしまいまして」
「え、助っ人?」
「大丈夫です。きちんと特別手当てが出るように交渉してあります。タダ働きにはなりません♪」
金銭に関してはしっかりしているようです。きっとピカさんが気にしてるんだろうな。もしかしたら、ピカさんがそう教えているのかも。
「あ、うん。ありがと……じゃなくて! どういうことなの? ソル達も呼び出されたみたいだし」
「このあと、フィナーレに花火がありますでしょう? その花火の時間帯に警備強化を行うことが急遽決まりまして……なんでも、来場者が予想以上に多いらしいのです」
人が多いとなると、何かあったときに対応しなくちゃいけない。トラブルの数も多くなると予想しての対応なのかな。
「幸い、先程までのバトルロイアルのおかげで、名のあるギルドに所属している方々がここに来ていますから、お願いにし回っているのです」
「なるほどね。体制を組み直しているからこうも騒がしいんだ。じゃあ、ぼくも警備に加わるよ。人は多い方がいい……けど、ピカはどうしよう」
周りが騒がしいのにも関わらず、ポチャさんの背中で微動だにすることなく眠り続けている。なんだか動かなすぎて大丈夫なのか心配になってきた。
「近くに救護テントがありますから、そこにお休みになれるよう、手配致します。ポチャさんも寝ているピカさんを基地に一人置いて、警護なんて出来ませんものね」
「う……ごめん。そうしてくれるかな」
救護テントには人がいるからピカさん一人になることはない。ポチャさんも安心して警護に励めるってことか。チルさん、結構手際がいいな。
「少々お待ちください。すぐに戻ります♪」
ふわりと飛び上がるとすぐ近くのテントの中へと入っていった。それを見計らって、すーくんがポチャさんの方を見て首を傾げる。
「ペンギン一人で大丈夫か?」
「うん。むしろ、フォースはイブ達といてあげて。何かあったときに対応出来るでしょ?」
「……了解」
本当ならピカさんが指示出している場面なんだろうな。ポチャさんもピカさんの代わりが出来ちゃうくらい、素質がある人なんだなぁ……
「お、ポチャじゃーん。さっきはお疲れさん」
「? あ、え。レンさん?」
軽い感じで話しかけてきたのはさっきまですーくんと戦っていたフライゴンのレンさん……だったかな。それとポチャさんと一緒に解説していた浅葱さん……?
「さっきぶりね、ポチャくん」
「あ、はい。え、なんで?」
「人手足りないって言うから~? 助っ人だな」
「太陽を連れてきてもよかったんだけど、今はまだ危ないと思って帰ってもらったの。何かあればバッジで駆けつけるから戦力として考えてくれていいわ」
「エレキは申し訳ないから置いてきたわ。俺のせいなんだけどね」
いろんな人に声をかけてるって言っていたけど、本当に手当たり次第に声かけてるのかな……?
レンさんはるーくんに抱かれたままのすーくんを見ると、面白そうに笑った。
「あのバトルのときは大人すぎて疑ってたけど、こうして見てると年相応だな!」
「……うるさいよ、おじさん。あれだけボッコボコにしてあげたのに、元気なんだねぇ? また縛ってあげよっかぁ?」
声の高さが高くなってる……! さっきまでは普通にいつものすーくんの声だったのに、今は声変わり前の高くて愛らしい男の子の声だ。
「やだなぁ。“フレイムチェーン”あっつかったんだもん。願い下げだ」
「ごめんなさいね、フォースくん。レンは適当だから気にしないで」
「それはさっきのバトルで身に染みた。分かる」
「ちょ、浅葱!?」
浅葱さんの発言に反論したそうにしているけど、全く気にしていないみたいで、こちらを向いて話を続ける。
「それと、ここに呼ばれたのは私達だけじゃないわ。ナエくん達もだし、アクアくんのところもみたいだしね」
「そうなんですか?」
「ええ。まとめて話をするのかもね?」
バトルした後なのにお仕事しろって……なかなかブラックなことを言う。もちろん、断ることも出来るんだろうけれど、断るような人達じゃないんだろうな。それはなんとなく、ピカさんの知り合いさん達だからって理由なんだけれど。
「ホノオとそのパートナーは仕事行くって言ってたけど、この事じゃないんだよね?」
「多分、違うわ。単純に依頼をしに行ったんだと思う。……けれど、ヒノくんはスパルタね。この臨時の警備がなくても仕事へ行くってことだもの」
「確かに。よくやるよねぇ……あの笑顔の奥にはいろんな感情があるんだって」
浅葱さんとすーくん、なんかすごく難しい話をしている気がする。私にはよく分かんないや。
「お待たせしました。ポチャさん、話をつけてきましたよ。……あら、皆様、お揃いで。プクリンさんからお話があると思いますので、もう少しお待ちください」
戻ってきたチルさんは、浅葱さん達を見るなり、流れるように優雅な振る舞いでお辞儀をする。話し方といい、作法といい洗練されている。……どう育てばあんな風に振る舞えるのだろうか?
ポチャさんはチルさんに案内されるがまま奥へと行ってしまう。ついでにピカさんのバッグを持っていたすーくんもポチャさんについていく。いつの間に解放されたんだろう?
「……初めまして、でよろしいですか?」
「そう? つい数日前に会わなかった?」
ずっと黙っていたるーくんが浅葱さんと話し始めた。面識でもあるのかな。……なんて思ったけれど、つい最近まで封印されていたるーくんにこの現代に知り合いなんているんだろうか。神様とかなら分かるけど、浅葱さんは普通の人、だよね?
「いいえ。顔を会わせたのはこれが初めてです」
「会わなかったか。そっかそっか。じゃ、初めましてだねぇ」
「貴方のようなお方がこちらにいるとは思いませんでしたわ。……お戯れですか?」
「んふふ。そうだよ。お遊び中なの。相変わらず楽しいね、ここは」
「お気に召しましたのなら、何よりです」
……? 不思議な会話。
私とチコちゃん、それからレンさんを置いていくような会話を二人は続けていく。
「君はこれからお仕事かい? 大変だね」
「これが今の私がやるべきことですので」
「ほーん。頑張って。俺は他のことにとやかく言うことはしないから。本来の仕事をやってくれさえすれば、全然気にしない~♪」
「ありがたき言葉ですわ」
「るーくん……?」
この雰囲気に耐えきれず、るーくんに話しかける。するとパッとこちらを振り向いていつもの笑顔を見せてくれた。
「ごめんごめんっ♪ すっちー達を置いてってたね! もう大丈夫だよ~」
私と目線を合わせて、頭を撫でる。そして、チコちゃんの頭も撫でていく。ごめんねってことなのかな。
こんなことをしていると、チルさんとポチャさん、すーくんの三人が戻ってきた。すーくんはバッグをちゃんと置いてきたみたいで、何も持ってなかった。
「ごめんね、イブ達。付き合ってもらって」
「いえ! 時間もありましたし、大丈夫です」
「後は大丈夫だから、花火楽しんできて。明日にでも感想聞かせてね」
「はいっ♪ それじゃあ、失礼します」
優しいポチャさんに甘えて花火を楽しむことにしようかな! もう少し時間はあるけど、そろそろ会場に向かうべきだろうし、人も多いみたいだから早めに行動して損はない。
私達はポチャさん達と別れて、花火がよく見えるらしい場所まで目指すことにした。



~あとがき~
チルちゃん、久し振りのご登場です。
忘れてるかもだけど、お姫様なんだよ……彼女。

次回、ポチャや浅葱達が集められた理由は?
せっかくイブ視点に戻ったのに……(汗)

浅葱とウィルの関係については追々出てくるのではと思うので、ここでは何も言いません。こうやって謎を残すものありだよね? まあ、察せる人もいるかもですが。情報出しきってないので、予想も難しいかもです。

ではでは!