satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第52話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界できゃっほいわっほい遊ぶ物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
前回、吹っ切れた(?)ユーリの決死の魔法が炸裂なるかー!! みたいなところで終わりました。魔法による攻撃ができない彼が何をするのか~って感じですね。
うーむ。あれを吹っ切れたと言うべきなのかは悩ましいところですな。
ユーリ「吹っ切れた訳ではないですけどね」
あら、そう? じゃあ、何て言うべきなの?
ユーリ「……何でしょう。安全装置を外した?」
大丈夫か、それ……(汗)


小屋の入口方面へと戻ってくると、後ろに隠れていたはずのリリアが前に出て敵と魔法のぶつけ合いを繰り広げていた。必要最低限の魔法しか展開はしていないものの、相手の注意を惹き付けてくれていたのは一目瞭然だ。
僕に気付いたリリアは、ちらりとこちらを見ると、全てを理解したのだろう。小さく頷き、魔法攻撃を続けた。
「……理解者がいるって楽」
僕は僕にできることを。
その場で何度か屈伸運動をし、短く息を吐いた。今からやろうとしているのは、どこか間違えたとしてもやり直しなんて出来ない。チャンスは一度きりだ。
「よし。……やるか」
「……ゆっくん」
「何?」
未だに戸惑いの色が拭えないイツキが僕の隣に立つ。何か言いたそうではあるが、口から出たのは僕の考えを探るようなものではなかった。
「どうなるのか想像できないから、これだけ聞くね。俺はどうすればいい? さっき言った通り、突撃?」
「いや。三人とも小屋から追い出す。出てきたところを峰打ちでもして無力化してくれ」
「おっけー……今は敵から拝借した武器もあるし、十秒くれれば確実に決める」
まあ、それくらいの時間はあるかな。どう転ぶのか全く想像つかないけれど。
僕は目を閉じて、イメージを膨らませる。想像力が試されるけど、魔法なんて想像力の塊みたいなものだ。
「対象は立て籠る三人……範囲は変わらず、小屋周辺で囲むように発動させる」
溜め込んでいた力を全て解放し、見えざる敵にぶつける。その瞬間、急激に魔力を消費したせいで体から力が抜け、その場に崩れるように倒れてしまった。イツキが慌てて支えようとしてくれるけれど、僕はその手を払った。
「僕はいいから、行け! 出てくるぞ!」
「っ! 分かった!……けど、何したのさぁ!?」
後で教えてやるから、さっさと行け。
魔力消費は激しいものの、完全に枯渇させたわけではないため、意識を失うことはない。上手く力の入らない体を何とかして起こし、小屋の入口を見る。三人は何かに追われるような形で飛び出してきた。あの様子を見る限り、僕の魔法は大成功だろう。つまり、冷静な判断は出来ないはず。
「ゆっちゃん! 大丈夫!?」
「ん。……大丈夫、だよ。リリア」
「そんなに魔力使わなくてもよかったのに!」
イツキと入れ違いになるような形でこちらへ駆け寄り、問答無用で抱きついてきた。ぎゅうぎゅう締め付けてくるのを退かしたい気持ちはあるが、心配だったからこその行動なのも分かっているから無下にも出来なかった。
回復魔法では魔力の回復はできない。基本的には時間に任せるしか方法がないのだ。そのため、魔法使用者の魔力とは生命線とも言い換えられる。戦いの途中で魔力がなくなれば、お荷物でしかないのだから。まあ、魔力がなくなったところで死にはしない。回復速度に個人差はあれど、ある程度寝れば問題はないからね。
イツキは宣言通り、数秒で三人を黙らせたようで、その場でまとめて拘束。そして、最初に気絶させた三人と一緒にぐるぐる巻きにすると、目にも止まらぬ早さでこちらへと近寄ってきた。
「早いね、イツキ。いつもあれくらいのスピードで、仕事も終わらせてくれればいいのに」
「んなことより、何したんだ、お前ぇ!? あの三人? ワケわかんないこと言ってたぞ? もう許してくれとか何とか」
「許して? でも、命乞いされる程、私達追い詰めてなかったよね。ゆっちゃんが魔法かけたのは分かるけれど、どんなのかけたの?」
「幻術……? に近い何か?」
「なぜ疑問系。かけたのユーリじゃん」
そうなんだけどさ。
むぎゅむぎゅしてくるリリアを宥め、どうにかハグ地獄から抜け出す。どう説明したものかと考えながら口を開いた。
「僕がやったのは相手が心の底から恐怖を感じる対象物を見せる魔法、かな。悪夢とかに近い……一種の状態異常? どの分類になるかは僕にも分からないな」
「つまり、怖い化け物に襲われる夢を見せたってこと?」
「ちょっと違う。……例えば、イツキが怖いと思うものとリリアの怖いと思うものは違うだろ?」
僕の質問に二人はこくこくと頷く。
何が一番怖いかという漠然とした質問をされたとき、ある人は幽霊が怖いと言い、またある人は激怒した親が怖いと言うのと同じだ。中には人やものではなく、何らかの事象を答える人もいるだろう。恐怖を感じる対象は人それぞれであり、ばらつきがあるのだ。
「相手の真相心理に眠る恐怖の対象を具現化……いや、幻か。幻を見せたの。だから、あの三人は本当に怖い……その場から逃げ出したいと思うくらいの恐怖を見せられたわけ」
人の心理に語りかける魔法は難しい。人によってはかかる、かからないの違いも出てきてしまうし、完璧に読み取れなければ、失敗に終わる。通常の幻術なら、僕自身の描くものを出せばいい。それこそ、イツキの言った化け物をその場に出現させるなんてのも簡単だ。が、今回はそれでは駄目だと思った。相手の経験値を知らない……どんなものが効くのか分からなかったから。より深く底のものを引っ張り出す必要があると思ったのだ。
「へぇ~……何見たんだろな?」
「さあ? 三人ともバラバラだと思うし、どんなものだったのかまでは僕にも分からないよ。起きたら聞いてみれば」
「ゆっちゃん、それ、結構凄い魔法、だよね? そもそも、人の心に関わるなんて高度な魔法だよ? 人の意識はそう簡単に魔法でどうこうなるものじゃないもん。幻を見せるとか麻痺させるとか……そんな次元じゃない」
「そうだけど、もうどんな式で組み上げたのかも忘れちゃった」
あのときは頭の中に浮かんだアイデアをどうにかこうにか形にはしたが、無駄もあり、どこか足りないはずだ。なんせ、結果がたった三人であれだけの魔力消費を伴うというものになったんだから。そりゃあ、現実と夢を混同させるくらいのものを作ったつもりで、最大限ではあったけれども。使うにしても改良はいるだろう。
「ま、いい感じになったらイツキで実験するよ。使い道は無限大」
「にゃにおう!?」
「悪夢を見せる魔法……かぁ」
うーん。悪夢を見せたつもりはないけれど。この話はここから出た後にしようかな。
「イツキ、リリア。あの六人を連れてここを出よう。長居は無用ってやつだよ」
「そうだね! あ、小屋の中のやつ、持っていく? 証拠にはなるよね?」
「所持するのはまずい。僕らも共犯だと思われる可能性が低いなりにも存在する。……あそこにあったって証言だけすればいい」
これ以上面倒にはしたくはないというのが本音なんだけれど。僕達の立ち位置は、たまたま巻き込まれた一般人でなくてはならない。下手なことまで知る必要はないんだ。
「ふぅ……最終手段、用意したけどいらな……?」
二人があの六人をどうするか相談をしている間、微かに敵意を感じ、辺りを見回した。ここは小さくてもダンジョン内だから、モンスターがいても不思議ではない。しかし、そんな野性的で単純な敵意ではない……気がする。明確な敵意、殺気に近い。
そう感じた瞬間、言葉よりも先に体が動いていた。二人に飛び付くような形で覆い被さり、ちらりと後ろを振り返る。何も見えないけれど、空気の流れが若干変わっているところがある。
それが刃物による抜刀からの斬撃であるというのは、背中から伝わる嫌な不快感とイツキとリリアの反応から理解せざるを得なかった。



~あとがき~
描写してないからセーフ。(これが答え)

次回、終わりムードからのどんでん返し。三人の運命とは~!
残り一、二話くらいで終わると思う。

魔法使用者と技使用者の有利差は多分、魔法使用者に軍配が上がると思います。ほら、属性縛りはあるけど、色々使えるじゃん!? 使えそうじゃん? まあ、差はありますけれど。攻撃魔法が使える人は結構、強いと思いますよ。いや、技は技で利点はあります。属性の縛りは緩いですし、エネルギー切れはないですし……って私は解釈してます。魔法を使えないラルやティール、フォースの三人は理不尽なまでに強くしている自覚はある。本編でも強いですしね。特にお前だよ、フォース……(笑)
そうじゃないイツキには限界があるわけです。また、サポートメインの魔法のみを扱うユーリも同じ立場な訳で。そんな二人がどこまでやれるのかなって私の中での挑戦でもありました。リリアは攻撃出来ますが、今回はノータッチです。そもそも、バトル得意設定ではないんで。
今度、バトル描写するときは、魔法ばんばか使いたいと思いまーす。誰が適任……ツバサちゃんとかかな? 誰でもいいけど無双じゃ、無双。((

ではでは。