satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 7ー6

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊の物語を元にしております。原作のイメージが崩れる恐れがあるので、苦手な方はバック!
前回はまさかのピカ、単独行動(笑)
ピカ「違う違う。私は置いていかれたのです」
え、あ、え??
ピカ「置いていかれました」
あっはい。
今回はちゃんと三人で行動しましょうね……


~7‐6 ギルド遠征、重なる謎~


十五分くらいだろうか。ダンジョンの入口で待っているとポチャとビッパが戻ってきた。私の姿を見るなり、慌てた様子でこちらに駆け寄ってくる。まあ、当たり前の反応ではあるのだけれども。
「ピカ!? え、ちょ、なんで!?」
「ついてきてなかったゲスか~!? 中に入ってもピカが全然来ないから心配してたんでゲス」
「それに関しては謝る。看板見たもんだから、入る気が失せちゃって」
「看板?」
ポチャが私の示した方へと歩き、じっと看板を見る。
「…………うわっ!? 書いてあるっ!」
「そーなんでゲスかぁ!?」
「二択だから、ポチャが帰ってきた時点で分かりきっていたことなんだけどね。君達二人が行った方が間違いってことはね」
「うっ……確かに」
ちゃんと周りを確認しないからこうなるんだ。まあ、引き留めなかった私も私……って引き留められないところまでぐんぐん進んだのはポチャ達だけども。
「じゃ、今度はちゃんとした正規ルートを進もうか。慌てん坊のお二人さん?」
「う。ごめんって」
「申し訳ないゲス……」
しょんぼりした二人を引き連れ、『えんがわのいわば』へと入る。中は湿気が多くてじめっとした印象だ。そのため、水タイプが多くいる。ポチャの出番はあまりなさそうだな……

『えんがわのいわば』を難なく突破し、しばらく歩いていくと山岳地帯へと足を踏み入れた。この時点でそれなりに日が傾いており、この時間では山越えは難しいだろう。ってことで、今日はここら辺で一晩明かすことになった。明日は山登りになるだろうけれど、気になることが一つある。
「ポチャ、山登りは平気なの?」
「得意ではないけど、何事も経験だと思って頑張るよっ!」
結構前向きな返事が返ってきた。まあ、『トゲドケやま』も登れたし、なんとかなる……のかな。いや、なんとかなってもらわないとこちらが困る。
ビッパもペース、今日と同じで大丈夫そう?」
「だ、大丈夫でゲスよ!」
『えんがわのいわば』ではそれなりに息上がっていた気がするのだが……本当に大丈夫なのだろうか。
ってか、不安要素しかないな。このチーム……
「この目の前にある山を越えれば、ベースキャンプ近くまで行けると思うよ。順当に行けば、明日には着けるはず」
不思議な地図を取り出して、確認しつつ計画を練り直す。明日朝一で登り始めれば、夕方には到着出来るはずだ。昼前は……どうだろう? この山がどれくらいで抜けられるかによるな。
まあ、どちらにせよ、今日はここまでにして明日からまた頑張ろうってことになるんだけれど。
地図を仕舞っていると、ビッパと目が合った。ポチャは隅っこで野宿の準備中だ。こちらには気づいていない。
「? どうかした?」
「その……あっし、二人の先輩なのに、それらしいこと出来てないでゲス。何もしてなくて、申し訳ないなぁって……」
「なんだ。そんなことか」
「そんな冷たく言わなくてもぉ!?」
「私は後ろでちゃんと注意を払ってくれているビッパが、何もしていないなんて思わないけどな?」
私が先頭に立ち、得意の電撃で敵を追い払っていた。その後ろでポチャも援護してくれていたけれど、私達の背後までは気が回らなかったのは事実。それをカバーしてくれていたのがビッパだ。本人が何もしていないなんてあり得ないし、ちゃんと先輩らしいことは出来ている。
「チームのリーダーってのはね、意外とメンバーのことを見てるんだよ? ビッパ先輩?」
「うっ……ピカ……!!」
うるうると目に涙を溜めて、今にも零れ落ちそうなくらいだ。涙もろいのかな。いやいや、ここで泣かれてもどうしようもないから!
「あー!! 泣くのは遠征を成功させてから! ね? ご飯にしよう」
「そ、そうでゲスね!」
なんとか涙を堪えて、ポチャの方へと走っていく。
この遠征で、私もポチャも……ビッパも、何か得るものがあるといい。成長出来るような何か。それは多分、経験が一番いいものなんだろうけれど。

仲良くご飯を食べた後は、なるべく離れないように三人で固まって野宿することになった。しかし、野宿なんて今までなかったからか、全く寝付けない。男子二人はすでに夢の中だというのに……ちなみに右からビッパ、ポチャ、私の順に川の字みたいに寝ていた。が、私はというと、少しの物音ですら気になってしまう。外で守ってくれるような壁がないから、無意識に警戒してしまっているのだろうか。いいことではあるんだけれど、明日に響いてしまったら本末転倒だ。
「寝ろよ……私」
こういうのって、意識すればするほど寝付けなくなっていくもんだよね。辛い。いっそ、寝ることを諦めるか。
体を起こし、二人を起こさないようにそっと離れる。上を見れば、山の近くだからだろうか。満天の星がきらきらと輝いていた。邪魔するようなものもないし、この夜空も最大限の輝きを放っているのだろう。
私がポケモンになってしまう前……人間の頃にも、こんな星空は見えていたのだろうか。そうだったら、嬉しいけれど。
「……私はこれから、どうなるんだろうなぁ」
今は流されるように探検隊をやっているし、それがいっぱいいっぱいだから、考えたことがないけれど、人間の私はどうなる運命なのか。いや、運命とかそんな大それた言葉でなくても、明日明後日の未来で、どうなっていくのだろう?
この世界に人間はいない。少なくともポチャは知らないと言うし、私もここで生活するようになってから、見たことも聞いたこともない。この世界を勉強する中で人間というものがいて、こんな姿だっていう絵は見た。しかし、実際に見たわけではないのだ。となれば、私はどこから来たのか。
友達は? 家族は? 今までどうしていたのか。記憶がないから、何も分からない。今の私はある意味、偽物だ。これがピカ……いや、ラルであるという確証がないのだから。
「何なんだろう……って考えても答えなんてなんだけど、眠くないから仕方ないよ。うん。仕方ない仕方ない」
……誰に対する言い訳をしてるんだろう?
答えのない自問自答は迷宮だ。それも出口のない迷宮。いつ抜け出せるのかも分からないし、二度と抜け出せないかもしれない。そんな迷宮なんだと思う。きっと、私は一生迷い続ける。
ま、明日からこんなことを考える余裕なんてなくなっているんだろうけど。
私はその場で寝っ転がると、ぼんやりと空を見つめ続けた。しばらくは星が動く様をじっと見ていたのだけれど、いつの間にか眠ってしまっていた。



~あとがき~
意味もなく考えるときってありません?

次回、『ツノやま』攻略!

特に補足することがありませんね……
何か質問等あれば、お気軽にどぞ~(唐突)

ではでは!