satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第24話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手わちゃわちゃする物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、犯人と思われるツルギ君を捕まえました。今回からアラシ君視点で頑張るぞい。
アラシ「理由は?……俺でやりたいだけ?」
そう。やりたいだけ。
アラシ「……」


《A side》
ほぼ廊下の端まで転がってしまった二人は仲良く目を回していた。レイディアント学園、魔術科女子制服姿のツバサと明らかにうちの学園制服でもない男子服のツルギ。ツルギ自身が目を回した影響で、幻術が解けたらしい。普段の私服である、コートや少年らしい短パンにTシャツという格好だ。
「う~……」
「あうぅ……」
「そっくりだけど、ツバサちゃんじゃない」
「そこじゃねぇだろ!?……つーか、なんであんなところにいたんだ?」
ずっと気になっていた疑問を口にすると、ラルはくすりと小さく笑う。答えるつもりはないみたいだ。偶然ってことなのか。
「まあ、いいや。えっと、こいつはツルギ。ツバサの双子の兄貴だ」
「えっ……お兄さんがいるって話は聞いてたけど、双子は初耳。だから、こんなにそっくりなんだね。毛並みは違うけど」
よくもまあ、触っただけで分かるよな。どっかに感知センサーでもつけてんのか、この人。
内心呆れていると、特に自信満々に言う必要もないのに、誇らしげな表情を俺に見せた。
「伊達に毎日、なでなでしてないからね!」
「威張ることじゃないぞ」
「むぅ。アラシ君の意地悪」
とりあえず、目が覚めるまでは放置……も、よくないか。どこかに座らせておいた方がいいかもしれない。人通りは少ないが、全くないとは言えない。さっき、ラルが出てきた教室とかで休ませるべきかもしれないな。
「うぅ……」
「あ、ツルギ君起きた。大丈夫~?」
ふらつきつつも、体を起こしてきたのはツルギだった。俺達を見回した後、今の状況を理解したみたいで、目も合わせずに顔を伏せる。
「全く、なんでこんなことしたんだ?」
「それは……」
ツルギの視線の先には、遅れて体を起こすツバサがいる。見られているとは知らないツバサは、ラルに大丈夫か聞かれているところだった。笑顔で答えるツバサの姿を見たツルギはふいっと目線を外す。表情はどこか不満げで不機嫌になっていく。
「むっ。……だって……だって、ツバサが悪いんだもんっ!!」
「ふえっ!?」
突然の名指しに呼ばれた本人はビックリしていた。俺とレオンはなんとなく、そんな気はしていたから、大した驚きはなかった。が、ラルも案外平然としていて、ツルギを見つめている。
「せっかく学園がお休みの日に会っても、学校の話やそこにいるサボり魔の話ばっかりなんだもん! 僕はツバサと遊びたいの! それなのに、ツバサは……!」
サボり魔と言ったときにしっかりラルを指差し、ツバサに対して訴えた。指されたラルは通常なのか、笑顔のままで、ツバサはきょとんとしていた。ツルギは更に続ける。キッとラルを睨み付け、潤んだ目で叫ぶ。
「僕からツバサを取るな! ツバサは僕の妹で、僕のなんだ! この、誘惑魔ー!!」
「ゆーわ……誘惑!? え、私が……え、ツバサちゃんを!?」
「ほう?」
「はいぃ!?」
流石のラルも驚いたようで、何度も確認を取る。俺も驚いたが、レオンはこんなときに面白いネタみっけ! みたいな顔してやがるし、ツバサはまだ首を傾げていた。純粋なツバサに誘惑なんてピンと来てないんだろう。誘惑魔と叫んだツルギがどんどんヒートアップしていき、それに比例し、目のうるうるも溜まっていく。
これは、もしかして……もしかしなくても……
「あくまー!! ゆーわくまぁ!! この、この、サボりまめぇぇ!! 僕から、ツバサをとるなぁぁ!!!」
ラルへの悪口を吐きながら、ツルギの目からは涙が溢れていく。それは次第に量が増え、声も大きくなり、静かな校舎の中で響いていく。こんな状態のこいつに何て言えばいいのか、何をすればいいのかなんて考えは浮かばず、この場にいるメンバーは、ただただツルギを見るしかなかった。静かで、人もいないはずなのに、どこで嗅ぎ付けたのか人の気配を感じ始めていた。そして、これは流石と言うべきだと思う。初めに動いたのはラルだった。着ていたブレザーを脱ぐと、ツルギの上から被せた。鬱陶しそうにブレザーを取ろうと暴れるツルギだったが、ラルが上手く抑えているようで、姿は隠れたままだ。
「ここで騒がれるのはまずいし、ついでに部外者を関係者に見られるのもまずいな。……生徒会室に移動するよ」
「生徒会室なら騒いでもいいのか?」
「そんなことはないけど、ある程度の言い訳は立つよ。私のテリトリーでもあるからね」
いつものおちゃらけた雰囲気はどこへ行ったのか、真面目で冷静なラルがそこにいた。入学式のときのあいつそのもので、少しだけ驚いた。
「そっか。んじゃ、お言葉に甘えようぜ♪ アラシ、頼んだ!」
あ、運ぶ役は俺なのね……知ってたけど。
ブレザーを被せられても泣き続けるツルギを背負うと、ぽかぽかと後ろから叩かれた。
「らるのばかぁ! あくまぁ!!」
泣きすぎて、呂律が回らなくなってきたけど、俺に八つ当たりをしまくる。ブレザーの影で髪を引っ張ったり、叩いたりとなかなかの暴力行動をしてくれちゃっている。暴れても尚、ブレザーが落ちないのは、俺の隣で落ちないようにレオンが抑えているからだった。ラルの部外者を見られるとまずいという言葉を聞いて、的確に動いた結果だけど、副産物としてあれこれ八つ当たりを受けるのは俺なんだけど。
「いってぇ! ツルギ、八つ当たりもいい加減にしろ! 声の音量も下げろ!」
「うぅっ……ばかぁ」
素直に下げる辺り、まだ可愛いげはある。まだ。
俺の前を歩くラルは、連絡用の端末だろう。それを使って、どこかに連絡をしているみたいだ。そんなラルの隣にはツバサがいる。ちらちらとこちらを見ているが、特に何かを言うわけではない。時折、聞こえてくる悪口に反応しているんだと思う。
「……あぁ、うん。……えぇ、と。そうだね。うん、説明ぃ? 私がぁ? それはそっちで……それとなぁく……うん。……お願いしますよ、フォース様ぁぁ! 面倒なんて言わず! 一生のお願い! 前にも使ったけど! 一生のお願いなのぉ~なんて、永遠に使い続けるワードだけど!」
相手はフォースみたいだけど、何を頼んでいるんだ? 会話からじゃ、推測は出来なさそうだけど。
その後も会話は続いていたけど、それもすぐに終わり電話を切った。ワンピースのポケットに端末をしまうと、次は別の小さな機械が出てきた。
「……ごめん。邪魔だった?……あ、ううん。……そう。それじゃあ、念のため見回りを。……えぇ。……お願いね」
フォースと結構テンションに違いがあったけど、これはこれで何かの連絡だろうか。見回りなんて言っているから、生徒会の人達に対するの指示なんだろうな。
こうしてみると、ラルは言うほどサボってはないし、やるときはやるヤツなんだなって思う。普段からそうしろってティールなんかは思ってるんだろうけど、それでも、生徒の信頼をなんで持っているのかってのは少し分かった気がした。……口には出さないし、出したところでって気もするな。
俺はそんなことを考えつつ、他のやつらと一緒に足早に生徒会室へ向かった。



~あとがき~
ぷんぷんツバサちゃんから黙りツバサちゃんに進化しましたね。いや、反応はしてるけど。

次回、生徒会室でひと悶着……?

ツルギ君があれこれしていたのは、妹であるツバサちゃんの会話に出まくっているらしい、ラルに対する嫉妬からでした。可愛らしいですね。(末期)

アラシ君視点だから、ラルがどんな会話をして、どんな指示をしているのかなんてのが出てきません。言わなくても分かるでしょ! 私的にはそんな感じです。

ではでは!