satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第42話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばた暴れる物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はアラシ君視点で、犯人探してました。あてなくふらふらしつつも、レオン君と共に考えを深めていた訳なんですけど……ラル視点でいっくどー!
ラル「わーい」
ティール「ネタがないから適当に返事してる?」
ラル「……あい」
時系列的には、アラシ君とレオン君がつらつら話ながら歩いている辺り……でしょうかね?


《L side》
ツバサちゃんに席を案内してもらい、一応、お断りを入れて席に座る。机、椅子の大きさは周りの子と変わらない。そうなると、ツバサちゃんには少し大きいかもしれないが、特注で低いのを持ち込んだとしても、更に黒板が見にくくなるだけだろう。
目を閉じて、集中する。本当に久し振りだから、コントロール以前に発動するのかも怪しい。
「ラルさん……?」
「大丈夫。少し、待っていよう?」
詳しい説明をする前に始めてしまったから、ツバサちゃんの心配そうな声が聞こえてきた。それをティールが優しく安心させるように答える。そんな二人を無視し、私はゆっくりと目を開けた。次の瞬間、くらりと視界が歪み、頭の中に映像が流れ込む。
これはこの教室だ。話し声があちこちから聞こえてくるため、授業の合間にある休み時間なのだろう。次の準備をする子達もいれば、飲み物を買いに廊下へと出る子もいる。思い思いの休み時間を過ごしている映像。その中にアラシ君とツバサちゃんの後ろ姿を見つけた。二人は揃って教室を出ていき、すぐに戻ってきた。アラシ君の手には紙パックのジュースがあり、その一つをツバサちゃんに手渡す。ジュースを手にしたツバサちゃんは満足げな笑顔を浮かべて……と、ここで映像は途切れ、それと同時に私は机に顔を伏せた。
あーくそ!! 私もあんな風に優しくされたい人生だよ!! 羨ましい! ラブラブか!? ラブラブなのか!? うちの男子も私に優しくするべきだよな。だって、私頑張ってるもん!! ねっ!?
「ラ、ラルさん? 大丈夫ですか……?」
「その様子だとお目当てのものは視れなかった?」
「ある意味お目当てのを視た気がする。ツバサちゃん、羨ましい。お姫様扱いされたい」
「ほえ? あ、ティールさ……」
顔を伏せていたから咄嗟の判断が遅れてしまった。ティールが私の首を腕を使って完全にホールドし、首を絞める……まではいかないものの、冷えきった目で私を見下ろしていた。
「悪用すんなって言ってるよねぇ? それはプライベートを覗くための能力じゃないだろう。それともなあに? ぼくとの約束、忘れちゃった?」
こ、このままだと首を絞め落とされる! あばば。
「ぎゃー!! お試し! できるかお試ししただけ!! 次は真面目にやる!」
「最初から真面目やれ」
そう言うと、ぱっと離れる。苦しくはなかった辺り、手加減はしてくれているけれど、今度下手にふざけ……いや、ふざけたつもりは全くないのだが、そう思われたら、私の命がない。
「けほ。……すみません。……んんっ! ツバサちゃん。最初に物がなくなったって気付いたのは何日前? 大体でいいよ」
「あ、え、えーと……ペンでした。その……一週間前、だと」
あれ。さっきは数日前から物がなくなるって。数日ってのは、二、三日前くらいを指すもんだと思ってたんだけど。……ツバサちゃん、君って子はまさか。
じぃっと見つめていると、観念したのかツバサちゃんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「ひゃう! ごめんなさい! あんまり心配かけたくなくて! つい……ごめんなさい、です」
素直でよろしい。まあ、仮にいつだとしても、盗られたものは盗られたままだし、何日前かなんて些細な問題なんだけど。
「ふむ。いつ頃かな」
「んと。次の授業が始まる前に気づきました。お手洗いに行って、予鈴が鳴ったから、机の中から教科書とかノート出して。……ペンケースは出しっぱなしでしたから、そこからペンを出そうとしたら……って感じです」
と、いうことは、合間の休憩時か。十分そこらで盗ったということになる。……同学科の同級生の可能性が高くなったな。可能性あるだけで、断言はできない。とりあえず、視てみるしかない。
ツバサちゃんからの情報を一つ一つ丁寧に思い出していく。そして、脳内で整理し、イメージしていく。私が視たいのは、一週間前。過去の映像だ。
ティールさん、ラルさんは何をしてるんですか? 能力って?」
「時空の叫びっていう能力。触れた人とか物から、過去未来の断片を視るっていう奴」
「ふえっ!? じゃあ、さっきは」
「ツバサに関する過去か未来を視たんじゃない? どっちにしろ、あの反応は今回の件に関係ないね」
……仰る通りで。あれは全く関係ない。ただ単に、ツバサちゃんとアラシ君の仲良し映像を見ただけだ。ホームビデオを見か感覚に近いとも言う。いや、微笑ましい映像でしたよ? あれが過去なのか、未来なのかの判断は難しいが。推測したところで、なんの足しにもならないから、次は私の欲しい情報を視せてくれよ……?
私の願いが通じたのか、再び同じ感覚に襲われると、別の映像が頭に浮かぶ。
先程と状況にほぼ変わりはないが、ツバサちゃんの姿はない。そんな中で誰かが彼女の開いていたペンケースから一本だけ何かを抜き出す。よくもまあ、堂々としているなと思っていると、そのまま教室を出ていった。
顔は角度的に見えなかったが、制服は高等部魔術科、男子制服である。教室に入ってこれるということは、親交のあるクラスメイトでもいるのかもしれない。……となれば、同級の子……が犯人、なのか。
「盗られたの、空色のペン?」
「あ、はい! そのペン、優しい色合いでお気に入りでした。……ラルさんに話しましたっけ?」
「いや。視えたから確認したの。じゃあ、あの人が盗ったのか。ってことは犯人。でも、なんかぁ……腑に落ちない……消しゴムはいつなくなった?」
実際になくなった空色のペンを視れたということは、あれは過去の映像。つまり、あれは事実であり、あの生徒がやったのは間違いない。……間違いないが、これで終わりではない気がする。勘に近いそれを信用はできないのだが、念には念を入れるべきだろう。顔、見えなかったし。
「ペンの次の日です。そのときは鉛筆も一緒になくなってて。休憩時間だったんですけど、私、クラスの方々とお話してたんです」
こうもまあ、連続でなくなると、いじめを疑いたくなりますな。……やれやれ。
「んじゃ、消しゴムの行方も追いますかね~……っと」
同じように集中し、しばし待つ。強くイメージを念じていくと、待ってましたと言わんばかりに目眩が襲う。
三度目の似たような風景。机の上には消しゴムと鉛筆一本、綺麗に並べて置いてある。次の授業で使うから、出しっぱなしにしてあるのだろう。教科書やノートも同じように並べてあるため、授業の準備をした後、お友達とお話しに行ったらしい。真面目な優等生だな。
そして、ペンのときと同様に、誰かがやってきて、平然と二つを拐っていく。手際がよいことでと呆れつつも感心する中で、ある違和感を抱いた。ペンを盗った人と消しゴムと鉛筆を盗った人が違うのだ。後ろ姿が違う。どちらも制服は魔術科男子制服なのだが……身長と髪色が青色系と黄色系だ。別人、と考えるのが妥当か。ツルギ君みたいに幻術使われていたら、それこそ確かめようがない。いや、使うわけがないか。使って入ってきたら、確実に不信がる生徒はいる。他の子達の実力を知らないから何とも言えないが、秀才で才女様のツバサちゃんが気付かないわけがないのは確かだ。別人、か。そこから考えられるのは……別のものを視た方が確実か。
「……体操服はどこにあった?」
「あ、えと、こっちです。ロッカーの中に。帰る前まではあったんですけど、次の朝、学校に来たらなくなってて」
「個別の鍵付きじゃなくって? ツバサ、そこら辺はしっかりしてそうなのに」
「えーっと、こっちに移したの、帰る前だったんです。次の日に体育があったので。すぐに着替えられるようにしておこうって」
廊下に鍵付き個人ロッカーがあるが、教室内にも個人ロッカーがある。こちらは鍵なんてのはなく、ボックスタイプのロッカー……というよりは、棚に近い。いちいち、鍵を開けて物を取り出すのが面倒だと思う人もいるから、教室後方に設置されているロッカーを愛用する人も少なくない。私もその一人で、廊下の個人ロッカーなんてほぼ物は入っていない。……と、思う。本来はツバサちゃんのように使い分けするべきなんだろうけど、盗られて困るようなものは入れていないつもりなので、雑多に突っ込んでいるのだ。本当に大切なものは身に付けるか、生徒会室へ置きっぱなしにする。
「私のロッカー、こっちです」
ツバサちゃんが教室の後ろへと移動し、その後ろをティールがついていく。私もツバサちゃんの席から立ち上がるが、能力を久し振りに使い、それだけでなく連発したせいか、若干視界がぐらついていた。そのせいで体もふらつくも、机に手を置いてなんとかバランスを取る。
「……うぇ」
ここでへばっていても仕方がない。もう少し頑張れ、私。
まだいけるだろ、と言い聞かせ、二人のいるツバサちゃんのロッカーへと向かう。そのロッカーは特に何も入っていない。
「そういえば、ツバサは体操服盗られて、体育はどうしたの? 次の日あったんだよね」
「予定通りあったので、クラスの方に借りました。部活用で二つ持っている人がいたんですよ」
運がいいな……さて。
「体操服は何日前?」
「最近でした。二、三日前……かな?」
放課後になくなった、か。それなら、私の考えが正しければ、もっと別のものが視られる可能性があるな。



~あとがき~
本編では影の薄い時空の叫びをここで使ってます。

次回、ラル視点を続けていきます。

最初の茶番をなくせばもっと進むのは分かってます。でも駄目なの! やりたくなっちゃうの!!
そして、ラル(ピカ)に対する当たりの強いティール(ポチャ)も新鮮でしょ??(笑)
本編だとこうはならないよなぁ……経験の差ですね()

ではでは!