satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第21話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で奔放に遊ぶ物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化された前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は、初のアラシ君視点です。新入生組三人も別で犯人(ツルギ)君を追います。
アラシ君は人様のキャラ様なので、色々難しいけど……ほら、好き勝手出来ないじゃない!?
アラシ「そこかよ!?」
レオン「でも、俺達にも出番来たな! いえーい」
アラシ「お、おお……」
ツバサ「解決するぞー♪」
アラシ「おぉ……?」


《A side》
しかし、捕まえると決めたのはいいけど、実際の居所はさっぱりなのが現状だ。どこに現れるとかも分からないし、しらみ潰しに探すのも骨が折れる。ここは莫大な敷地を持つ学園。何も考えずに特定の人物を探せるほど、楽ではない。楽ではないんだけど、その場でじっとしているわけにもいかず、とりあえず、校内を歩きながら作戦会議をする。その間にも何人かに話しかけられたけど、適当にあしらっていた。
「今までの話って全部、昨日の話っぽいよな?」
「あぁ。だけど、アイツのことだから今日も来るだろ。……イタズラしに」
「にゃはは~♪ だよなぁ~? でも、手がかりもなし、か。ツバサ、ツルギの気配とか感知出来ないのか?」
レオンが聞くと、ツバサはふるふると首を振った。分かっていた反応だったけど、なかなか厳しいところだな。
「私の格好してるってことは、多分、幻術を使ってると思うの。そうなると、結構近づかないと分かんないかなって」
ツルギの得意分野だからなぁ。幻系の魔法。流石のツバサでも、分からないか。
幻術は文字通り、幻を見せる魔法。ないものを見せるそんな魔法だ。解くには術者以上の力を持った人が解除魔法をかけるか、かけた本人が解くしか方法はない。幻なんて聞くと何でもないように聞こえるが、高度になると、本物と偽物の区別がつかなくなり、バトルとかでも妨害としてもよく使われる。もちろん、高性能な幻だとしても、実際には存在しない。触ってしまえばないことに気づくし、今回もツルギ本人に触れば、ツバサではないって分かる……はずだ。本来なら。
なんせ、ツルギはツバサの双子の兄。背丈も見た目もほぼそっくりだ。仮に触れられても気付かれないんだろうな。
「双子ってこういうときに使えるってことだよな」
「成り代わりか~……イタズラの幅が広がるぜ♪」
ツバサはそんな性格じゃないから、よかったけど、レオンにいたら周りを困らせていそうだな。関わりたくねぇわ。
「んなこというなよ、アラシ~♪」
「うるっせ! 来んな!」
悪ふざけで抱きつこうとするな! 気持ち悪い! 昔から、俺の嫌がることを的確にしてきて、本当にムカつく! まあ、それで縁を切らない俺も俺。腐れ縁なんて、そんなものかもしれない。
「手がかりないなぁー! ミユル達に聞いてみっか? 望み薄いけど」
そうするか。見かけたかどうかだけでも聞いて、足取りを追った方がいい。なんでもいいから、情報が欲しいな。
「ん~……ツルギ、なんでこんなこと?」
「いや、多分だけど、嫉妬だろ~?  ラルのことを羨ましいっていうか……なんていうか?」
俺もそう思ってる。確実なことは分からんけど、何て説明すればいいかは難しい。言葉を間違えると、ツバサの機嫌を損ねるだろう。そうなったら、面倒だし……ツルギの身のためだ。
「嫉妬? ツルギが? どして?」
いや、どうしてって……ねぇ?
どうオブラートに包んでやろうかとレオンと考えていると、ジャージ姿の男子生徒二人とすれ違った。オレンジの髪と桜色の髪色。背丈からして先輩で、どっかの部活に所属してる人だろう。肩にスポーツバッグをかけて、どこかに移動する最中らしい。そして、オレンジ髪の先輩はちらっとこちらを見た。
「あれ? あの子、柔道場方面に向かってた子っぽくない?」
「いやいや。こっから距離あるから、見間違いに一票~」
「そーだよなぁ」
柔道場……!?
「あの! それ、本当っすか!?」
咄嗟に叫んでしまい、二人を驚かせてしまった。変に思われるかもと後悔したが、幸いにも先輩達は立ち止まってくれた。
「えっ? あ、おう。なぁ?」
「さっきだったよな。俺らは見かけただけなんだけど」
ツルギだ!
柔道場っていうと、運動系の部活動が集まるエリアか……!
「そいつ、まだ柔道場にいるんすかね? 俺達、そいつのこと、探してて~♪」
いきなり話しかけた俺とは違い、レオンは答えやすいように理由まで並べる。口が達者なレオンらしい。
「さあ? 向かうところを見かけただけだし。でも、周辺にはいるんじゃないか?」
「そんなに前じゃないから、多分だけど」
「ありがとーございます! 時間とらせてすんませんでした!」
レオンが軽く頭を下げ、俺も慌てて頭を下げる。少しの間があった後、二人の先輩の笑い声が聞こえて、頭を上げる。
「別にいいよ。会えるといーな」
俺達に軽く手を上げ、そのままどこかへ行ってしまった。ふぅ、親切な人達でよかった。
さて、気持ちを切り替えて、俺達も追った方がいいな。勘づかれたら鬼ごっこになりかねない。そうなったら、気配を辿れない俺らは後手に回っちまう。

急いで柔道場へ向かう。落書きをしたなら、多分外だろう。落書きを中に入ってまでしない。かなり目立つし、見つかりやすくなる。それはツルギも望まないはず。三人で辺り周辺をぐるっと探してみるも、犯人らしき人物は見当たらない。
一足遅かったか……!
「くっそ、いない……次はどこに行くんだよ」
「こっちもいないわ! 別んとこ行ったって感じかね~? まぁた、目撃者を探すところからかよ~」
別のところを探していたレオンが髪を掻きむしりながら、こちらに近寄ってくる。ツバサはどこ探しているんだろう。柔道場の裏手かな。
「そいや、レオン。お前はラルの悪口の落書きは見つけた?」
「いんや。表の方見てたし、そんな目立つ場所に落書きしなくね? アラシは?」
「柔道場から少し離れたとこを見てて、そこにはなかった……あ」
数秒の沈黙の後、たらりと冷や汗が俺達の頬を伝う。これはまずいのではないだろうか。ないのだろうか!!
「……ツバサ、見つけちゃった系? ダイレクトに御対面かな」
「やばいかも。ツバサ!?」
二人で柔道場の裏手に回る。俺達が見ていない場所はここだけだったからだ。すると、柔道場の壁を見つめて動かないツバサの姿があった。壁を見てみれば、そこには予想通りというか、話の流れで予測出来ていたが、『高等部の会長は仕事しないバカ会長』と書いてある。内容はまあ、間違っていない……けど。ティールとかも仕事しないとよく言っているし。バカまでは言ってないけども。
「バカ会長……子どもの悪口って感じ。こう……ストレートなところが特に子どもっぽい気がする~♪」
「ツバサと同い年の十二だ。これが普通なんじゃ……ツバサ?」
「ふ、ふふ……」
わなわなと肩を震わせ、狂ったように小さく笑っている。いつかも似たような状況を何年か前に見た。
これはキレる前兆だ。
「ツバ……ツバサちゃ~ん? いや、ツバサさん!? 落ち着いて!」
レオンの態度が変になっているが、慌てるのも分かる。俺も似たような気持ちだ。ツバサはゆっくりとこちらを振り返る。にっこりと笑っているが、目は全く笑っていない。寒気を感じると共にツバサの口が開く。
「やだなあ……レオン、私は落ち着ているよ?」
「あ、そうですね……」
え、怖いんだけど。落ち着きすぎて怖い!
「アラシ! レオン! 絶対に犯人……お兄ちゃんを捕まえるよ! 次の目的地は美術室!! 行くよ!」
感情的に動く辺り、落ち着いてるなんて言えないのではと頭の片隅で考えながら、バッと走り出すツバサを後ろから追いかける。なぜ美術室なのかは謎だけど、兄妹の勘……なのか。そこら辺は俺とレオンは分からない。黙ってついて行った方がよさそう。



~あとがき~
ぷんぷんツバサ様……

次回、ラル視点に戻し、アラシ君達とは違う方法で犯人を追います。

ラルの悪口とかどうしようとか考えて、バカ会長にしておきました。複雑なものではなく、単純でいいと言われていたので……はい。見せなくてもいいかなとも思ったけどね。

たまーにあるレオン君とアラシ君の馬鹿みたいな絡みは私の趣味です。楽しい。
主にレオン君がアラシ君を馬鹿にしています。

ではでは!