satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第17話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手遊ぶ物語です。一切本編とは関係ありません! また、擬人化した前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
二話ほど休日を挟みました。本編よりのんびり好き勝手している五人でしたね。
今回からは再び学園に戻りますよ! やってることは何も変わらないけどな!
ラル「そして、また中等部組はお休みか」
大丈夫! この後! この後ちゃんと出てくるから! 安心してね!
ステラ「むー」
リーフ「……あはは~」
今回の話、特殊な進め方をしますので、ついてきてくださいねー!


《L side》
ツバサちゃんも生徒会メンバーの一員として馴染んできた頃。今日も今日とて、世界は平和です。生徒会室には、私とティール、ツバサちゃんの三人だけだ。大した仕事もないし、フォース君は帰りのHR後、さっさと出ていったきり。大した仕事もないし、私達もいるし、帰ったのかもしれない。
集まってから一時間。ツバサちゃんを膝の上で楽しんでいると、申し訳なさそうにこちらを振り返る。
「ラルさん、今日は……」
「分かってるよ。家の用事があるんだよね? 仕事も大したことしないし、大丈夫だよ~」
「毎度毎度……ツバサの仕事はなくても、君の仕事はあるんだけど?」
ティールうるさーい」
むぎゅっとツバサちゃんを抱き締める。これ以上聞きたくないアピールだけど、ティールは気にせずに机の上にいくつか紙を並べた。
「ツバサは帰るって言ってるんだから、離してあげなさい」
あ、はい……
ツバサちゃんを下ろし、頭を撫でる。気持ち良さそうに笑う彼女を再び抱き締めたくなる感情を押し殺しつつ、手を振って見送る。扉の方へ愛らしく駆け寄っていく。
「また明日です! ラルさんっ♪ ティールさん!」
「ばいばい、ツバサちゃ~ん」
「お疲れ様ー」
ツバサちゃんが帰宅し、姿が見えなくなると、私はくるくると椅子を回す。この幸せ一杯な気持ちのまま、黙って仕事なんてしていられない。とりあえず、発散せねば!
「ほんっと可愛いかよぉぉ!! 天使じゃん!」
「会長」
「……はい」
渋々、回る椅子を止め、目の前のお仕事に戻る。
内容は大したものではない。今後の行事に関する書類だ。近いものだと剣技大会だ。詳しい説明は省くが、簡単に言えば、運動会の簡易版……? いや、なんか違う気がする。が、体育会系の行事とだけ言っておこう。
そんな行事の進行も教師と共に行う。もちろん、生徒会全員、生徒としても参加はするけれど、プラスで仕事があると思ってくれていい。これがまた面倒なものだ。人一倍忙しいものだから、去年、私は後半辺りに逃げに逃げ回った記憶しかない。
「ラル、ちょっと職員室に行ってくるから、留守番よろしく。すぐ戻るつもりではいるけど、教頭に捕まったらあれかも」
しばらく沈黙が続いていたが、それを破ったのはティールだった。何かしらの用事でも思い出したのだろう。椅子から立ち上がり、いくつかの書類を手にしている。
「んふふ。お小言言われてこ~い」
「主に会長の愚痴なんだけど……いってきまーす」
知らなぁい……
一人になった後もティールに差し出された紙を読んでいたが、それも読み終わると、暇になり外をぼんやりと見ていた。校庭では部活動に勤しむ生徒達で賑わっている。それなのに私は教室に籠って何をしているのだろう。意味が分からない。
「ノックもなしに失礼します、ラル先輩!」
「いいよぉ……正式な場じゃないしね。んで、どぉした、キーくんにユーリ君。二人揃って珍しい」
ふんわりくせっ毛に剣術部の練習着姿のイツキ君が入ってくる。部活の途中でこちらにやって来たらしい。イツキ君に続き、制服姿のユーリ君もいる。彼は文化系の部活だったっけ。
「今、お時間よろしいでしょうか。会長」
「うん。大丈夫。どうぞ~」
「本日の放課後より、いくつかの落書き事件が報告されています。その落書きは手の空いている生徒会メンバーで消している最中ですが」
「落書き……ちっさいイタズラだこと。ご苦労様だねぇ。それで? わざわざ言いに来るってことはそれなりの訳があるんだよね?」
キーくんはこくりと頷き、半歩前に出る。急いで来たにも関わらず、礼儀は忘れていないようで、背筋を伸ばして口を開いた。
「はい。その落書きの内容がラル先輩を侮辱するような物でして。……侮辱なんて堅苦しい言葉を使いましたが、その~……何て言うんすかねぇ? 子供の悪口? みたいな?」
「子供の……語彙力低めの。よくあるやつか」
「あ、そんな感じです。一応、実物見ますか? 一つだけ手をつけずに残してはあるんですけど」
「せっかくだし見てみたぁい♪ 暇だし! ユーリ君、ここの留守は頼んでいいかな? ティールが帰ってくるかもだから、あー……呼び出されたって誤魔化しといて!」
「了解です。イツキ、残りの報告も忘れないで」
「まっかせとけー! 行きましょう、先輩」
キーくんを先頭にその落書きとやらを拝みに行くことにした。どうやら、報告はまだ終わりではなかったらしく、歩きつつもキーくんは続ける。
「その落書き、目撃情報もあるんです。……んでも、内容が少し、あれで」
その後は言いにくいのか、言葉に詰まる。急かしはしなかったが、結局、言葉の続きを聞くことなく、落書き現場にたどり着いてしまった。
そこは高等部が使う別棟であり、専門教室が多く配置される建物の裏だった。普段の人通りはあまりなく、確かにイタズラするにはもってこいである。今は、落書きを消すために集まったであろう生徒会の子達が何人かいる。彼らに挨拶しつつ、例の場所へと足を踏み入れた。別棟の壁には『会長は不真面目だ! 会長を辞めるべき!』と大きく書かれていた。数秒、黙ってそれを読んでいた。何かを考えるわけでもなく、ただじっと繰り返し読み直す。どう読んだところで、内容が私を褒めるものに変わるわけではないのだけれど。
「……キーくん、聞いていいかな」
「はい。なんでしょう?」
「意味、あるのかな。これに」
「ないです」
「私が不真面目なのは皆知ってるよね」
「知ってます。周知の事実です。先輩、良くも悪くも有名なので。だからと言って、先輩の人気は落ちませんけどね! 会長を辞してくれとも思われてないのではと」
「ありがとう。……じゃあ、なんでこれをここに? ボイコット? 私に?」
「……意味、なくないっすかね」
ないね。全くない。するなら、学園にしろ。そして、勝手に一人でやってくれ。
となると、ただの突っ込みしか頭に浮かばないわけで。落書きを指差しつつ、キーくんに向かって叫んだ。
「私が会長になってそこそこ経つんですけど!? 何!? 今更不満ぶつけるの!? 遅いよ!」
「そ、そうなんですよね~? あ、で、その、書いた奴を見たって人が何人かいましてね」
あぁ、そんな話をさっきしてたね。
「あんまり驚かないでくださいね? 何人かの証言から、その犯人は白く垂れ耳の狐族だったそうで」
白い狐族……? なんか身近にいる気がする。
「で、魔術科の制服を来た女の子……って」
「あー……ツバサちゃん?」
「はい。ツバサの特徴と完全一致なんですよ~……どういうことなんでしょ」
あっはは~♪
……はぁ。それはこっちのセリフだ。
「俺達も完全に信じてはなくて、半信半疑って奴なんですが、こうもツバサの特徴をばんばん挙げられちゃうと……」
「ないなーい。ツバサちゃんがこんなことするわけない。どうせ、日頃の鬱憤を晴らしたい人の反抗でしょ。キーくん、お片付け、よろしくね~」
あんな素直で可愛い天使様が、こんな卑屈なことするわけがない。悪口って言葉も知らないような、純粋な女の子だ。……うん。ない! 今日もあんな可愛らしい笑顔を向けて、生徒会室に来たし、帰りも同様だった。うん。ないな!
ティールには内緒にしてて。こういうのうるさいからさ。ついでにフォース君にも内緒にしておこうかなぁ」
まあ、フォース君は面白がるから、内緒にしたいだけだ。ティールは本気で犯人探しをしかねない。見つけたら見つけたで、鬼のように怒り、犯人を罰するだろう。仕事が増えるし、何より、ティールの機嫌も悪くなるしでいいことがない。こんな小さいイタズラに構ってられるかって話だ。
「それはもちろん! また何か進展があれば報告しましょうか?」
「んー……一応、お願いしようかな。その場合、私個人によろしくね?」
「了解っす!」
壁に使われているのは、比較的簡単に落ちるタイプの塗料だ。綺麗に消えるだろうし、痕は残らない。どうでもいいが、何の目的を持ってあのような行為をしたのかは謎であるし、ツバサちゃんの目撃情報があるのも謎である。大きくならなければいいが。



~あとがき~
さあ、始まるぞ。

次回、ラルはこの事件(?)をどうするのか!

今回のこの話……章? 編?……は二つの視点を交互に書いていこうかと思っています。時系列を揃えるため、一話ずつとは言いませんが、視点が切り替わることをご了承ください。本文前に誰の支点なのか書いておきますので、そちらを確認した上で読んでいただければと。
今回はラル視点でした。ラルって名前、英語だとLがRが頭文字になるよなーと思いつつ、名前の由来となった言葉の頭文字を取ってきました。《L side》でラル視点ってことになります。今後もそんな使い方するかは知らぬ……

ではでは!