satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第23話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界ではちゃめちゃパーティーなことをしている物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化した前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はラル視点で色々やってた。
ラル「もうそろそろ折り返しかなぁ」
そうだね。展開的には多分、折り返したはず。
ラル「作者の多分はあてにならない」
……それな!!


《L side》
ツバサちゃんの兄、ツルギ君はどうにかしてツバサちゃん達の追跡を振り切りたいはず。あちこち回るか、外に逃げるため、出口に近付くかの二択だ。私ならどうするだろう。……恐らく、敵をやり過ごしてから、外へと出る。外は障害物が少ないため、隠れて移動は出来ない。そんなところで姿を見つけられてしまえば、逃げ切るのも至難の技だ。
どこかでやり過ごす、か。
「外には出てないかな」
『はい。室内ですね。……えと、ツバサさん達と鬼ごっこみたいにあちこち逃げているようです』
インカムからユーリ君の声が聞こえてくる。ユーリ君がカメラと狼さんから得られた情報を私に伝え、それを元に位置情報を割り出す。一階にいるもんだと思っていたが、二階、三階と本当にあちこち行っているらしい。しかし、最終的には一階へと降りてくるだろう。階段で待ち伏せ……しかし、階段も何ヵ所かあるため、特定するのも難しい。いくら、誘導しようとしているとはいえ、不測の事態は大いにあり得る。
「今はどこにいる?」
『二階の空き教室です。この教室の近くに階段はないので、すぐに別の階へ移動はないと思います』
なるほど。それじゃあ、一階に来てもらおうかな。
「ユーリ、対象を一階へと誘導するよ。三階に行かせなければ問題ない。……どこの階段へ行ったかだけ教えて」
『了解』
私はどちらに来てもいいように待機しておこう。スピードなら負けないし、いざってときは雷姫を使って、加速する。こんなしょうもないことで呼び出すなと怒られそうだが、私の中では一大事である。何てたって、ツバサちゃんの評価に関わるのだ。教頭の機嫌を損ねると、せっかく取り付けた、ツバサちゃんの生徒会へと加入も撤回される。それだけは勘弁! 私の心の癒しがなくなる! 私情ではなく、事務的なものを上げるならば、仕事効率も全体的に落ちることが予測される。私のではなく、生徒会がこなす仕事効率が、だ。
『会長。中央階段を降りていきます』
真ん中か。端に移動するかとも思っていたけれど、概ね予想通り。
「OK。捕獲に移る」
中央階段から降りれば、左右に廊下が続いている。正面玄関は西で、裏口は東にある。どちらに行っても外には出られるだろう。しかし、正面は校庭と面しているため、横切らなければ学園の外へは出られない。裏口の存在を知っていれば、東へと向かう。知らなければ、西へと向かうだろう。
神経を研ぎ澄まし、相手の気配を探る。流石にここまで近付けば、知らない相手とはいえ、気配は辿れる。相手は東方面へと向かうらしい。
「私から逃げられるなんて思わないでよね」
私はどういうスタンスでいようか。問い詰めてもいい……が、ツバサちゃん達が追いかけてきているんなら、私がとやかく言う必要もないかもしれない。それならば、私は惚けようか。
視界に黒いローブを身にまとい、白のワンピース姿を捉える。魔術科の制服だ。ふわふわした白い髪にぺたっと倒れた耳。……ここから見ても、ツバサちゃんである。これで本人でした、なんてことになったら、恥ずかしすぎる。……これまでの情報からもそんなことはないと断言出来るけれどね。
「ツーバサちゃんっ!」
「ひゃあっ!? えっ!?」
後ろから半ば飛び付くようにツバサちゃん……いや、ツルギ君を抱き締めた。髪をわしゃわしゃと撫で回してみると、髪のふわふわ感が足りない気がする。……どちらかと言えば、さらさらしてる。いや、これはこれでありなんだけど。
廊下の真ん中ですることでもないが、どうせ、すぐにツバサちゃん達がここへ到着する。それまではツルギ君をもふもふしていようか。暇だし。
「仕事が嫌でここまで来ちゃったよ~♪ そこまで急ぎじゃないし、ティールも追いかけてこないんだけどさ。そういえば、ツバサちゃん、どうしてこんなところにいるの? 今日はまだ生徒会室に来てないよね?」
「あ、えっと……散歩……」
「……アラシ君もなしで?」
「だ、誰にだって、一人になりたいときってあるじゃないですか~? そういう気分なの!」
ところどころ、敬語じゃないツバサちゃんもいいなぁ。可愛い。
「散歩ってことは暇ってこと? じゃあ、付き合って! 最近、教頭のお小言がうるさくてぇ」
逃げようとするツルギ君を完全にホールドし、軽々と抱き上げる。そんな私に驚いているが、気付かないフリを貫く。近くの教室の扉を開けると、出口付近の机に軽く腰かける。膝の上にはツルギ君を乗せ、右手で落ちないようにツルギ君を固定する。左手でブレザーに着けたマイクへ手を持っていく。
「でもでも、ツバサちゃんを見つけて、捕まえちゃったら、嫌な気持ちなんて飛んでったよ~♪ 今日の任務達成した気分っ!」
「は、はぁ……?」
戸惑うツルギ君。どう振り切るのか考えているかもしれないけれど、逃がす気は全くない。マイクをオンにしていたため、会話を聞いていたユーリ君の苦笑が聞こえてきた。
『……流石です、会長。後処理に移ります』
あの言葉で察してくれた彼は、この後、キー君に連絡するだろうし、二人が中心になって後処理も進めてくれる。今回の件も終息に向かうだろう。この子が改まってくれれば、だが。
それにしても、膝に乗せた感じ、背丈はほぼツバサちゃんと同じくらいだろう。体つきはまあ、男の子かなって気もしないでもないが、筋肉質ってほどでもないか。これは偽者と気付ける人なんてそうはいないな。よくツバサちゃんを撫でる私ですら、疑うレベルだ。しかし、話し方や反応等の細部に違いが出てしまっている。そのため、私が今、抱いているこの子はツルギ君だと思える。
「ツルギ! お前いい加減にし……ろ? え、ラル!?」
やっと来てくれた。
「お、アラシ君!」
飛び込んできたのはアラシ君だ。ツルギ君を抱いたまま廊下に出ると、レオン君とツバサちゃんもいる。
「レオン君にツバサちゃん……? はっ! これが噂のドッペルゲンガー?」
「!?」
三人の姿を認識したツルギ君は、私に抱き着かれたとき以上に体を震わせた。ツバサちゃん達に追い付かれ、ビックリしているのかもしれないし、この後どうなるのか考え、想像したために震えたのかもしれない。
「あぁ、でも、こっちよりあっちの方が毛並みの艶はいいな。この子は偽者ってこと?」
「毛並みの艶で判断するのかよ!?」
アラシ君の突っ込みは最もかもしれないけれど、実際、その通りなのだから仕方がない。触っていて、もふもふ感はツバサちゃんの方が上だった。
……よし。この後のことは御兄妹でどうぞ。こんな状況で逃げられるわけがない。万が一があれば、私が再び確保してやろう。
そっとツルギ君を地面に降ろすと、ツバサちゃんがツルギ君に詰め寄った。視覚情報としては、ツバサちゃんがツバサちゃんを追い詰めると言う謎の光景となっている。映像でもそうだったけど、目の前でされると本当にややこしい。
「ツルギ!!」
「っ!」
ツバサちゃんに名前を呼ばれると、ツルギ君はくるりと後ろを振り向き、裏口方面へと駆け出した。しかし、そこにはレオン君が待ち構えていた。後ろにはアラシ君と私がいるし、目の前にはレオン君。そして、じりじりと詰め寄るツバサちゃん。
これぞまさしく、四面楚歌である。
「ど、どいてよ! レオン!」
ツバサちゃんの声でレオン君に迫る。かなり焦っているが、一応、ツバサちゃんを演じるつもりはあるらしい。が、レオン君がそんなことで退くはずもなく、少しの呆れた表情を見せた。
「ツバサの口調で言われても退けねぇかなぁ? それより、後ろに気を付けた方がいいぞ」
「えっ……っ!!」
「ツ~ル~ギ~!!」
ツルギ君が後ろを振り返った瞬間、ツバサちゃんが勢いよく飛び付き、二人はゴロゴロと廊下を転がっていく。レオン君は巻き込まれる前に、ちゃっかりと廊下の端っこに避けていた。
「白い毛玉が転がっていく……ふふっ」
「そこに反応するのかよ」
「お、止まったみたいだぞ~♪ ダブル毛玉!」
「レオン、お前もか!?」
あそこまで転がってしまうと目を回しそうだ。私達三人は半ば駆け足になりつつ、兄妹の後を追いかけた。



~あとがき~
捕まえました。

次回、アラシ君視点だぞー! ツルギ君のイタズラ行動の動機とは!
アラシ君視点が少なかったので、この話の終わりまではアラシ君でやろうかなぁ……?

美術室辺りからアラシ君視点をやってもいいんですけど、ツバサちゃんがぷんぷんするくらいしか展開が思い付かないので、省略します。ラルと合流前は、ツバサちゃんがぷんぷんしながら、学園内を駆け回るイメージでお願いしますね。それを男子二人は黙ってついていく……みたいな?

ここまで来るのに色々なパターンを考えていたんです。ユーリ君を連れたまま追いかけるとか、こっちの方が早いとかなんとか言って、お姫様されるユーリ君とか(笑)
ツルギ君もラルが離すんじゃなくて、無理矢理逃げ出すとかそんなん。まあ、そんなの些細な違いなので、結末は変わりませんけどね。

ではでは!