satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第19話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいする物語です。本編とは一切関係はありません。また、擬人化した前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
仕事に無頓着であるはずのラルさんが本気モードです。お仕事モード!
ラル「わーい」
落書きの犯人は見つけられるのでしょうか~?
どう動くのか、そして視点移動はいつなのか! お楽しみに!
ラル「あれ、ここはあとがきだったっけ?」


《L side》
所持していた鍵で生徒会室の扉を解錠し、すぐに内側から鍵をかけた。誰にも邪魔をされずに使える部屋なんて限られている。私物化している気もするが、こんな時間にサボって生徒会室へやってくる生徒もいなければ、勝手に入ってくる先生もいない。ある意味、集中出来る場所の一つだ。
私は会議に使うホワイトボードを引っ張り出して、今、自分が把握しているだけの情報を書き出す。知らないことは端末でキーくんとユーリ君に連絡し、確認を取りながらである。
今回の落書きがあった場所を書き、次にツバサちゃんの情報を書き出す。最後に現状、明確になっている情報を全て書き終わると、ボードを一目で見られるところに座る。そして、それをじっと見ながら、頭の中で整理していく。
落書きされた場所の範囲はバラバラで、一見すると統一感はない。しかし、共通点と言えば、どこも人気が全くないとは言い難い場所だ。だからといって、多いとも言えないけれど。
「大勢には見られたくはないが、全く見られないのも困る……遠目でもいいから見つけてもらいたい? いや、見られたい、が正しいのか」
見られることに意味がある。ツバサちゃんの姿で悪さをするのにどんな意味がある……? いや、違う気がする。考え直せ。
とんとんとゆったりとしたリズムで机を人差し指で叩いていく。
「相手に得があるからやるはず。でなければ、意味がない。苛立ち、不満……誰でもいい……? でも、ツバサちゃんの名前は有名で、理事長の後ろ楯もある。それは全校生徒が知っている。つまり、敵に回す理由がない」
ここから考えられるのは、無差別にツバサちゃんを選ばない。となれば、ツバサちゃんでなければならない理由がある。ツバサちゃんを嫌う人……そんな人、いるのだろうか。彼女は反感を買う行動はしていない。良家の娘だからと言って、周りの偏見すらない。ツバサちゃんから聞くクラスの話は全てが楽しいとかよかったとか、プラスものばかりで、反応を見ていればそこに嘘はないのは明白。そして、アラシ君やレオン君からそんな話を聞いたこともない。
「別々に考えては駄目か。……私の悪口とツバサちゃんを選ぶ理由は……ここから得られる利益はなんだ」
椅子から立ち上がり、私が普段使っている席へと移動する。そこにはやりかけの仕事やペン立て、デスクトップ型のパソコン等が置かれている。パソコンに電源を入れ、立ち上がるのを待つ。
「……仮に私が何も知らず、ツバサちゃんの素行を知ったらどうする? いや、信じないんだけど。……普通なら、避けるか? 普段通りには接しなくなる……のが、通常の反応。……そこか」
引き出しからメモリーを出し、差し込み口に挿入。そして、キーボードを叩いていく。しばらくはそれに集中し、それに伴って思考も止まる。が、すぐにお目当てのものを見つけ、再開された。
私の目の前にはいくつもの映像が流れる。本当はよくないけれど、こんな些細な件で許可取りも面倒臭い。つまるところ、私が今見ているのは昨日の監視カメラの記録映像だ。
「見られる範囲には~……っと。いたいた」
一つの映像を大きく拡大し、じっと観察する。時間帯的には放課後に入って間もない頃の正門の映像。内部犯である可能性が低い今、犯人は外部犯だ。
客観的に考えれば、一番現実的なのは、ツバサちゃん本人が犯人であると仮定するべきだ。が、昨日はさっさと家に帰ったし、物理的に難しい。嘘だったという可能性に関しては、ほぼ無視している状態だ。理由としては、ツバサちゃんは性格的に嘘がつけない。思ったことがほぼ顔に出るタイプでとても分かりやすい。そこが愛らしい部分ではあるが。
「わぁ~……来たよ。偽物ツバサちゃん! 魔法かぁ……幻術だな、これ」
カメラの画質的に若干粗いが、狙いの人物はどうどうと正門から来た。警備員も止めることはなく、通してしまっている。ツバサちゃんの姿の理由はこれもあるということか。
「……こんなことが出来るのは私の知る限りでは一人だけ。……ってなると、ツバサちゃんの姿の理由は……」
色々考えてはいたけれど、犯行の理由は……案外、恨み妬みも間違いではないのかもしれない。いや、知らないけれど。

「ちわっす! 先輩!」
「こんにちは、会長」
「んー……ごめんね。呼び出して」
「いえいえ。それで何か分かりましたか?」
放課後になり、すぐ昨日の二人を呼び出した。今回の落書き事件、さっさと解決するために、聞いてもらおうか。
「単刀直入に言おう。昨日の件、私はツバサちゃんの犯行ではないと考えている」
「え、あ、見たという目撃情報は……?」
「他人の見たものなんて信用出来るかぁ!! ここは魔法と科学が入り交じる学園だ。不思議現象も簡単に起こりうるんだよ」
ぐちゃぐちゃ論法ではあるんだけれど。知ってるんだけど! 本当のことだから仕方がない。
「ユーリ君、魔法には幻術があるよね?」
「は、はい。……あ、そうか! ツバサさんに化ければいいんだ」
「うっわ。そんなん出来るの? ユーリも?」
「一応は出来る。姿形、全てコピー出来る……とは思うけど、術者の技量次第でどうとでもなるよ。確かに、高位ともなれば、ほぼ気付かれない」
「そう。言ってしまえば誰にでも出来るって訳。幻術魔法を使える人ならいいんだよ」
いやぁ、まほーっていだいですね……今回に限って厄介の何物でもないけれど。
「じゃあ、ツバサちゃんの犯行ではないという根拠を述べよう。ツバサちゃ……あー、ツバサは理事長の娘である。そして、今は生徒会の一員でもある。彼女は責任感があって、人の期待には応えようとする力を見せる。……そんな彼女が周りの評判を落とすようなことをすると思う?」
名前連呼していたら、ちゃん付けも面倒に感じてきた。鬱陶しいから今だけ呼び捨てにしよう。
「確かに……せっかくの学園生活が台無しですよね。ツバサは名前が知れ渡ってるし」
「それに、彼女は家族のこと、大好きなんだよね。お母さんを悲しませるような行為はしない。素直だし……ここら辺はツバサの人物像からやらないっていう、想像みたいなものだが」
そして、これは内部の人ならほぼ知っている。理事長の娘、生徒会の一員。それらを敵に回してまで落書きなんてやることではない。
「内部は可能性が低い、ということですね? それなら、会長は外部犯だと?」
「そう。そして、外部犯であると仮定したとき、かなり絞られるはずだ。相手は私のことを知っている。でも、内容は学園の生徒でなければ知らないようなもの……誰かが私の性格なり普段の様子を話し、ツバサに擬態出来る人物とは?」
「ツバサさんと親しい人物……会長のことは、ツバサさんから聞いた?」
「ん!? ツバサの身内!? え、誰かいるんすか!?」
「それがいるんだよ。一人だけね。……ツバサ・ケアルには兄がいる。……犯人はツバサの兄上様である可能性が高いってことだよ。何らかの事情で私とツバサの仲を引き裂きたいから、ツバサの姿で私の悪口を書いた。そう考えると、昨日だけでは終わらない。今日も動くはずだ。……捕獲するぞ」



~あとがき~
やっぱ、がんがんに考えるラルはかっこいいね。

次回、視点移動しまっす! やっとだよ!!
さんざん騒がれているツバサちゃん達になります! イメージ壊れないように頑張るぞ!

ごっちゃごちゃになりましたが、大丈夫かな?
ラルの頭の中はぐるぐるしてるんですね。フル回転……ではないかもですな。

次回からようやく視点が変わるのですが、人様のキャラを中心に動かすのは恐ろしい話ではありますが、楽しみでもあります。普段、私がラル視点なので、ある意味好き勝手してるんですよね(笑)
よ、よし、頑張るぞ~

ではでは!