satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第186話

~前回までのあらすじ~
ヴァルツともえぎ。シアとレン達でした。
さあ! 今回はスラと戦うフォースを視点にいきます! 頑張るぞ!
フォース「……」
イブ「ネタが切れてきたのを感じる」
言わないで!! 切れてないもん!!
フォース「まあ、なんとかするんだな」
は、はい……


ポチャがいなくなったことで、凍っていた敵が少しずつ動き始めていた。元々、動きが遅いため、やられることはないだろうが、数は多い。
「さくさくっとは無理だけど、食い止めることは出来るかな。頑張ろー!」
「るーくん、なんで生き生きしてるの……」
「こういうときこそ、明るくなきゃね♪」
率先して前に出ると、片っ端から槍で突く。鮮やかな手さばきにイブは言葉を失った。
ウィルの戦う姿をきちんと見たことがなかったため、思わず目で追ってしまっていた。一つ一つの攻撃に荒々しさがあるものの、敵を逃さんとする鋭さを感じる。隙があるわけでもないが、力強さも感じるという、実力者であることが分かる姿だった。
「……るーくん、強かったんだね」
「えぇ? 実力、疑われてたのぉ?」
イブの素直な感想にウィルは苦笑を漏らすが、その手は攻撃を緩めることはなかった。
「“はっぱカッター”!」
チコはウィルに負けじと攻撃を繰り出す。いくつもの葉っぱをランダムに飛ばしていくも、それらは敵に吸収されるように消えてしまった。吸収したからといって、何が変わるわけではないようだが、技は使えないのは目に見えて分かる。
「ワタシ、無力なんじゃ……?」
「技が効かない……じゃあ、これはどう!?」
イブがバッグから取り出したのは、『てつのトゲ』だ。数本取り出し、敵にヒットさせる。敵は動きを一瞬止めるものの、また、のそりのそりと動き出した。技よりは意味があるようだ。
「私の投擲力、なめないでよ!」
「おお~……すっごいやる気だね」
「チコちゃんも投げる?」
「ワタシがやるよりイブがやる方が早いと思うよ。ワタシは周りを見てる」
「了解。回避タイミングは任せるね♪」
「OK! 任せてっ」
実力はウィルやフォースに及ばなくとも、二人で協力して目の前の敵を退けることは出来る。お互いの出来ることに力を注ぐ。
「……いいね。友情だ~♪」
そんな二人を遠目にウィルは呟く。なるべく二人の手を煩わせるようことがないように、広範囲に攻撃をする。自分にヘイトが集まるように立ち回っていた。が、後方支援は任せてしまって問題ないようだ。
「子供の成長は早いものだねぇ」

スラと対峙するフォースはある程度、手加減をしていた。理由としては、聞きたいことがあるからなのだが、それも面倒に感じてきてしまった。
「“チェーン”」
「“サイコキネシス”!」
鎖を創り出し、スラに向かって投げるものの、“サイコキネシス”によって、それは阻止される。しかし、止められることは想定内であった。止められている間に一気に間合いを詰める。
「うわっ!」
剣を突き出し、スラの心臓を狙う。狙うものの、そう簡単にはやられてはくれないらしく、フォースの攻撃をすれすれで避けてきた。スラはフォースから距離を取ると、ビシッと彼を指差す。
「あっぶないわね! 殺すつもりなの!?」
「何を今更」
「鬼! 悪魔!!」
「どうとでも言え。『悪夢の続き』とか正直どうでもいいんだ。いいんだけど、我が主に危害が及ぶなら、排除しないとなぁ?」
「あんたのその悪い顔の方が悪夢そのものじゃない」
わざとらしく、スラは肩を抱いて身震いをする。その様子を見て、相手はまだ余裕があるんだと感じた。余裕がなければそんなことはしないのだから。
「何か策でもあるんだ? そうじゃなきゃ、そんなに余裕があるのはおかしいもんな」
「ふふん♪ まあね!」
勝ち誇るように笑うと、その場でくるりと一回転。そして現れたのは、一人のピカチュウだった。だが、その人物はピカではなく、フォースにとって、唯一無二の相手。
「どこで知った……なんて、野暮な質問か」
「そうだね♪」
にこりと笑う。二度と見ることがないと思ったその笑顔は目の前にあった。ただし、偽者の笑顔だが。
「そこまでやるのか。なあ、鈴流?」
「ふふっ♪ ねぇ……攻撃、出来る? 私にさ」
あえて、愛する人の名前で呼ぶ。スラの姿は紛れもなく鈴流そのものだ。以前戦ったときに、心に侵入されているため、そのときに見られたのだろう。現れたことに関しては、そこまで驚きはなかった。ポチャに対して、ピカを見せたようにこうなることはなんとなく予想していたのである。
「で、どうする? 死ぬまで力を得ることはなかったそいつで、戦うのか?」
「でも、力は私のもの、なんだよね? それなら、ちゃあんと出来るよ♪」
スラはそう言うと、パチンと指を鳴らす。すると、彼女の手元に剣が現れた。
「“強き力”……その力同士で戦えばフォースは死んじゃうんだよね。……でも、仕方ないよ。許してね」
「相手を縛り上げろ。“チェーン”」
スラの足下から鎖が飛び出してくる。回避するにも囲うように出てきたために、避けることも出来そうになかった。呆気なく“チェーン”に捕まると、バランスを崩して、地面に倒れる。
「ほい。終わり。さようなら」
倒れたスラに近付き、持っていた剣を振り下ろそうとする。何事もなく、淡々と。これが当たり前であるかのような様子にスラは慌てて制止を促す。
「まっ……待って待って待って!? ストーップ! え、待って? 確認させてほしいんだけれど」
「なんだよ。うるっさいな……あ、殺しはしないから安心しろ。聞きたいことあるし」
「違う! 待って! そうじゃなくて、え? この姿は君にとって、大切じゃないの?」
「大切な人だよ。おれの好きな人だし、生涯でたった一人の愛している人」
「じゃあ、なんでさらっと捕まえて殺そうとしてるの!? あ、いや、殺そうとはしてない……?」
「本物は死んでるし、こういうことしないし」
「いや、そうかもしれないんだけど、普通は躊躇うものだよ!?」
「そうか。勉強になりました。次からそうします。じゃあ、そういうことで」
一区切りついたと言わんばかりに再び剣を振り下ろす。スラは横に素早く転がり、回避する。避けられたと見るや、フォースは“チェーン”で地面にスラを固定する。
「まーって!! え、嘘」
「っせぇな……下手に避けられると、間違って殺すから固定したんだよ。ありがたく思え。感謝しな」
「違う! そうじゃない!」
「見た目は鈴流でも、中身はもどきだからな。全く似てないし、似せるつもりもないだろ」
「真似する前に捕まったからねぇ……あと! もどきって名前じゃないから。スラだから!」
「まあ、あのとき戦った頃は、確かに効果的だったかもな」
あの頃は力を完全に制御していないときだった。鈴流の件も胸につっかえたままだったし、その状態だったのなら、この作戦は効果的だっただろう。それこそ、動けなくなってしまったポチャと同じ道を辿ることになるかもしれない。
しかし、そのときと今では状況が違う。そこがスラにとっての誤算だった。
「……ムカつくっ!」
「もういいか? 覚悟決めた? 決めてなくてもやるんだけどさ。……じゃあ、そういうことで」



~あとがき~
フォースにポチャと同じ手は通用しないです。

次回、どうしようかな……(無計画)
まあ、フォース視点を続けますかね。

技が効かないもんだから、チコちゃんのやることがないですね。無計画だからなぁ……初めはそんなことなかったんだけどなぁ……おかしいなぁ……

イブの攻撃手段は何か投げるくらいなので、投擲力は異様に高いです。スナイパーかな??
フォース「銃を持たせたら化けるかもな」
イブ「え……?」
ウィル「持つ前に二足歩行をマスターしなきゃね」
イブ「あう」

こんな形で鈴流の名前を出すことになるなんて思わなかった……わけではないんだけれど、スラにはもう少し鈴流のふりを頑張ってほしかったと思いました。
鈴流「はぇ……? なんの話?」
フォース「なんでもない。お前は気にしなくていいよ」
鈴流「うーん? まあ、フォースがそう言うなら」

ではでは!