satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第5話

~attention~
『空と海』のメインキャラ達が学パロなif世界で楽しむ(?)お話です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人と設定を練りながら作っている作品です。苦手な方はブラウザバックです!
まさかの五話! 長い!!
ラル「初めは四話で終わるつもりだったんですけどね! 予想より多くなったんで、真っ二つにしました」
本当にな……うっ…! 二つにしたくなかったんだけどね……長いので分けました……


入学式が無事に終わり、新入生も帰りのホームルームでもしている頃。生徒会メンバーは事後報告や今後の改善点等々のミーティングをしていた。大きなトラブルはなかったため、そこまで長々とする必要もない。今日はこれが終わりさえすれば、早く帰れるんだから、帰してあげたい。明日からは通常授業だし。……というか、それを抜きにしても、私が帰りたい。
「……以上です。会長から何かありますか?」
ティールに呼ばれて、意識を思考の海から引き戻す。全く聞いてなかったけど、まあ、大した話はなかったね。多分。
「特にはないね。トラブルもなく、無事に終わったわけだし……明日からは通常授業で、普通に学校あるから、今日は解散! 家帰ったり、部活行ったり好きにしろよ、お前らー」
「はいっ!」
この言葉でメンバーは綺麗に礼をし、バラバラと生徒会室を出ていく。残ったのは私とティール、フォースの三人だ。いつもの三人である。
「まずはお疲れさん。何か飲む?」
「あ、飲む。何があるんだろ」
生徒会室にある冷蔵庫を覗く男子二人。基本的にお茶は常備されていて、後はティールの好きなリンゴジュースとか紅茶、コーヒー……お菓子等々。結構、私物化されている冷蔵庫である。他には電気ケトルとかちょっとしたお茶会が開けてしまうくらいに用意はある。
そんな二人をよそに、私は生徒会の腕章を外し、引き出しにいれる。ブレザーも脱ぎ、いつものラフな服装に戻った。まあ、ブレザーの代わりがカーディガンになっただけなんだけど。
そして、何も言わずに生徒会室の扉を開ける。外は楽しそうな声で響いていて、新入生達もホームルームが終わったところなんだろうと予測出来た。
「ラル、どこに行くの?」
「んー……散歩」
ティールの問いに適当に答える。しかし、彼の返答は冷ややかなものだった。
「……逃げる気でしょ」
「うふふ。ティール君っ♪ 私の鞄、一緒に持って帰っといて!!」
そう言い残して、私は廊下をダッシュする。廊下は走らないなんて言葉があるけれど、そんなルールを守って、私の人権が侵されるくらいなら、破ってしまっていい。こういうどうでもいい校則とかどうでもいいルールは破るためにあるのだ。
学校に仕事は持ち込まない主義! 逃げるが勝ちだ! 戦略的撤退!!
「いや、戦略でもなんでもないよね!? というか、さっきの後処理の他にも、生徒会の仕事もあるんだけど!?」
「しらーん!! やっといてぇー!」
「出来るかぁぁぁ!!! 会長の仕事でしょ!!」
私だけの仕事とかあるけど、ちょっとよく分からない。私まだ子供なのでぇ~♪
後ろからティールが追いかけてくるのは分かった。フォース君は追いかけてくるタイプではないため、生徒会室に残っているか、私の思考を先読みして、先回りするかの二択。ティールのように私の敵になることは少なく、今回は大丈夫だろう。つまり、ティールを振り切れば勝ち決定である。前にいる生徒達をかわしつつ、玄関目指し、階段を駆け下りる。中にはびっくりしている子達もいるけれど、新入生かな。これが日常になるから、慣れろ!
次の階段に続く曲がり角、そこで三人の生徒が目の前に現れた。あちらは普通に何気なく、角から出てきただけだろうけれど、こちらとしては急に出てきたように見える。私は彼らを避けるためにジャンプする。イメージ的にはハードル走や走り幅跳びような感じだ。
「わわっ! あ、アラシ!?」
「いっ!?」
これはもう運が悪いとしか言いようがない。私が飛ぶ方向目の前に彼、アラシ君がいるのだ。いや、彼は近くにいた女の子……恐らくツバサちゃんを庇うために前に出たんだろうけど、そこ、私の飛ぶはずだったルートだ。つまり、綺麗に跳び膝蹴りが決まってしまった。幸いと言うべきか、本気で蹴ったわけでもなく、力を込めたわけでない。そして、アラシ君は丈夫なのか、顔面に入ったと思われる蹴りを受けても気絶はしなかったらしい。
……しかし、結果的に止められた。止まる気はなかったのだけれど。
「お、お前! 危ないだろ!? つーか、スカートでなんつーことしてんだ!!」
「変態」
そんな台詞で近付いてきたアラシ君に、探検隊としての条件反射で回し蹴りをした。これまた綺麗に入り、彼を軽く後方へと飛ばす。そりゃそうだ。また蹴られるなんて思わないだろう。
「ア、アラシ……ぷくくっ!」
「……アラシ!」
まあ、ニーハイでもなく、黒タイツ派の私に見られて困ることはないんだけれど……って、いつものノリで、セクハラ紛いなオヤジ達と似たような感じに撃退してしまった。いや、そこは今は関係ない。アラシ君がいるということは、ツバサちゃんとレオン君もいるわけだ。
二人を見てみると、どういうわけか、飛ばされたアラシ君の心配はしていないようだった。レオン君はお腹を抱えて笑っているし、ツバサちゃんは飛ばされたときは心配そうな声を出していたけれど、今はアラシ君よりも私を見ている。
「どんくせぇ! あはははっ!!」
……うん。アラシ君が不憫に思えてきた。
「あ、あの! 入学式の挨拶していた方ですよね! えっと……ラルさん!」
「え、あ、はい……?」
思わず敬語になってしまったが、ツバサちゃんは気にせずに話を続ける。興奮しているのか、ぴょこぴょこ耳が動いているのが可愛らしい。
「あの言葉、すっごくよかったです! 聞いてたら私もワクワクしてきて、学校がとっても楽しみになりました! ありがとうございますっ! 今もすっごくかっこよくって……あ、えと、私、ツバサって言います! ツバサ・ケアルです。で、あそこで寝てるのが、アラシ……アラシ・フェルドと」
「レオンでーす♪ レオン・エクレールっす! よろしく!」
「よろしくお願いしますっ♪」
「あ、うん。知ってる。……よろしく……?」
え、あ、んん?? お友達飛ばされてるのに格好いいとは……? 私が言うのもなんだけれど、誰かアラシ君の心配をしてあげて!?
「ラル! 見つけた!! っていうか、追いついた!! 逃げるなよ!?」
「うっわ。ティール……今日は速い方かなぁ?」
変なところでタイムロスしたせいで、ティールが追い付いてきてしまった。まだ距離はあるから、撒けると思うけれど。普通に下に降りるのは追い付かれる気がする。……仕方ない。
「ごめんね、二人とも。アラシ君に謝っといて! あ、話は……えーと、また今度!」
近くの窓を開けると、目の前に校庭が見える。ここはそこまで高くないし、飛び降りても怪我なんてしない。窓枠に足をかけ、身を乗り出したところで、後ろを振り返った。
「ラルさん! 危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。私の最高記録は屋上からだから。それじゃあね、ツバサちゃん♪ それに、レオン君とアラシ君もね」
窓枠からするりと手を離し、外に飛び降りる。それと同時に本日二度目となる愛刀の名を呼ぶ。いやはや、いつもはこんなに呼び出すこともしないんだけれど、仕方ない。不可抗力である。
「雷姫!」
雷姫の呆れたような声を頭の中で聞いた気がしたけれど、完全に無視した。刀が発する電気を操って落下速度を調節し、本来受けるはずのダメージを相殺させる。そして、上を見上げることもなく、そのまま走り出した。
家に帰ったら怒られるなぁ~♪ まあ、楽しかったからいいかなっ! これからが楽しみだ。



~あとがき~
え、めっちゃ長くなったんだけど……入学式怖い……

次回、新学期と言えば、部活見学。(?)
見学します。ラルは……あれですね。見学という名の視察?

アラシ君がかわいそうな気もするけれど、予定通りの扱いです。こんな風にしてくれと頼まれました。双方の合意の上です!!←
ちなみに仲間のツバサちゃんとレオン君もこんな風な反応でいいと言われました。二人の作者に踊らされている、味方のいないアラシ君……これからもきっとそうですね……

ツバサちゃん視点は友人の方で作られる予定です。多分。きっと……恐らく? まあ、出来上がったなんて知らせを聞いたら、案内か何かをしますね。多分。きっと……うん。

ではでは!