satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第173話

~前回までのあらすじ~
花火を見るイブ御一行と追加の仕事をするポチャの二手に別れましたです。頑張るねぇ……
ポチャ「はぁ……なんでピカいないんだろう? こういうときのピカじゃない?」
ピカ「はっ……今の私、堂々とサボれる? このままお祭り終わるまで寝ていれば変なゴタゴタにも巻き込まれずに!?」
残念だけど、それは無理じゃない?
ポチャ「うん。君の性格上、見逃すなんて出来ないんじゃないかな?」
ピカ「んんんんっ!!」
心当たりがあるから反論出来ないらしいな。
ポチャ「そだね」


救護テントにあるベッドにピカを寝かせ、側にトレジャーバッグを置いてきた。仮に彼女が目を覚ました時に備えて、置き手紙も一応してきた。比較的眠りの浅いピカがここまで来るのに身動ぎ一つしていないため、簡単に起きることはないのだろうが。
「チル、親方は?」
「はい……もうすぐだとは思うのですが、来ないですね。まあ、いらっしゃらなくても時間になれば私の方からご説明しますわ♪」
どうやら、プクリンがいなくてもチルは状況を把握しているらしい。それでも現トップから説明するのが筋だろうとチルは思っているらしく、とりあえずはプクリンを待つようだ。
「人が多いってだけで急に人材増やす必要はあるのかしら? いつも最終日は多めに配置しているって聞いているけれど」
「そうですね。……なんで今回に限って?」
「それもプクリンさんがご説明してくれると思います。とはいえ、理由についてはソルさんが裏取りしてくれていますよ。十中八九、予想通りではあるだろうというのがこちらの見解ですけれど」
動員増加の理由が見えてこないポチャ達には、チルの言うことが理解出来なかった。待っていれば自ずと分かるだろうか。

プクリンを待つ間、急遽頼まれたであろう人々がぞろぞろと集まってきた。その中にはポチャの見知った顔もちらほらいる。この近辺に拠点を置く探検隊や救助隊、他の大陸から来たと思われる人達もそれなりに混ざっていた。それらの共通点は一つだけ。新人はおらず、経験を積んだ者達が多いということだ。
「ここまで実力者を集めて親方は何を?」
「ただ事じゃないのかもしれないわね。プクリンさんが集めたってことは何かあったと考えるのが妥当よ」
「ポチャはこの辺の探検隊だからまだ分かるけど、別大陸の俺らまで引き留めるくらいだ。はぁ~……面倒はごめんだよぉ」
「レンさんの言う通りですね……何もなきゃいいけど」
そうは言ってみるが、何もなかったらここまで人員が集まるはずもない。そして集められた者は誰もその理由を知らないらしかった。周りでなぜ集められたのか等話している声が聞こえていた。
「やあ! 急にこんなお願い事しちゃってごめんね? 警備隊の指揮官? んー……探検隊ギルドの親方、プクリンだよ♪」
やっと表れたプクリンは深刻な顔をしていた……わけでもなく、いつも通り楽しそうに笑っているだけだ。プクリンの側には側近のペラッププクリンに言われて動いていたらしいソルの姿があった。更に離れたところに別大陸の四天王の一人、エルフの姿もあった。他の四天王の姿は見えないため、この場には彼しかいないのだろう。
「どうして皆に集まってもらったのか……その説明はペラップにしてもらうね♪」
プクリンの口からは説明されないらしい。それはなんとなく察していた。プクリンが後ろに下がると、代わってペラップが前へと出てきた。ポチャはピカが元気だったなら、その役目はピカがしていたかもそれないだなんて呑気に考えてしまう。
「今、親方様に紹介されたペラップだ。親方様の一番弟子であるっ♪」
「どうでもいいこと言い始めたなぁ……ペラップ、大丈夫かな」
「うふふ♪ いつも思っていたけれど、面白いわね、あの人」
「そ、そうですかね?」
「皆さんに急なお願い事をしてしまって申し訳ない。しかし、緊急事態でもあるのです。先程、犯罪者グループの一つである『ヴァンガル』という組織が目撃されたという情報がありました」
大勢の前だからかいつもの偉そうな話し方ではなく、丁寧な口調で話していた。ポチャにとっては若干調子が狂うのだが、そうも言ってられない。
「『ヴァンガル』……? ぼく、聞いたこと……なくないな。犯罪者グループっていうけど、闇組織の一つ、ですよね。浅葱さん」
「そうね。今まで尻尾を見せてこなかったのに、こんなところに現れたなんて、あまり信じられないわね」
「はーん……闇組織の連中に警戒したいから、こんだけの連中を配備するんかね?」
「疑っている者もいることでしょう。……しかし、残念ながら事実なのです。それは探検隊スカイ所属のソルが裏取りして、事実であると確認が取れました。こちらとしては市民の皆さんの安全を考慮して夏祭りを中止にすることも考えましたが、それによって『ヴァンガル』がどう出てくるか予想が出来ない」
ペラップの言うこともごもっともだ。安全を考えるなら直ぐ様、中止にして帰らせるのが一番かもしれない。しかし、それによってパニックなれば、敵側の思う壺である。何をしてくるか分からないが、相手は闇組織。ろくなことにならない。
「知っているかもしれないが、『ヴァンガル』は闇組織。武器を使ってくることも予想出来る。この場には使える者だけを集めているつもりだが、危険が伴うことも事実です。もちろん、断ってくれても構いません。そこまでは我々も強要出来ませんから。五分後、もう一度ここで詳しい説明をします。受けてくれる方々はその説明を聞いて、警備配置、警備する際のグループ分け等をお伝えします。ワタシからは以上です」
ペコリと一礼をすると、ペラップは後ろへと下がる。この説明で周りに戸惑いがなかったわけではない。裏の仕事内容を知っている人ばかりだろうが、今まで、一般市民が側にいるところで武器使用などしたことはない。そもそも、殺しになるような事柄も起きないように配慮してきたのだ。
「あくまで決めんのは俺達ってことねぇ~♪ でも、断る奴らもほとんどいないだろうに」
「これを聞かされて逃げるようじゃ、裏家業なんてしてないわよねぇ♪ ここでこんな生々しいことをするなんて思わなかったわ♪」
元々、本業の浅葱に躊躇いはないようだ。むしろ、楽しくなってきたと言わんばかりの笑顔である。浅葱の隣にいるレンも帰る気はないらしい。そして、レンの言う通り、この場から去ろうとしているものはほとんどいなかった。
そんな二人からそっと離れて、ポチャは親方達の元へと近付いた。
「親方、ソル! これは……」
「ポチャ~♪ 大変なことになっちゃったね!」
こんなことになってもお気楽極楽気分のプクリンは置いて、ポチャはソルに話すように促す。ソルは小さく頷くと話し始める。
「先程、ペラップさんが話された通りです。前々からきな臭い動きはありまして、ピカさんに言われて調査をしていたのです。……まさか、今日この日を狙うとは思いませんでした」
「そっか。ぼくは『ヴァンガル』について、名前くらいしか知らないんだけど、どんなことしてるの?」
「表向きでも犯罪組織として名前が挙がっています。強盗、誘拐、脅迫等々。裏向きには殺人、違法薬物、危険物所持……なんにでも手を出す組織ですね。他の組織とも繋がっているとか」
「うーん……それなのに今日、しかもこの大陸で何かをしようとしているの? 変な話だな」
様々なことに手を出しているからこそ、人が多く集まる場所で何かをすることは考えられなかった。プクリン治めるこの大陸は治安がよく、事件に関しては敏感で悪人の逮捕率は断トツだ。しかし、ソルが集めてきた情報。信憑性が高いのはよく知っているし、そこに嘘はないだろう。
「うー……こういうの考えるのはピカが得意なのになぁ。敵の目的はなんなんだろう? どうして、ここに……?」
「分かりません。僕もピカさんに意見を仰ぎたかったのですが……ピカさん、怪我していますから無理させたくはないです」
「それはぼくも同感だ。ぼくらだけで頑張るしかないね。……って他にもたくさんいるけど」
「ポチャ、お願いがあるんだ」
ソルとの会話に割って入ってきたのは紛れもなく親方である。笑ってはいるが、瞳には真剣なものを感じた。だからこそ、ポチャは黙ってプクリンを見据えた。
「ボクは本部に残って全体の指揮を執ることになってるんだ。だから、ボクのところに配属される皆を取りまとめて欲しい。……お願い出来る?」
「ぼくにリーダーになれ、と?」
「うんっ♪ こんな状況だ。実力もあって経験もある人が上に立つべきだよね? ボクは裏の事情に詳しくない。情報は知ってても、あんまり経験がない。現場に行くことがないからね」
「嫌とか向いてないからって理由で逃げられませんよね。分かりました。やるだけやります」
「ありがとう。君はピカの仕事を一番近くで、長く見てきたんだ。彼女が動けない今、他に任せられるのは君だけだよ♪」



~あとがき~
さあって……この話がどれだけ続くことやら。
バトルロイアルが終わったら本物の敵とのバトルだよ……

次回、ピカの代打を務めるポチャ。そんな彼の心境は……

こんなときにぐーすか寝ているピカは幸せですね。あとはイブ達も知らないです。幸せですね。
こんな状況で、花火は無事に上がるんでしょうかね? どうなるんだ……(決めてない)

ではでは!