satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

幼き騎士は何思う?

本編進めているうちにもえぎもヴァルツの関係やら設定やらを語っておくべきだと思ったので、番外編として書くことにしました。本編がいいところ(?)なのに申し訳ない! すぐ終わる! すぐ終わるのでお付き合いください!!(フラグ建設中)
ヴァルツ「こんな風に話さないと駄目な設定なんて押し付けるから」
もえぎ「ふぇ……」
すまねぇだ……(´・ω・`)

~人物紹介~
ヴァルツ(イーブイ・♂)
二足歩行のイーブイの少年。家の仕来たりで神器を守る役目を担う。本人は嫌々やってるが、神器に見合うだけの能力を手にするために各地を旅している。これも家の仕来たりである。

トリス(♂寄り)
ヴァルツが所持する予定の神器。今は仮契約期間らしく、扱うことはさせるつもりはない。まだ正式に主と認めていないため、ヴァルツは彼を所有していない。

マリー(♀寄り)
ヴァルツが修行中に訪れた森の中でばったりと出会ったことをきっかけについてきた。ヴァルツの所有する神器。トリスとは仲が悪い。

イーブイの少女
ヴァルツの一族が住む町にいる少女。内向的な性格からか、周りからいじめられている。
後のもえぎである。

~~

お前は神霊様を守らねばならない。そのために、神器を操れるようになる必要があるのだ。……何が言いたいか、分かるだろう。
なんて言われて、家を追い出されたのが俺が六歳の頃だ。いやいや、分かるわけないだろう。六歳なんて、一般的にまだ子供の部類だ。大体、神霊を守るんなら、神器を使うのはおかしいだろうって話になる。神霊が住む器だから神器なのに。
「理屈が変なんだよな……」
『あっはは♪ そういうところは嫌いじゃない。ヴァルツ、こんな契約破棄したっていいんだよぉ?』
心の中、あるいは頭の中に自分ではない誰かの声が響く。俺の家族……いや、一族が守ろうとする神霊様とやらの声。名前はトリス。武器の形状は細剣ではあるが、こいつの能力は武器の形を変える形状変化だ。普段の見た目なんて宛にならない。
こいつとはしっかりとした契約はしていないから、声だけを届けてくる。姿は見えないし、武器をここに出すことも出来ないが、予定では俺の物になる。あくまで、予定だけど。
「兄様、うるさいのですよ。愛し子が困っていますわ」
『うわぁ……僕の会話に入ってこないでくれない? ヴァルツは僕のモノなんだけど!?』
「愛し子は誰のモノでもありません。横暴な態度が気に触るのです。お黙りなさい」
トリスに食って掛かるのは、もう一つの神器。短剣のマリーだ。こちらはすでに俺を所有者と認めているから、イーブイの姿を見せるし、武器としても出すことが出来る。こいつは俺の一族とは何も関係はない。たまたま会って、気に入られたからついてきているだけ。俺のことを愛し子なんて呼ぶのにも慣れてしまうくらいの付き合いは出来ている。
「どっちもうるさい。黙れ」
『はあ? なんで僕まで一緒くたになってるわけぇ? 心外なんだけど。ねえ、聞いてる?』
「申し訳ありません。ですが、愛し子よ。この卑劣な神器など捨て置いてもよろしいのですよ?」
「出来ればやってるよ」
『ねぇー! ヴァルツ、どこに行くんだい。帰るの?』
「正解。家に帰るんだ」
『ふーん。帰っていいよって?』
「父が死んだらしい」
六歳で追い出されて以降、一度も顔を合わせていなかった。そのせいで、親の死というものも感じないくらいだ。これがいいのか悪いのかは分からなかった。
『なんだ。ヴァルツが所有者になる前にくたばったか。ウケる~♪ お前、今何歳? 所有者になれる年齢になったら帰れるんだったよな』
「十五。契約は十八でやる予定」
『あーあー……あと三年だったねぇ』
「兄様。面白がらないで下さいませ」
『これが笑わずにいられないだろ。現所有者が死んだとか~♪ 何。寿命?』
現所有者のことなら、分かっていてもよさそうなものだが、何も知らないように振る舞っている。まあ、普段は俺に茶々を入れているから、父親と話すこともしないのかもしれない。こうしてみると、父のことは気に入っていなかったのだと思う。きっと、死んだのもトリスが一枚噛んでいるはずだ。神器を所有するということは、そういうものなのだから。
「詳しいことは聞いてないから、知らないぞ。興味もないから、どうでもいい。……ところで、トリス」
『なぁにぃ?』
「父が死んで、お前は今、どこにいる?」
さっき、トリスが言っていたが、今の所有者は父親だった。それならば、トリスの神器も父親が所有していたことになる。しかし、その人が死んだ今、神器はどこへ行くのか気になった。
『あるべきところへ帰るだけだよ。神器はね、初めにいたところに戻るんだ。所有者がいつ死ぬか分からないからさ』
「神器は認めた相手にしか触れられないようになっています。お父様以外に兄様が許した相手がいれば、その場に留まることも可能でしょう……しかし、兄様がそのようなお優しい心を持っているとは思えませんわ」
「そうだろうな」
『はあ? 僕が優しいからお前の旅に同行しているんだろ?』
「元はと言えば、お前のせいでこうなっているんだが。自覚しているのか?」
『それはお前達が勝手に僕を崇めたんだろう? 僕のせいじゃない。くっだらない仕来たりに組み込まれた僕の身にもなりなよ』
それは一理あった。意思を持つ武器だとしても、扱うのは人の子。トリスはあくまでも武器でしか存在出来ないんだ。そんなトリスを勝手に持ち上げたのは俺の先祖なんだろう。
「じゃあ、俺の代で潰すか。幸いにも兄弟はいないから、出来る相手もいないだろ」
『そうね。見込みのあるのは親戚含めてヴァルツだけだった。……でも、潰すってことは一生独身? あは。いいねぇ~♪』
「いけません。愛し子は愛し子の人生を歩むべきなのですっ」
『あのさぁ……面白いことになりそうなんだから、黙ってろよ』
「あなたの方こそお黙りなさい。過去の兄様が承諾したから、今の体制が出来上がったのでしょう? 自業自得です。本当の被害者は愛し子ですわ」
『訂正してー! 僕の被害者だー!』
「うるさい」
この流れを少し前に見た気がする。終始こんな会話をしながらいつも歩いていると思うと、珍道中ではなかろうか。まあ、神霊同士の会話なんて心底どうでもいい。今回の件で言えば、さっさと行って終わらせて、また旅を続ける毎日に戻るだけ。
……誰が死んだだの、本当にどうでもいい。俺には関係のないことには変わりはない。親と言えど、こうも関わりが薄いと何の感情もないものだ。
「……俺の人生、面白くはないな」
『? 何を今更。子は親を選べないって言うけど、ヴァルツを見ていると、本当にそう思うよ』
「そうだな。……契約を交わしても家に戻るつもりはないし、子孫を残すつもりもない。本当に下らないな、人生と言うものは」
「愛し子よ。そう悲観するものではありませんよ」
「分かっている。……きっと、家に戻りたくないから、気持ちが後ろ向きなだけだ。マリー」
「はい」
「家につく前に戻れ。説明が面倒だからな」
「かしこまりました」
にこりと笑って、素直に従う。姿を消すと、俺は町の入口へと足を向けた。もうすぐ見えてくるのだろう。もう何年も帰っていないし、どうなっているかも想像出来ないが。



~あとがき~
トリスに関してはここが初出かな?

次回、ヴァルツ目線でまだまだやっていきまっせ!
現所有者の父親がいなくなり、一族はどうするのか。

ヴァルツは色んなことに冷めてます。幼い頃に一人でいたせい(トリスがいたから、厳密には一人ではないけど)かもしれませんし、元々の性格かもしれません。私的には後者だと思ってますね!(笑)

どこまで書くのか考えているところですが、ヴァルツが虚弱体質になった訳とか、トリスの所有権の話とか? なんかそこら辺をやります。
十話以内に終わらせるのが夢です!((←
ヴァルツ「……目標が低い」
言うでない……!

ではでは!