satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第189話

~前回までのあらすじ~
フォースがスラにやられそう。
表現注意やで。詳しく言うなら流血注意やで。
チコ「こういうのもある意味、ネタバレなんだろなぁ~」
イブ「すーくん……」
フォース「にらまないで。お願い」
まあ、書いてないけど、フォースも頑張った後だからね。仕方ないね。敵の探知だよね。地味だったから省いたところな……
フォース「おい」
よぉし! 始めるぞー!
フォース「おい!」


こうしてやられるのは、いつぶりなのかとふと思う。そして、ラウラと一回目戦ったときだったと思い出した。久し振りにも感じるが、そこまで時間は経っていないことも知っていた。経っていないとはいえ、一ヶ月以上前ではあるのだが、こうも短期間で何度もやられるものかと不思議になる。
「急所は外したか……残念」
無理矢理体を捻り、なんとか致命傷は免れた。が、免れただけで無傷ではない。深々と刺さる剣を見て、不味いなんて他人事かのように思う。実体なんてないのに、そこからは赤い血が流れ、地面に少しずつ血溜まりを作っていく。
「制御者は頑丈だねぇ」
「……そりゃ、どうも」
「強がっちゃって」
スラの言う通り、強がり以外の何物でもない。
フォースは刺さっている剣を消した。自分と同じ力なら、なんとか消せるだろうと試したに過ぎなかった。その考えは当たってようで、スッと消えていく。この考えを早く思いついておけばよかったと同時に思った。
「でも、もう少しで勝てちゃう。やった~♪」
子供のようにはしゃぎ、勝った気でいるスラに何かを言う余裕はない。スラよりもこの後のことをどうするのか考えなければならない。そのためには、目の前のことをどうにかする必要があった。
「……一か八か。賭けるか」
パチンと指を鳴らすと、周りにあった剣と鎖を一気に消した。スラは感心したようにぐるっと見回す。
「すごーい……本物は違うね」
「言ってろ。“ガンズ”」
二丁拳銃を創り出し、迷いなく構える。標準はもちろん、目の前に合わせる。そんな彼を見て、小さく首を傾げた。
「撃てるの?」
「まあ、その気はあるから」
「……私を、撃つんだ?」
「撃つ」
一度、深呼吸をする。心を落ち着かせ、引き金に手をかける。二つの破裂音がその場に響くと、スラは思わず目を閉じた。痛みは感じなかったため、当たったわけではない。が、音が聞こえたのなら、フォースは引き金は引いている。本能で外したのか、わざと外したのかはさっぱりだったが、この姿でいる限りはやられることはない。これだけは確かであり、彼女の勝ち筋である。
「その傲りが命取りだぜ、お嬢さん?」
「! 負け惜しみ?」
「いや。ちゃんとした勝算はあるさ。百パーセントではないけど……“チェーン”」
隙を見てスラに近付いたフォースは、彼女の体を“チェーン”で縛る。継承者を攻撃は出来ないが、これはダメージを与えるための鎖ではない。ましてや、殺すための武器でもないため、狙い通りに“チェーン”は発動した。両手に銃はもうなく、鎖を離さないように握る。
「銃は……消したんだ」
「さあ? どうだろうね」
「ここから、どうするの? すーくんは私のことを傷つけられないんだよね。こうしたところで意味ないよ。……でも、私は手が使えなくても問題ない。……出てきて、剣さん達」
再び、複数の剣を出現させ、自分の周りに浮かせた。フォースは怯む様子は見せず、全く動じない。回避動作をする様子も、武器を取り出して対処する素振りも見せない。
「……どういうつもり?」
「勝つつもりだよ。一応ね」
「もう、知らないからね! 行って!」
スラの言葉で剣はフォースに向かっていく。そうプログラムされているように正確に的確に飛んでいく。
これを一度に消すことは出来ない。それでも、数は減らせると感じて、先程と同じように指を鳴らす。何本かはフォースの元に届く前に霧のように消えていったが、やはり、全ては思い通りにいかないらしい。残った剣はランダムに彼の体を貫いた。足、腕、脇腹等……刀身が細いのが幸いして、耐えられない程のダメージを負うことはなかった。スラは制御者の頑丈さに寒気を感じつつも、次なる一手を考える。対するフォースは、込み上げてくる血の味に顔をしかめ、思わず吐き出した。
「ほんっと、化け物!」
「っ…………げほっげほっ。うぇ……まあ、予想範囲内、だな。……やれ、すぅ!」
「こんな無茶は聞いてないんだからねっ!」
スラからは死角になるところにイブはフォースの創った銃のうち、一つを構えて狙っているところだった。二丁拳銃の片割れをイブが回収していたのだろうか。
「すーくんのこと、すーくんって呼んでいいのは私だけなの! 真似っこしないで!!」
「嘘でしょ!?」
「殺すなよ、すぅ。こいつからは聞きたいことがあるんだからな」
「……分かってるよ、すーくん」
逃げようにもフォースが鎖を操っているため、動くことが出来ない。イブは標準をスラに合わせて、発砲した。五回の破裂音が辺りに響く。距離も至近距離から撃ったこともあって、全て命中したらしい。フォースに言われた通り、急所は外している。
スラはばたりとその場で倒れた。不思議と出血はしていなかったため、フォースがそのように設定でもしていたのだろう。実弾ではなく、エネルギーの塊を撃ち出せば、ダメージは与えられるが出血はしない。過去にも、そのようなものを見たことがあるイブは、特に疑問には思わなかった。
「すーくん! 大丈夫!? や、大丈夫じゃないよね!? どうしよう……!」
スラのことよりもフォースの今の状態の方が気になった。ラウラと戦ったときもこんな感じだったと思いつつも、血だらけのフォースを見て、冷静でいられるはずがなかった。彼はイブの様子など気にしていないようで、スラを縛る鎖を離さないようにしていた。地面に腰を下ろすと、ひらひらと手を振った。
「落ち着けって……おれは別だって言いつつも、殺すつもりはなかったらしい。お互い、その気はなかったってことだな」
「で、でも……痛いよね?」
「大丈夫。というか、兄貴が来ないってことは大丈夫だってことだから」
「そ、そうかもしれないけど」
「それに、死にそうになるならお前んとこ引っ込むって。こんなところで死にたくないよ、おれ」
なるべく優しく、心配をさせまいと笑う。ここまで言ったことに嘘はないが、下手に不安にさせると何をするのか分からないのがイブだった。
フォースの予想以上の働きをした彼女は、そんな自覚もなく、ほっと息をついた。
「うん……そうだよね。もう、心配したー!」
「ごめんって」
「許さないもん」
「じゃあ、どうしたら許すの?」
「……ぎゅーってしてくれたら許す」
「えぇ……後でいい? 今やると血で汚れる……って、おい!」
フォースの言葉を待つことなく、イブが抱きつく。そんな彼女に呆れつつも、しっかりと受け止めた。



~あとがき~
なんとか……終わった……

次回、イブ視点に戻して、続けていきます!

今回は特に言うことはないです。
フォースお疲れ様……! まあ、まだ終わらないけどな!
フォース「……こいつ」
イブ「すーくん、落ち着いて……持ってる武器を下ろすところから始めよう?」

一体、いつまで続くんだろう……終わりが見えない……どうか、最後までお付き合いくださいね。予測が立たないけど。この襲撃は二十くらいで終わると勝手に思ってたんですけどね……無理だった。見立てが適当すぎる(笑)
あ、一話一話の長さをもう少し伸ばせば話数は抑えられるのでは……!?
いや、今更か。なんでもねぇや((←

ではでは!