satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第179話

~前回までのあらすじ~
シア達のお話でした。
太陽は暴れられるとテンションあげあげです。
太陽「わーい」
浅葱「……」
わー……すっごい嫌な顔してますねぇ……?
浅葱「まあ、ねぇ……?」
は、始めますか。ここで会話なんて出来るわけない!
浅葱「うふふ♪」
ひえ……


カイは難しい顔をして、エルンを見る。見られている方は特に気にしていないようで、少しだけ首を傾げていた。
「お前んとこの問題だよなぁ? 絶対」
「あは。僕の管理不足かなぁ~」
「悪いと思ってねぇところが気に食わん……まあ、いい。プリンからの要請だ。真面目にやるよ」
「ごめんね。それでどうするんだい? 僕のところは襲撃を受けたら、反撃するつもりなんだけど」
「いいんじゃねぇの。何かあれば俺んとこで周りの一般人を避難させとくし。それが終われば、半分くらいはそっちに加えるさ。連絡係はいるのか?」
「うん。まろに任せる」
カイのところに配属された人々は一般人の避難経路確保に努め、エルンのところはプクリンと同じ様に敵を食い止める任務がある。
「ぬ」
「ナエ。彼は呼べたかい?」
どこからともなく現れたナエに驚くこともなく、エルンは笑みを絶やすことはなく話しかける。カイは反応こそしなかったが、内心、どこから現れたんだろうと首を傾げた。
「ぬー」
「そう。まあ、本調子じゃないから寝るって言われてたし、そんなもんだよ。ありがとう」
エルンが礼を言うと、ナエはまたどこかへと消えてしまう。仲間のところへ戻ったのか、一人で見回りにでも行ったのか。どちらにせよ、ここにはもういないのだろう。
カイにはエルンが誰を呼んだのか見当がついていた。そのため、彼の名前がするりと出てくることも不思議ではなかった。
「ヴァルツか」
「うん。こうなったからね。彼の頭も使わないと」
「病人をよくもまあ……」
「動けない病人じゃないからねぇ~♪ 動けるものはなんでも使うべきだよ。こういった状況だし?」
悪気のない笑顔。それを見て、同情してしまうが、その道を選んでいるのも紛れもなくヴァルツ本人である。
ヴァルツはもえぎのパートナーのブラッキーだ。淡いグレーのキャスケットを被り、黒色のウエストポーチをいつも着けている。普段は情報屋のような類いの仕事を任されているため、戦うよりも裏方に回ることの方が多い。それには彼の体の事情を考慮してのものであった。しかし、情報屋というものは戦えなければ、危険を伴う仕事でもある。ある情報を握ったために別方向から狙われることなどざらであった。そのためのもえぎなのだが、彼自身も全く戦えない訳ではなかった。むしろ、健常者であれば、トップクラスの力を持つくらいである。
「まあ、いいや。……アクア」
「はい。リーダー」
「やることは理解してるな?」
その言葉にアクアは黙って頷く。アクアはカイの一番近くに置いているのだ。彼の思考は手に取るように分かるだろう。
「あっくん! リーダーさんっ!」
「トパーズ? どうかしたのか」
カイが慌ててこちらに近寄ってくるトパーズに驚きつつ、状況を問う。何かあったのは見て分かった。重要なのは内容だ。
「花火会場方面から敵の姿を確認したと報告が。そこから広がるように各地で……」
トパーズの報告を最後まで聞くことなく、自分の隣に立っていたエルンを見やる。彼は彼でぽかんとしているため、こんな事態は想定していなかったのだろう。
「……エルンさぁん?」
「えー? 知らないよー」
「しれっとしてるその態度をどうにかしろよ!」
「リーダー、そんなことを言っている場合では。僕らで市民の皆さんを避難させます。場所はどうしますか? 祭り会場から出すことも可能……なんだよな?」
「う、うんと……それがね」
「無理やね」
アクアがトパーズに聞こうとしたところ、別方向から答えが返ってきた。そこには真剣な顔をして、こちらに歩いてくるまろの姿があった。
「ぐるっと囲まれとるんよ。逃げ場を作るにも相手がすぐ復活しとるけん。……不死身の体ば手にしたんかもしれん」
「そんなこと、あり得るんですか? 聞いたことないんですが……」
「でもね、あっくん。ほんとなんだよ。もちろん、倒れたまま起き上がらない人もいるんだけど、半分以上は復活してて。その起き上がらなかった人も時間が立つと復活して」
「ってことは、道具でも使ってるのか? ふっかつのタネとか」
カイの言葉にまろは首を振る。まろもどういうことなのか分かっていないようで、あくまで事実だけを述べる。
「それにしては回復する回数が多すぎると。何十回も復活しとるやつもおるくらい。今、もえが……もえぎや他の部隊があちこちで応戦しとる。ばってん、時間稼ぎにしかなっとらん……マスター、武器使用を許可ばしてくれん?」
「相手は持ってないんだよね?」
「持っとらん。持っとらんけど、普通の敵じゃないことは戦ってわかった。……それに、武器使わないと、駄目ってヴァルツが」
「あー……じゃあ、いいよ。その囲ってる敵にだけね。殺すようなことはないように使用武器は制限しよう。あと、手加減はするようにね? 僕のところに配属されている部隊の皆にそう連絡をしておく」
エルンの決定にカイは何も言うことはなかった。ヴァルツの観察眼は侮れないことを知っているためである。こちらもそう対処すべきだろうし、プクリンのところにもそう連絡する必要があると感じた。
「まろ。プリンとシアのところにも連絡回してもらっていいか? 俺達で部隊に連絡は入れる」
「ええよ。このまま直接伝えに行くけん」
そう言うと、まろは他のところに伝えに行くためにこの場から離れる。武器を使わせるかは他の四天王の判断次第だ。
「……はー……振り回されている感じがするな。嫌な気分だ」
「そうだね。『ヴァンガル』はここまで強大な組織ではないし、不死身とか聞いたことないんだけれど」
「お前で分かんないなら、こっちはさっぱりだ。……アクア、他と連携して市民の避難だ。バトルで使ったコロシアムあるだろ? あそこに避難させろ。けっこう広いし、観客席だけじゃなくて、フィールドや裏に入れれば多分、なんとかなる。優先的に……」
「子供やバトルが苦手な人達を、ですよね。分かっています。ズゥ、行こう」
「んっ! 分かった!」
現場へと向かうアクアを見送り、頭では状況を整理していく。
相手は武器使用こそないものの、その数は不明。目的も不明のまま。倒しても倒しても復活してきて、こちらは消耗戦に持ち込まれている可能性がある。ここまで考えても、何も解明されていない。
「……目的なんてない? それとも、何らかのテロなのか?」
「目的がないなら、暴れたいだけってことになる。テロなら大きなことをするためのカモフラージュ、とか?」
「カモフラージュ……か。あり得そうだが、そうなると、何をってことになるし、『ヴァンガル』が何をしたいかも分からない」
「誰かを捕まえて聞いた方がいいね」
「かもしれない」
不可解な迷宮へと誘われた気分だった。ただ、襲撃されたという事実だけが残る。とにかく、カイがすべきことは一般人の安全確保だし、エルンがすべきことは敵の殲滅である。しかし、その殲滅が一番大変なのは言わずもがなであった。



~あとがき~
あばばばば……なんだか難しくなってきそうだぞ……!?

次回、もえぎとヴァルツ登場!
これでぐるっと一周する……かな?

ヴァルツの設定、ちゃんと考えてあるんですけど(重い感じの)、本編には全く関係ないですね。そもそも、アクアやトパーズ達もそうだけれど、ヴァルツともえぎは別の物語設定から引っ張り出してきたものになります。なので、空と海と同じ時間軸で別の物語が展開している感じではあります。私の中では!
シア達も約束メインキャラだしな……こちらにはあまり絡むことはない……んだけどな。
ヴァルツの設定はいつかちゃんと出したいですね。お話も書けたらいいなぁ……(願望)

関係ないんですけど、ここでお知らせです。
今月も暇になりました(泣)
いやね? バイトのシフト、忙しくしたつもりなんですけど、反映されずにほとんど入れなくてね? 多分、他の人との噛み合わせが出来なかったんだと思います。多分。知らんけど。「お前、いらねぇ」って言われてるのかも知れないけども。
ってことで、今月も同じようなペースで小説投稿します! 来月はどうなるかわからないけど。

ではでは!