satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第4話

~attention~
『空と海』のメインキャラ達が学パロなif世界で面白おかしく(?)過ごす物語です。本編とは何も関係ありません。また、擬人化した前提で話は進み、友人とのコラボ作品です。苦手な方はブラウザバックですよ。
こんなに続くと思ってなかった入学式編です。まだ途中です。今回で終わる(予定)。
高等部メインなので、中等部の二人の出番が……
ステラ「最後くらいはくれますよね!?」
……多分?
ステラ「多分」
そんなことより、ツバサちゃん達と早く出会わなければー!!
ステラ「話聞いてー!」
フォース(出番無さそう)
ステラ「すーくんっ!? 何考えてるの!」
フォース「ふっ……」
ステラ「笑うなー!!」


宣言通り、一分で体育館に戻って来れた。校門と体育館は距離があるから騒ぎになることもなかったようだ。予定通りに式が進行しているのを確認しつつ、ユーリ君に近付く。その隣にティールがいるのは見ないようにしながら。
「ありがとう。もう戻っていいよ」
「あっ、ありがとうございました。失礼しますっ」
ユーリ君が去った後、ティールはすっと真顔になる。何が言いたいのかはそれだけで伝わった。顔は合わせず、お互い、新入生の横顔を見ていた。
「……ラル」
「いいじゃないですかぁ~♪ だまーってお話聞いてるだけなのもつまらないんだよ。私が……っいったぁ!?」
私の脇腹を思い切り殴ってきた。厳粛な式の手前、大きな声で叫ばなかったが、そこそこ痛かった。これから壇上でスピーチあるの、忘れてませんか、副会長!?
「いや、いいんだよ。君の無茶は今に始まったことじゃないもんね。いつもだから、気にはしないけど、無茶をされる度に、ぼくの寿命が減るってことを忘れないでほしいな」
「無茶なんてしてません。ちょーっと悪者退治しただけ……ごめんって。睨まないで~」
「先生呼ぶとか出来るだろう? どうして一人で何とかする方向にしか考えないの。悪い癖だよ」
「お小遣い欲しくて……あ、すいません。暇だったからです。お堅い式なんて見ていたくなかっただけです。ごめんなさい」
適当に誤魔化してやろうと思ったけれど、思いの外睨まれたので、正直に話した。結局、根底にあるのは、お偉いさんのお話を聞きたくなかっただけ。ただそれだけである。
「フォース君は?」
「さっきまでいたけど、何かあったみたいでどっか行ったよ。すぐ戻るって言ってたから、大したことじゃないと思う」
ふうん。とりあえず、最後まで参加は出来るらしい。どこかで退場する可能性も片隅にはあったんだけれど、頑張るね、フォース君。
『続きまして、在校生代表の言葉。冒険科三年、ラル・フェラディーネ』
あぁ、出番……ってことは、もう少しで入学式も終わりか。今年も無事に終わりそうで何よりだ。
壇上に上がるため、階段のある方向へ体を向ける。それと同時に優しく背中を叩かれた。
「いってらっしゃい。ラル」
「……ん。いってきます」
こうして上がるのは初めてではないけれど、ティールに優しく声をかけてもらうと、気持ちが簡単に切り替わる。ここだけじゃなくて、どんなときもそうだ。きっと、支えられて一人じゃないって思えるからなんだろう。
私の目の前には大勢の新入生。冒険科、魔術科の新しい仲間達だ。つぼみの彼らの未来はどんなものになるのだろうか。まだ、私もつぼみなのかもしれないけれど。それでも、何かを伝えたいとしたら。
……誰かに指示されたものでは意味がない。
事前に渡されていた内容の紙を出すのをやめ、一回深呼吸をする。そして、マイクに向かって自分自身の言葉を紡いでいく。
『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。期待と不安を胸にこの場にいると思います。新しいことがこれからたくさん待っていて、それについての不安とか……その中に楽しみだとか、ワクワクした気持ちがあると思います。……三年前の私がそうでしたから。その気持ちを共有出来る仲間が皆さんの周りにいる人達なのです。三年間……中等部からの方は、長くて六年間、ですかね。この新たな場所で今以上の絆を築いてください。新しい繋がりがこれからの皆さんの力になります。……あまり長いのは私が好きじゃないので、最後に一つだけ。この学園には皆さんの先輩がたくさんいます。私達、在校生や今回の式を支えてくださった先生方……頼れるものは頼ってください。私達は皆さんの将来のため、未来のための助力を惜しみません。……三年間、目一杯楽しんでくださいね。在校生代表、ラル・フェラディーネ』
一歩後ろに下がり、頭を下げる。拍手の雨の中、教頭のやってくれたなという目は無視して、舞台袖にある階段を目指して歩き出す。
やれやれ。怒られるような内容は話してないんだけれどね? まあ、内容はガン無視してやったけどな。お前の言う通りになると思うなよ!
舞台を降りる直前、校門前で見かけた、ツバサちゃんを見つけた。ここでもきらきらした目をしていて、学校生活が楽しみで仕方がないといった目を私に向けていた。そんな目で見られている気がしたのだ。きっと、ツバサちゃんの思う楽しい生活が待っている。期待していいよ、そう伝わればいいと思って、一瞬だけ、彼女に向かって笑いかける。あちらが気づいたかは定かではないが、私の自己満足のようなものだ。見ていなくても、伝わらなくても問題ない。
「お疲れ様。よかったよ」
「原稿、全部無視してたな。でも、お前の言葉が一番いいよ。お疲れさん」
ティールの横にはいつ帰ってきたのか、フォース君がいた。そして、二人とも笑って、私のことを労ってくれた。二人の笑顔を見ると、私も自然に笑みがこぼれる。
「うん。ありがとう。まだ終わってないけど、一段落ついたよ」
「お前の言う通り、まだ終わってねぇけどな。大仕事は終えただろ。つーか、その前に軽く暴れたらしいな。新学期早々、問題起こすなよ」
「えぇっ……私のせいじゃなくない?」
「それに関して、ちょーっと説明して欲しいな。さっきはユーリにしか聞けてなかったからなぁ~?」
……あー、ティールのその笑顔は駄目な奴だ。説教込みで長くなりそう。よし、逃げるか。式もまだ途中だけれど、ここで尋問されても敵わない。第一、面倒だ!
「まだ入学式途中だから、後でね? ティール、周りの監視よろしく~♪ 私、教頭に色々弁明してくる!」
「え、あっ、ちょっ!?」
引き留めようとするティールを振り切って、さっさと体育館から脱出する。説明なら家でするし、こんなところで、探検隊絡みのお仕事なんてしたくありません! 私は青春謳歌中の学生なのっ!



~あとがき~
今回で終わると言ったな。あれは嘘だ。

次回、今度こそ終わります。入学式編!

これ途中まで書いているとき、一緒に作っている友人とのメッセージやり取りの中で、「入学式編が三部作になりそう!」なんて感じの送ったんだけど、ごめんね。三部どころか五になりました。誰だ。前後編で終わるとか言ったやつ。……私か(小声)

ではでは!