satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

幼き騎士は何思う?

~前回までのあらすじ~
遂に手を出しました。
ヴァルツ「言い方に語弊がないか、それ」
トリス「間違ってないからいいんじゃなぁい?」
ヴァルツ「……」
今回でまとめて終われたらいいな!
ヴァルツ「そう言うと大抵、考えとは反対の方向へ向かうんだよな」
う、うるちゃい……


一度、剣を振るうと周りにいた敵達は全員ばたりと倒れてしまった。そんな目の前の展開にボスもついていけず、硬直してしまっている。銃の引き金すら引けなかったらしい。そんな隙が俺にとっては絶好のチャンスだ。
「トリス」
『ふふん。任せて♪』
素早く相手の背後に回り、一太刀を浴びせる。声も出す暇もなく、地面に崩れ落ちる。もちろん、こいつにふぃーが押し潰されないように回収も忘れずに。
「……ところで、こいつはなんでここにいるんだ。予想はつくけど」
『さっきの口ぶりだと、こいつらが連れてきたんでしょ。自分のためなら子供も利用する! あはっ。大人の鏡だよねぇ』
トリスの言った内容で外れてはなさそうだ。連れ去られたのか、たまたま見つかったのかは定かではないが。
「トリス、代償の件はもう少し後でもいいか」
『うん。僕がヴァルツの体に馴染むまでは問題ないよ~』
さっきはすぐに取っていたくせに。
『あれはいいよって言われたから?』
そこら辺のタイミングなんかも不明なままだな。俺は使用した直後に発生するもんだと思っていた。
『そこはこっちの自由だ。いいかい? 神器を扱うってことはヴァルツ……お前の魂は僕のものだよ。どうするかは僕が決めるし、代償をどうするかも僕の権限。人の子に自由なんてないんだよ』
「なんというか……お前も大概だな」
『何それぇ! そこに転がってる奴と一緒にした!? 怒るよ!』
構っている暇はない。やることをやらないと。
ぎゃーぎゃー騒ぐトリスを一度、祠に置いてその祠の側にふぃーも寝かせておく。そして、周りにいる敵を外に出しておかなければならない。ここに置いておいてもいいけれど、一応、一族の敷地内だ。片付けておかないとな。
途中、マリーが帰ってきたため、彼女と共に後片付けに追われた。その間に、俺とトリスのことも話したが、反応は思った通りお小言を言われ、説教を受けることになった。ふぃーを送り届け、全てが終わったのは、日も昇り、辺りが明るくなり始める頃である。幸いにも母に一連の出来事はバレておらず、自分の部屋に戻れたのはよかったと思う。

「僕も遂に実体化! やった~♪」
「はぁ~……一段と騒がしくなりますわ。黙ると言うことを覚えた方がよろしいのでは?」
「うっさいなぁ……実体化、ひっさしぶりにしたんだよ! ヴァルツのおとーさん、全然余裕なくって、実体化する暇もなかったんだよ? 堪能してもバチは当たらないよ」
……あぁ。結局、何も変わらない。実体化しようがしまいが、俺に聞こえるのは変わらないし、むしろ、目に入るようになったから、悪化しているのか。
俺の先を歩くトリスがこちらを振り向き、両手をこれでもかってくらいに振ってきた。トリスと俺の距離はそこそこ離れていたから、結構な声量で叫んでくる。
「ヴァルツ! 遅いよー!」
「誰のせいでこうなってると……けほっ」
あの事件の後、予定通りに旅の続きをするために家を出た。そこで早々にトリスは代償を支払えと迫ってきたのだ。家にいれば、母にバレてしまうため、外で言われたのは好都合ではあった。魂は取らないなんて言っていたから、どうするのかと思っていたが、結果的に身体能力を取ってきた。身体能力なんて言ったが、運動能力、運動神経は変わっていないのは確認済み。つまるところ、体内の機能低下をしているらしい。一言で済ますなら、体が弱くなったと言うことになる。こんなことなら、寿命を取って貰った方がよかったのではないかと思う。
「大丈夫ですか、愛し子よ。あまり無理をしては駄目です。兄様は無視していいですからね」
「そこは問題ない。元から無視している」
「おぉいっ!? 聞こえてるぞー!?」
森に侵入した親戚達は何も覚えていないと答えていた。自分の意思で踏み入れた訳ではないらしいが、俺が直接聞いたわけではないから、真実を語っているかは不明だ。まあ、そこら辺の処分なんかは大人に任せるに限る。
ふぃーに関しても、どうなったかは見届けずに来てしまった。送り届けはしたものの、話は聞いていないし、あそこにいた理由も明らかにならないままだ。それでも、あの子が自分の意思で入るとは思えないし、敵に捕まっていたところを見るに、利用されたのは間違いない。あいつも被害者の一人だったと結論付けている。
「愛し子よ、どこに行きましょう?」
「……目的地は特に決めていないよ。でも、そうだな。俺の進化用の道具でも探しに行くか」
「お! ヴァルツ、何になるのぉ?」
いつの間にか近くまで戻ってきていたトリスが首を傾げながら聞いてきた。そんな仕草をしても、大して可愛くもない。
ブラッキー
「うわぁ……ぽいね」
「ふふっ♪ お似合いですわ、愛し子。さて、ここまで戻ってきたのなら、愛し子に楽をさせてあげてくださいませ、兄様」
「はぁ? 何それ」
そこまでこいつにお世話になるつもりはないんだが。俺の気持ちは無視され、マリーの話は続く。
「このペースですと、このダンジョンを抜けるのに休憩なしでも丸一日はかかります。ここは階層の深いところですので、このくらいは仕方ありません。そして、愛し子に無理をさせるわけにはいきません。……この意味、お分かりですよね?」
時折、休憩を挟むなんてことをすれば、もっと遅れるだろう。無理して倒れてしまえばまた入り口に逆戻りだ。俺は分かっててゆっくり歩いていたし、休憩もするつもりだった。何日かかけて抜ける予定だったのだが、二人には何も言っていなかったために、変に思われていたのかもしれない。
トリスが数秒の間、苦悶したと思ったら、くるりと背を向けてきた。
「しょうがないなぁ! 背負ったげる! 僕だってヴァルツに死なれたら困るし!?」
ほれほれとこれ見ようがしに迫ってくるが、主の種族をコピーするのが神霊だ。トリスもイーブイで俺と大した身長差もなく、力があるようには見えなかった。まあ、俺よりはあるかもしれないけれど。
「……そんな力あるのか?」
「神霊様を馬鹿にするなよ! お前を背負って次の町に行くことなんて造作もないんだからな!? ほら! 乗った乗った!」
そう強く言い放つと半ば無理矢理、背負われてしまう。こうなってしまえば、抵抗するのもおかしな話だ。黙ってトリスに背負われよう。
「言いましたわね。兄様、次の町までよろしくお願いしますわ♪」
「!? 狡くない? そういうことなの?」
「私が先頭に立ち、敵を殲滅いたしますので、兄様と愛し子はその後をついてきてくださいまし。もちろん、気になるところがあればそちらへ参りましょうね」
マリーはにこりと笑ってそう告げると、俺達の数歩先を歩き始めた。トリスの抗議は耳にも入らないらしい。流石と言えば、流石である。
俺の方は乱暴に扱われるかと思ったのだが、結構丁寧でそこは気遣いというものが存在していたらしい。驚くべき事実が判明したところで、眠気が襲ってくる。力を抜き、体重を預けてゆるりと目を閉じた。
「……トリス」
「なぁにぃー」
「やりたいことが出来た。……きっと、それは道徳的ではないんだと思う。それでも、力を貸して欲しいんだ」
「何言ってるの。僕はもうお前の道具だよ? 好きにしたらいいさ。……それにねぇ、ヴァルツ」
そこで一度、言葉を切る。不思議に思って片目だけ開けてみる。そこには不敵に笑うトリスがいた。
「僕は普通は望んでいないんだよ? ヴァルツがこの連鎖を途絶えさせると言ったんだ。……終わるまでは、どこまでもついていく。全てが終わったとき、それでもヴァルツが生きてるのなら、お前の最期も見届けるから」
「なるほど。……その未来を実現するために、まずは強くならないとな」
「んふふ♪ そうだね! 強くなるまでは守ったげる~♪」
マリーには言えないこの野望とも見える願いは、きっと、こいつとなら叶うんだろう。いや、叶えるんだ。そのための一歩を踏み出したんだ。



~あとがき~
はい! ヴァルツ編終わり!!

次はもえぎ視点! 本編にもあるように、今のトリスの主はもえぎ。まあ、使うだけならヴァルツも使ってますけど。むしろ、使用権はヴァルツっぽいところあるけども! そうなった理由について語っていこうと思います~♪
ギルド加入辺りからやってもいいんですが、長くなりそうなんで、カットですね……さらっと説明はします。その説明で今回、敵に捕まったうんぬんの話も出しますかね。

代償は使った直後に取られるのではと思うと思います。そこに関しては、神霊の判断ですね。取らないやつもいるくらいなので、払ってねというタイミングで勝手に取ります。予告するのかしないのかも神霊の気分次第です。マリーはいらない派です。とった方が力はあげられるのですが、それでヴァルツに何かあるのは嫌なので、くださいとは言ってません。ヴァルツはあげて強化できるならしてもいいよっていうタイプなんですけどねー
トリスはヴァルツに対して、適当なタイミングで貰ってもいいかと一応聞くタイプ。嫌だって言われても無言で実行します。
ちなみに、雷姫はピカに対してはマリーと似たような感情を持っています。が、必要があれば影響がないところで妥協する感じ。ピカ以外は無言でバンバン貰うんじゃないですかね。はい。

ヴァルツのやりたいことに関しては、察してくれって感じですね。特に説明はしませんし、空と海にも出てくる話ではありません。仮に、ヴァルツ&もえぎを主人公にした話を考え、出すときがあれば分かるかもしれませんが。ここではご想像にお任せします!

ではでは!