satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第30話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でしっちゃかめっちゃかしまくる物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックだ!
前回、ラルとフォースの茶番を見せました。あれでもやりたいことを削った方です。
ラル「もう少しツバサちゃんを真似して遊ぶシーンが入る予定でした」
フォース「長いんでカットしてるぞ」
書いてもないけど、やった事実は残ってるんだ。
ラル「まあな!」
最後はラルよりも真面目な彼に任せましょ!


《A side》
ツルギのイタズラ事件の翌日。少しの覚悟をしつつ学校に来たが、それは全くの杞憂だったらしい。昨日よりは騒がれず、平穏な一日を過ごし、すでに放課後だ。考えてみれば、昨日はほとんど落書きをする余裕などはなく、後半は俺達との鬼ごっこをしていた。しかも、ツルギは意識しているのか、いないのかは知らないけど、人通りの少ない場所を敢えて選び、人に見られないようにしていた。見つかりたくないっていう意思の現れ、だったのかもしれない。
「アラシ! 生徒会室行こー!」
いつも通り、ぱたぱた駆け寄るツバサは、明るい笑顔で楽しそうだ。
「おう。……いつにも増して帰り支度早いな」
「昨日、ラルさんとお話出来なかったし、お膝の上にも座らせてもらってないもん」
あ~……どういうことなのかちょっと聞きたい。膝の上?
「う? ラルさんがおいでって言ってくれるから、そこに私が座るんだよ。そのとき、優しく撫でてくれるの♪」
自慢げに話すツバサだが、俺は少しツルギの気持ちが分かった気がした。こんなのを永遠に話されたら、嫌になるというか、どんな反応をすればいいかは困るな。……うん。
「今日は俺も部活に顔出さないと。昨日行けなかったし」
「えと……ごめんね、アラシ。昨日、部活あったのに」
笑顔だったり、自慢げにしていたり。かと思えば、今はしゅんとしている。忙しいやつだな。
「あ~……いや、ツバサが謝る必要はないぞ。俺も……あと、レオンも好きで付き合ってたんだし。これはラル達も同じだと思う。ツバサを助けるつもりでやってたんだと思うよ」
ぽんぽんと頭を優しく撫でてやれば、ツバサはゆっくりと顔を上げる。少し不安の色は拭えないものの、こいつが罪悪感を感じる必要はどこにもない。昨日、ラルが言った通り、誰も悪くないんだから。
「そんな顔してたら、ラル達に心配かけるだろ。ほら、レオンと合流しようぜ?」
「……うん。ラルさんも笑顔がいいって言ってたもんね!」
「そうそう。笑ってた方がいいぞ。……行くか」
「はーいっ♪」

程なくしてレオンと合流し、─そこでも一応、ツバサの件を聞いてみたが、俺と似たような感じだったようだ─そのままの足で生徒会室へと向かった。扉をがらがらっと開けると、すでにラル達はいて、珍しく書類仕事をしているらしい。
「やっほ~♪ なんか、忙しそう?」
「あぁ、いらっしゃい。騒がしくてごめんね?……フォース、計算出来た?」
出迎えてくれたのは、ファイルを片手に持ち、何かを探しているらしいティールだ。そこはいつも通りだけど、普段、読書しているフォースが、何枚もの書類を見て、片手で電卓を叩いている。少なくとも、俺は仕事をしているフォースを見るのは初めてだった。
「まだ。……ん~……おい、ラル。ここ、どうにかなねぇ?」
「その質問、何回目だよ!? ならねぇわ! それが最低ラインだよ!」
そして、ここまでイライラしているラルも珍しい気もする。付き合いの長いティール達には珍しくもないかもしれないが、付き合いの浅い俺達はニコニコしていて、仕事? 何それ~……とふざけているラルの姿の方が見慣れていた。だから、今の状況が不思議で仕方がない。何か急な仕事でも入ったんだろうか?
ティールさん、何かありました……?」
「昨日の件を報告したら、警備体制強化の話になったらしくて、それの資料とか作ってるの。ラルがいきなり校長室から帰ってきたと思ったら、これだもん」
それって、ラルが仕事を持ってきたってことか?
仕事から逃げるのがデフォルトなラルがそんなことをするとは思えないが、ティールが意味もなく嘘をつく訳がない。ってことは、本当にラルから仕事をもらってきたってことになる。
「勉強すればよくね? 私らが考える必要ないよね。お勉強! 大事!」
「魔法式出来ないお前に言えんのか」
「親方に言われたから二つ返事したけどさぁ! 私だって専門外だよ! 魔法なんて知るか!! フォース君、得意なんだから頑張ってよぉ~?」
お、親方……? 誰? 話の流れからして、教師の誰か……なんだろうけど。
「頑張ってますけど、コストがねぇ?」
「みゃあぁぁ……あ、フォース君。美術部への備品補充、どんくらいあった?」
「そっちの数字は出した。……あ? ねぇな。おれ、ティールに渡したっけ?」
「え、あ、ぼくだっけ? えぇっと、待って」
話があちこち行ってるから、何が何だか……
呆然としている俺達をよそに、フォースがこちらを見た。どちらかと言えば、ツバサに目線を合わせていた。
「ツバサ、傷心気味の会長を癒してやれ。朝からあんな調子だからな~」
「ふえ!? は、はいっ!」
呼び掛けられたツバサは、とりあえずフォースに言われた通りにラルのところへ駆け寄り、パッと抱きついた。やられた側のラルは、少し驚いていたものの、そこはすぐに順応してツバサを抱き締めた。
「ツバサちゃぁぁん」
「よ、よく分かりませんが……私もお手伝いします、ラルさん♪」
「うぅっ! 私の天使は今日も優しいよっ!!」
俺ら、出て行ってもいいかな……
一応、黙って……というか、聞く余裕もなく、会話に割り込まずにこのままそっとここを出た方がいい気がしてきた。話を聞いても、内容は分からないし、聞いても仕方ない気もする。
若干カオスな空間を脱出すると、廊下は思いの外静かだった。生徒会室がうるさいだけか。
「なんだったんだろー? 迎えに来るときに聞けるかなぁ?」
「どうだろう。聞いても俺達に出来ることなんてないだろ。多分」
「忙しくなったのは、ティールが言ったので全部なんだけどな」
「うわぁ!? びっくりした! フォース!?」
いつの間にか俺の隣に立っていて、さもこれが当たり前だろうみたいな空気を出していた。全く気配を感じなかったし、音も聞こえなかった。忍者か何かなのか、こいつは!
「今回の落書き事件……って言っていいのか分からんが、あれ、教師の耳にも届いててな。ツバサにあらぬ疑いがかかってたわけよ」
俺の疑問なんて知るはずもないフォースは、どこから聞いていたのか、今の状況になった理由を話してくれた。
疑いって目撃情報のせいか。まあ、白い狐族の女の子なんて、ツバサくらいだから、仕方ないと言えば仕方ないが。……あいつがそんなことするわけないのに。
「その疑いを晴らすには、真犯人を取っ捕まえて、ほら、違うだろって見せるのが一番だったんだが、ラル的にはんなこともしたくなかったらしくてな。……色々あって、ツバサ以外にも出来るってことを証明して、今後、似たような事件を起こさないように対策を練る方針になったんだよ。その土台……モデルだな。それを考えるように頼まれたってのが真相だな」
そ、その色々ってのが重要なんじゃ。
が、色々の部分は言う気がないらしく、話の続きもないのか、そのまま黙ってしまった。それでも、今の状況になった理由はなんとなく察した。
「うちのツルギがご迷惑をおかけしてんなぁ~? フォースも仕事してたもんな?」
「あれは今回使った備品の補充するために予算を練り直してた。うちの備品の中に落書きを消す道具なんて置いてないから、美術部から借りたんだ。借りたものは元通りにして返さないとね」
レオンの言う通り、ツルギが滅茶苦茶迷惑かけてる。これ、ツバサのお母さんは知ってんのかな。
「理事長? どうかな。ラルは言う気ないみたいだけど。まあ、備品については、生徒会の経費として落ちるだろうから、問題はない。……おれの個人的な意見としては、全部知ってる気がするよ。抜け目ないからな、理事長さん」
フォースは会ったことあんだな?
「一応は。だが、片手で足りるくらいしか話した経験はない。ラルの方があるとは思うが、それでも事務的な話くらいだって言っていた」
「ツバサの母さん、忙しい人だもんな? そんな人が今回のことを把握してるのも不思議な気もするけど」
「レオンの言う通りだな。ま、そんなこんなで朝からてんてこ舞いって感じさ。今日は授業も出ずに生徒会室で永遠に書類仕事してる。あの優等生ティールですら、付き合ってるくらいだから。……各担当教師からの許可は貰ってるけど、息が詰まる」
「それは、お疲れ様。本当に」
俺からの労いの言葉にフォースは苦笑で返してきた。それから、思い出したようにあっと小さい声を漏らす。
「ラルから、ツバサには言うなって言われてるんだ。責任を感じて欲しくないんだと。……ってことで、お前らも内密に頼むわ」
「なんかごめんな。ここまで発展するとは俺もアラシも考えてなかった」
「勝手に仕事増やしたのはラルだから、気にするな。それに、きっかけがツルギの一件だっただけで、警備体制に関しては、遅かれ早かれこうなってたと思う。形は違えど、な。んじゃ、部活頑張れよ、お二人さん」
ひらりと手を上げ、生徒会室へと戻っていった。これは、俺達が罪悪感を抱いていても、仕方がないものなのかもしれない。そんなものを感じているなら、別の形で感謝を示すべきなんだろう。
「いい先輩達だな。ツバサも幸せもんだ♪」
「……あぁ。多分、俺達も」
「にしし♪ 確かに。なら、その先輩に言われた通り、いつもの日常を送るべきだよな♪ ってことで、また、後でな~」
レオンがいたずらっ子っぽい笑顔を浮かべたと思ったら、さっさと自分の部活へと向かっていく。俺もレオンに習って、さっさと向かうべきだろう。そして、部活の先輩で生徒会の一人、イツキ先輩にも一言言うべきだよな。俺は見かけなかったけれど、きっと、何らかの形で関わったかもしれないのだから。
「……っよし! 俺も行くか!」



~あとがき~
拙いですが、これにて閉幕とさせていただきます。ツルギ君のお話はこれで終わりです!

次回、女子会します。
再び、私のメインキャラ五人の休日風景をお見せします。女子会します、でなんとなく想像つきますよね。

次回から《〇 side》は取り払います。今後、ころころ入れ替わるような描写をする際はこの表記を使うと思いますけどね! 少なくとも、次回の休日編はいらないですね。

いらないようなごちゃごちゃした回になってしまいましたが、前回のあの回想で締めるわけにもいなかったので、取り付けた次第です。
いや、でも、これでもアラシ君とイツキの話すシーンも考えてあったんですが、カットしました。だって、長いし←

ではでは!