satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第36話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのほほんと楽しむ物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
前回、図書館へとたどり着き、ステラ案内の下、ツバサちゃんはお目当ての資料達を見つけることが出来ました。
これ、ツバサちゃん視点だからあれだけど、ステラ視点だと内心、わーわーしてそうだな。会いたがってたし。


雑多に積まれているのかと思ったけれど、そんなことはなくて、資料はちゃんと年代順になっているし、重要そうな書類はきれいに一ヶ所でまとめられていた。入り口付近の棚はごちゃっとしてたけど、私の探している資料は整理されているところに全部あるみたい。よかった~♪
いくつも書かれているから、一度に全部を持ってはいけない。資料を二つくらい見つけると、それを抱えてステラさんの待つところへ持っていく。その近くにテーブルがあるから、そこに資料を置いて、また奥に戻る。これを何度か繰り返し、ようやく最後の一つ。……一つなんだけど。
「と、届かないっ!」
私の身長じゃ届かない位置に置いてあるみたいで、つま先立ちをしても、踏み台を使っても届かない。最後なのに、その一つが取れない。
「ふにゅにゅにゅー!」
どんなに頑張っても届かないものは届かない。今だけ身長が伸びるわけでもないし、願っても資料は低い位置に移動してくれるわけでもない。いつも届かないものはアラシが取ってくれるし、生徒会室の棚で取れなかったら、ラルさん達が取ってくれていたから……
「……取りましょうか?」
「ひゃっ! あ、ステラさん」
私が奮闘している声が聞こえていたんだろうな。ステラさんがこちらに近づいてきて、控えめに尋ねてきた。そりゃ、この空間に二人だけだもん。聞こえているよね。恥ずかしい……
「えと、じゃあ、お願いします……」
踏み台から降りて、ステラさんに場所を譲る。ステラさんは踏み台を使って、資料を手にとって私に手渡してくれた。
「間違いないですか?」
「はい! これです。ありがとうございます~♪」
よかった! これでフォースさんが困らなくてすむ。お使い完了だ~♪
ほくほくしていると、ステラさんがまた私の方を見ていた。あ、図書館はお静かにってことかな? そうだよね。お勉強している人もいるし、邪魔になる。気をつけなくっちゃ。
「あの、さっきからずっと気になっていたんですけど……私の方が後輩だし、先輩は敬語なんてしなくてもいいんですよ……?」
確かに、私は高等部でステラさんは中等部。学年的には私の方が上。敬語なんていらないかもしれないけれど……
「ふえ!? あ、でも、そちらの方が年上だし……敬語の方がいいかなって思っちゃって……私、高等部にいるけど、まだ十二歳ですもん」
「この場合の年齢ってあんまり関係ないんじゃあ……? ほら、社会とか! 年下でも上下関係で敬語使わないし……?」
えっ!? あ、そう、かも?? でも、私は年下で、ステラさんが年上なのは変わらないし。気持ち的にも敬語になっちゃうんだよね……
「よし! じゃあ、こうしませんか? お互い、敬語を使わないっ!」
ステラさんはぱちんと手を鳴らして、にっこりと笑った。戸惑う私に構わず話を続けた。
「私は中等部三年、ステラ・フォレスです。お噂は伺ってます。ツバサちゃんっ」
「え!? う、うわさ??」
「うん。色々と」
中等部の方には行ったことがないけれど、どんなうわさが流れているんだろう。えぇ……?
って、自己紹介してもらったんだから、私もするべきか! 大変!
「ごめんなさい! 自分のこと、何も言ってなくて……私は高等部魔術科一年、ツバサ・ケアルです。……よろしくお願いします、ステラさ……ううん。ステラちゃん」
「うん。よろしくねっ♪ 実は私、リーちゃん……リーフちゃんと友達で、ツバサちゃんのことは聞いていたの。だから、仲良くなりたいって思ってて……ごめんね? なんか強引で」
「そうだったんだ。それなら、敬語使われるのは違和感あるよね」
リーフちゃんとは最近、仲良くなってお話しするお友達だ。リーフちゃんから色々聞いてたんなら、私のことを知っててもおかしくはないし、それにリーフちゃんから聞いて、仲良くなりたいって思ってくれたのも嬉しいな。
「って、お仕事中だったんだよね? 手続きするから待ってて!」
「そうだった!」
探し出した資料を置いてあるテーブルの近くにノートパソコンが置いてあって、そのパソコンにカードを読み取る機械が繋がれていた。その機械の上にカードを起き、ステラちゃんは慣れた手つきで作業をしていく。
「本当はユーリ先輩がやるべきなんだけど……まあ、私が任されたし、いいよね」
「そのカードっていつもユーリさんが持っているの?」
「ううん。図書部で一番偉い人……学年が一番上とか、部長とかだね。今日はユーリさんが一番上だったんだ。でも、生徒会の人だからってのもあって、部長がいてもユーリさんが持ってるかも。……あ、あとは、生徒会室にもあるって聞いたことある」
ほへー……まあ、関係者以外入れないなら、生徒会の方で管理しててもおかしくないか。
「……よし! これでOK。ツバサちゃん、今度鍵をもらって、一人で来るときは持ち出したい資料の記録をして、カウンターて貸し出し手続きをすれば持ってって大丈夫だからね♪」
「ありがとう、ステラちゃん」
ここでの記録が終わり、再びステラちゃんに部屋のロックを外してもらう。そして、二人で資料を運び出し、ステラちゃんに今度は貸し出し手続きをしてもらった。
ここまで長かったけど、なんとかなったー!
「あとは運ぶだけだね。……だけど、ツバサちゃん、一人で持てる?」
フォースさんから頼まれたもの、結構多かったんだよね。でも、流石にここから運ぶのを手伝ってもらうわけにもいかない。ステラちゃんにはステラちゃんのお仕事があるわけだし……一人で何とかするしかない。
「うん。大丈夫だよ~♪」
とは言っても、一人で全部を一度に持てるわけもなく、とりあえず、ステラちゃんに頼んで、全部持たせてもらった。
「ほ、ほんとに大丈夫? ふらふらしてるよ?」
「う、うん……だいじょー……ぶっ!?」
「わわっ! ツバサちゃんっ」
一歩を踏み出した途端、ぐらりとバランスを崩し、前に資料をばらまきながら倒れる……と思ったけれど、資料をばらまいて倒れることはなく、誰かが後ろから支えてくれていた。
「流石にそれを一人では無理だと思いますよ。ツバサさん」
「ふにゅ~……ユーリさん。えと、ありがとうございます」
「いえいえ」
ユーリさんは、私が持っていた資料全てを軽々と持ち上げ、貸し出しカウンターへと置いてくれる。
「ステラさん、お友達が迎えに来ていましたよ」
ユーリさんが指す方向に若草色の髪をポニーテールにしている女の子が椅子に座っていた。あれは、リーフちゃんだ。
「はわ! もうそんな時間か。……うん! それなら、私、ツバサちゃんのお手伝いするよ♪」
「え、でも……」
「いいからいいから! 友達……リーちゃんも手伝ってくれるし、三人なら重くないし、危なくないよ。それに、一言言ってやんないと気がすまない」
ほえ?
「先輩、カードお返ししますね。それで……」
「分かってます。お疲れ様」
「お疲れ様ですっ! ちょっと待ってて。リーちゃん呼んでくるからっ」
「あ、ステラちゃん……行っちゃった」
まあ、確かに戻る途中でこけそうになったら、今度は一人じゃどうにもならないかも。ここは素直に甘えちゃおうかな。
「それでは僕もこの辺で。お仕事、頑張ってくださいね。ツバサさん」
「ありがとうございます。……あ、ユーリさん。質問してもいいですか?」
私の言葉にこちらを振り返るユーリさん。私はどうでもいいような質問を投げかけた。
「ユーリさんはどうして私相手に敬語なんですか?」
「? 一言で言うなら癖ですね。あとは、尊敬の意を込めて、でしょうか」
「尊敬?」
「ええ。では」
軽く会釈をして、お仕事に行ってしまった。尊敬……私をかな? うーん。何かしたっけ??
「お待たせ♪ リーちゃん、手伝ってくれるって」
ユーリさんと入れ替わるようにステラちゃんが帰ってきた。後ろにはリーフちゃんの姿もある。鞄を持って、本当ならこのままステラちゃんと帰るつもりだったんだろう。でも、リーフちゃんは何も気にしておらず、私を見つけると手を振ってくれた。
「やっほ、ツバサ。……うわ。すごい量だねぇ」
「そーなの! すーくんひどいよね!」
「……え? うーん。うん、そうだね?」
「リーちゃん、なんで煮え切らない返事なの~? まあ、いいや。三人で手分けして運んじゃおっか」
すーくんって誰? って聞く前に、ステラちゃんは手際よく資料を三等分にして、自分の鞄と資料を手に高等部本校舎方面へと歩き出してしまう。私とリーフちゃんもその後に続いた。
あとで聞いてみよっかな。すーくんって人のこと。



~あとがき~
もう少しで終わると思われ。

次回、生徒会室に帰還!

私の中でユーリの株が上がってきてます。最初はただのモブ扱いのつもりだったんですけどね。地位を上げてきたな、お主。

ではでは!