satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第44話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で無茶苦茶しまくる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルが疲弊しつつも、どうにかこうにか情報集めて、犯人を追い詰めるための準備を進めているところです。
この事件の話(?)、アラシパートよりもラルパートが多くならないかとひやひやしてる。前回はアラシ君の知らない裏側が多かったので、ラルパートが多かった……気がする。


《L side》
ティールに運ばれ、なるようになれ状態のまま、生徒会室へ到着。ツバサちゃんに教室の扉を開けてもらい、無事入室。
「おかえ……り……?」
「ただいま、フォース」
「ただいま戻りました、フォースさん!」
「おお……どういう状況?」
「能力の連発で死んでるだけ」
死んでませんけどね!
椅子に座らされる感覚があり、恐る恐る目を開ける。まだ少し頭がぼんやりしている気もするが、先程よりは大分ましである。完全に椅子の背もたれに寄っ掛かり、天井を見上げる。
「ふえぇ~……楽になってきたぁ」
その体勢のまま、電子端末を取り出し、メッセージを確認。連絡してから三分経っていたし、フォース君からメッセージが届いていた。本人目の前にそのメッセージを読む。
結果は私が思った通りのものである。
簡潔にまとめると、中等部の一部生徒の間で、ツバサちゃんのことが噂になっていた。それも高等部の一部生徒との共謀で何かをしていた、しているという噂まであるというものだ。
「やっぱりかぁ……フォース君、これはユーリ君にも?」
「送ったよ。ユーリからくれって連絡があったからな。……お前は後輩使って何してんだよ」
ははっ♪ 使えるものは使う主義なので~♪
「ラルさん、これ……あんまり意味ないかもですけど……えいっ!」
「……ん? んお!?」
ツバサちゃんはちょっと背伸びして、私の目元に何かを乗っけてきた。ひんやりとしたそれは、濡らしたタオルか何かだと思うのだけれど、それにしては肌触りがいい気も……?
「私のハンカチを濡らしてきました♪」
「……え、ツバサちゃんの? お高いのでは!?」
「そんなことは……ないと思います?」
はてななのね。そこは……まあ、いいや。せっかくなので、このままでいよう。間抜けだけど。
「時間ないからこのまま話すわ。単刀直入に。今回の犯人は複数人でーす。団体さんの犯行」
「団体……根拠は? それを視たから?」
「それもあるけど、状況証拠と兼ね備えてもそういう感じかなーって。中等部での噂によれば、中等部と高等部の一部生徒がよからぬことを企てていたという噂がある。まあ、ツバサちゃんは可愛いし? 分かる」
真面目にしろというティールの無言のプレッシャーを感じるので、こほんと咳払いをした後、私は話を続けた。
実際にツバサちゃんの周りでは不可解なことが起きていた。立て続けに物がなくなり、見つかっていないということだ。しかし、いじめにしては、精神的な攻撃がほぼなく、よくある暴力的な攻撃もない。私達生徒会、あるいはツバサちゃんの母親である理事長を恐れて、そこまでの犯行に及ばなかった可能性はあるが、物盗りだって、立派ないじめになる。金銭的出費を考えれば、ダメージがあるのは確実だ。そもそも、ツバサちゃんが「最近変なことが起こるんです」とかなんとか、誰かに言ってしまえば、これは全て露見してしまうのだ。よって、相手にはいじめているという感覚はない。……まあ、いじめっ子は皆そうかもしれませんけどねぇ? なんて言われると、ぐうの音もでないが、今回の場合、相手にいじめの意識はないと思う。本当に。
「多分これ、いじめでもなんでもないよ」
「え? じゃあ、愉快犯? ストレス発散?」
「うんにゃ。犯人達はツバサちゃんのことを調べて、時間割りとか身辺調査っていうの? そういうのをした上で犯行に及んでいる。ターゲットはツバサちゃんで計画犯だよ」
「私、ですか……何かよくないこと、したんでしょうか」
「ううん。してない。ツバサちゃんはなーんにも悪くないよ」
「おい。話がややこしくなってきてるぞ。まとめて話せ」
そう言うフォース君は察しついてるだろうに。
私はツバサちゃんのハンカチを目元から取り、顔を上げる。私の隣にはツバサちゃん。目の前にはフォース君とティールがいる。
「いいよ。まずは、いじめではないという理由から話そうかな。……今回の相手は、ツバサちゃんの行動パターン……つまり、学校での過ごし方、時間割りを把握していた。この点から高等部の魔術科に犯人がいると仮定出来る。でも、フォース君が調べてくれた情報によれば、中等部にも仲間いるらしい、と。でも、おかしいよね。仮にいじめが目的だとすれば、中等部の生徒と手を組む必要がない。ツバサちゃんは部活に入っていないし、中等部の知り合いも少ないんだから」
よって、中等部の彼ら─と呼称しておく─は、いじめが目的ではないと言えよう。高等部の彼らは分からないが、仮にいじめ目的だとして、中等部の人達を巻き込む理由がない。用意周到に組まれた可能性はあるが、それにしたって、計画が甘い。使うなら最後まで中等部に盗ませるべきなのに、そうしなかったシーンがある。そのため、いじめである可能性は限りなく低いというわけだ。
「いじめが目的の物盗りではないのは理解したよ。確かに、ラルの言う通りだと思う。……でも、ターゲットはツバサなんだよね? 嫌がらせじゃないのにツバサだけを狙うって意味が分からないんだけど」
「副産物とでも言っておこう。ツバサちゃんが迷惑を被っているのはね。何度も言うけど、犯人達はいじめてるだとか嫌がらせしたくて盗ってる訳じゃない。自分達の欲望のままに動いたら、結果、ツバサちゃんが迷惑している。端から見たら、嫌がらせ、いじめに見えた……それだけだよ」
「……あ。そういうこと。うわぁ」
ようやく理解したらしいティールが、完全に引いている。私に向かってそんな態度を取っても、どうしようもないんだけれど。
ただ一人、ツバサちゃんだけがまだ首を傾げていた。当事者といえども、こんなことはあまりないし、想像もしないだろう。仕方ない。オブラートに包んでもいいけれど、スパッと言ってしまった方が理解してくれるだろうか。
私は正面を向いていた椅子を少しだけ動かし、ツバサちゃんと向き合った。そして、ひょいっと持ち上げて私の膝の上に座らせる。
「ツバサちゃん。今回の事件……事件かは分からないけど、今回の件、犯人はツバサちゃんのことが好きすぎて暴走してます」
「……ほえ??」
「恐らくだけどね。……ツバサちゃんが可愛くて、天使だから、一部の変な人達が私物を盗っていってるんだよ。世間ではストーカーとも言うんだけど……理解した?」
「お前も似たようなもんだろ」
……フォース君の突っ込みは無視する。私は本人から許可を得てますので! 問題ないです!! というか、盗ってないからな!?
「ええっと……ニュースとかでよく見る、後ろからつけ狙うとか、しつこく迫るとかそういうやつですか?」
「ジャンルは違うけど、そうだね。でも、大丈夫。相手を追い詰める手は浮かんでるし、その準備もほぼ終わってる。……というか、ストーカーは言い過ぎかもだけども、窃盗なので取り締まります」
「ラル、犯人の目星はついてんのか?」
「そこら辺はユーリ君に任せてる。時空の叫びで視た特徴を伝えてはいるけど、ほぼ後ろ姿だったから、高等部の子は無理かも。でも、中等部の子はバッチリだったからそこから芋づる式にいける。ユーリ君はこういうの得意だから」
落ち着いた印象が強く、誰に対しても敬語を使うユーリ君だけれど、仕事となれば話は別だ。仲のいいキーくんとか連れていれば、抜群だと思うけれど、キーくんは部活かな。どうなんだろう。
「今はユーリ君の連絡を待って、動こうかなって。早くて今日中、遅くても明日には解決する」
「本当ですか? ありがとうございます、ラルさん! 最初から相談しておけばよかったですね」
ツバサちゃんは、パッと表情を明るくさせつつも、少しだけ申し訳無さを感じる笑顔を見せた。そんな彼女を優しく撫でる。
「そーだぞー? だから、アラシ君達に後で謝っておきな。きっと心配かけてると思うよ~?」
「う、は、はい」
「あ、あと、これからは困ったことがあったら頼ってね。今回は大きくなる前になんとかなりそうだけど、そうじゃないことだってあるからね」
「あはは。実体験だもんねぇ。……一生忘れてやんなーい」
ティールめ。例の件、まだ根に持つか。
にっこにこの笑顔……ただし、目は笑っていない笑顔を浮かべる。
「ねちっこい男子は嫌われるぞ!」
「それくらいのことを君がしたんだろ……って、あれ、アラシ達じゃない?」
んえ? あら、本当。ん? あれって……
ティールが指差す方向には、アラシ君達とその仲間達勢揃いだ。仲のよいことでと感心するところだが、そのような空気ではなさそうだ。
何名かの高等部の方々と何やら言い争いをしておるらしい。遠目で分かりにくいが、アラシ君の目がどんどん本気にお怒りになっていくのがなんとなーく分かる。オーラ的な何かが出てる。遠いのに分かるって怖いわ。
「! 駄目!」
ツバサちゃんが私の上から降りると、勢いよく生徒会室を飛び出していく。何あれ。めっちゃ早い。……と、感心している場合じゃない。あれ、最後の時空の叫びで視た光景に似ている気がする。となると、あのあと、アラシ君が相手に掴みかかって、殴ろうとするはずだ。それをツバサちゃんが止めて……と、ヤバいヤバい!
ティール、フォース君、行くよ!」
「わ、分かった!」
「えー? おれも……?」
机の上に置きっぱなしだった、端末を操作し、ユーリ君へメッセージを送る。そして、ツバサちゃんからのハンカチをポケットに突っ込んで、窓から……は、流石に今回は厳しいので、普通に正面玄関を目指して、教室を飛び出した。ティールと嫌がっていたフォース君もその後に続く。
間に合うといいんだけどなぁ……?



~あとがき~
あともうちょい。

次回、時間を少し戻して、アラシ君視点です。
なんであんな感じになったのか、紐解きましょう!

本編でもここでもそうですが、推測語るのはフォースにも出来るんですよ。(突然)
そんなキャラじゃないので、やらないだけですね。フォースは頭に考えがあっても語らないし、今回のような事件の推測もやりますけど、自分の中で完結するタイプなので。探偵役には向いてませんね。
ティールはそもそもぐるぐる考えるタイプではないです。多分ね。

ラルとティールがちろっと話していた「実体験」だとか、「例の件」はどちらも同じくものを指しています。が、その話が描かれるかは微妙。
設定がギャグではないので、知らなくてもいい裏設定みたいなもんですね。私、こういうのを考えるの好きですわ。まあ、それがあって今の彼らがあるんでしょうけども。

ではでは!