satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第190話

~前回までのあらすじ~
わーい!!! あと十話で二百! まだまだ終わらないよ!! ってことで、前回はフォースとスラの戦いにピリオドが打たれたところですね。
ピカ「本編関係ない話なんだけど、いつだったか、作者がこの小説の最終話は五百いかないだろ的なこと言ってたじゃん」
あー、うん。どっかで言った気がする。
ピカ「……このペースはいくよね?」
フォース「まだ中盤だもんな」
イブ「このあとも長編は控えてるもんね」
チコ「十話以上五十未満ってところかな?」
だと、いいけど……
ポチャ「その見立ても役に立たないんだろうね」
ピカ「ポチャ、きついこと言うね~♪ そういうとこ、好きだわ~」
ポチャ「え、あ、うん?? ありがとう?」
始めるわ……


すーくんに抱き付いたまま、上を見上げる。すると、私のことを見ていたらしく、ばっちり目線が合った。すーくんは少しだけ首をかしげる
「もう満足した?」
「……まだっ!」
「まだかよ……ぐえ」
怪我してることも忘れて、思いっきり抱き締めてしまった。ほんとにほんと、心配したんだから、これくらいは我慢してもらわなくっちゃ……!
すーくんから、助けてほしいって言われたときはびっくりした。チコちゃんと二人で敵と戦っていたとき、心の中から話しかけてきたのだ。内容は単純。「おれじゃ、とどめさせないから、お前がやって」……なんて言ってきて。どうすればいいのって聞いたら、タイミングはこっちで図るから、それに合わせろって無茶苦茶言うんだもん。そこからはすーくんの言う通りに動いた。なんて、指示は端的で短いものだったけれど。
これくらいの労いはもらって当然だよね!
離さないでいると、すーくんがそっと頭を撫でてきた。優しく、丁寧な手つきになんだか心がほっこりするというか……満たされる感覚になる。
「そっちはどうだった?」
「弱点とかわかんなくて、今は適当に狙ってやっつけてるところ。るーくんが頑張ってくれてるからか、私達は怪我とかしてないよ」
「ふーん。……そこら辺も聞き出したいところだが、多分、知らないんだろうな」
真面目なお話をするなら、仕方ない。離れるか。残念だけど。名残惜しいけど!
すーくんから顔を上げて、ゆっくり離れる。離れたついでに持っていた銃をすーくんに返した。返しつつ、ぐるっと周りを見回せば、離れたところでるーくんとチコちゃんが戦っているのが見えた。未だに交戦中のようだ。
「すーくんは容赦なく殺すのかと思ったよ」
「それでもいいけど……ま、必要ないだろ。貴重な情報源ではあるし」
それもそうか。でも、それならもう少し手加減して撃ってあげればよかったかな? 力任せにと言いますか、半分怒りに任せて撃っちゃったし。
すーくんから受け取った銃は、すーくんの力で創り出されたものだ。つまり、任意の弾数が入っているはずで、数はすーくんの裁量で決まる。私は入っている分を撃ったに過ぎない。
「すーくん、弾、入れすぎ!」
「あ? おれのせいなの?」
「悪いって思ってないでしょ」
五、六発は撃ったよ? ほんとに。
私が頬を膨らませながら反論していても、すーくんは全く気にしていないのか、別のことを考えているみたいだった。すーくんは、あれを必要な処置だと思ってるのか。それとも、予備で入れていたものを私が撃ってしまったのか……後者の可能性が高い気もするけれど、きっと気のせいだ。
「……とりあえず、連絡するか。敵の目的も分かったわけだし」
「そうなの? テロ目的?」
「んー……ある意味、そう取れるかも」
すーくんはバッジを取り出し、ポチャさんに連絡を取る。少し長い時間、応答はなかったけれど、ポチャさんの声がバッジ越しに聞こえてきたので、ちゃんと繋がったみたいだ。
「忙しいところ悪いな。……話せる?」
『うん、大丈夫。周りがうるさいから、申し訳ないけど』
周りの雑音から金属の交わる音や爆発音なんかが聞こえる。いかにも戦場って感じ。私達と別れた後、別のところで戦っていたのか。
「敵の目的……つっても、片方の目的だな。神器を使った人為的な暴走を起こすつもりらしい」
『神器? この場にそんな状態のがあるってこと? 都合よすぎない?』
「それはおれも思う。が、嘘はない。……これを対処出来る人物は限られてくるから、今、連絡した。下手に近づけば、人が死んじまうし。神器の能力も未知数だからな……でも、そこまで強いものじゃないと思う」
『何も感じないから?』
「そう。何も感じない」
『ぼくも。……神器所有者が相手か。……あ、そうだ。全く関係ないんだけど、ピカ知らない?』
本当に関係のない話ですね。ピカさんなら、救護テントにいるんじゃなかったっけ……?
『それが、綺麗さっぱりいなくなってまして』
「……あの状態で? はあ!? 逃げたの!?」
『さっき、レンさんから連絡もらって、いないんだけどーって……焦った感じの連絡があったから。ぼくの目では確認していないから、本当かどうかは分からないんだけどね』
「バッジの反応は?」
『一応はある。けど、これ、本部の位置だから、いなくなったのが本当ならバッジ、置いてってる……かも。もしくは、ダミー』
隠れる必要なくないですか、ピカさん……!!
ポチャさんの声からは心配するような色は感じない。焦った様子もなくて、淡々としていた。まるで、こうなるのが分かっていたみたいに。
『ピカの性格上、こう大騒ぎなんてしていたら、おちおち寝てもいられないだろうから。今回に関しては、ゆっくり休んでって思うけどね』
苦笑混じりの声に、半分諦めた感じも伝わってきた。予測はしていたけど、本当にこうなるんだみたいな感じかな? いや、聞いているこっちはびっくりなんだけどなぁ。
『出来れば、フォースの方でも探してくれると助かるかな。いたら、声かけといて』
「了解……こっちでも探すわ。じゃあ、また何かあれば連絡するよ」
『うん。分かった』
ポチャさんと一通り話は出来た。ピカさんが消えるって言う事件が発生してるけれど、大丈夫なんだろうか。
「大丈夫ではないだろうな。こんな短時間で回復するとも思えないし……あいつが倒れて二時間……三時間か? いやいやいや! それで元気にしてたら、化け物だから!」
「魔法でもかけられてるのかなぁ」
「浅葱に回復してもらったから、ある意味魔法はかけられてるかもしんねぇけど。……だからって、それはないよ。人じゃないじゃん?」
まあ、すーくんみたいに制御者で頑丈な人なら? あと、不死身さんとか?
「ラルはそんなんじゃないから……あー……まあ、いいや。ラルを探して、おれは引っ込むよ。流石にしんどい」
「分かった。……無理させてごめんね?」
「それは問題ない。お前を守るためだから」
うっ……場違いなのは分かるけど、かっこいい……! ずるい!
なんて、私のことなんて気にしないすーくんはバッジをしまって、ストレッチをするようにぐるりと首を回す。柔軟体操かな。
「もう一仕事といくか…………っ!?」
急に私のことを背中に隠して、鎖を投げて寄越した。そして、私が返した銃を構える。構えた先には何もないけれど、だからって、安心だなんて、呑気なことは考えるわけがない。一気に緊張感が増す。
「誰だ、お前」



~あとがき~
終わると思ったか! 一悶着あるんだよ!!!

次回、フォースが見つけたらしい相手とは……?

イブちゃん、銃の扱いに思いの外慣れてますね。
まあ、そんなのはいいんですけど! 久しぶりにフォースとイブ二人だけでした。やっぱ、ここの二人の会話は書いてて面白い。ピカとポチャとかも好きですけどね。一番平和なのは、イブとチココンビですね。平和でいいと思う!
いろんなコンビで別の色を見せるので不思議ですね。合う合わないもあるでしょうけど。

そいや、ピカ、どこ行ったんだろうね? なんつーか、単独行動? 暗躍? 好きだよね。他のところでも言った気がしますが。

ではでは!