satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第191話

~前回までのあらすじ~
スラはぷんぷんイブちゃんによって、倒されました。が、新たなる刺客が……!
フォース「ラルもどっか行くし」
イブ「じっとしていられないんだろうね」
フォース「それでも自分の身は案じるべきだろ」
イブ「すーくんには言われたくない、かも?」
それな。制御者だから許される強硬手段よ。
フォース「制御者だからこういう使い方してるんだけど……生身ならこんなことやらねぇわ」
ですよね~
ではでは、始めます!


「気配を少し緩めただけでバレちゃうものね」
! 知らない人の声!?
何もない空間がグニャリと歪むと、そこから現れたのは一人のキュウコンだった。ただ、金色ではなくて、銀色の毛並みを夏風に怪しく揺らしている。浮かべる笑みも妖艶というか……大人っぽい。
倒れているスラという人の前に立ち、私達から庇うようにしていた。すーくんのアイコンタクトを見て、私は鎖を手から離した。離した方がいいと、すーくんが判断したんだ。
「ごめんなさい。スラが色々と。けれど、許してあげて? 私のために動いてくれていただけなの」
「ってことは、大量の敵はお前が作り出したってことかよ」
すーくんの指摘にキュウコンはゆるりと笑う。なんだろう。敵意は感じないのに、不気味な雰囲気だ。言葉じゃ表せないのがもどかしいくらい。
「ええ、そうなの。……安心して? もう作っていないから、増えることはないわ。復活の機能は止められないのは申し訳ないのだけれど」
……この人、意図的にこんな騒動を起こして、悪いなんて思っていない。悪い人は皆そうかもしれないけれど、これが当然。やって当たり前、自分がしたいからやった……そんな当たり前の悪人の動機では語れない何かを感じる。……正義、かな。
「神器の件は聞いたからいい。……他に目的は?」
警戒は解くことなく、話を聞き出す。少しでも怪しいと思えば、撃つつもりなんだろう。キュウコンは気にせずに答えていく。すーくんは敵意むき出しなのに、キュウコンは全く興味ないみたいだ。
「それは私個人の目的? いいわ。教えてあげる。私は探しに来たの。あのお方に相応しい人を。……けれど、駄目。見つからないの」
「……あのお方?」
イーブイチコリータのお嬢さんは論外。幼い故の、純粋さと希望で溢れているもの。……あそこの神様も駄目。そもそも、神様なんて恐れ多いわ。あなたは見込みがない訳じゃないけれど……精神力が強すぎるから、駄目」
なんか品定められているんだけれど、何が何だかさっぱり……論外って言われたからよかったんだよね?
「スラと戦っていたポッチャマ……彼も惜しいわ。スラの変身に惑わされていたけれど、善悪がはっきりしていて、正義感が強いから、難しいわ。強い人達は素質はあっても心に何かを持っている。……探検隊や救助隊なら尚更」
誰か、探しているのは分かるけれど、だからってこんなことをする必要なんてないはず。もしかしたら、誰か死んじゃうかもしれないのに。
「あらあら。おかしなことを言うのね? 人なんて死んでしまう者。言い換えれば、消耗品みたいなものよ。使えるときに使うのが、物の役割ってものでしょう?」
そう言いながら、キュウコンがくすくすと笑う。
罪悪感なんて持ってないみたいだ。死ぬことに恐怖も悲しいって感情もない。
単純に怖いと思った。無意識にすーくんの背に手を当てていた。見上げると、すーくんが相手を探るようにじっと見ていた。どの言葉も信憑性がない上に、意味が分からないことを言い始めたから、どう判断していいのか分からないのかもしれない。
「……もっと私のことが気になる? あなたの能力で覗いてみてもいいのよ。私は拒まないわ」
「心を覗かれることを嫌がらないんだな」
「ええ。見てくれるなら、無駄に話すこともないでしょう?」
「……そうかよ」
見られてもいいって思っているんだろうか。人なんて誰にも知られたくないことはあると思うんだけど、この人にはそんなものがない? あるいは、見られた方が都合がいい、とか?
どうするのか悩んでいたみたいだけれど、嘘か本当か見極めるためにも見ることにしたようだ。すっと目を閉じて、集中し始める。
「この間、暇ね。……お嬢さんにいいことを教えてあげる。あの敵ね、ちゃあんと弱点が存在するの。どこかは私にも分からないんだけれどね」
「それじゃあ、ほとんど無敵みたいなものじゃないですか……!」
「そうなのよ。だから、頑張って倒してね? 技は効かないのは分かっていると思うけれど、数が少なくなれば敵の動きは変わってくるの。処理能力が上がるのが理由の一つね」
……どういうことなのかな。
私が理解していないと悟ると、少し考え込む。そして、いい例えが見つかったのか、パッと顔を輝かせて口を開いた。
「限られた空間にたくさんの人がいると動けないわ。でも、人が減れば範囲が広がるわよね? 簡単に言えばそういうこと」
なるほど……?
「だから、数が少なくなったとき、気を付けてね? 下手に油断していると、やられちゃうかも」
少なくなるときなんて、皆、疲れて満身創痍になっているはず。そこで攻撃パターンを変えてくるなんて。鬼か、この人。
「鬼だなんて……あら、嫌だ。私、名乗っていなかったわ。私は紅。そのまま、『くれない』と書いて『べに』よ。よろしくね」
紅……
「その、スラさん……と、ピチューさんやカゲボウズさん、ポワルンさんと……仲間なんですか? 悪いことするための」
「悪いことは何一つしていないと思っているけれど……そう。皆、私の仲間」
「前、私のことを狙ったのはなんですか? あと! カゲボウズさんとポワルンさんのも!」
こんな昔の話、当事者でもないのに答えてくれるか怪しいところだったけれど、聞いてみることにした。ここはすーくんの用事が終わるまで時間稼ぎしなくっちゃ。気が変わって、攻撃してくることもあり得るんだもん。
「初めはスカイの見定めを。あなた達を巻き込んだのは予想外だった。……二回目はあなたが邪魔だと思った黒がスラとキーテを使って捕らえようとしたの。失敗したのだけれど」
……邪魔? 私が?
「あなた自身がではなく、力がね。“強き力”は文字通り、強いから」
「……っはぁ! げほげほっ!」
「すーくん? どうしたの!?」
「うふふ。刺激が強かったかしら?」
両手を地面について、肩で息をしている。それでもしっかり吸えているのか不安になるくらい、荒い呼吸だった。
「すーくんに何したの!?」
「何もしていないわ。あなたとお喋りしていたんだもの。何も出来ないってあなたが証明してくれるでしょう」
そ、そうだけど……
「それじゃあ、私はここを離れるわ。まだ見ていない人もいるから……また、会いましょう」
スラさんを尻尾で器用に回収すると、空間の歪みに入ってしまう。紅さんが完全に潜ると、その歪みは跡形もなく消えてしまった。
いや、そんなことより、すーくんだよ! こんなすーくん初めて見る……! どうしよう!
きっと、あの人の心を見て、何かあったんだ。なんだろう……とにかく、私の話を聞いてくれるように呼びかけなきゃ!
「すーくん! えと、私、ここにいるよ! ここにいるからね。ゆっくり、深呼吸しよ?」
「はっ……はぁ……はあ……ふっ………ふぅ…! けほっげほっ……」
浅い呼吸をしながらも、なんとか深呼吸をしようとしてくれてるみたいだ。よかった。私の声は聞こえている。すーくんの背中を擦りながら、もう一度促してみる。
「ふーって……ゆっくりでいいから、ね」
「は…………ふー……」
「……落ち着いた?」
「けほっ……ごめん。……落ち着いた」
すーくんがゆっくりと顔を上げながら、同時に腰を下ろした。私はすーくんの正面に座る。まだ大きく息を吸っているけれど、もう大丈夫みたいだ。顔色はすっごく悪い。怪我のせいなんかじゃないのは見て分かる。
「……大丈夫?」
「大丈夫……って言いたいけど、さっきの見られると、大丈夫なんて言っても説得力ない。……でも、大丈夫だ」
「説得力ないって分かってて言うんだね……何があったの?」
「あいつの心の感情……って言えばいいのかな。それに飲まれそうになった。おれの中にまで入ってくるようなそんな感じ……昔は強い感情に当てられることはたまにあったけど……んなの、能力を操れてない時期の話だぞ」
「あの人の感情?」
「闇だった。何も見えない、暗闇。それに……あれは……」
「ううん。もういいよ。もう、休んでね。私のことだけを見てて。それなら、辛くないよ。……そうでしょ?」
思い出そうとするすーくんを見ていられなくなって、途中で言葉を遮ってしまった。そのことに文句を言うことも、呆れることもなく、すーくんはゆっくり頷いた。
「そうさせてもらう。……ラルのことも任せるわ」
「うん。私から二人に言っておくよ」
少しでも安心してほしくて、にっこりと笑って見せる。すると、すーくんは私のことをぎゅっと抱き締めてきた。こんなことあんまりないから、ちょっとだけ固まってしまった。
「すぅ、ありがと。……お前、強くなったな」
「ほえ!? そ、そうかな……?」
「ん。……じゃあ、おやすみ」
「うん。後のことは任せて、ゆっくり休んでね。……おやすみなさい、すーくん」
そう告げると、すーくんはここから消える。私の中にいるのを感じ取れた。大丈夫。ここなら、安全だ。嫌なものは見せない。
ここからはすーくんには頼れない。もちろん、本当に危なくなったら、飛び出してくれるだろうけれど……そんな状況にならないように、私なら出来る。……強くなったなって言ってくれたんだもん。その言葉を嘘にしないように、頑張らなくちゃ。



~あとがき~
ひえ……新キャラ(敵)の登場です……!
もうどっか行きましたけど。

次回、もえぎとヴァルツに移ります!
たった二人だけで、対応しているこの状況に勝機はあるのか!?

イブの成長を感じられる回でしたね。
なんて、私は思うんだけれど、皆さんはどうですかね。イブよりも、弱りフォースなんて珍しいなんて思ってるのでしょうか?
けどまあ、泣いたりするフォースは過去にもあったんで、特別、弱りフォースが珍しいなとは思いませんがね。
フォース「なんかムカつく」
イブ「まぁあまあまあ!!! 構えた武器は下ろして! そして、なんかこのやり取り前にもしたよ!?」

やっとスラ達側の目的も分かりましたね!
つまり、神器の暴走と、あるお方に相応しい人材探しが敵側の目的なんですね。
相応しい人材とはなんなのかはこれからを見てくれれば分かります! 多分!

ではでは!